『オンライン講座/バイデン氏当選、トランプ大統領往生際の悪さの研究(上)(2020年11月15日までの経過)』★『新型コロナ第3波襲来、バイデン新大統領の勝利確定、トランプ落選決定』★『アメリカ社会の底知れぬ分裂、対立の深淵が浮き彫りになっている』』
2020年11月15j日書く
前坂 俊之(ジャーナリスト)
2020年11月から欧米をはじめ世界中に新型コロナウイルスパンデミックの第3波が襲来し、米大統領選挙を直撃した。バイデン候補が大差で当選確実となったが、トランプは「敗北宣言をせず、徹底抗戦で裁判で戦う」姿勢を見せ、米分断社会の深淵を浮き彫りにした。そんな中で、で米大手製薬会社・ファイザーがコロナワクチンの治験、成功を発表、暗雲立ち込めた世界に一条の光が差し込んで差し込んできた。(これは11月15日までの情報の分析です)
「それではまず世界各国・地域の新型コロナ感染者数(死者数)から入りましょうか。11月14日現在の数字は米ジョンズi・ホプキンズ大学のまとめによると以下の通りとなっています。
世界全体での感染者 約5337万(死者数は約130万)
米国 1740万(24万4干)
インド 877万(12万9千)
ブラジル 581万(16万4千)
ロシア 187万(3万2千)
スペイン 149万(4万1千)
英国 132万(5万1千)
アルゼンチン 130万(3万5千)
コロンビア 118万(3万3千)
イタリア111万(4万4千)
メキシコ 100万(9万8千)
-相変わらず、米国が突出していますね。米国感染者は世界全体の20%、死者は18%とダントツです、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)のフアウチ所長の警告を無視したトランプ大統領の大失敗、選挙でも落選するこれが最大の原因となったのです」
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欧米各国では感染拡大,第3波へ
「欧米各国では、感染拡大に歯止めがかからず、米国では、1日当りの感染者が最多の18万人を超え10万人超えの日が10日間も続いている。10月初旬には平均4万人台だったが、11月14日現在では平均約13万人に急上昇した。ヨーロッパ各国でも、感染が拡大、イタリアでは13日、1日の感染者が4万人を超えて最多を記録、英国でも死者が欧州で初めて5万人を超えた。死者数が5万人を超えたのは、アメリカ、ブラジル、インド、メキシコに次いで5番目のひどさだ。
「フランスではマクロン大統領が10月23日に「新型コロナ対策は来年半ばまで続く」と警告、30日からは全土を対象にロックダウン(都市封鎖)した。ドイツでメルケル首相は11月2日から1カ月にわたり、全国の飲食店や劇場を閉鎖すると発表。スペイン、イタリアなどでもロックダウンに入った。一方、敗北が決定的になったトランプ大統領は公務、職務を自覚せずゴルフ三昧でコロナ対策を放置している。次期大統領の就任式の1月20日まで事実上の公務ストの空白が続けば、さらに深刻な事態になりかねないね。世界の覇権国米国の民主主義制度に咲いたあだ花ですね。米国社会の混乱、分断は非常に深いと思います」
「日本も「第3波」に見舞われている。14日までの全国の感染者は1715人と3日連続で過去最多を更新。大阪、神奈川、千葉、茨城、静岡の5府県は1日感染者が過去最多となった。家庭内感染の割合が高くなっており、高齢者層に重症リスクが波及している。政府はGOTOトラベルキャンペーンは中止しない方針だが、年末、正月にかけて1年中でも最も三密の人出が増えるため、このままでは感染者が激増するリスクが懸念される」
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ファイザーが開発中のワクチンに成功
