『オンライン講座・ウクライナ戦争の経過』★『ジェノサイド・ロシアの末路(下)』★『歴史は人類の犯罪と愚行と不幸の記録以外の何物でもない』★『赤い旗(共産主義)の利点は殺人者が血に濡れた手を拭っても汚れないこと』★『「プーチン大統領への道」―その秘密に迫る』★『「チェチェン戦争」をデッチ上げた』
2022/07/26
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前坂俊之(ジャーナリスト)
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「歴史は人類の犯罪と愚行と不幸の記録以外の何物でもない」
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「これは英国の歴史家・エドワード・ギボン(一七三七~一七九四)の言葉です。プーチン大統領(ツアー)によるウクライナ戦争の残虐行為、ジェノサイトドを毎日毎日見続けているとつくづくそう思いますね。
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英BBC(4/4)によると、「ウクライナの首都キエフ周辺地域からロシア軍が撤退したことで、ロシア軍による無差別殺人の痕跡が次々と明みに出ている」という。ウクライナ民間人が手足を縛られ、後頭部を撃たれて処刑されていた遺体や、証拠隠滅のため焼かれたかのような遺体も複数見つかった。「410人の市民の遺体が運び出された」(ウクライナの検事総長), 「数百人の市民が殺害された。世界がこれまでに見たことのない悲惨な行為だ」(北東部スムイ州知事)などウクライナ側は「残忍な戦争犯罪の決定的な証拠だ」と強く非難した。
「ブチャ、ナリウポリの虐殺、化学兵器使用疑惑まででてきた」
「国連のアントニオ・グテーレス国連事務総長は、独自調査を呼びかけた。国連の人権当局によると、民間人1400人超が死亡、2000人以上が負傷したという。実際の数はこれよりはるかに多いとみられている。
ロシア政府は、ロシア軍がブチャで民間人を殺害した事実はないと、証拠も上げず全否定した。ウクライナのゼレンスキー大統領は5日、国連の安全保障理事会で演説し「第2次世界大戦以降、最も悲惨な戦争犯罪だ」と非難し。ウクライナとEUは戦争犯罪などを捜査するため合同捜査チームを立ち上げ、国際刑事裁判所に証拠を収集して提訴する方針だ。」
「米国はロシア制裁をさらに強めましたね。ロイター(4月5日)によると、同国金融機関のロシア政府口座からドルを支払うことを停止すると発表した。これまでロシアが米国の金融機関に持つ口座から「ドル建て債務の返済」を行うことを個別には認めてきたが、それを完全ストップし、ロシアをデフォルト(国家破産)に追い込む方針です。ますます追い込まれていくプーチン「共産主義国家」はどう出てくるのか毎日、目が離せません」
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赤い旗の利点は殺人者が血に濡れた手を拭っても汚れないこと
「結局ね。歴史的にみると共産主義国家の本質は今も全くかわらないということだと思う、「赤い旗の利点は殺人者が血に濡れた手を拭っても汚れないうことだ」とはユダヤの格言だといいますが、的を得ていると思う。
カール・マルクスが大英図書館にこもって独創的な共産主義理論の『資本論』を書いて出版したのは1867年で、明治維新の1年前のことです。その後、資本論は社会科学と称され、社会主義のバイブルとなったが、社会科学と称する以上、実証的、実験作業によって真実を証明する必要がある。薬品などの場合は、モルモットで実験したり、化学的な実験によって、その成果を証明しなければ薬品として認証されない」
「ところが、このマルクス革命理論もまず、小さな国で小規模に行われれば犠牲、被害は少なくてすんだのに、いきなり世界一大きな国ロシアと世界一人口の多い国中国で壮大なユートピアをめざしてレーニンによるロシア革命(1917年)、毛沢東による中国革命が実験されて、1949年に成功、建国した。
