日本リーダーパワー史 ⑨若き日の昭和天皇の海外旅行とホームステイ―体験は・・
前坂 俊之

ヨーロッパは第一次大戦による戦災の混乱からまだ立ち直っていなかったが、各国の王室や国民から温かい歓迎を受けた。それまで、まったく“カゴの鳥〃だった皇太子は、この外遊で広く世界への目を開き、立憲君主制の精神を身をもって経験した。

公爵はスコットランド名物のスカート姿で出迎え、バグパイプなどを演奏して大歓迎した。最後の日、盛大な送別晩餐会が催されたが、ダンスがはじまると近所の農民たちが普段着のまま集まり、一〇〇人をこえる踊りの輪が広がり、そこは身分の分けへだてもなく公爵夫人も農夫とステップをかわした。
皇太子は、公爵の質素な生活ぶり、領民との平等で自由な人間関係に驚きと感銘を受けた。「アソール公爵のやり方をまねたら、日本でも過激思想などおこらないと思う」と新聞記者に語り、生涯得がたい経験となった。
張作霖爆殺事件(一九二八年=昭和三)、二・二六事件(一九三六年)などで示した昭和天皇の見識や、一九四五年八月十五日の「聖断」も、もしこの訪欧体験がなければなかったかもしれない。
幸いその当時フランス新聞記者に多数の友人があったので、その最高級ルタンの経済部長に相談したら、期待以上の各書類を見せてくれたので大助かり、わずかの時日で大報告書を完了、皇太殿下に奉った。このパリ滞在中の殿下にはかずかずの珍談奇談があった。
ちょっと気の利いたパリ美人なら、異国の大人にラブレターを書くなど朝飯前のことであった。また当時の日本は東の君主国と云われ欧州各国から敬意を表さされていたから、そのプリンスとあって本気で惚れ美人も少なからいたことと思う。しかしこれらのラブレターの山は随行の忠臣によってすべて闇から闇へ葬られたのである。
外国の君子ならば、喜んで楽屋見物したであろうが、東洋の君主国は哲学が違うのだからしかたない、日本でいえば柳橋か赤坂に行幸なさるようなものだから「君子危ふきに近寄らず」というわけであろう。
昔から欧米では、踊子は二号の適任者と決っている。五六歳の幼少から毎日毎晩踊りづめで、腰の筋肉が非常に発達強化されているから通人はかく珍重するのである。現に皇太子が楽屋入りされておったら、その夜握手された踊り子中に各国の王侯や富豪の二号が何人かはいったはずである。
生れてはじめてみる半裸体の美人のこの踊りがただ珍らしく面白く、全プログラムが終了する夜の二時過ぎまで、随員が何と云ってもお立上りにならなかった。
日本へ帰ったらまた雲の上に乗せられて、こんな絶景には二度と接することができぬことをよく御承知の殿下が、トコトンまで頑強に粘られたことは想像に難くない。関連記事
-
-
日本リーダーパワー史(52)名将・川上操六―日清戦争前夜の戦略⑧
<クイズ『坂の上の雲』> 名将・川上操六―日清戦争前夜の戦略について⑧ …
-
-
日本メルトダウン(1004)―『オバマが報復表明、米大統領選でトランプを有利にした露サイバー攻撃』●『元CIA副長官、プーチンの攻撃にオバマは報復しろ 9.11を思い出せ』●『「ロシアのサイバー攻撃、プーチン氏が直接指示」NBCニュースが報じる』●『食い逃げされそう「日ロ首脳会談」北方領土返還チラつかせ経済協力ガッポリ』★『日露戦争=6ヵ月間のロシアの異常な脅迫、挑発に、世界も驚く模範的な礼儀と忍耐で我慢し続けてきた 日本がついに起った。英米両国は日本を支持する」』●『 「アベノミクスは失敗だった」と声高に言いづらい空気の原因』
日本メルトダウン(1004) オバマが報復表明、米大統領選でトランプを有利 …
-
-
『リーダーシップの日本近現代史』(193)記事再録/<クイズ>-今から160年前の1860年(万延元年)2月、日米通商条約を米ホワイトハウスで批准するため咸臨丸とともに米軍艦の蒸気船『ボーハタン号』で太平洋を渡たり、全米の女性から最もモテたイケメン・ファースト・サムライはだれでしょうか?!
全米女性からラブレターが殺到したファースト・サムライ …
-
-
★『明治裏面史』 -『日清、日露戦争に勝利した明治人のリーダーパワー,リスク管理 ,インテリジェンス㊽★『青木宣純大佐は袁世凱の協力によって、諜報の協同化と『特別任務班』(馬賊遊撃隊)を編成した』★『日露戦争にもし日本が負ければ、大清帝国も滅亡する(袁世凱)』
★『明治裏面史』 – 『日清、日露戦争に勝利した明治人の リーダーパ …
-
-
『オンラインクイズ講座・日本一の21世紀型の公益資本主義を実践した経営者は誰でしょうか?』★『正解は岡山の倉敷紡績(現クラレ)を創業して社会貢献に尽くした大原孫三郎です』★『単に金もうけだけしか考えない人間が多すぎる、そんな拝金亡者どもが地球の有限な資源を食い尽し、地球環境は瀕死の状況だ。社会貢献の偉大な父・大原孫三郎を見習いたいね』
★『 2019年 9月23日、Z世代の代表・ス …
-
-
日本リーダーパワー史(42)外国新聞がみた日本のリーダー・若き日の伊藤博文は外国人を好み、やさしく扱う人
外国新聞がみた日本のリーダー・若き日の伊藤博文 前坂 俊之 &nb …
-
-
日中朝鮮,ロシア150年戦争史(50)ー副島種臣外務卿(外相)の証言②『明治の外交の争点はいつも朝鮮問題』 日清、日露戦争の原因は朝鮮をめぐる清国、 ロシア対日本の紛争である。北朝鮮問題のルーツ・・
日中朝鮮,ロシア150年戦争史(50) 副島種臣外務卿(外相)の証言―② 『明 …
-
-
世界文化遺産級の岡山の後楽園・鳥城・旭川の歴史面的景観は素晴らしい②』★『この世界的な名園に外国人観光客の人気は高まるばかり』
世界文化遺産をめざせ・岡山の後楽園・鳥城・旭川の歴史面的景観を⑪ 日本の川は山紫 …
-
-
『百歳長寿経営学入門』(209)―『生涯現役の達人・渋沢栄一(91歳)の晩年・長寿力に学ぶ/『老人になれば、若い者以上に物事を考え、楽隠居をして休養するなどということは、絶対にしてはいけません。逆に、死ぬまで活動をやめないという覚悟が必要なのです』
2011/05/04記事再録 生涯現役の達人・渋沢栄一(91歳)の晩年・長寿力に …
-
-
日本リーダーパワー史(525)直面する5大国難は複雑性を増している。国民全体の熟慮と決断、断行 が求められている➁
日本リーダーパワー史(525) 現在直面する5大国難は …