日本リーダーパワー史(822)『明治裏面史』 ★ 『「日清、日露戦争に勝利」した明治人のリーダーパワー、 リスク管理 、 インテリジェン㊲『日本史決定的瞬間の児玉源太郎の決断力⑨』★『『児玉の危機突破力の3番目は開戦論に反対の伊藤博文元老の説得である。』●『『児玉の4番目の戦略は、開戦時から戦争の終結、講和の引き際を考える』
日本リーダーパワー史(822)『明治裏面史』
★ 『「日清、日露戦争に勝利」した明治人のリーダーパワー、
リスク管理 、 インテリジェン㊲
日本史決定的瞬間の児玉源太郎、山本権兵衛の決断力⑨』★『軍事参議院を新設、先輩、老将軍を一掃し、戦時体制を築く』★『日露開戦4ヵ月前に連合艦隊司令長官に、当時の常備艦隊司令長官の日高壮之丞ではなく、クビ寸前の舞鶴司令長官の東郷平八郎を抜擢した大英断!』
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『児玉の危機突破力の3番目は開戦論に反対の伊藤博文元老の説得である。』
児玉参謀次長は山本権兵海相との合意により、陸海軍一体の体制が出来たことを伊藤候のもとに参上して、陸海軍の総意であると報告し、直ちに開戦準備に着手すべきことを懇請した。
『対ロ問題により、わが国が禾曽有の危機に直面している現在、今後私は山県元帥に報告する情報の一切を、必ず伊藤侯にも報告し、伊藤・山県の両侯が完全に一体となって元老会議を指導され、ここに日本としてロシアに対する政戦両略を完全に一致させてもらうように全力を尽して補佐するのが私の役目であると思う』と申し上げた。
なぜ、こうした意見具申をしたかというと、当時、伊藤・山県両侯の関係は対立状態にあった。特に、1年前の日英同盟条約締結の際は、「親ロシア派」とみられていた伊藤侯には情報が入らず、頭越しに条約が締結され、伊藤はカンカンに怒った。
完全にメンツをつぶされた。陸軍が山県、桂、外務当局の線で極秘裏に交渉を進めて伊藤に知らせなかったためであった。伊藤はこの恨みを忘れず、桂内閣に政友会は反対の態度をとり、陸軍の早期開戦論に強く反対していた。
児玉次長は伊藤候に完全に頭を下げて、政戦略の両面から大局に立っての指導を懇請し日露戦争の指導作戦に際して陸軍、児玉は決してそのようなことをいたしませんと誓ったのである。
伊藤も、これまでのいきさつを捨てて完全に児玉案に同意してここに児玉次長の磐石の態勢作りが完成した。
伊藤が日本の歴代宰相のなかで、最高の戦略家であったことは、日露戦争で示されている。
児玉らとともに日露開戦の時期、ロシアとの国交断絶の日を明治37年2月5日まで、通告期限を長引かせるように、
元老会議等で主張したのは伊藤であった。
購入した『日進』『春日』の最新鋭艦が英国海軍に護衛されて、ロシア軍艦の攻撃を避けながら、地中海からインド洋を航行して英国領のシンガポールに入港した。
この2隻がシンガポールを出発して、日本海軍の勢力範域に入ったことが判った2月5日まで国交断絶の通告期限を長引かせるように、元老会議などで尽力したのが伊藤侯であった。
この頃の伊藤は児玉将軍との約束を守り、陸海軍ともに情報の一切を逐一報告しており、伊藤は見事に政戦両略を実施したのである。
さらに、日露開戦を決定した元老会議から帰宅した夜、伊藤は電話で腹心の金子堅太郎農商務相を呼び出し「君はすぐ米国にわたってハーバード大学時代の同窓生のルーズベルト大統領に日露戦争では日本に味方してくれるように工作してきて
もらいたい」と命じた。
米国に単身渡った金子は「最強の外交力、交渉力、ディベイト力」を発揮して、縦横無尽に活躍するのである。
日本リーダーパワー史 ⑳ 日露戦争開戦ー明治天皇と伊藤博文の外交インテリジェンスと決断力
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日本リーダーパワー史(100)金子堅太郎・日露戦争で全米を味方にした驚異の外交力<世界史上最も成功した外交術>
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『児玉の4番目の戦略は、開戦時から戦争の終結、講和の引き際を考える』
