前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

『Z世代のための次期トランプ米大統領講座㉓』★『イーロン・マスク氏がトランプ次期大統領の実質的な参謀役になった』★『『政府効率省』トップに起用されたマスク氏は2兆ドル(約315兆円)」を削減する」と豪語』★『マスク氏の欧州諸国に対する「内政干渉」に各国首脳が反発』

      2025/01/09

25年1月7月現在、私の見方では、世界一の資産家でEVテスラ、X(旧ツイッター)のCEOのイーロン・マスク氏がトランプ次期大統領の実質的な参謀役になってきた、とみえる。トランプ氏は11月の大統領選挙当選後に、バイデン民主党政権下での政治経済社会システムを大改革する「政府効率委員会」のトップにマスク氏を起用した。
1月20日にスタートするトランプ第2次政権はアメリカ国内の大改革する一方、同盟国、友好国にも一律に関税、防衛費の負担を課す強圧的な脅し「ディール外交」を展開する方針で、現在の国際政治経済秩序は大きく変化するだろう。すでにあちこちで地滑り的現象が起きている。
マスク氏は昨年7月以降に、トランプ陣営に1億1860万ドルを超える献金を行い、トランプ陣営に仲間入りした。11月ごろはトランプ氏のマイアミの大別荘「マーアーラゴ」に入りびたりで、トランプ氏とウマが合うのか、ファミリー同様な扱いで厚遇され、政策的な参謀役になり上がった。
トランプ氏が会談したウクライナ・ゼレンスキー大統領、トルコのエルドアン大統領、イランのイラバニ国連大使、ロシアのプーチン大統領の電話会談などにも同席し、外交的、経済的なアドバイスを行い、ゼレンスキー氏にはスペースXの衛星通信サービス「スターリンク」の提供する商談を行ったというわれ、利益相反、利益誘導の懸念が出ている。
また、マスク氏は「トランプ氏が警戒するインフレは政府の過剰支出によって起きるので『政府効率化委員会』の必要性を強調、トランプ氏が『政府効率省』のトップにマスク氏を起用した。
マスク氏はAI・IT技術を駆使すれば「合計428もある連邦機関を約4分の1の99まで削減できて、2兆ドル(約315兆円)」を削減できる」と提言した。

これは2024年度連邦政府の支出6兆7500億ドル(約1060兆円)の約3割も減らすことになる勘定だ。
さらに、マスク氏は✕によって、自己の政治的、経済的な見解を自由に述べ、フェイクニュース(!?)ではないかと、物議をかもしている。

『英独仏の首脳が憤怒…「マスク氏は限度を越えた」

(韓国中央日報1/7(火) 8:30配信)によると、「マスク氏の欧州諸国に対する「内政干渉」に各国首脳が反発している」と報じた。
マスク氏が2月に予定されるドイツ総選挙で極右政党の「ドイツのための選択肢(AfD)」に対し、SNSで「AfDだけがドイツを救うことができる」とツイートした。同時にショルツ首相とシュタインマイヤー大統領に対しては「無能なばか」「反民主暴君」などと非難した。ショルツ首相は「新しいことではなく冷静さを維持しなければならない。トロール(目立ちたがり屋)にえさを与えるな」と反論した。ドイツ政府報道官も「この国の大多数は正常で品格がある。マスク氏の嘘や個人の意見が人口8400万人のドイツに影響を及ぼすことはできない」と批判した。
ところが、マスク氏は英国のスターマー首相が2008~2013年に検察局長だった時代に児童性搾取事件を隠蔽したという英国内の極右勢力の主張をSNSで引用し、辞任を主張した。
これに対し、スターマー首相は6日、「政治の激しさと活発な討論を楽しむが偽りではなく事実と真実に基づかなければならない」として事件を隠したという一部の主張に対し「限度を越えた」と反論した。

英国の性的虐待事件(グルーミングギャング)

このマスク氏の投稿はスターマー政権にとって大きな問題となっており、スターマー氏は医療問題について語る予定だった6日の記者会見で、性的虐待事件(グルーミングギャング)への対応について弁明せざるを得なくなった。

マスク氏がXで触れた「数十万人」の「英少女」がギャングの手でレイプされ殺害されたという主張は、サウスヨークシャー州ロザラムで起きた事件で、男たちが贈り物やアルコールを与えて少女たちを手なずけ、性行為を強いたというもの。2014年発表の報告書では、1997年から2013年の間に、少なくとも1400人の未成年がロザラムの男たちに狙われたと推定。虐待の報告を受けてもさまざまな機関や地方当局は行動しなかったと指摘している。
この事件の加害者の大半はパキスタン系住民で、異文化に対するセンシティブな意識が、当局に断固たる行動を取らせなかった理由の一つであることが明らかになっている。
マスク氏のXでの投稿について、マクロン大統領はフランス大使らとの新年会で「10年前だけでも世界最大のSNS(X)の所有者が国際反動運動を支援しドイツなどの選挙にまで介入するだろうとはだれが想像しただろうか」批判した。