その間にギボンのいう『人類の犯罪と愚行と不幸の歴史事実』が言論の自由を封鎖した『監獄国家』『収容所列島』『ジェノサイド国家』の中で繰り返されてきたわけだ。ソ連邦(収容所列島)は1991年に69年で崩壊した。それから31年今、プーチンロシアは土壇場を迎えている。中国共産党は昨年7月に100周年を迎えた。演説した習近平国家主席は「14億人余りの人口大国を指導し、世界一の政権党になったと自画自賛して、この秋の五全会で前例を破って15年までの永久主席を目指しているが、世界を敵に回して暴走するプーチンに内心冷や冷やしているのではないかね!?」
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「人類の犯した大罪―殺戮の世界史」によれば・・
「確かに、社会主義国はベルリンの壁崩壊と同時に終わった体制だからね。100年前には資本主義、自由主義、帝国主義、植民地主義の全盛期にはこれらを超える新しいユートピアとしての社会主義が輝いて見えたが、プーチンは無惨な『殺戮国家』の実態を暴露した。
マッシュ・ホワイト著の大作「人類の犯した大罪―殺戮の世界史」(全731頁、早川書房、2013年刊)によると、両国の革命勃発、内戦、外戦の過程での失政、暴政、虐殺による犠牲者は『旧ソ連』『中国』の場合、三千五百万人から四千万人に上るという。その内訳は、中国の『大躍進運動』による犠牲者が二千二百万人、文革による犠牲者が六百万人。旧ソ連では、シベリアの収容所で死亡した者が七百万人、少数民族の強制移住による犠牲者が三百万人、農業集団化の強行による犠牲者がウクライナを中心に三百万人など人類の「大量虐殺」「ジェノサイド」の歴史であることを示している。」
「結局、マルクスという経済学者が発明した経済理論は、実験にほぼ一世紀を費やした結果、人命尊重、人権重視の現代政治体制では残虐、殺戮の失敗実験であり、最悪の政治体制であったことがすでに証明されわけだ。
ちなみに同書による共産主義国家による大粛清、処刑、強制収容所、飢餓、民族浄化、水漏れのするボートでの必死の逃走のための死亡者数の推定値は中国、ソ連についで➂北朝鮮:300万人④エチオピア200万人➄カンボジア170万人➅ベトナム:36万5000人(1975年以後)⑦ユーゴスラヴイア:17万5000人⑧東ドイツ:10万人⑨ルーマニア:10万人⑩北ベトナム5万人(内部で1954-75)などとしている」
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「プーチン大統領への道」―その秘密に迫る
「世界を恐怖のどん底にたたき込んだ張本人のとロシア・プーチン大統領の正体を知るうえで必見のビデオを4月7日におそまきながら見た。ドキュメンタリー映画「プーチンへの道-その権力の秘密に迫る」(50分、米WGBH、2015年制作)です。NHKテレビで4月7日深夜の「世界のドキュメンタリー」で放送された。「わずか20年でKGB(国家保安委員会)のスパイからロシア大統領(皇帝)にどうやってのし上がっていったのかーその驚くべき秘密と疑惑を暴いている。
同ビデオによると、サンクトぺテルスブルグ市はヨーロッパとの貿易の玄関口だが、一方では「汚職・マフィア都市」とも言われている。プーチンは大学先輩の同市長の引きで、94年に41歳でKGB(諜報機関・秘密警察)での腕をかわれて副市長として入った。対外貿易の許認可権を一手に握ると、ダミー会社を多数つくりワイロによって自己資産を増やした。
汚職まみれの同市長を仮病をつかって国外に逃亡させ、資産隠しを助け、検察の追及を抑えて同市の実権を完全に握った。96年6月、その辣腕ぶりを買われてクレムリンのエリツイン政権入りを果たした。大統領府総務局次長、同副長官、98年7月には連邦保安庁(FSB,旧KGB)長官にスピード出世した」
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「チェチェン戦争」のデッチ上げ
「私もこのビデオは以前に見たので、その後を解説しますと、プーチンが大統領にのし上がるきっかけとなったのが『チェチェン事件」です。99年5月になって、エリツイン政権はチェチェン侵攻失敗や政治腐敗などを理由に弾劾手続きが開始された。8月、大統領の汚職を追及していた検事総長が解任され、プーチンが一躍、首相に抜擢された。
そのわずか2週間後の8月31日にモスクワの高層アパート爆破事件が発生、9月16日までに計5件の連続爆破事件が起きた。住民の死者約300人、負傷者400人に上った。それまで誰も知らなかったプーチン首相がいきなり、登場し「必ず犯人を捕まえる」と豪語して一躍、国民的な英雄となった、犯行はチェチェン独立派武装勢力のテロと断定し、第二次チェチェン戦争に突入した。
