前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

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『オンライン講座/不都合な真実で混乱する世界』★『コロナ・ウクライナ戦争・プーチン・習近平・金正恩の大誤算』(5月15日までの情況)(下)」★『ロシア旗艦「モスクワ」を安価なドローンが撃沈』★『ウクライナ戦争と日露戦争の比較』★『サイバー戦争完敗のロシア軍、最後は「核使用」か?』

      2022/07/06

 

★ロシア旗艦「モスクワ」を安価なドローンが撃沈

◎「では、ウクライナ戦争に入りますか。ロシア黒海艦隊の旗艦・ミサイル巡洋艦「モスクワ」(約1万2500トン)がウクライナ国産対艦ミサイル「ネプチューン」によって撃沈させられた事件は「日露戦争でバルチック艦隊を全滅した日本海海戦以来の敗北」としてプーチン政権に大きな衝撃を与えたようだね。ネプチューンは射程距離約300キロで、ウクライナ南部オデッサ南方約60キロの海上にいたモスクワに向け2発が発射された。モスクワには、高性能対空ミサイルシステム「S300」が装備されていたが、そのロシアが誇る防空システムをかいくぐる能力が実戦で初めて証明された、と時事通信(4月19日)は伝えている」

(「ミサイルを誘導 囮になり 自らも攻撃」ドローンがロシア旗艦「モスクワ」撃沈に決定的役割か…」

https://www.fnn.jp/articles/-/348386

では「モスクワはウクライナ海軍所有のトルコ製ドローン「バイラクタルTB2」の攻撃を受け、それに気を奪われている間に「ネプチューン」2発が陸上から発射され、左舷側に命中した」といいいますし、「米誌フォーブス電子版」(4月14日)によると、「全幅12メートルで100馬力のエンジンをつけたラジコンの模型飛行機(小型のミサイル4発、爆薬23キロ搭載のドローン)が「モスクワ」のレーダーをかいくぐり、ミサイルの誘導を撹乱しながら、対艦ミサイル発射管(16門が外部に露出、一門の重量は約4800キロ)に命中、大きな爆発を誘発したのではないか」、とも伝えた。これが事実としてドローンが、大艦巨砲主義の遺物のような巡洋艦を屠ったとすれば、もはや20世紀の兵器は21世紀には通用しないと結論している」

  • 「モスクワ」の建造費は約7億5千万ドル(約950億円)なので、安価なドローンと「ネプチューン」(同2600万ドル)で撃沈できたとすれば、画期的な戦争技術であろう。対費用効果は約30倍である。

結局、旧弊な重厚長大な「アナログシステム」(国家)をいかに軽薄短小な「ITデジタルロボットシステム」(デジタル国家)に変換できるかどうか、その技術革新力が勝負の分かれ目となるという教訓です」

★ウクライナ戦争と日露戦争の比較

〇『それにしても、世界は日本は必敗するとみた日露戦争、日本海海戦で、なぜパーフェクトゲームを演じることができたのか』、明治のトップリーダーの問題解決力から学ばなければならないと思う。

「ロシアの膨張政策は一貫して変わっていないのです。ユーラシア大陸最大国で氷点下30度にもなる寒冷大国のロシアは不凍港を求めて、南下政策をとり、クリミヤ半島をめぐっては英仏トルコとクリミヤ戦争(1853~56年)を行い敗北した。明治元年(1868)の約10年前のことでっす。それ以後、ロシアは東進政策に転換して満州、中国、朝鮮半島、日本に向けて侵攻してきた。鎖国で眠っていた日本はウクライナ、東欧諸国と同じ運命に陥った。

明治のトップリーダーたちは「国家リスク管理」を最高度に発揮し苦心惨憺して、ロンドン市場で戦時外債をつのり、富国強兵政策を推進、防衛力強化に取り組んだのです。それがかろうじて勝利につながった。現代人はこのことを決して忘れてはならないと思いますね」

★マリウポリ製鉄所が天王山の戦い

  • 「ウクライナ南東部の要衝地・マリウポリ(ドネツク州)で5月6日、ロシア軍はウクライナ軍の最後の拠点のアゾフスタル製鉄所への突入作戦を再開、最強のアゾフ大隊(ウクライナ国家親衛隊特務旅団)との間で激しい攻防戦が繰り広げられている。