「そんなコロナショックを吹き飛ばす明るいニュースが飛び出した。新型コロナワクチンを開発中の米製薬大手ファイザーと独社は11月9日、治験の予備解析の結果、開発中のワクチンが90%以上の人の感染を防ぐことができることを確認したと発表した。ファイザーの会長は、「世界中の人が待ち望んだ新薬を提供し、この世界的な健康危機を終わらせる大きな一歩だ」と述べた。世界の株価は暴騰した。
この治験は米、独、ブラジル、トルコなど、6カ国4万3500人を対象に臨床試験が行われてきたが、対象者の9割で効果が確認された。両社は今月末にも、このワクチンの認可取得し、規制当局の緊急審査に申請する方針で、年末までに5000万回分、2021年末までには13億回分を供給できるといわれる。日本政府は7月、このワクチンが承認を得た場合、2021年上半期に1億2000万回分が納入される見込みです」
「ただし、このワクチンは普通の冷蔵庫では5日間でだめになってしまうので、マイナス70~90度の超低温での冷蔵庫や保管施設が必要です。米国で最も高度な体制の病院でも持っているところは少ない。どうしても資源の乏しい地方や貧しい国ではワクチンを入手できる時期や場所に影響を与える。
世界の人口78億人全員にワクチン1回分を届けるには、米ボーイングの747大型貨物機で8000機分もの輸送力が必要です。それにマイナス70度の冷蔵庫、施設面を増設し、セキュリティの確保、国境を越境、どのルートで飛ぶかなど難問が山積で十分な準備が必要です。ところが、米中対立で「免疫ワクチン」の分捕合戦が深刻になっており、感染が広がっている途上国までに行き届かない問題が浮上している」
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米大統領選の経過について
「では、米大統領選挙に入りましょう。アメリカは世論調査会社の世界一多い国で、特に大統領選では世論調査と候補者のTV選挙広告、キャンぺーに、SNSの情報拡散との三つ巴の戦いになった。これに新型コロナの感染増の問題が加わわって四つ巴の最悪のタイミングでの選挙となった。そのため、10月末までに郵便投票を含め期日前投票を済ませた人は9100万人を突破、投票率では100年ぶりの史上最高水準に達し、33州ではすでに前回2016年の選挙時を大幅に上回った。
この郵便投票についてトランプ氏は「民主党に有利で、不正投票の温床になる」と一貫して反対しており、当選発表で裁判沙汰も辞さない姿勢なので、投票所をめぐる両陣営の対立、暴動、抗争が心配された。事前(10月末)激戦州の支持率調査では、バイデンが僅差でリード、全米でも10%ポイントリードしていた。前回(2016)には態度を決めていない有権者は13%だったが、今回は2%しかないので、「隠れトランプ票」による最終盤での逆転当選の可能性は低いとみられていた」
(「ところが、イザふたを開けると、まれにみる接戦となり、全米メディアによる当選確実の報道がなかなか出なかった。7日未明(現地時間)になって初めてCNN、ニューヨークタイム、FOXニュースなどが相次いで民主党のバイデン氏(77)がペンシルベニア州(選挙人20人)とネバダ州(6人)を制したと速報した。これで当選に必要な選挙人(過半数270人以上)を上回る279人を確保したため、バイデン氏の当選はほぼ確実となった。バイデン候補が一般投票で獲得した票は7200万票にのぼり、オバマ前大統領(2008年の6950万票)抜いて過去の大統領選挙史上で最も多い得票数となったのです」
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赤い州(共和党)、青い州(民主党)ではなく1つの米国
「そのため、バイデン候補は地元デラウェア州で勝利宣言し約15分の演説を行った。「記録的な7400万人が投票した。選挙戦は終わった。私は分断ではなく、結束を目指す大統領になり、赤い州(共和党)か青い州(民主党)かではなく、ひとつの米合衆国として全力を尽くす。私たちは敵ではなく、みな米国人なのです。
