日本リーダーパワー史(453)「明治の国父・伊藤博文の国難突破のグローバル リーダーシップに安倍首相は学べ」⑤
日本リーダーパワー史(453)
「明治の国父・伊藤博文の国難突破のグローバル
リーダーシップにこそ安倍首相は学べ」⑤
◎<伊藤博文がいなければ、明治維新の開国・西欧文明の受容・明治
憲法の制定、議会制度の導入、初代総理大臣に就任し、元老として
日露戦争勝利の外交インテリジェンスはできなかった。
明治の奇跡「坂の上の雲」の主人公こそ初代大宰相・伊藤博文なのであ
る。明治時代は伊藤時代といって過言ではない。
前坂俊之(ジャーナリスト)
黒船来航(1853年)で『開国か、攘夷か』を迫られた幕末日本の大問題は明治維新によって、決着がついたが、この過去問題が、再び160年間たった現在ではTPP問題、日中間の歴史認識、国家観、ナショナリズム、外国人労働、難民受け入れ拒否の難題、国難として国会では不毛な論争が続いている。それがいつまでも完治しない亡国(鎖国・ガラパゴス・の日本病の正体(攘夷派)なのである。
明治、大正、昭和の歴史の中でみると、鎖国派、攘夷派、国内派、ドメスティック派、日本主義(エスノセントイズム)派、国内論理優先派、外資・外国人おことわり派、国際連盟脱退派(世界の孤児派)、英語教育禁止派(太平洋戦争中)が多数派を占めると、
つまり<ガラパゴスジャパン> となって、国際的には孤立、国際競争力に敗れて、<グローバリズム時代>に赤信号・国難となって最終的に国家はつぶれるのです。
早急な移民労働力の受け入れ (大前研一は毎年40万人の受け入れを提言)や、TPPになると日本農業は壊滅するので絶対反対を叫ぶ農業団体の主張をきいていると、<開国か、攘夷か>の世界中の国(おとなりの大躍進中の韓国をみるまでもなく)がすでに結論を出している問題を、「何も考えない、決められない、問題先送り」で、相変わらずチョンマゲをつけた幕府の役人たち(現在の国家官僚組織、公務員ら)と攘夷派のサムライ(大部分の政治家)の小田原評定が延々と続くという『死にいたる病」(日本病の構図)が目に見えてくる。
明治維新の志士となって坂本竜馬、伊藤博文のように断固、やるべし、開国にまい進する以外に、日本を救う道はない。ここで、 伊藤の外国新聞評などを紹介する。
①開国するために、積極的に親切に外国人とコミュニケーションして、西欧知識の吸収と日本の情報発信を先頭たって行った。今の政治家で、ここまで外交を真剣に考えている人物が何人いるか。このグローバルな時代に、外国も外国人も知らないドメスティック政治家がほとんどではないか。
②しかも、伊藤が郵便事業に力をいれていたことには驚く。郵便、電報という当時の最先端の通信システムに人一倍注目してことを示している。問題解決の最強のツールは情報通信 であるのはいつの時代も変わらない。日露戦争に勝ったのは当時の最新の情報通信を日本側が導入したことである。
いま日本の経済沈没を食い止めるのはインターネット・情報通信、ロボット技術の徹底活用しかないが、日本の政治家、官僚らの認識レベルはこれまた徳川時代ではないか。その面でも、伊藤の先見性、先駆性、インテリジェンスがダントツに光っていると思う。
(以上は2010年12月に執筆したブログの再録)
◎<以下は明治の新聞報道では伊藤博文のいかに国際政治家、グローバルリーダシップ
を発揮したかを示している。
◎新聞人物評『伊藤は外国人をこのみ、丁寧にあつかう人』
1868年(慶応4)年3月12日【2月19日〕付『もしほ草』
神戸の奉行伊東俊助といえる人は、以前ヨーロッパへ遊学し、外国人の事がらもよく知りたる人なり。ゆえに外国人をこのみ、丁寧にとりあつかい、まことによき人なり。神戸の港もはかくひらけ、処々家作も出来たり、いずれも丈夫なる家なり。
