終戦70年・日本敗戦史(147)『大東亜戦争の戦死230万人のうち約6割、約140万人が「餓死」の絶滅戦争である(一橋大学名誉教授・藤原彰氏)
2015/08/25
終戦70年・日本敗戦史(147)
<世田谷市民大学2015> 戦後70年 7月24日 前坂俊之
◎『太平洋戦争と新聞報道を考える』
<日本はなぜ無謀な戦争をしたのか、
どこに問題があったのか、
500年の世界戦争史の中で考える>㉕
本土決戦に備え「国内ゲリラ戦」部隊「国民義勇戦闘隊」と
「学徒義勇戦闘隊」を結成(昭和20年4月、大本営陸軍部)
- 「国民義勇戦闘隊」―武装、被服など自己調達が原則であり、武器は「竹槍」(長さ約1,5ー2m、直径3,4㎝)が中心。
- このほかに各自が持つ私物の「日本刀」「猟銃」「クワ」「スキ」「カマ」「錠」の「農器具」、「スコップ」「ツルハシ」など「土木道具」、「包丁」「千枚通し」などの「刃物各種」や各自で作成した「弓矢」等を用いる。
- 学徒の戦力化で「学徒義勇戦闘隊」を組織―装備は「日本刀」と「手相弾」の配備は困難なので「日本刀」の代用として長さ80㎝―1mの丸太、棍棒などで敵の撲殺する。「砂礫」(石など)等の投げて敵の殺傷を行う。
- 「白兵戦」に備えて「手相弾投擲」「銃剣術」「剣道」「柔道」をが学校で教えた。
一橋大学名誉教授・藤原彰氏によると、『大東亜戦争での
戦死230万人の内、その約6割、約140万人が
「餓死」という自滅戦争であった。
① その出典『餓死した英霊たち』(藤原彰著 青木書店)では「餓死」とは、栄養失調による「不完全飢餓」によって病気に対する抵抗力を失った結果としての戦病死をもふくむ広義の規定
②「ガダルカナル島の場合、方面軍司令官は死者2万、戦死5千、餓死1万5千と述べている。ブーゲンビル島では、死者約2万はほとんど餓死。 …ソロモン諸島の死没者の4分の3の6万6千名が餓死
③厚生省の調査では、東ニューギニアの戦没者は12万7千。いずれも死者の9割以上、実に11万4840名が餓死
④インパール作戦をふくむビルマ方面軍で死者は78%、14万5千人かそれ以上が餓死者。
⑤中部太平洋のサイパン、グアム、テニアン、ベリリューなどの諸島では日本軍は上陸した米軍と戦って「玉砕」した。全体で12万以上が病死・餓死。
⑥日本軍が最も多くの死者を出したフィリピン戦線で、8割の40万人が餓死。中国戦線での死者は45万5千だが、
栄養失調に起因するマラリア、赤痢、脚気などによる病死者は死因の3,4割を占める。中国戦線での全死者の約半数が栄養失調での病死で22万以上。
⑦以上、合計では 1,276,240名に達し、全体の戦没者2,121,000名の60%強。
戦没軍人軍属230万との総数に対して換算すると、 140万前後が戦病死者、
そのほとんどが餓死者となる。
関連記事
-
-
日本リーダーパワー史(627)日本の安保法制―現在と150年前の「富国強兵」政策とを比較するー「憲法で国は守れるのか」×「軍事、経済両面で実力を培わねば国は守れない」(ビスマルクの忠告)
日本リーダーパワー史(627) 日本の安保法制―現在と150年前の「富国強 …
-
-
日本リーダーパワー史(727)★(記事再録)『アジアが世界の中心となる今こそ120年前の 大アジア主義者・犬養毅(木堂)から学ぼう 』一挙、25本の記事全部公開する!
日本リーダーパワー史(727) アジアが世界の中心となる今こそ12 …
-
-
『リーダーシップの日本近現代史』(165)記事再録/『安倍総理大臣の在任期間は11/20日で通算2887日で憲政史上最長となったが、『ガラパゴスジャパン(日本システムの後進性)』の改革は未だ手つかずだ』★『150年かわらぬ日本の弱力内閣制度の矛盾』を警告した日本議会政治の父・尾崎咢堂のリーダーシップとは何かを読む』
2012/03/16 日本リーダー …
-
-
『ガラパゴス国家・日本敗戦史』⑱日本帝国最後の日(1945年8月15日)をめぐる攻防―終戦和平か、徹底抗戦か➂』
『ガラパゴス国家・日本敗戦史』⑱ 『日本の最も長い日―日本帝国最後の日 …
-
-
「タイムズ」からみた「日中韓150年戦争史」(61)『(日清戦争開戦4週間後)-『日本の朝鮮侵略(下)』
『「申報」「タイムズ」からみた「日中韓1 …
-
-
『日本議会政治の父・尾崎咢堂のリーダーシップとは何か④ > 日本リーダーパワー史(242)『160年かわらぬ日本の弱力内閣制度の矛盾』(日本議会政治の父・尾崎咢堂が叱る)★『新しい時代には新人が権力を握る。明治初年は日本新時代で青壮年が非常に活躍した。当時、参議や各省長官は三十代で、西郷隆盛や大久保利通でも四十歳前後。六十代の者がなかった』
逗子なぎさ橋珈琲テラス通信(2025/11/15am700) &nb …
-
-
日本リーダーパワー史(650) 日本国難史にみる『戦略思考の欠落』(43)『三国干渉』に日清戦争の立役者・川上大本営上席参謀はどう対応したか①『余の眼晴(がんせい)が黒いうちは、臥薪嘗胆10年じゃ』と
日本リーダーパワー史(650) 日本国難史にみる『戦略思考の欠落』(43) …
-
-
明治150年歴史の再検証『世界史を変えた北清事変⑨』★『16、17世紀の明時代以降の中国と西欧列強のポルトガル、オランダ、イギリスとの貿易関係はどのようなものだったのか』★『現在中国の貿易ルールのルーツを知る上で大変参考になる』
明治150年歴史の再検証『世界史を変えた北清事変⑨』 支那の対外貿易の原則 矢 …
-
-
『オンライン/最後の海軍大将・井上成美が語る山本五十六のリーダーシップ論』★『2021年は真珠湾攻撃から80年目、米中日本の対立は火を噴くのか!』
2019/08/04   …
-
-
世界/日本リーダーパワー史(920)米朝首脳会談開催(6/12)―「結局、完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)は先延ばしとなりそう』★『米朝会談の勝者は金正恩委員長か!』(下)
結局、一番問題の非核化(CVID)についてはどうなったのか。 前坂俊之(静岡県立 …