まずは新型コロナ対策に取り組み経済を回復させる。米国は『可能性』の国なので、夢の実現に向かってすべての人に機会が与えられる国にする」と述べた。ニューヨークやワシントンのホワイトハウス前には大勢の市民が集まり、バイデン候補の当選を祝って「トランプ、お前はクビだ。出ていけ」とお祭り騒ぎになった。
一方、トランプ大統領は郵便投票に不正があるなどと主張、「私は勝利をあきらめない。バイデン氏はあやまった勝利宣言をすべきでない。法廷闘争で徹底抗戦する」と反論しており、最終的な当選確定が出るまでまだ混乱が長引きそうですね」
「これまでの経過を振り返えると、11月4日現在では、激戦州の中西部ウィスコンシンとミシガンでバイデン候補が優勢となりバイデン氏の獲得選挙人は253人、トランプ大統領は214票と、バイデン当選かという情勢となった。残すはペンシルベニア(選挙人20人)、ジョージア(同16人)、ノースカロライナ(同15人)、ネバダ(同6人)、アラスカ(同3人)の5州だが、郵便投票などの開票に手間どり、メディアも当確発表に慎重姿勢をとり過半数目前で膠着状態に陥った。
6日のCNNでは、東部ペンシルベニア州、ジョージア州でトランプ氏が逆転、終盤に票を伸ばし票差は僅差となった。しかし、東部ペンシルベニア州(選挙人20人)は郵便投票は投開票日3日後の到着まで有効となっており、開票確定は10日以上かかるとも遅れが見込まれた。4日にはすでにバイデン候補は「トランプ大統領が脱退したパリ会議に再び加入する」とも発表した」。
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不正投票集計を中止せよ(トランプ氏)
「一方、劣勢に立ったトランプ大統領は4日、バイデン優勢に焦ったのか、相変わらず証拠を一切示さず「昨夜多くの重要州でリードしていたが、一つ一つ魔法のように消え始めた。とても奇妙だ。郵便投票などの不正な詐偽投票があり集計を中止すべきだ」とツイート、ミシガン、ペンシルベニア、南部ジョージアなど6州ででも票の集計の差し止めなどの訴訟を起こした。すでに同様のツイーターを7本も連発しており、ツイッター社から警告を受けていた。
5日には投票後初の記者会見が開かれたが、トランプ氏が再び証拠のない虚偽情報を拡散するのではないかと判断した米主要テレビ局はライブ中継を打ち切り、メディア対トランプ大統領の戦いは延々と続いたのです。ま郵便投票の集計をめぐる両陣営の対立が激化で、アリゾナ、ペンシルベニアなどの各地の集開所では衝突が起きた。ニューヨークでは両派の支持者のデモ行進で衝突、暴力沙汰に発展した事件で30人が逮捕されている」
結局、「トランプの引き延ばし作戦で、今後の開票結果と裁判の展開については、新大統領の決定まで1,2ヵ月間の長期化するのではとの見方も出ていましたね。
それによると、今後の節目は12月8日で、この日が各州の選挙結果確定の期限。これまでに結果が確定すれば12月14日が選挙人投票となり、過半数の270人を獲得した候補が勝利となる。21年1月6日には上下両両院合同会議で投票結果を確認、1月20日に次期大統領は就任する予定で、これは当選確定がスムースに進んだ場行った場合のスケジュールです」
「逆に、今回のようにもつれて裁判で12月8日までに当選確定しない場合には、1月6日の上下議会改選後の新議会招集で、大統領は下院で50州の代表が1票づつ投票し、過半数の26票の候補を選出する。これも決まらず下院で過半数に達しない場合には副大統領が大統領代行となる。上院も過半数に達しなければ、下院議長が大統領代行となる、という大変複雑で、ややこしい、前代未聞の事態になるのです。米大統領選挙は一方が敗北宣言した場合に新大統領が決まるという慣例ですからね。トランプ大統領が「敗北宣言をしない、徹底抗戦して戦う」とごね得の姿勢を崩していないので、場合によっては1月6日の上下議会改選後の新議会で勝負になる可能性もある、とメディアで騒がれた」
つづく
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