日本リーダーパワー史(609)『110年前の伊藤博文の観光立国論』(美しい日本風景・文化遺産こそ宝)の 驚くべき先駆的な経済文化ビジネスセンスに学べー外国人を拒否せずおもてなしをすれば富国になれる
2015/11/23
その美しい風景を見るのを楽しみ、清潔なる場所を好んで、外国人は日本を世界に比類なき名所として見物に出掛けてくるのである。
故に少し工夫を加えさえすれば、人をして喜んで金を遣わせることは決して難しいことではない。厳島の一島のみではわずかなものであるが、日本全体にわたって、今申すような仕掛けにすると、なかなか大きなことになる。
私は一昨年、欧羅巴(ヨーロッパ)に参って、帰りがけに加奈陀(カナダ)から飛脚船に乗ったが、これに乗り込んでくる旅客を調べてみると、日本の風景を見物に来る客が少なくない。
中には外国の目から見たらば随分不敬なことをしないとも限らぬ。けれども決してそれをとがめる者はない。風習が違うから、分かろう道理がないといって恕(ゆる)しているのである。
今、各国が互いに争っているのは金儲けであって、自分の国に金を落とさせる仕掛け方法を争ってやっている
金を儲ければ、結果として軍艦も出来れば、大砲も出来、砲台も出来れば、水雷もまた出来る。これに反して、金がなければ今日は何も出来ぬ。
学校を起こして教育を施すこともできない。このような仕掛け、方法で日本に金の落ちる高は外国との貿易の算盤には乗ってこない。
外国貿易の計算は海関税の調べで分かる。如何なる物がいくら入ってその代金がいくらで、それに対する税金がいくらで、また外国に出た物がいくらで、その価がいくら、その税金がいくら、というように、勘定がそのまま分かるが、旅行に来た者がわが国に落としていく金の勘定は、海関税では分からない。
外国人が旅行をして日本に来ると、たいがい金を為替で取り寄せる。こちらにある西洋の銀行か、あるいは日本の銀行に宛てて為替を振り出す。日本の
銀行は正金銀行一つしかないが、向こうから派出してある銀行はいくつもある。その君の書付も、条約改正が実行せられればみな分かる。
それも風土も悪く景色も悪いというような所では、来いといっても人が来やしない。
空気の流通はよし、経緯度のからみても熱帯地方や支那などに較べると、暑くなく寒くなく天然の資本を持っている。天然の風景によって金を余計に儲けることが出来るようになっている。就中(なかんずく)、厳島のごときは、昔から日本三景の一つといわれ、かつ水は清潔である。
腐敗した水が多いとか、あるいは悪水の掛け方が悪いとかいうような所には、ややもすると悪疫が流行る。本土のごときは右のような所はさらにないから、健康上からみても便宜である。
関連記事
-
『オープン講座/ウクライナ戦争と日露戦争①』★『ロシア黒海艦隊の旗艦「モスクワ」がウクライナ軍の対艦ミサイル「ネプチューン」によって撃沈された事件は「日露戦争以来の大衝撃」をプーチン政権に与えた』★『児玉源太郎が指揮した日露戦争勝利の秘訣は軍事力以上に外交力・インテリジェンス・無線通信技術力・デジタルIT技術にあった』
ウクライナ戦争でロシア侵攻作戦の要であるロシア黒海艦隊の旗艦・ミサ …
-
大阪地検特捜部の証拠改ざん事件を読み解くために②死刑冤罪事件の共通手口ー検察の証拠隠めつと証拠不開示
大阪地検特捜部の証拠改ざん事件を読み解くために 再録『死刑冤罪事件の共通手口―検 …
-
日本リーダーパワー史(817)『明治裏面史』 ★ 『「日清、日露戦争に勝利」した明治人のリーダーパワー、 リスク管理 、インテリジェンス㉜『日本史決定的瞬間の児玉源太郎の決断力④』★『児玉参謀次長でさえ、元老会議や閣議から除外されることが多かったので、軍部は国策決定の成否を知り得なかった。』★『児玉参謀次長に日露外交交渉の詳細が知らされなかった日本外交の拙劣ぶり』
日本リーダーパワー史(817)『明治裏面史』 ★ 『「日清、日露戦争に勝利」した …
-
『リーダーシップの日本近現代史』(267)★『6年前のSTAP細胞問題の小保方晴子氏会見をみて感じた 「死に至る日本病」の正体とは・』★『説明責任を果たさない公人側と厳しく追及しない日本の記者会見の無責任体制はいつまで続くのか』
2014/04/10 日本のメルト …
-
世界/日本リーダーパワー史(897)『米朝会談は5月に迫る、トランプの仕掛ける貿易戦争では日本もターゲットにされた。 トランプ大統領と蜜月の安倍首相は、寝耳に水の窮地に立たされている。
世界/日本リーダーパワー史(897)- 安倍首相が森友学園をめぐる財務省の公文 …
-
池田龍夫のマスコミ時評(57)●『オスプレイの事故検証抜きで配備を急ぐ』●『原子力委員会が企んだ「秘密会議』
池田龍夫のマスコミ時評(57) ●『オスプレイの事 …
-
『Z世代のための日本近現代興亡史講座(下)』★『「日露戦争の日本海海戦で英海軍ネルソン提督を上回る完全勝利に導いた天才参謀・秋山真之のインテリジェンス②』★『ジョミニ(フランスの少将)、クラウゼヴィッツ、マハン、山本権兵衛の戦略論』
ロシア海軍を視察、極秘中の極秘の「一等戦艦の図面」を1分間ほど見せてくれたが …
-
「花子とアン」のもう1人の主人公・柳原白蓮事件(5)「愛人宮崎龍介との出会いー青春の力に恋の芽生え」(東京朝日)
「花子とアン」のもう1人の主人公・柳原白蓮事件(5) …
-
片野 勧の衝撃レポート⑥「戦争と平和」の戦後史⑥『八高線転覆事故と買い出し』死者184人という史上最大の事故(下)■『敗戦直後は買い出し列車は超満員』▼『家も屋敷も血の海だった』★『敗戦直後、鉄道事故が続発』●『今だから語られる新事実』
「戦争と平和」の戦後史⑥ 片野 勧(フリージャーナリスト) 八 …