ロシア軍によってすでに同市内の建物の9割が破壊されているが、広大な同製鉄所の地下100mには36の核シェルターがあり、アゾフ大隊司令部とともに、開戦後2ケ月にわたり女子、こどもを含め約千人以上の住民が退避、生活していました。ロシア側の非人道的な無差別攻撃に対して、国連が再三にわたって、人道回廊の設置を呼びかけで、これまでに500人以上を避難させた。ゼレンスキー大統領は5月8日にやっと「女性や子ども300人以上を含めて市民全員を救出できた」とホッとして公表した」

(C)「一方、2月24日の開戦段階でプーチン大統領は「ウクライナは48時間で陥落させる」と豪語していたが、いざフタを開けると完全に失敗したのです。このため、「虚偽の情報」を提供したとしてカンカンに怒り情報機関「連邦保安局(FSB)」の職員約150人を一斉に追放した。シリア内戦で殺戮作戦を成功させた新司令官を任命し、「5月9日の戦勝記念日までにドネツク州やルハンスク州を完全掌握せよ」と厳命した。

マリウポリを押さえれば、親ロシア派が実効支配するウクライナ東部のドネツク州やルハンスク州とクリミアとが陸続きになるのを見込んでの挽回作戦ですね。その5月9日を間近に控えてロシア軍はシャニムイニ突撃しているわけで、両軍にとってこの製鉄所の戦いが天王山となったのです」

★米国は武器貸与法330億ドル支給

〇「では開戦から約3ヵ月になるが、戦局はどちらに有利に展開しているのかね!。5月2日、英国国防省は「ロシア軍は侵攻開始時、全地上戦闘能力の約65%に相当する120以上の大隊戦車群を投入し、そのうち4分の1以上が「戦闘不能」になった可能性が高い、と発表したね。特に精鋭部隊が最も大きな打撃を受けており部隊再建には数年を要するだろう」と、長期戦の見通しを公表した」

◎「そのロシア軍の戦車約千台以上を壊滅させたのが米国が提供した携帯型対戦車ミサイル「ジャベリン」です。バイデン大統領は新たに武器貸与法によりジャベリン5500基以上(ロシア軍の戦車1両に対して10基分などを含む武器援助、経済、人道支援の総額330億ドル(約4兆3千億円)の追加予算を提出し、米下院は5月2日に可決した。

武器貸与法は1941年(太平洋戦争はこの12月8日に真珠湾攻撃によって始まった)にルーズベルト大統領(当時)の下で成立し、第2次世界大戦でナチスドイツと戦った英国、旧ソ連、中国に適用し勝利に大きく貢献した。今回はウクライナ支援でに適用されたのです」

(C)「ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると、ロシアの2020年の軍事費は約617億ドル(約7兆970億円)と米中インドに次いで世界4位。ウクライナ(約59億ドル(約6780億円)とは10倍以上の差がある。しかし、米国の今回の支援額はウクライナの軍事費の7倍に達しており、ロシアの軍事費とはそん色なく、武器性能、破壊力などの面でははるかに凌駕する。6月にはこの兵器はウクライナ側に届くので、戦局はウクライナに傾くでしょうよ」

21世紀型のサイバー戦争「スターウオーズ」

◎「それに、今回の米国、EU、日本などが一体となった経済制裁でロシアの石油、天然ガスの輸出がストップさせ、兵器に必要な半導体、IT製品、ドローンなど輸入禁止にも踏み切っており戦争が長期化すればするほど、武器弾薬不足、資金不足でプーチンロシアは不利になるからね。

今回の戦争の特徴はミサイル、戦車、ドローンなどでの攻撃、破壊シーンがSNSやメディアで「見える化」され主役となっているが、実際は「見えない化」されている米軍事偵察衛星による位置特定情報、定点監視、物体人物識別鑑識などのビッグデータのAIシュミレーション分析や応用技術、5Gネットワーク、ギガスピードなどが一体となった21世紀サイバー戦争なのである。

これまで周辺小国の弱い者いじめを旧型戦車、大量破壊兵器をバックに20世紀型戦争で勝利してきたロシア軍は資金、軍事、AIデジタル技術では米国に全く歯が立たない」

サイバー戦争完敗のロシア軍、最後は「核使用」か?

