前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

『Z世代のための日中韓三国志のキーワード<福沢諭吉の脱亜論>の研究講座①』★『福沢諭吉の「脱亜論」と時事新報の主張に全面的に賛成した』上海発行の英国紙「ノース・チャイナ・ヘラルド」1884(明治17)年5月2日』

      2024/07/11

 

 

逗子なぎさ橋通信、24/0707/am11]逗子海岸は海水浴客でにぎわう

 2016/05/26日本リーダーパワー史(708)日中韓150年史の真実(11)記事再録

<次の記事は2014/07/04に執筆したもの>

中国の習近平主席は2014年7月3日、韓国を訪問、韓国の朴(パク)槿恵(クネ)大統領との首脳会談に臨み、歴史認識問題などで共闘し、対日圧力を強めている。以下の130年前の「ノース・チャイナ・ヘラルド」の記事は、ヨーロッパ、日本から見た『近代化』を拒否した遅れた中国政治システムと軍備増強、農奴の状態で搾取と支配維持をしていた清国皇帝政治を厳しく批判している。
130年たった現在の中国共産党一党独裁・習近平体制も自己改革できていないのが、「中国の悲劇」であり、新たな『黄禍論』であることが、この記事を読むとよくわかる。
習近平共産党指導部は議会制、政治の民主化を拒否している世界で数少ない独裁国家であり、人民が稼いだGDPの多くを共産党幹部と国営企業のトップが不正利得として蓄財している腐敗体制で、人民のインターネットからの批判、世界の知識へのアクセスを拒否し、人権弾圧を繰り返している封建的な中国歴代王朝とかわりはない。
 この英国紙は福沢諭吉の『脱亜論』を全面的に支持しているのだが、現在の日本の歴史学者や世論、マスコミの多くには『中国』『韓国』側の福沢諭吉を「侵略主義者」とするプロパガンダに同調している人々は、「日清・日露戦争への道」を外国の新聞の報道とともに多面的に検証していくことが必要で、この連載はそのためのシリーズなである。

130年前の今も全く変われない中国と、習近平体制

「ノース・チャイナ・ヘラルド」の指摘

①  中国は世界最大の国の1つだが、不幸なことに,きわめて尊大な国民なため,西洋諸国との賢明な関係を持つことを拒否している。

②  何千年もの間、中国人はほとんど、あるいは全く知的進歩をとげておらず.「たくさんの魂のない自動人形」のように暮らして,世界を知らずにぼんやりと過ごしている。

③  中国の慢性的な保守主義は、戦争で負けるまでは直らない。

④  中国は長年にわたり「軍艦や鉄砲,水雷」の製造に莫大な金を費やしている。

⑤  現在.中国が陥っている「進退きわまった状態」は,金が誤った使い方をされ浪費されたことによるものだ。軍備も軍需品も先進文明における本質的な要素では決してない。

⑥  地方行政の失政,おそまつでみすぼらしい道路,財政制度に見られるきわめて不適当な財政上の原則.未発達な貨幣制度-中国の内政は最悪の状態にある。

⑦  中国に今必要なものは要塞や銃ではなく,政治上.行政上の改革だ。が、そのような博愛主義の計画が少しでも考慮されているとはとうてい思えない。

上海発行の英国紙「ノース・チャイナ・ヘラルド」1884(明治17)年5月2日付
『福沢諭吉の「脱亜論」と時事新報の主張に全面的に賛成した』

日本は,お隣の大国の政治的苦境に関する指導者とまでは言わないまでも,説教者ぐらいの役割を果たすことにやぶさかでないようだ。今回のトンキン事件(清仏戦争)の間中,天皇の顧問たちによって厳正中立が.それをやめさせようとする誘惑にもかかわらず.守られたことは,絶賛に値する。

だからといって,人々がその問題について広く自分の意見を述べなかったということはない。日本の政治記者の意見の中には.洞察力に富み.風変りでおもしろいものがある。

これらの記者によると,日本はある一連の主義に転向した人のようなもので,その実践は今までのところ大成功を収めてきたが,一方同様にその主義を必要としている中国は一貫してそれらを拒否し.その結果,最も良質な油の不足のため,持っているランプが消えかかっている愚かな娘のような状態にあるということだ。(※文明開化を目指した明治維新のリーダーや福沢諭吉の『脱亜論』<明治18年3月)>の主張・行動を支持し、封建的な中華思想に閉じこもって文明化を拒否している中国を批判している)

