前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

日中北朝鮮150年戦争史(29)★現代史復習、記事再録『外国の新聞が報道した120年前の日清戦争の「三国干渉」の内幕と【腐敗した清国軍の実態】ー南シナ海紛争と同じ中国人民軍の実態!

      2016/09/13

  日中北朝鮮150年戦争史(29)

◎『外国の新聞、ロシア紙「ノーヴォエ・ヴレーミャ」

などからみた「日中韓150年戦争史」―

日中韓ロのパーセプションギャップの研究』(79)

日清戦争の「三国干渉」,【腐敗した清国軍の実態】

を現在の<南シナ海、東シナ海の紛争>の教訓とせよ

 

①  日清戦争の勝利の結果、下関条約(日清講和条約)が1895年4月17日に下関の春帆楼で締結され、その1週間後の4月23日に「三国干渉」(ロシア・フランス、ドイツ)の軍事力を背景にした介入があった。日本側は涙を呑んでこれに屈伏して、下関条約でえた遼東半島を返還したのである。この強国のアブラゲにトンビの帝国主義的、強奪行為に対して、日本側は約10年間、「臥薪嘗胆」して、対ロシアの中國,朝鮮、日本を併呑しようとする侵略に対して防衛戦に立ち上がったのが、日露戦争の真実なのである。

以下の「三国干渉」3ヵ月前のロシア紙の記事を読むと、日清講和の条件によってはすでに軍事介入することをヨーロッパ列強で外交協議し、利害を調整していたことは各国の新聞に詳細に報道されていたのである。

日本側は当然、各国の出方を予測しながら「日清講和」に当たったが、「三国干渉」を予測できなかったのであり、未然防止、リスク管理の外交戦に敗れたといえるだろう、これは日露戦争でも同じ、戦争に勝って『ポーツマス外交で敗れて』、日清戦争以上に、何も得るところはなかったのである。

日本の戦争のパターンはいつも膨大な戦費と、兵士の多大な犠牲の結果の勝利をやっとつかんでも、得るところは非常に少ない、戦争に勝って、外交では必ず負け続ける拙劣なやり方なのである。それと、ロシア紙「ノーヴォエ・ヴレーミャ」の日清、日露戦争までの記事を読むと、一貫してロシアの膨張・侵略主義の露骨な主張が語られており、いまのロシアも全く変わっていないことに改めて気づく。

➁ 3月30日付同紙の「なぜ弱いか中国軍―の腐敗、烏合の衆の実態」は現在も引き継がれている中国軍の「張り子のネコ」の実態とあまり変わっていない。この弱体軍に勝ったからといって、日本がどこまで精鋭部隊であったの、冷静に検討する必要がある。

 

1895(明治28)年29日 ロシア紙「ノーヴォエ・ヴレーミャ」

 

 

ロシア,イギリス,フランスの3国の間には日清戦争に

将来干渉することで合意、中国の未来は日本の手中にはない。

 

 

ロシア,イギリス,フランスの3国の間にはどうやら日中紛争に将来干渉することですでに合意が成立しているようだが,この合憲の基本原則に関してタイムズ紙のパリ通信員が入手した情報がどの程度信頼できるものか,われわれにはわからない。

 

しかし,われわれの見るところでは,これらの「基本原則」が本当らしくないとか.あるいは諸列強政府の利害に合致しないなどと考える理由はない。諸列強政府は.日本の軍事的成果がどれほど大きくても,自分たちの利益をどうしても考慮に入れなければならないということを,日本に思い出させようとしているのだ。

全く適切だと思われるのは.いざ干渉というときが来ても,干渉は私心のない性格を保つこととするという条件だ。ロシア,イギリス,フランスの極東における利害には深刻な矛盾があるため.領土獲得の問題を議題にのぼらせることは厳しく抑制する方が望ましい。列強は,日本の勝利のもたらし得る結果について,自らの見解を日本に対して表明しようとしているが,これらの国の課題は,少なくとも現時点では.日本がこれまでどおり純粋な「島国」的性格を維持し,中国大陸に居座ることができないように配慮することだけかもしれない。

 

周知のように,これ以前の軍事的失敗に際しては.歴代の中国皇帝がこのように負けを認めたことは1度もなかった。何世紀にもわたる「中華帝国」の傲慢な鼻をこのようにへし折ることは,これまでの極東の事態を一気に変えてしまうような大手柄となるだろう。そして.全く当然のことながら,このような壊滅的打撃を中国に与える原因となった日本がロシア,イギリス,フランスの利害と一致する範囲において,自分の勝利の成果を利用することは,許されてしかるべきだろう。

 

 しかし日本政府は.この許容範囲を超えようなどと考えるべきではない。朝鮮に対するいわゆる「無条件」保護統治や,満州の一部の日本への割譲に至っては論外だ。

 

中国の未来は日本の手中にあるわけではない。中華帝国はヨーロッパの3強国と直接領土を接する隣国である。そして,中華帝国が現状のような巨大な規模での政治的存続が将来不可能になった場合.ある程度までかっての「天子たち」の後継者となる権利を主張するのはこの3国にとって当然のことであり,これまでの歴史的経緯からこの3国は自分の当然の権利にだれも干渉しないよう配慮すべき立場に立っている。

 

ところが日本は.周知のとおり全く違った考えをしている。日本はその軍事的成功によって.これまで極東で中国が占めていた位置をわがものとしようという野心を抱くようになった。この野心を許してはならないし,また許されることはないだろ

う。

 

1895330日ロシア紙「ノーヴォエ・ヴレーミャ」

 