●「伊東 乾氏の「サイバー空間で既に完敗のロシア軍、情弱性が白日の下に」
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/69967によると、「ロシアのウクライナ・サイバー戦争は4月時点ですでに「完敗」していた」と指摘している。その理由はー
① ウクライナIT軍は「サイバー義勇兵」を全世界から募り、約30万人ほどが参加登録した。 ホワイトハッカー集団「アノニマス」もロシアに「サイバー戦争を宣告」、ロシア大統領府などを攻撃しシステムをダウンさせ、ロシア軍人約10万人の個人情報もハッキングしてネットで公開した。
② 大規模なDDoS攻撃を仕掛けて、ロシア軍の開戦当初のサイバー攻撃を防御し、旗艦『モスクワ』の撃沈にも成功した。
③ 21世紀の情報技術はハードもソフトも、「GAFA」にみることく米国が独占しているーなどを上げている、などなどです。この予見通り、ロシア軍の敗北はその後も続いてる」

(C)「日経新聞(5月6日付)の「英ファイナンシャル・タイムズのコラム」「核使用を示唆するロシア」によると、「プーチン氏は4月20日に極超音速で飛ぶ弾頭を複数備えているとする新たな大陸間弾道ミサイル(サルマト)を試射したことを発表、同27日のロシア議会関係者との会合でも、(ロシアの存続にかかわる脅威に打ち勝つために)必要に迫られればそれを使う」再三、明言しています。この恫喝・脅迫発言はプーチン側がこの戦争で追い詰められていることの証拠です。

 プーチン氏は9日の「戦勝記念日」の演説では、侵攻の成果には一切ふれず、改めて自衛のため侵攻であるとその正当性を主張。欧米側は「歴史を歪曲している」と反論、早期停戦は望めない状態となっている」
◎「しかも、この戦勝記念日前日の8日に、プーチン氏の不倫スキャンダル爆弾がロシアメディアによって発射された。プーチン氏(69)の愛人とされる2004年アテネ五輪新体操女子金メダリストのアリーナ・カバエワさん(38)が、再び子供を妊娠したとロシアのメディアが伝えたのだ。私はこのニュースを見ながらナチス帝国敗戦直前の1945年4月30日ナチス・ヒットラー総統(56)が愛人のエヴァ・ブラウン(33)と地下壕にて自殺したのを思い出しましたよ。プーチン氏はガタフィー大佐の最期の瞬間のビデオを何十回も再生してみたと取り巻きが証言している。独裁者の末路が「トラウマ」になっているのです」

★プーチン氏の大誤算―北欧2国NATO加盟

◎「来日したフィンランドのマリン首相は5月11日、東京大で講演し「安全保障の環境はすっかり変わった。北大西洋条約機(NATO)に加盟する方針だ」と語った。翌12日、フィンランド大統領も加盟に賛成した。スウエーデンもNATO入りを示しており、プーチン大統領のウクライナ侵攻、核使用発言がとんだヤブ蛇となり、ねた国をおこす大誤算となった。フィンランドとロシアとの国境線は、約1,300キロにわたり、欧州でも一番長い。想定外の事態に仰天し、いらだったロシア側は12日「わが軍は必要不可欠な手段すべてを検討する」といつものように恫喝、領空侵犯で脅かしているよ」

○「世界から注目された9日の「対ナチス・ドイツ戦勝記念日」のプーチン演説は当初予測された「ウクライナ戦争や具体的な戦果には一切触れず、核戦争時に大統領らが搭乗する空中指揮機「イリューシン80」の顔見世飛行も一切中止。戦死者を追悼する」異例の演説に終始した。このプーチン大統領の態度変容について米欧メディアではいろいろな憶測が乱れ飛んでいるね」

★プーチン大統領は病気入院説!?