ノルウェーのストーレ首相も現地公営放送で「SNSに対する莫大なアクセス権と経済的資源を持っている人が他国の内政に直接的に関与することが懸念される。民主主義と同盟国の間にこのような形はならない」と指摘。マスク氏がノルウェーの政治にも干渉しようと試みれば、政界が団結して彼と距離を置かなければならないと主張した。ノルウェーも9月に総選挙を控えている。

●一方、イタリアの極右政党のメローニ首相は
1月6日、トランプ氏を「マーアーラゴ」に非公式に訪問、マスク氏とも会談した。同首相はマスク氏所有企業による投資が同国への脅威にはならないとの見解を示した。「私はイタリアへの大規模な投資を実現するために取り組み、それぞれの投資の有用性を国益という観点から評価している」と語った。
ブルームバーグ・ニュースによると、5日、イタリアはスペースXと15億ユーロ(15億5000万ドル)規模の契約について協議していると報じた。一方、イタリア首相官邸はこれを否定し、新たなサービスの提供を巡るいかなる合意も得られていない言明している。
いずれにしてEU各国はトランプ政権のディール外交に翻弄されており、今後の関税戦争、ウクライナ戦争、イスラエル・ガザ・ハマス戦争の行方が注目される。

 - 人物研究, 戦争報道, 現代史研究

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
名リーダーの名言・金言・格言・苦言集(17)『浮利に走って軽進すべからず』(広瀬宰平)『船は沈むが、株は沈まない』(野村徳七)

<名リーダーの名言・金言・格言・苦言 ・千言集(17)            前 …

no image
現代史の復習問題/記事再録/百歳学入門(84)大宰相・吉田茂(89歳)の政治健康法②「こんな面白くない<商売>をしていて、酒やタバコをとめられるか」★『総理大臣当時、いやな問題が起こると、血圧が20や30すぐにとび上がった。あるとき、気分が悪いので測ったら、最高230で最低が120もあった』

  2013/11/05  百歳学入門( …

『私の会ったステキな女性・宇野千代(98歳)生涯現役作家研究』★『明治の女性ながら、何ものにもとらわれず、自主独立の精神で、いつまでも美しく自由奔放に恋愛に文学に精一杯生きた華麗なる作家人生』

『可愛らしく生きぬいた私の長寿文学10訓』2019/12/06 記事再録&nbs …

no image
日本リーダーパワー史(865)『日本の「戦略思想不在の歴史⑰』『世界史の中の元寇の役(文禄の役、弘安の役)7回』★『計6回の使者派遣外交で日本に朝貢を迫ったモンゴルに対して、一貫して対話・交渉を拒否した鎌倉幕府』●『 千年も続く日中外交力格差ー河野太郎外相は外相専用機を要求』★『日本外相の各国訪数は中国の約3分の1』

 日本リーダーパワー史(865) 『日本の「戦略思想不在の歴史⑰』 『世界史の中 …

no image
池田龍夫のマスコミ時評(85)◎『国会事故調の「提言」を審議せず』-<日本は果たして民主主義的な国家なのか>

  池田龍夫のマスコミ時評(85)   ◎『国会事 …

★5日本リーダーパワー史(778)『アジア近現代史復習問題』 小村寿太郎のインテリジェンス②ー『なぜ、日清戦争は起きたのか』●『朝鮮は日本の生命線、今ならまだ北からのロシアの侵略が朝鮮半島に伸びておらず、イギリスの南からの魔手もまだだ、問題は清国でその屋台骨は腐朽しており、将来のアジア人のアジア繁栄のためには、日清が堅く提携せねばならぬが、清国がこんなに脆弱では困る。速やかに目覚めさせる必要がある』

★5日本リーダーパワー史(778)ー 『アジア近現代史復習問題』 小村寿太郎のイ …

no image
「英タイムズ」「ニューヨーク・タイムズ」など 外国紙は「日韓併合への道』をどう報道したか⑪「韓国人の行動形式は①日本への敵愾心②自文化への過度の自己満足③中国崇拝」(英タイムズ)

「英タイムズ」「ニューヨーク・タイムズ」など  外国紙は「日韓併合への道』をどう …

no image
日本リーダーパワー史(621) 日本国難史にみる『戦略思考の欠落』 ⑮ 『川上操六参謀本部次長がドイツ参謀本部・モルトケ参謀総長に弟子入り、 ドイツを統一し、フランスに勝利したモルトケ戦略を学ぶ①

 日本リーダーパワー史(621)  日本国難史にみる『戦略思考の欠落』 ⑮ 『川 …

no image
『中国紙『申報』からみた『日中韓150年戦争史』⑭「中日両国が一致協力してアジア情勢を安定させるべきを諭す」

     『中国紙『申報』からみた『日中韓150年 …

no image
『5年前の記事を再録して、時代のスピード変化と分析ミスをチェックする』-『2018年「日本の死」を避ける道はあるのか⑤』★『アベノミクスで政権100日は成功、この難題山積のナロウパス (細いつり橋)を素早く突破しなければ、日本の明日は開けない』★『スピード突破できずTimeout、釣り橋から落下の運命が迫りくる?』

★『2018年「日本の死」を避ける道はあるのか ー―日本興亡150年史』⑤― < …