ところが、9月22日、モスクワの南東200キロにあるリャザン市のアパートの地下で爆弾が仕掛けられているのを住民が発見、警察が調べてみると、FSBの所有する強力な爆発物、雷管などが見つかった。ところが、FSBは証拠を握りつぶした。
プーチンが2000年の大統領選挙で勝つための人気アップを狙った自作自演の大規模無差別テロ事件ではないかとの疑惑が浮かんできた。同事件を追及した野党関係者、FSB元幹部、ジャーナリストたちは「事件に深入りするな」と脅かされ次々に数十人が暗殺、毒殺(リトビネンコ事件)され、逮捕、拘禁されたため、疑惑は一層濃厚となったのです」
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「プ―チニズム」で『第2次チェチェン戦争』の殺戮戦に
「1994年12月にロシア軍が全面侵攻した第一次チェチェン戦争(―1996年)、第二次チェチェン戦争(1999年~2009年4月)の終結までに、約20万人にのぼる住民の死者、行方不明者を出している。都市を完全封鎖して1軒1軒捜索して皆殺しにする「ジェノサイト」戦争を行った。このため人口100万人のチェチェン共和国は約5分の1の民間人が犠牲になったといわれています」
「それから13年後の今回のウクライナ侵攻も『チェチェン戦争』と同じ恫喝外交、武断外交で侵略したというわけですね。この蛮行の連続に対してに国連では4月7日、「ロシアの戦争犯罪をめぐる問題を審議する国連総会の緊急特別会合が開かれ、人権理事会(47カ国)におけるロシアのメンバー資格を停止する決議案が93カ国の賛成多数で採択された。ロシアは即日脱退を宣言した。
4月9日、ジョンソン英首相はウクライナの首都キエフを電撃訪問し、ゼレンスキー大統領と会談。1億ポンド(約162億円)相当の軍事装備に加え、装甲車120台と対艦ミサイルシステムを提供すると発表した。
米国防総省も7日、ウクライナへの武器供与を中心とした軍事支援の概要を公表。携行式地対空ミサイル「スティンガー」1400発以上、「ジャベリン」5000発以上を含む対戦車ミサイル1万2000発以上、自爆攻撃機能を持つ無人航空機「スイッチブレード」数百機などを提供し、ウクライナを全面支援した。一方、キエフ周辺から撤退すると宣言したロシア国防省は3日、東部ハルキウ州のウクライナ軍施設を攻撃するなどロシア軍は南部や東部への攻撃を続けている」
「CNN(4月12日)によると、ウクライナ南東部マリウポリの知事は「死者数が2万―2万2千人になる。移動式の遺体焼却施設を使ったり、倒壊家屋や路上から遺体を集めてロシアの支配地域に運び出し、有毒物質、化学兵器を使っている」と非難した。
一方、プーチン大統領は緒戦の作戦停滞を挽回するためか10日までに、ウクライナの全戦統括司令官に、南部軍管区司令官のアレクサンドル・ドゥボルニコフ大将(60)を任命した。同氏は、ロシアがシリア内戦に軍事介入した2015年―16年の作戦を指揮して人口密集地を空爆、多数の犠牲者を出した過激な軍人だ。今後チェチェン戦争の二の舞となる凄惨な都市封鎖しての無差別「ジェノサイト」になる可能性が高い」
「4月12日、プーチン大統領はベラルーシのルカシェンコ大統領との会談後の記者会見で、ブチャの民間人の遺体の画像や映像は「捏造(ねつぞう)されたもの」で、シリアのアサド政権が化学兵器を使用したとの西側諸国のデッチ上げと同じ手口だと非難した。
「プーチン大統領は第二次世界大戦の対ドイツ戦勝記念日に当たる5月9日に、「勝利宣言」を行いたい意向だ」ともいいわれているが、すでに早期停戦は不可能になっている。追い詰められていくネズミは今後どう出てくるのか、気になる。
プーチンの正体に迫ったビデオの最後で、プーチン自伝の著者・ナタリヤ・ゲボルキャンは「貧しい家に育ったプーチンの子供時代の一番の思い出は家の中のネズミがネコに追い詰められた最後の瞬間に猫にとびかかって逆襲した記憶です。
プーチンも追い詰められた場合には危険です。よく話し合おうとはいいません。いきなりとびっかかります」と警告しているのです。追い詰められていくプーチンは今後どう出てくるのか、この警告が気になる。
つづく
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