したがって日本人記者が自分たちの方針に都合のいいように,明白な教訓を引き出すという誘惑に負け,中国が日本の例に倣い,進歩に向かって足を踏み出そうとしない愚かさについて.中国人に説教したい気分になるのは当然のことだ。

時事新報の記事の中に,そういったことがすべて興味をそるように説明されている。学者ぶった知恵とすぐれた徳の持主であるかのような態度をした記者によって書かれたその記事は,それを読んだ中国人読者に(もし中国人読者がいたならの話だが)しかるべき感銘を受けてもらいたいと思う内容だ(この時事新報の主張は福沢諭吉の『脱亜論』と中国の遅れた封建主義、中華思想の華夷秩序、「冊封体制」

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1434709419

を批判した『反中国論』「反朝鮮論」である。)

彼の言によれば.中国は広大な領土を有し.肥沃な土地.大森林地帯,豊かな鉱山に恵まれた世界最大の国の1つだ。しかし不幸なことに,彼らはきわめて尊大な国民なため,西洋諸国との賢明な関係を持つよりも孤独を好んでいる。

何千年もの間、中国人はほとんど.あるいは全く知的進歩をとげておらず.おびただしい数の人々が記者が言う一には「たくさんの魂のない自動人形」のように暮らし,「国境のすぐ向こう側の大きな世界を忘却のかなたに追いやって.ぼんやりと過ごしている」のだ。

こういう考え方がすぐれた筆の力で展開されており,われわれはその後に続く主張,すなわち中国の慢性的な保守主義は「中国人が立ち向かおうとしている抵抗不可能な力に.彼らが強制的で不愉快なやり方によって気づかされるまで」直らないだろうという主張を全面的に支持する。

そして時事新報の信じるところでは,中国は現在.徐々にこのことに気づかされ始めている。事実,記事の見出しは「仏国ハ支那ノ恩人ナリ」というもので.中国は.いやいやながらも正しい方向へ1歩踏み出すことを強要したフランスに恩義を感じるだろうというのが,記者の意見にほかならない。

しかし,わが日本の友人は,自身の原則を適用するさい重大な過ちがあった。中国がフランスから学ぶよう記者の望んでいる教訓は,より良い自衛手段に不可欠な軍事的なものに限られているのだ。

訓練された優秀な陸海軍が絶対不可欠だと思われるときには,「最も平和的な心の持主でも,軍艦や銃砲,水雷の製造に注目しなければならないだろう」というのだ。

ところで,これは決してよい忠告とは言えない。実際のところ,中国は長年にわたり「軍艦や鉄砲,水雷」の製造に莫大な金を費やしている。

そして大げさな表現で言うならば現在.中国が陥っている「進退きわまった状態」は,金が誤った使い方をされ浪費されたことによるものだ。軍備も軍需品もすべて大いに結構だが,先進文明における本質的な要素では決してない。

時事新報が「現在の国内通信の悲惨なる非能率さ」に触れているのは.おおむね的を射ている。最新式の軍備と頑迷固陋な保守主義とは相いれるもので,事実,軍備は保守精神の結果や表現だろう。確かに,中国はもっと平和的な改革を導入すれば.真の利益を図れるだろう。

地方行政の失政,おそまつでみすぼらしい道路,財政制度に見られるきわめて不適当な財政上の原則.未発達な貨幣制度-中国のいわゆる文明に見られるこういった特徴やその他多くの特徴は.クルップ製大砲の購入や水雷の製造より,もっと注目すべきものだ。

中国全土に広がり,国全体の士気をくじいているように見える。この奇妙で宿命的な無気力さはいったい何だろうか?いっもこうだったわけではない。中国が活動的で.繁栄し,進歩したすばらしい国だった時代もあった。

唐朝の中国はすばらしい国だったに違いない。中国のいたるところに見られる過去何世紀にもわたる遺跡、たとえば精巧な彫刻を施したすばらしい石で造られた大建築,無数の獅子とアーチのついたみごとな橋,立派な水道.巨大な城壁などはすべて,過去の壮麗な雰囲気だけではなく.その進歩ぶりをも物語っている。

現在の不潔な古い首都に対して当初立てられた壮大な計画,すなわち建物の正確な方位.幅の広い立派な通り,公園.湖.庭園,宮殿,寺院.ぞしてとりわけすばらしい比類なき水道などを見れば,創建者たちの当初の目的がどういうものだったか知ることができる。

もしマルコ・ポーロの時代に鉄道が世に知られていたとしたら.中国は現在のように鉄道を嫌疑と疑惑の対象としてみなす代わりに,喜んで取り入れただろう。暗い影が支配者と人民両方の心の上に覆いかぶきってしまっているようだ。彼らは改革に対し異常なくらい嫌悪の情を示している。

