「オンライン講座・日本興亡史」の研究」⑯』★『憲政の神様/日本議会政治の父・尾崎咢堂が<安倍自民党世襲政治と全国会議員>を叱るー『売り家と唐模様で書く三代目』②『総理大臣8割、各大臣は4割が世襲、自民党は3,4代目議員だらけの日本封建政治が国をつぶす』②
日本リーダーパワー史(919)記事再録
『売り家と唐模様で書く三代目』②
前坂俊之(ジャーナリスト)
浮誇驕慢(ふこきようまん)で大国難を招いた昭和前期の三代目
<今回の3/11福島原発事故と同じ。クリーンエネルギーという原発神話、技術大国日本では原発事故はありえないという技術過信と驕り。事故、地震、津波を想定外とする油断、怠慢こそ浮誇驕慢(ふこきようまん)そのもの>
② 第三代目(昭和戦前)の社会、国民感情はどうなったのか―尾崎が語る
全国民は、右の如き精神状態を以て、1930年(昭和5)、満州事変勃発前年のころより、第三代目の時期に入ったのだから、世の中、国民性は、いよいよ浮誇驕慢(ふこきようまん=浮かれるて、慢心しておごり高ぶること)におもむき、あるいは暗殺団体の結成となり、あるいは共産主義者の激増となった。
また、軍隊の暴動(5・15事件。2・26事件)やテロが激増し軽挙盲動の事件が次々に起こり、いずれの方面においてか、国家の運命にも関すべき大爆発、まかりまちがえば、川柳のいうごとく『売家と唐様でかく3代目』と書かねばならぬ運命にも到着すべき大事件を巻き起こさなければ、止みそうもない形勢となった。
私は憂慮に耐えず、何とかしてこの大爆発を未然に防止したいと思って、八方苦心したが、文化の進歩や交通機関の発達によって世界が縮小し、列国の利害関係が複雑に絡んだ世界では、国家の大事は、列国とともに協定しなければ、安定を得ることは不可能と思った。
よって列国の現状を視察すると同時に、その有力者とも会見し、世界人類の平和と安定を保証する政策を協議したいと考えて、第4回目の欧米漫遊の旅に出た。
ところが米国滞在中、満州事件突発の電報に接して、愕然自失(がくぜんじしっ)した。
この時、私は『これは明白なる国際連盟条約違反の行為にして、加盟者五十余ヵ国の反対を招く事態になる。日本1ヵ国の力を以て、五十余ヵ国を敵に回すほど危険な事はない』と危惧した。
果たせるかな、その後、開かれた国際連盟の会議において、我国に賛成したものは、一国もなく、ただタイ国が、賛否いずれにも参加せず、棄権しただけであった。
このころまでは、我国の国際的信用は、すこぶる高く、われに対して、悪い感情を抱く国は中国以外には絶無といってもよいほどの状況であって、名義さえ立てば、わが国を援(たすけ)けたく思っていた国は、多かったように思えたが、何分、国際連盟規約や不戦条約の明文上、日本に賛成するわけにいかなかったらしい。
連盟には加入していない所の米国すら、不戦条約その他の関係で、わが満州事件に反対し、英国に協議したが、英政府はリットン委員(会)設置などの方法によって、平穏にこの事件を解決しょぅと考えていたため、米国に賛成しなかった。
また米国は、国際連盟の主要国たる英国すら、条約擁護のために起たないのに、不加入国たる米国だけが、これを主張する必要もないと考えなおしたらしい。
終戦70年・日本敗戦史(135) なぜ国際連盟を脱退し「世界の孤児」と化したのかー「満蒙の特殊権益」を死守するためで、 新聞は一致して脱退を支持した。(2) http://www.maesaka-toshiyuki.com/war/9288.html
終戦70年・日本敗戦史(135の続)「国を焦土と化すとも」と国際連盟を脱退する外交大失敗を冒した荒木陸相、森恪、松岡洋右のコンビと新聞の不見識
http://www.maesaka-toshiyuki.com/longlife/9519.html
日本敗戦史(136)新渡戸稲造が事務局次長を務めたことのある名誉ある国際連盟理事国を棒に振ってまで死守した「ニセ満州国の実態」とはー東京裁判での溥儀の証言
http://www.maesaka-toshiyuki.com/war/9412.html
私は王政維新(明治維新)後の二代目、三代目における世態民情の推移を見て、一方には、国運の隆昌を慶賀すると同時に、他方においては、浮誇驕慢(ふこきようまん)に流れ、ついに大国難を招致するに至らんことを恐れた。
故に1927年(昭和3)、すなわち維新後三代目の初期において、思想的、政治的、および経済的にわたる三大国難決議案を提出し、衆議院は、満場一致の勢いを以て、これを可決した。
満州事変に関して上奏文を宮相に密送す
上述の如く、かねてより国難の到来せんことを憂慮していた私なれば、満州事件の突発とその経過を見ては、一瞬も安堵するあたわず、煩悶懊悩の末、ついに、天皇陛下に上奏することに決し、一文を草し官相(内大臣)に密送して、天皇の書見に供たせられんことを懇請した。
満州事件を視て、大国難の種子が蒔かれたと思ったためである。ムッソリーニや、ヒトラーの如きも、武力行使を決意する前には、列国を怖れて、躊躇していたようだが、わが満州事件に対する列国の動静を視て安心し、ついに武力行使の決意を起こせるものと思ったのであろう。