「ロシア側の戦局が不利なのと同時にウクライナ、NATO対ロシアの諜報・謀略合戦、SNSでのフェイクニュースが加わり真偽織り交ぜたサイバー戦争が一段と過熱しているのです。

5月初めから大衆紙のニューヨークポスト、英デーリー・メール紙、ザ・サン紙、ザ・ミラー紙の電子版などは一斉に「元ロシア対外情報庁(もとKGB)中尉が運営しているというSNSやその他のロシア情報源をもとに「プーチン大統領は医師から手術を宣告され5月9日の対独戦勝記念日後に手術を受ける可能性が高い」と報道した。そのプーチン氏のガンは、甲状腺がん、血液ガン、胃がんなど諸説が出ており、1年半前からガンに加えてパーキンソン病による筋肉委縮、身体障碍、幻覚や躁鬱(そううつ)病、 統合失調症の症状をも発病しているという。

手術の入院日程は2、3日間になるが、その間、KCB元ロシア連邦保安庁長官ニコライ・パトルシェフ氏に指揮権を譲るという。パトルシェフ氏は「連邦保安局長官(FSB)をプーチン氏の後継として1999年から2008年まで務めた人物だ」

  • 「プーチン氏の去就をめぐっては5月3日付の英紙ザ・サン(電子版)は「ロシア軍と保安機関の幹部が、プーチンへの不満を募らせている」とか、シロビキ(軍・治安機関出身者の派閥)が「プーチンの失脚を望んでいる」、「宮廷クーデター発生か!」などの各種、暗殺、陰謀、内乱説まで乱れ飛んでいる。

5月13日放送のMBSテレビ「よんチャンTV」によると、中村逸郎・筑波大名誉教授は「ロシア軍はあと2~3か月しかもたない。オリガルヒの謎の死が相次いだり、国内の統制が効かなくなっている。“プーチン離れ”が進む中、プーチン氏は36歳の若き大統領府局長を後継者に指名するのではないか」と語っている」

手術の入院日程は2、3日間になるが、その間、KCB元ロシア連邦保安庁長官ニコライ・パトルシェフ氏に指揮権を譲るという。パトルシェフ氏は「連邦保安局長官(FSB)をプーチン氏の後継として1999年から2008年まで務めた人物だ」

  • 「すでにロシアが内部崩壊している情報が次々に出てきていね。ロシアから国外移住する人を支援する団体「OKロシアンズ」の調べでは、ウクライナ侵攻後に約30万人以上が出国した。「ロシアのグーグル」と呼ばれるIT大手ヤンデックスのCEOが4月、退任してイスラエルに移住したのをはじめ、IT関係者や医療人材ら30万人が流出しというから末期的症状だ」

ホロドモールと「穀物略奪密輸」へ

〇「またロシア軍がウクライナの小麦を大量に略奪して中東などに密輸出している実態をCNN電子版(5月6日)がスクープした。

それによると、「ロシア軍侵攻前には600万トンの小麦と1500万トンのトウモロコシがウクライナから輸出できる状態で、その大半が南部で保管されていた。ところが、 ウクライナ国防省は5日、これまでに推定40万トンの穀物が盗まれ、国外へ持ち去られたと発表した」。1930年代のウクライナでは、農民が貯蔵していた食糧をスターリンが収奪し、数百万人が餓死した悲劇の歴史があり、ウクライナ人はこの「ホロドモール」(大飢饉(ききん)を旧ソ連によるホロコースト(大量虐殺)とみなして恨んでいる。

さらに、CNN電子版(5月13日)によると、これらウクライナから盗んだ約3万トンの小麦を積載したロシア商船「マトロス・ポジニッチ号」はウクライナ側の通報で地中海のエジプト港やレバノン港で入港を拒否され、最終的にロシアと親交国のシリア北西部のラタキア港に入港した。この小麦は中東、アフリカの各国に市価の2,3割安で取引するものとみらている。

いやはや、ホロドモールといい「略奪・密輸・凶悪犯罪国家」のトンデモぶりが明らかになっている」

◎「今後の戦況の見通しについては、ウクライナ国防省の諜報部門トップのブダノフ准将は5月14日放映の英スカイニュースのインタビューで、

①プーチン大統領に対する「クーデター計画」が進行している。

②ロシア軍が各地で敗北を重ねている。それが最終的にロシアの指導者交代につながる。

➂、プーチン氏が「がんやその他の病気」を患い、精神的・肉体的に「非常に悪い状態」にある。ウクライナ側が情報戦の一環としてプーチン氏の重病説を広めていることを否定した。

  • 戦況について「8月に重大局面を迎える。戦闘行為は年内に終結するだろう」と述べている。果たしてどうなることか。

 - 人物研究, 戦争報道, 現代史研究

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