 北京のある門の道路は,雨が降ると泥の海と化し.空気が乾くとロンドンの霧のような土煙をまい上がらせている。この道路の敷石は,荷車として知られている不格好な箱の往来のため.ところどころすり減っており.約30センチの深さのでこぼこがあちこちにできている。数週間前,ある裕福な官吏が自費でこの道路を修理する許可を求めたが,それは皇帝の仕事であり,そのような申出をするとは不届き千万な振舞いであるという返事を受け取った。

この小事件は現在の中国の政策全体を反映しており,非常に小さな事件でありながら大きな教訓を含んでいる。

中国の内政は最悪の状態にある。中国に今必要なものは要塞や銃ではなく,政治上.行政上の改革だ。もしフランスがそのような改革をなしとげるため何かをするならば,実際にフランスは中国の恩人と呼ばれるに値するだろう。しかし,そのような博愛主義の計画が少しでも考慮されているとはとうてい思えない。

 - 人物研究, 戦争報道, 現代史研究, IT・マスコミ論

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

『オンライン講座/日本興亡史の研究③』★『明治大発展の影のキーマンは誰か?②』★『インテリジェンスの父・川上操六参謀総長ー田村 怡与造ー児玉源太郎の3人の殉職 ②』★『「インテリジェンスの父・川上操六参謀総長(50) の急死とその影響➁ー田村 怡与造が後継するが、日露戦開戦4ヵ月前にこれまた過労死する。』

  2016/02/22    …

『Z世代のための国会開設、議会主義の理論を紹介した日本最初の民主主義者・中江兆民講座①』★『兆民、大久保利通に知られる』★『 自由民権運動の演壇に股引と印ばんてんの服装で登場』★『伊藤、大隈、山県らの元老たちを罵倒す』

逗子なぎさ橋通信、24/06/30/am700]梅雨の合間の夏空に富士山はお隠れ …

no image
日本経営巨人伝⑯藤原銀次郎の教え『「王子製紙」を再建して「製紙王」となった藤原銀次郎の成功するための15ヵ条』

日本経営巨人伝⑯藤原銀次郎の教え     「聞きしにまさるボ …

no image
<まとめ・再録>日本史上最大の英雄・西郷隆盛を研究せずして『日本現代史』『最高の日本人』を知ることはできない。

  <まとめ>日本史上最大の英雄・西郷隆盛を研究せずして 『日本の現代 …

no image
日本リーダーパワー史(398)ビデオ座談会<参議院選大勝後の安倍自民党政治の行方はー消費税、超高齢化、麻生発言

  日本リーダーパワー史(398)   ビデオ政治 …

no image
日本のメルトダウン(536)STAP細胞問題の小保方晴子氏会見をみて、感じた 「死に至る日本病」の正体とは・・・

   日本のメルトダウン(536)   STAP細 …

no image
日本リーダーパワー史(437)正体を現した残忍無比の独裁処刑国家・北朝鮮金正恩体制は脱出者も激増させる

  日本リーダーパワー史(437) 正体を現した残忍無比の独 …

no image
日本メルトダウン脱出法(891)『トランプ氏、支持率逆転 対クリントン氏で米世論調査』●『安倍政権を支える右翼組織「日本会議」の行動原理【DOL】』●『「日本大好き」な保守系の国民は本当に増えているのか?』●『日本の中国嫌いが徒に?潜水艦売り込み失敗の真相【DOL】』●『中国のネット検閲、実態は…2015年「微博」から削除された書き込みトップ5』

日本メルトダウン脱出法(891)   トランプ氏、支持率逆転 対クリン …

no image
日本リーダーパワー史(485)幕末・明治(約60年)は「西郷隆盛・従道兄弟政権 時代」が、日本大躍進をもたらした。

  日本リーダーパワー史(485)   明治人物ビックリ仰天の新しい視点― 徳川 …

『Z世代のために<日本史上最大の英雄・西郷隆盛の<敬天愛人>思想を玄洋社総帥・頭山満が語る(「言志録より」>)⑯』★『坂本龍馬は、その印象を「西郷は馬鹿である。大馬鹿である。小さくたたけば小さく鳴り、大きくたたけば大きく鳴る』★『日本史上、最大の行政改革の「廃藩置県」(明治4年)決定では「決断の一字あるのみ、反対は拙者が引き受ける」とこの一言で決まった。』

    2010/08/12 日本リーダーパワー史 …