ところが、支那事件(日中戦争)が起こり、英米と開戦するに至りても、国民はなお国家の前途を憂慮せず、局部局部の勝利に酔舞して、結末の付け方をば考えずに、今日に至った。
そのために生活の困難は、日に日に増加するばかりで、前途の見透しは誰にも付かない。
どこで、どうして、英米、支那を降参させる見込みかと問わるれば、何人もこれに確答することは出来ないのみならず、かえって徴音ながら、ところどころに,やっと『国難来る』の声を聞くようになった。
全国民の大多数は、国難の種子は、満州に蒔かれ、その後、幾多の軽挙盲動によりて、発育、生長して、ついに今日に至ったことを、全く感じていないようだ。
衆議院が満場一致で可決した三大国難決要の如きも、今日は記憶する人すらないように見える。
明治維新後三代目に当たる現代人(昭和戦前人)は
『売家と唐様で書く』ことの代わりに『国難とドイツ語で書いて』いるようだ……」
現在、不敬問題となっているのは、この意味の一端中、議会政治に関するものを略述して、一般公衆、特に選挙人の反省を促せるものに過ぎない。この事実がどうして不敬罪に該当するかほ、何人もこれを理解しかねるだらう。以上
昭和十九年四月十四日
大審院第3刑事部
裁判長 三宅正太郎殿
被告 尾崎行雄
おわり
関連記事
-
日本メルダウン脱出法(651)「米国は中国に民主化してほしくない?」「再生エネ=最大の電力源、80%の目標に向かうドイツの戦略」など8本
日本メルダウン脱出法(651) 「中国のAIIB …
-
『オンライン講座/真珠湾攻撃から80年➅』★『 国難突破法の研究➅』★『真珠湾攻撃から70年―『山本五十六のリーダーシップ』ー★『最もよく知る最後の海軍大将・井上成美が語るその人間像』★『山本五十六追悼』(2010年 新人物文庫)』★『きわめて日本的な人情大将で、勝つための戦略ではなく元帥のためならたとえ火の中、水の中、死んでもいいという特攻、玉砕、戦陣訓の「死のヒロイズム」である』
2011/09/27<日本リーダーパワー史(195)記事再録 以下は前坂俊之監修 …
-
『Z世代のためのオープン講座』★『ウクライナ戦争と「アルマゲドン(最終戦争)」の冬の陣へ(下)』★『バイデン米大統領「キューバ危機以来。アルマゲドンの可能性」とコメント』★『米国の中間選挙の冬の陣へ』★『日本の冬の陣―安倍国葬と旧統一教会』★『●「旧統一教会」は「カルトビジネス(悪徳商法)」「コングロマリッド」(総資産約8千億円)』(11月15日までの情報です)
キューバ危機以来。アルマゲドンの可能性」 「こうした報道を受けてバ …
-
日本リーダーパワー史 (21) 中国建国60周年のルーツ・中国革命の生みの親・宮崎滔天にこそ学べ①
日本リーダーパワー史 (21) 中国建国60周年のルーツ・中国革命の生みの親・宮 …
-
終戦70年・日本敗戦史(145)太平洋戦争敗戦前(昭和19年)の日本終戦外交ー『繆斌(みょうひん)工作』の謎
終戦70年・日本敗戦史(145) <世田谷市民大学2015> 戦後 …
-
★国際見本市「スマートエネルギーWeek 2014」(2/26-28)開幕➁「WEST HOLDINGS」「「SHARP」「XSOL」など
★国際見本市「スマートエネルギーWeek 2014」(2/26-28)開幕➁ & …
-
速報「日本のメルトダウン」(486)◎「中国に説教することは厳禁―エズラ・F・ヴォーゲル」●「日中問題は全国民にとっての「世紀の宿題」
速報「日本のメルトダウン」(486) <そして、またまた …
-
日本リーダーパワー史(178)『海軍を大改革した八代六郎の決断と突破力』『誰もやり手がないなら、俺が引き受る』
日本リーダーパワー史(178) 『海軍を大改革した八 …
-
太平洋戦争末期の日本終戦外交ー『繆斌(みょうひん)工作』の謎
太平洋戦争末期の日本終戦外交 『繆斌(みょうひん)工作』の謎 …
-
『リーダーシップの日本近現代史』(83)記事再録/ ★『ブレブレ」『右往左往』「他力本願」の日本の無能なリーダーが日本沈没を 加速させているー 日本の決定的瞬間『西南戦争』で見せた大久保利通内務卿(実質、首相) の『不言実行力』「不動心」を学ぶ③
2016/11/02/日本リーダーパワー史(694)再録 『ブレブレ」『右往左往 …
- PREV
- 「オンライン決定的瞬間講座・日本興亡史」⑮』「シュリンコノミクス(縮小経済学)の恐るべき未来」①★『人類がはじめて経験する世界最先端の「超高齢少子人口減少社会」(約3人に1人が65歳以上、少子化率世界一)へあと10年』★『「AI(人工知能)ロボットによって、50%の仕事がなくなる(オックスフォード大学』★『「2030年までに日本中の業務の27%が自動化、約1660万人の雇用が奪われる』
- NEXT
- 『世界仰天ニュース・日本歴史編」★『日露戦争の勝利に驚愕したヨーロッパ各国』★『ナポレオンも負けた強国ロシアに勝った日本とはいったい何者か、パリで最高にモテたのは日本人』★『あの強い日本人か、記念にワイフにキスしください」と店内の金髪女性から次々にキスの総攻撃にあい、最後には胴上げされて、「ビーブ・ル・ジャポン」(日本バンザイ)の大合唱となった、これ本当の話だよ』