もっとも地面は異人の随意にて、いずれの地面にてもかまいなきよし。ゆえにとなりどうしともなり、日本人異人の中、まことにむつまじくねんごろなり。大阪神戸のあいだ、蒸気車道、テレグラフできること疑なし。アメリカ人、フランス人、イギリス人と、銘々三通に製作の仕方を書付にして政府へ持出したり、願済とならは、直に外国人取かかるべし、しかるときは、神戸も実以て繁昌の港となるべし。
●『兵庫県知事当時の官邸のようす』
1858(慶応4)年9月13日〔7月27日〕付『ニューヨーク・タイムズ』
今日、副知事の伊藤俊輔を訪ねた。しかし彼が不在だったので、この機会をとらえて敷地を散策した。左手には大きな池があり、金魚が飼ってあった。右手には古い大樹の並木があった。人工の狭間を渓流が流れ落ち、そばに小さな岩星があった。
その向こうには青々とした芝生が見渡され、風変わりな灯籠や灌木が散在し、枝はみごとに整えてあった。奥まった所にあずまやがあり、テーブルに英語の教科書と新聞、そして和英の辞書が置いてあったので、ここは副知事の書斎であると知った。
こうしていても副知事が戻ってこないので、私は税関を訪れてHASSA-GAWAHOUSKIに会った。彼は感じのよい日本の若者で、長崎の学校でわが宣教師に英語を習ったことがあり、話す英語はとても流暢である。彼は私に日本語を教えようといとうコって出た。しかし、日本人には自分たちの言語を教える力はなく、実は、彼らは外国人から外国人の文法的知識しか学んでいないことが私には分かった。
当地で会える少数の興味深い人物の中には、アムステルダムから来たオランダ人医師、ドクター・ホネックがいる。彼は開業したはかりだが、成功の見込みはおおいにある。東洋では、医書ほど将来性のある専門職はない。おのおのの商会は普通、年に100ないし150ドルの報酬を医者に支払っている。こういう慣例なので医者は一人立ちできるのである。
◎『横浜郵便局開局の祝宴に列席』
1875(明治8)年1月6日付『郵便報知』
今回横浜郵便局は県庁と対せる他に新築竣功したりこれは米国と結約ありて自今海外各国へ通信を開かれしに因てなり、ここにおいて昨五日開業式を行い外客には十一ヶ国駐割公使を招待し午後第五時尽く参会あり唯り独逸公使は病を以て参せず本日の主たるべきは大久保内務卿なるが湯治不在中ゆえ、伊藤工部卿これに代る、
列席の諸君は林内務大丞、寺島外務卿、石橋外務少垂、長田外務六等出仕、中島県令並に前島駅逓頭、山内、真申両駅逓権助、塚原七等出仕、同案御雇米人ブライアン、ラム、カー三氏等なり。第五時各国公使東京より着するや郵便局より馬車をステーションに備えてこれを迎え応対所に招し参議その他諸公と一礼して然る後食堂に相会す。
○『伊藤工部卿各国公使へ陳述せられし祝辞』
諸君この新年之始に当て日本国政府は国内衆庶の信書を合衆国に又同国と交信之的ある他の諸国へは合衆国を経てこれを郵致するの任を執り以て日本国と米欧諸国との往来をして益間断なからしむ、
これに於て我政府は当帝国第一の港に駅逓寮の分庁を建設しこの盛大なる書信往復の便を図れり、余思うに今この開業式を行うに当り各国公使に於ても必我輩と喜悦の情を共にせられん、余殊に各位の来臨を謝す切に望らくはこの郵便局を経由して彼我人民の間に往復する群書信悉皆平安好意の消息たらんことを請う、各位に於てもこの意に同ぜられは幸甚。
我が他の諸外国人へ推し広ろげたる通信を有するの力は第一番にアメリカ連邦政府の我が申入れを受けたりし所ろのその友交の情に在り.この故に余は新連邦大統領の健康及び新大統領のこれが元首たる所ろのアメリカ人民の繁栄を祝飲することに就て君の余と相共にこれを同すると祈願す。
つづく
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