日本リーダーパワー史 ⑯ 日本のケネディー王朝・鳩山家のルーツ・鳩山和夫の研究③
対外勢力の微弱な当時解決困難で徒らに遷延するのみであったが、翻訳局長の父は長崎出張を命ぜられ滞在四カ月、犯人処罰、損害賠償に依て解決し長崎居留地問題も三十万円で買収して円満に収め得たのである。
かかる不法はないと調査の後明治二十一年神戸に赴き、当時の森岡県令と会い、数十名の人夫を桟橋に出すことを依頼する一方、英国の代理公使ドレンチ氏
に対し交渉を開始したが一向時があかぬ。「こういう不当な桟橋は、もしそちらで撤去しなければ当方で撤去する、その人夫賃はそちらで支払うべきである」と談判したが相手は馬耳東風、翌日人夫を連れて実際に取こわしにかかると初めて狼狽して、不名誉なことだから自分で取除くといって二日で事件は片づいた。
例えばイタリー人が「日本の法律に遵うから自由に日本内地に入りたい」と条件づきの条約が出来ると、英国人は最恵国約款に基いて内地に無条件に入る権利を主張したのであったがこんな馬鹿げたことはないと主張し、米国からはじめて順次に各国交渉を行いメキシコとの条約締結交渉に於いて此の解釈問題の試験をするとの父の進言が大隈外相に容れられ、その時の解釈が動かし得ないものとなって、後の条約改正にまで発展したのであった。
ここが物理学、化学等の自然科学と法律との世界的価値において相達している点である。勿論法律学においても世界的価値のある研究をなすことは不可能ではない。
しかし自然科学は材料が世界的に共通であるから世界的な学者になることは出来るけれども、法律は一国、一社会に限られ日本における材料によって研究するものだから世界的の学者になれないし、世界的価値を認められるべき発見の研究をなすには非常に難易の差がある。
結局日本の法律論であり研究である。日本の法律学者になるくらいなら法律上の知識を実地に応用し世の為に働いた方がいいではないか」
恐らくは学者であるところのものを社会に捧げると同時に、一方父の理想を実現せんとした心事の一端を示すものであろう。
「人間はその性質として苦しいことよりも楽なことを喜ぶものだ。従ってその人間性は多く遊戯の間において養われるものであるからその選択と方法は最も注意を払わねばならぬ」という意見を持っていたのであって、私共に色々な遊び道具を与え自ら進んで遊んで呉れた。
おはじき、ナインピンス、囲碁、将棋、撞球、器械体操、相撲、クロケィ、テニス、凧揚げ、ピアノ、オルガン、唱歌等の外に庭には花壇がつくられた。
そして玉突きの相手をしようと下へ連れだして玉突きをしたり、相撲をとった。して喜んでいた。学校で特待生になったとか、一番になったとかいうことを聞いても、それはよかったということは断じていわなかった。答案の採点のよいように書くだけならば、先生の言ったことを覚えていればそれでよい。それで世の中に立って何になるかという詰込主義に反対した父の考えは私達にも徹底的に払みこんでいた。
私が代議士になって衆議院の図書室でセンターという人の「英仏及び欧州のデモクラシー」という本を読んだ時、スポーツにはファイティング・スピリットが必要であるが勝利のため手段を選ばぬのはいけない、必ずフェア・プレーでなければならぬ。
政治上でも最初に英国労働党内閣が成立した際、蔵相スノーデンが財政演説をしたが、その時アスキスがこれを貴め、前蔵相の保守党のホーンも讃え議会において未だ曾て見ない名演説だと称したのは、当時労働党は議員総数六百余の中百六十余名かで過半数に充たぬ、それを直ぐ潰さずに演説を賞めるというのは確に相手に対する寛容が現れているものと感じた。
関連記事
-
-