「なぜ弱いか清国軍(中国軍)―腐敗、烏合の衆の実態」

中国から帰ってきたばかりのオブルチェフ氏がノーヴォスチ紙上で今回の旅の印象を述べている。その印象は,中国の威信と勢力を裏付けるものではなく,中国が今後、日本との戦争に敗れることをオプルチェも氏は確信している。

中国は兵学においていかなる進歩もしていない。そして,それを説明するためにオブルチェフ氏は.1つの例として「立派な人間は兵士にならない」という中国のことわざを引いている。

このことわざを裏書して,中国で兵士になるのは多分,「実際,一番役立たずで,正業を厭(いと)い、軍隊の給料をもらってぶらぶらしている方を好むような連中」なのだろう。「こういった兵士は」と,オブルチェフ氏は言う-「当然のことながら大砲の的になることを好まない。敵方であろうと自国民であろうと、かまわず住民を略奪する方を選ぶ」好機のあり次第,戦場から逃げ出し,絶体絶命の状況,つまりこっそり逃げ出すこともできず.また捕虜になることは敵に処刑されるかもしれないので恐ろしいという状況になるまで戦おうとしない。

 

中国軍の道徳面と軍事面での水準の低さをいっそう低くしているのは.平和時での軍の平時編成要員のうち3分の1から半数までの登録が書類上のものでしかないという事情だ。長官たちは国庫から全定員分の給料と食料を受け取るが私腹をこやすために節約をし,定員全体の半分から3分の2しか維持しない。

閲兵や行軍のときは,ボロを着ているさまざまな浮浪者に急場しのぎに服を着せ.武器を与えて,不足している人数を補う。このような軍隊が.なんらかの訓練を受けている常備の要員よりさらに低劣なのは言うまでもない。

わたしが陳西陝西省(せんせいしょう)の楡林(ユイリン)府の近くを旅行していたとき、この地の指揮官が部隊を補充するのに十分な数の浮浪者を.司令部の閲兵までに見つけられなかったことがあった。その結果,背任行為が明るみに出たため.この男は懲罰を逃れるために,中国人特有の平然さでもって自分ののどをかき切り死んでしまった」

オブルチェフ氏の観察によれば.中国の文官制度もその他の社会制度も,これと同じくらい悪いか,あるいは全く役に立たない。これでは筆者としても,中国の勝算は日本の勝算とは全く比べものにならないくらい低いものと考えざるを得ない。日本では進歩に対して,中国人とは違った態度で取り組んできたからだ。

 

 - 戦争報道, 現代史研究, IT・マスコミ論

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
★(まとめ記事再録)『現代史の復習問題』『ガラパゴス国家・日本敗戦史④』

★(まとめ記事再録)『現代史の復習問題』『ガラパゴス国家・日本敗戦史④』 &nb …

日本リーダーパワー史(633)日本国難史にみる『戦略思考の欠落』(26) 『川上操六参謀次長の田村怡与造の抜擢①<田村と森鴎外にクラウゼヴィッツ兵書の研究を命じた。これが日露戦争の勝利の秘訣となった>

 日本リーダーパワー史(633) 日本国難史にみる『戦略思考の欠落』(26)   …

no image
<最強の外交官・金子堅太郎⑨>『外交交渉の極致―ポーツマス講和会議で日本を支持したルーズベルト大統領』(終)

<日本最強の外交官・金子堅太郎⑨>  ―「坂の上の雲の真実」ー 『外交 …

『リーダーシップの日本近現代史』(65)記事再録/ 日本国難史にみる『戦略思考の欠落』(55)『三国干渉』後に川上操六はスパイ大作戦をどう組み立てたか『日英同盟締結に向けての情報収集にエース福島安正大佐 をアジア、中近東、アフリカに1年半に及ぶ秘密偵察旅行に派遣した』

    2016/02/25 &nbsp …

no image
日本メルトダウン脱出法(579)●『エボラより怖い「EV-D68」、全米で子供に感染」●「Google Glassで脳波の動きだけで写真撮影」

    日本メルトダウン脱出法(579) &nbs …

no image
FOX テレビの偏向報道?を英独立テレビ委員会(ITC)が調査

1 03,08 イラク戦争報道については、米FOX テレビが米政権支持を鮮明に打 …

no image
『リーダーシップの日本近現代興亡史』(212)『今から100年前の大正時代に世界一の<巨大商社/鈴木商店を作った>財界のナポレオン・金子直吉伝』①

福沢桃介著『財界人物我観」ダイヤモンド社、昭和5年版が原典よりの我流現代文になお …

 『リーダーシップの日本近現代史』(70)記事再録/日本リーダーパワー史(241)空前絶後の名将・川上操六(29)★『戦いで最も重要なのは「インテリジェンス」 それ以上に重要なのは「ロジスティックス」』

 2015/02/17日本リーダーパワー史(241) 空前絶後の名将・ …

no image
『リーダーシップの日本近現代史』(12)記事再録/『世界史の中の『日露戦争』ー<まとめ>日露戦争勝利の立役者―児玉源太郎伝(8回連載)★『児玉は日本のナポレオンか』

2016年3月5日/日本リーダーパワー史(683) 日本国難史にみる『戦略思考の …

no image
★『オンライン/天才老人になる方法➅』★『世界天才老人NO1・エジソン(84)<天才長寿脳>の作り方』ー発明発見・健康長寿・研究実験、仕事成功の11ヵ条」(下)『私たちは失敗から多くを学ぶ。特にその失敗が私たちの 全知全能力を傾けた努力の結果であるならば」』

 2018/11/23  百歳学入門(96)再録 …