すべてのプロジェクトは開始する時点で、どのように終結させるか考えておかねばならない。戦争は開始するは易く、引き際は難しい。戦略家の児玉は、軍事大国ロシアと一戦交える以上、先手必勝、早期講和の短期決戦を描いていた。
そのために、児玉は参謀次長となり、ついで満州に出征して満州軍総参謀長となっていた時にも、台湾総督を兼務していた。留守中の台湾総督の仕事は後藤新平・総督府民政長官に任せていた。
児玉参謀次長は開戦後間もなく満州に出征した後、後藤新平に後事を托してていた。
「後藤君よ、私どもは対ロ戦で敵に打ち勝つ仕事で精一杯ぱいいとなる。しかし敵に勝った後の事を考えておかなければ戦勝を完全に果すことができないものだ。
従って君は戦勝後の日本のことについて、じっくりと考えてその意見を教えてくれ給え。国を挙げての日露大戦争の間に、戦争にかかわりなく、昼寝でもしながら悠然と大局を観察し、将来を企画する男が日本にも一人ぐらいは必要というものじゃわい」(島貫重節著「戦略日露戦争(上)」原書房、1980,219P)
日露戦争後、この後藤は初代の溝鉄総裁に任命されたが、獲得した満州における権益をいかに活用し、大陸に進出した世界の中の日本の将来をいかに進めていくかを考えて計画を立てた。
日本リーダーパワー史 ⑩日露戦争での大山厳、山本権兵衛の軍配問答にみるリーダーシップ
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この児玉のいかに日露戦争を勝ってるうちの終わらせるかの周到な準備には杉山茂丸が大きく関与していた。杉山は伊藤、山県を人形遣いのように操った「明治の黒幕」として有名な人物だが、「児玉源太郎、桂太郎、杉山茂丸の3人組」で日露戦争開戦にむけての秘密結社を作って、「モグラ」と称して地下で暗躍していた。
児玉は「戦場に出るとそれ以外はわからない。日本のこと、世界のこと、日露戦争に関する情報は何でもわしに連絡してほしい」と杉山に「情報役」を託していた。
日露戦争では、中島久万吉(のち斎藤実内閣での商工大臣)は桂太首相秘書官をしていたが、ある日、児玉がきて、「桂は忙しくて、桂と打ち合わせをしておったのでは事務が遅れて困るから、君と直接、電報で打ち合わせよう」と言った。桂、中島の間に暗号電報を作り、その写しを三人が持つことにした。
児玉は桂太郎、杉山茂丸と3人で日露戦争の「秘密結社」を結んで、情報の秘密交換をやっていたのである。
児玉は満州に出発した後、その暗号電報を使って、軍を止める何か具体的な情報はないか問い合わせてきた。
「戦争終結の機会をつかんだら、軍の方は自分が全責任をもってまとめるから、すぐにも講和に入ってくれ」と言っていた。 戦争終結の機会を取り逃がさないように万全の手をうっていたのである。杉山がこの情報の端緒をつかんで、 児玉にいち早く連絡し、日露停戦へとつながった。
『坂の上の雲』の陸軍名参謀>百年に一人の大戦略家、日露戦争勝利の名参謀・
児玉源太郎のインテリジェンス
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『「明治大発展の国家参謀・杉山茂丸の国難突破力に学ぶ」
影の参謀役―児玉源太郎(参謀次長)、桂太郎(首相)らと 「日露戦争開戦」をめざして秘密結社を作る
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前回は 日本リーダーパワー史(822)『明治裏面史』★ 『「日清、日露戦争に勝利」した明治人のリーダーパワー、リスク管理 、 インテリジェン㊲
日本史決定的瞬間の児玉源太郎、山本権兵衛の決断力⑨』
★『軍事参議院を新設、先輩、老将軍を一掃し、戦時体制を築く』★『日露開戦4ヵ月前に連合艦隊司令長官に、当時の常備艦隊司令長官の日高壮之丞ではなく、クビ寸前の舞鶴司令長官の東郷平八郎を抜擢した大英断!』
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