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日中リーダーパワー史(932)-『軍事論、軍事研究のない国は亡びる」★『現在の米中貿易戦争、北朝鮮との紛争は130年前の日清戦争への経過と同じパターン』★『平和とは次期戦略情報戦の開始である(福島安正)』

   

日中リーダーパワー史(932)-

 

米中貿易戦争が激化し、米朝会談で協定した「非核化への道」ははなかなか進まず、3ヵ国ともメンツの張り合いに終始している。再び「米中朝の衝突」に舞い戻るリスクは低い。

150前の日本はこれと、同じ経験をしている。

今回の北朝鮮をめぐる米朝対決は日本が明治維新後に、朝鮮をめぐって中国との協議を延々とやり、その日中協議がこじれに、こじれた結果、1894年(明治27)「日清戦争」となったのである。

どのようなプロセスで日清戦争となったのかは日本人も良く知らないし、米国人もヨーロッパ人も知るはずがない。日本のインテリゲンチャ、戦後の進歩的知識人と称された人々の中でも「日清戦争は侵略戦争であった」などという中国、朝鮮一流のフェイクニュース(プロパガンダ)をいまだに信じて、のんきに発言している人もいる。

私も長年、日清戦争、日露戦争のプロセス、外交、軍事の駆け引きを世界史的な視点から見てきたが、その一端を公表したい。

『日清戦争』でアジアの超大国『清国』が明治維新で開国したばかりの弱小国日本になぜ負けたのか。

逆に問えば、なぜ日本は勝ったのか、その最大の要因は何かと日本人に問えば、多くの人々は日本軍の精強、東郷平八郎の海軍力を挙げるに違いない。

武士道の国,サムライの国日本は国民は一致団結して戦うので、戦争には強いのだーと答えるであろう。

日本リーダーパワー史(39)『日本敗戦の日、斬殺された森近衛師団長の遺言なぜ日本は敗れたのかー日本降伏の原因
http://www.maesaka-toshiyuki.com/history/3534.html

 

しかし、島貫重節(終戦時、大本営陸軍参謀(中佐)はこう答えている。

「当時の清国には国軍の組織制度はなく、いずれも李鴻章その他の軍閥の私兵軍の烏合の衆に過ぎなかつたことによる。たとえば海軍の北洋艦隊も李鴻章の私物海軍でその建設費、人事などは李鴻章が勝手にやり、かつ自費でやらなければならないものだった。

ちょうど日清戦争直前には北洋艦隊の戦備強化に備えて政府に予算の援助を求めたが、当時、西太后が還暦記念祝賀のため世界1の願和園(北京西郊外の万寿山がこれである)

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A0%A4%E5%92%8C%E5%9C%92

建設のため銀三千万両の巨費を聾するので、むしろ予算はこれ召し上げられてしまい、砲弾の備蓄さえ十分でなかったというのが真相である。

その他、旅順守備の陸兵もわずか一日の日本軍攻撃で負けたのは、戦うよりも戦力温存のため、彼らはすでに大事な人も兵器も、いちはやく持ち去っていたのが真相であって、およそ国家の軍隊とは似て非なるものであり、正規軍の作戦の形態すら呈していなかったものだ。」

また日露戦争で強大な陸海軍を持っていたロシアが日本に敗北を喫した最大の原因は.国家の最高統帥と政治を統括指導する首相の制度が存在しなかったことによる」(「 歴史と人物」 昭和58年7月号 特集 日清日露戦役秘話の島貫著『長期戦略のなかの諜報活動』)

この中国の『国軍』でなく旧来の軍閥、軍の腐敗は130年の現在も全く変わっていない。

習近平は汚職まみれの共産党トップ、軍、官僚をトップの逮捕、追放に一貫して取り組み、永久的な国家主席の権力を握ったが、「ニューズウイーク日本版」(2018/8/14/21)によると「退役軍人デモが中国で拡大 銃口が習政権を狙う」との記事が掲載されている。

『退役軍人は中国全土に5700万人以上いる。習政権になってから国有企業の改革が進まず、経済が悪化の一途をたどり、地方政府の予算も潤沢ではなくなり、地方財政は破綻し、退役軍人に支払うべき年金も削減されている。

人民解放軍は広大な大陸を舞台にした20年代から40年代にかけての国共内戦から発展した。国民党との長い内戦から次第に4つの野戦軍が形成。毛沢東を最高指導者と認めながらも、それぞれ独自の派閥と地域に立脚した組織が維持されていた。旧来の人事・指揮系統は不動のまま。それぞれの軍区内で退役軍人の面倒を見る伝統もそれなりに機能していた。しかし、総司令官となった習は16年2月から従来の7大軍区を廃止し、5大戦区に整理統合。人事と指揮は党中央に吸い上げられ、平時において軍内部の福祉政策は麻痺してしまった。

共産党は「党が軍を指揮する」と主張するが、それは建前だ。実際は軍を掌握できた者だけが党を動かし、国家の最高指導者として人民に君臨する。

江沢民時代から次第に軍に対する党の権威が衰え、胡錦涛から習に至って威光は一層低下した。人民解放軍は27年に中国南部で結成された中国工農紅軍を祖としている。一方、習の父・仲勲は中国中部の陳西省を拠点とするゲリラ部隊の出で、しかも文官だったので毛並みはよくない。習は反腐敗運動を利用して高級将校を多数摘発してきたので、軍に不満がたまっている。」

 

世界/日本リーダーパワー史(931)-(重要記事再録)日中韓パーセプションギャップの歴史(1)『日中韓150年戦争史の原因を読み解く(連載70回中1ー20回まで)★『申報、英タイムズ、ルー・タン、ノース・チャイナ・ヘラルドなどの外国新聞の報道から読み解く』●『朝鮮半島をめぐる150年間続く紛争のルーツがここにある』

http://www.maesaka-toshiyuki.com/person/31034.html

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