『オンライン/2022年はどうなるのか講座②』★『異常気象とコロナ共生、経済再生の2022年(下)』★『TPPでの中国、米国の態度 』★『第2次岸田内閣スタート―前途多難が続く』★『内向き日本と将来を見据える米欧、中国』★『スピード、決断力、逆転突破力が勝負を分ける』
(以下は2021年11月15日までの情報分析で、3人による放談です)
★『異常気象とコロナ共生、経済再生の2022年(下)』★
前坂俊之(ジャーナリスト)
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TPPでの中国、米国の態度
(B)「中国のTPP加盟問題に関連して、中国は11月1日、デジタル分野の貿易の円滑化をめざす「デジタル経済連携協定(DEPA)」への加盟を申請しましたね。この協定にはTPP参加国のシンガポール、チリ、ニュージーランドがすでに加盟している。中国はTPP入りを目指して着々と手を打っている。TPPの貿易自由化のハードルは高いので中国の加盟はムリなどと甘く見てはいけない。AI(人工知能),IT、スマホ、(電子商取引)などではデジタル後進国の日本は中国、米国の10分の1以下の圧倒的に負けている。
中国のEC市場規模が11兆7600億元(約208兆1520億円、20・4%増)、米国が7879億ドル(約89兆4270億円、32・3%増)。令和2年の日本国内のEC市場規模(物販系)は12兆2333億円で、中国のなんと20分の1なのですよ」
(A)「日本は米国にTPPへの復帰を呼びかけているが、ロス米商務長官は11月13日、日米経済関係者の会合で講演し、「日本はTPPを主導して自由貿易を掲げているが、米国よりも保護主義的だ」と批判。TPPに復帰する可能性をあらためて否定、米国の貿易赤字の多くが自動車関連だと指摘し、「自動車貿易の競争条件を変えることが、赤字削減にとって重要だ」と強調した。同時に米国が日本から輸入する鉄鋼とアルミニウムの追加関税の撤廃問題の協議を再開している」
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第2次岸田内閣スタート―前途多難が続く
(B)ではここで一旦、戻って国内政治に入りましょうか。「第49回衆議院選挙(小選挙区、比例区合
計465議席)は10月31日に投票、即日開票となった。投票率は55.93%で、前回の平成29年より2ポイント余り上回ったものの、戦後3番目に低い投票率でした。選挙結果は自民党(選挙前276議席)は15議席を失ったものの過半数(233)を大きく超える261議席を確保した。衆議院の17常任委員会のすべての委員長と過半数の委員を握る「絶対安定多数」を確保した。
政権奪還を狙い理念なき野党共闘を主導した立憲民主党(同110)は14議席を失い96議席と100議席を割る敗北を喫した。一方、第三党へ大きく躍進したのは日本維新の会(同11)で約4倍の41議席を獲得した。他の与野党が軒並みバラマキ公約をかかげる中で「改革なくして成長なしを実行してきた点が有権者から評価された」と吉村洋文副代表(大阪府知事)は語る。
公明党(同29)はプラス3の 32議席、国民民主党(同8)は11議席、共産党(同12)は10議席、れいわ新選組(同1)は3議席、社民党(同1)は1議席、無所属(同11)は10議席などとなったのです」
(C)「この選挙結果で、甘利幹事長は神奈川13区で議席を失い、比例代表で復活当選したが、現職の自民党幹事長が小選挙区で敗れるのは初めて。甘利氏は幹事長を辞任し、後任には茂木敏充外相が就任するという異例の事態となり、後継の外相には岸田派に所属する林芳正元文部科学相(60歳)に決定した。一方、立憲民主党の枝野代表も2日に敗北の責任を取って辞任を表明しするという地殻変動が起きた。
自民党内では石原伸晃元幹事長、野田毅元自治相、原田義昭元環境相らが落選、立民は辻本清美副代表、平野博文元官房長官ら。落選したが比例で復活したのは自民は平井卓也デジタル相、若宮健嗣万博相、立民では小沢一郎、旧民主党代表、中村喜四郎元建設相らら。今回の当選者の77%が憲法改正に「賛成」と答えており、日本維新の会の松井一郎代表は2日、「来年の参院(選挙)までに憲法改正案を固め、参院選と同時に国民投票を実施すべき」と表明。岸田首相は「総裁任期中にめどはつけたい」と意欲を示した。」
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●「内向き日本と将来を見据える米欧、中国」
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「一方、岸田首相は11月1日夕の記者会見で 「スピード感を持って」「丁寧に説明する」を連発しんながら政策を読み上げた。数十兆円規模を成長・分配に振り向ける経済対策を策定し、子育て世代の生活困窮者への給付金を支給する。②「看護、介護、保育の現場で働いている方々の収入を増やすため、公的価格のあり方を見直す、という「成長の果実を分配する」新しい資本主義をスローガンに掲げたのですが、なんとも迫力に欠けましたね」