『鎌倉ウインドサーフィンチャンネル」★『春の嵐の海で富士山サンセットに向かって飛び、波根(はね)、舞うサーファーたち』(2023年3月1日午後5時)
鎌倉ウインドーフィン(2023年3月1日午後5時)
-
-
日本リーダーパワー史(548)<日本のスーパーマン>川上操六伝(陸軍参謀総長、インテリジェンスの父)②
日本リーダーパワー史(548) <日本のスーパーマン> 明治の奇跡「坂の上 …
-
-
日本リーダーパワー欠落史(744) 欧米が心配する『安倍ロシア朝貢外交の行方は!?、再びバラマキ外交で失敗するのか』『歴史復習応用編』-日清戦争後のロシアの三国干渉と遼東半島の武力、占領支配が日露戦争の原因なのである。★『 安倍政権に激震 日ロ首脳会談は北方領土“ゼロ回答”確実に』●『日露経済協力の目玉、サハリン・パイプライン プーチン大統領の訪日に何が期待できるのか』●『日露に総額1.5兆円強の共同計画』
日本リーダーパワー必読史(744) 対ロシア外交は完敗の歴史、その歴史復習問題 …
-
-
『リーダーシップの日本近現代史』(324)★『日露300年戦争史』(7回連載)-『鎖国・平和一国主義の徳川時代の日露関係 /日露交渉の発端から侵略へ』★『こうしてロシアは千島列島と樺太を侵攻した』★『露寇(ろこう)事件とは何か』★『露寇事件」はロシアの大植民地主義者のレザノフの対米、対日植民地化戦略の一環として生まれた』
日露300年戦争(1)-『徳川時代の日露関係 /日露交渉の発端の真 …
-
-
『オンライン講座/『世界を魅了した最初の日本女性はプリマドンナ・三浦環です』★『バイデン米大統領就任式でのガガの国歌の熱唱を見ながら、1918年11月、第一次世界大戦休戦条約の祝賀凱旋式がニューヨークのマディソン広場で開かれ、ウィルソン大統領の演説直後に三浦環が歌い、大喝采を浴びたことを思い出したのです』
日本リーダーパワー史(192) 『三浦環は15年間の米国滞在中、ウィルソン、ハー …
-
-
現代史の復習問題/記事再録★『山本五十六海軍次官のリーダーシップー日独伊三国同盟とどう戦ったか』★『ヒトラーはバカにした日本人をうまく利用するためだけの三国同盟だったが、陸軍は見事にだまされ、国内は軍国主義を背景にしたナチドイツブーム、ヒトラー賛美の空気が満ち溢れていた。』
2012/07/29 記事再録・日本リーダーパワー史(2 …
-
-
『オンライン講座・日本インド交流史の研究』★『大アジア主義者/頭山満」★『リーダーシップの日本近現代史』(307)★『インド独立運動革命家の中村屋・ボースを<わしが牢獄に入っても匿うといった>頭山満』★『★『世界の巨人頭山満翁について(ラス・ビバリ・ボースの話)』★『タゴールとの会見』
日本風狂人伝⑭ 頭山満・大アジア主義者の「浪人王」 https://www.ma …
-
-
「トランプ関税と戦う方法論⑪」★『赤沢亮正 経済再生担当大臣は金子堅太郎のインテリジェンスに学べ』★『ルーズベルト大統領はバルチック艦隊の接近を憂慮』★『日本海海戦勝利に狂喜した大統領は「万才!」と 漢字でかいた祝賀文を金子に送った』
以下は金子堅太郎が語る(「日露戦役秘録」1929年 博文館)より ルーズベルト大 …
-
-
『第二次世界大戦・国際連合・戦後80年」を考える』★『澤田猛氏の「最後の証言者たちー戦場体験者・戦争体験者からのメッセージ」(高文研 25年8月刊)は戦争ドキュメンタリーの傑作!』★『澤田本は各国の歴史認識ギャップ、コミュニケーションギャップ」を埋めるインパクトのある平和教材、戦争教育歴史遺産になっている』
逗子なぎさ橋珈琲テラス通信(2025/10/25 /am700) 前坂 俊之(ジ …