(C)「11月19日に政府が閣議決定する成長、分配の新しい経済対策は各紙の報道によると、財政支出が40兆円を超える見通しとなっている。バラマキとの批判が強い18歳以下への10万円相当給付金は総額約2兆円。新型コロナウイルス禍の影響を受けた中小企業に最大250万円の給付金は3兆円、大学ファンドには財政投融資で約5兆円を追加拠出など財政規律は緩んでいる。これでは出口、成長戦略をスピードアップしている米欧諸国との差は広がるばかりですね」
(B)「米欧はポストコロナに向けた長期的な成長戦略、グリーン戦略に全力を挙げている。米バイデン政権は11月初旬、約110兆円のインフラ法案を可決させ、電気自動車(EV)などへの投資を加速。財源などには環境関連の新税や法人税、高額所得者への課税引き上げも検討している。EUも約7500億規模の復興基金で、化石燃料の利用に課税する国際炭素税の導入にも力を入れている、
ところが、日本では内向きの家計への給付金など分配の議論ばかりが目立つ。生産性を高めて成長力を押し上げて、企業収益、賃金を上げて分配に回すという好循環にこれまで失敗してきた。その結果、低成長のまま財政悪化が進むだけに終わったのが、この10年間のアベノミクスの落第点ですね。そのツケで、
過去20年間で日本の一般政府債務は約1・8倍の1400兆円までに膨張した。巨額の財政出動を続けたが、潜在成長は1%未満に低迷し政府債務ばかり膨らんだ。高付加価値の高い成長分野へ産業転換できず、雇用を守るという名目で低賃金のゾンビ企業を生き延びさせてきたのです」
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●「スピード、決断力、逆転突破力が勝負を分ける」
(A)「この30年間の日本の成績表は「国際競争力ランキング(IMD)に結果が出ている。日本の国際競争力は過去30年間、世界トップから下がり続ており、2021年では30位と「貧しい国」「後進国」に転落中で、止まらない。IMF2020年のGDPランキングでは、日本は国ベースでは米国、中国に次いで世界3位だが、中国は日本の2,5倍のGDP差です。一人当たりのGDP(購買力平価換算)ランキングでは1位がルクセンブルグ、2位シンガポール(98,511ドル)、韓国は28位(44,750ドル)、日本は33位(42,211ドル)と転落した。野口 悠紀雄・一橋大名誉教授によると、「アベノミクスによる円安誘導政策で賃金の購買力を低下させ、生産性の向上、技術革新、デジタル化が進まず、成長率の低迷で実質賃金は30年前に逆戻りした」と分析している。
岸田政権に求められるものは安倍、菅政権の8年間の総括ですね。新しい資本主義なる池田勇人首相の所得倍増論(人口増大、生産性向上、高度成長アナログ時代)のコピーではその真逆の「超高齢・人口減少・少子・生産性低迷」のAIデジタル時代が乗り越えられるわけがない、岸田政権に欠けているのは時代の流れに合わせる勇気とAI・Z世代と組んだ逆転突破力(デジタル改革力)しかないと思う。」
(C)「感染が収束状態となり、経済界からの強い要望を受けて政府は11月8日から、1年以上ストップしていた外国人のビジネス関係者や留学生、技能実習生らに対する入国制限を大幅に緩和した。ワクチン接種済みの日本人帰国者らの待機期間は従来の10日間から3日間に短縮した。在留資格を持ちながら入国できない人は約37万人に上る。そのうち留学生は15万人、技能実習生は約11万人に達している。政府は当初は1日3500人の受け入れ態勢で、入国者数も徐々に緩和する方針だ。しかし、入国者の各官庁への複雑な書類類提出量が多く、手続きも複雑だとして受け入れ企業、大学、農業関係、外国人からの批判が相次いでいる、という。各国は「デジタルワクチン証明書」とか、ネットで入国書類が済むところが多い。日本はいまだに紙ベースですよ。これでは外国人労働者、IT人材の世界的な受け入れ大競争で日本は負け組のままだ」
(B)「COP26の議論みても、世界は2030、40年に向けて脱炭素社会、石炭火力発電廃止、グリーンエネルギーへ、ガソリン車からEV(電気自動車)へ大きくカジを切っているのに日本はまだ様子見段階で、決断できない、思考停止状態です。未来を暗示しているのは新興の米電気自動車(EV)最大手の「テスラ」と「トヨタ」とを比較してみると未来がわかる。テスラの時価総額は世界一の118兆円、日本一のトヨタは34兆円で3.4倍とすでに3倍先を走っている。トヨタの販売1台あたり利益は25万円。テスラは73万円で.。売上好調なハイブリット車にこだわるトヨタに対して欧米は一足先にEVシフトを引いて走り出した。20年後のこの生産性と高収益を見れば20年後の勝ち組はいうまでもなかろう」
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