前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

池田龍夫のマスコミ時評(38)ー『沖縄密約文書「廃棄の可能性」不可解な「無いものは無い」判決』

      2015/01/02

池田龍夫のマスコミ時評(38)
 
沖縄密約文書「廃棄の可能性」不可解な「無いものは無い」判決
 
 
池田龍夫(ジャーナリスト)
 
 
 西山太吉・元毎日新聞記者ら25人が訴えた「沖縄返還密約文書開示」控訴審判決で、東京高裁(青柳馨裁判長)は9月29日、国に開示を命じた1審・東京地裁(杉原則彦裁判長)判決=昨年4月9日=を取り消し、原告側の請求を退けた。
 
青柳裁判長は「問題の文書を探したが無かった」とする国側の調査結果に従って結論を覆したものの、判決理由をよく読むと、1審が指摘した「密約文書の存在」を〝推認される〟と明記し、国が密約文書を意図的に廃棄した可能性を指摘するなど、国の姿勢を批判している。
 
ただ、「無いものは無い」との主張を貫き通し、情報公開法に基づく開示義務を無視した判決だったことに、原告団の失望と怒りが高まっている。
 
「毎日」「朝日」が文書不開示の問題点を指摘
 
 30日の朝刊2紙に限って、その取り上げ方を急ぎ点検した。毎日新聞は「密約文書『廃棄の可能性』」との見出しを掲げて1面トップ。朝日新聞も1面2番手で「国が秘密裏に廃棄した可能性」と大きく扱っていた。両紙とも社説に取り上げ、「過去の問題ではない、廃棄疑惑に国は答えよ」と迫っている。
 
「逆転敗訴とはいえ、『国民の知る権利』に基づき、政府に真相をただし続けた裁判の意義が失われることはない」との受け止め方(『朝日』社説)に共感する。「そもそも開示請求対象の文書の写しは 米国立文書館で公開されており、元外務省局長も文書に署名したことを認めている。
 
密約文書はあったというのが国民の抱く常識的感覚だ。…公文書は役所のものではなく、国民の共有財産である、という自覚が、日本の行政には著しく欠けてはいないだろうか」と『毎日』社説が指摘する通りである。
 
     「情報公開法」を無視した政府の責任
 
 「もし、文書を廃棄したうえで不存在を主張することによって、結果的に情報公開を免れることが許されるのであれば、制度の趣旨が否定される。
 
公文書の作成、管理に関する規定があいまいだった日本の後進性がこの事態を招いたことは教訓として反省すべきだ」と堀部政男・一橋大名誉教授が指摘(『朝日』社会面)。波多野澄雄・筑波大教授(元外務省有識者委員会委員)も「密約関連の文書は外務省が情報公開法施行前に大量廃棄した文書の中に入っていると思っている。
 
訴えは認められなかったが、外務・財務両省の責任は残る」(『毎日』社会面)と、文書管理のズサンさを糾弾していた。
 
 
      原告は、最高裁へ上告の構え
 
 以上、主要2紙が、「情報公開法の精神」に基づいて、控訴審判決の問題点と司法の姿勢について、大きく紙面を割いて「国民の知る権利」を強調したことを高く評価したい。
 
 原告と弁護団は判決後の記者会見や報告集会で、「不当判決は許せない」と厳しく控訴審判決を批判しており、最高裁へ上告して政府の姿勢を問い続ける構えである。今後の展開に、多くの市民が監視することの必要性も痛感させられた。
 
(いけだ・たつお)1930年生まれ、毎日新聞社整理本部長、中部本社編集局長などを歴任。著書に「新聞の虚報と誤報」「崖っぷちの新聞」「沖縄と日米安保」(共著)など。
 

 - IT・マスコミ論

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
世界/ 日本メルトダウン(912)『投資家に朗報、遠のく英EU離脱とトランプ大統領』●『英国EU離脱でも中国でもない、ジョージ・ソロスが怯える「第3の危機」』●『日銀緩和すでに「ヘリマネ」化、財政危機は杞憂=エモット氏』●『日本:20年後世界経済のトップに返り咲く、人口構造の若返りで=中国メディア』

世界/ 日本メルトダウン(912) コラム:投資家に朗報、遠のく英EU離脱とトラ …

no image
『F国際ビジネスマンのワールド・ニュース・ウオッチ⑩』『アラブの生活に身を投じたアメリカ合衆国大使(ニューヨーク・タイムズ9/15)

『F国際ビジネスマンのワールド・ニュース・ウオッチ⑩』   『アラブの …

no image
『リーダーシップの日本近現代史』(91)記事再録/★日韓歴史コミュニケーションギャップの研究ー『竹島問題をめぐる』韓国側の不法占拠の抗議資料』★『竹島は日本にいつ返る、寛大ぶってはナメられる』(日本週報1954/2/25)

    2018/08/18/日韓歴史コミュニケー …

no image
★『 地球の未来/世界の明日はどうなる』 < アメリカ・メルトダウン(1058)>『弾劾か刑事訴追か、泥濘にはまったトランプ 息子までロシアと接触、次は周辺から逮捕者の可能性』★『トランプ長男、ロシア疑惑の動かぬ証拠を自らツイート』●『トランプ「支持率最低」政権の深刻すぎる前途 就任半年で政策動かず、ロシア疑惑が重し』★『「大惨事」もありえる米議会のヤバすぎる状況 大事な夏休みも短縮する勢い』●『 四面楚歌のトランプ、弾劾は時間の問題か 全米で次々提訴され、ロシアゲート捜査は核心に迫る』

★『 地球の未来/世界の明日はどうなる』 < アメリカ・メルトダウン(1058) …

no image
日本リーダーパワー史(941)~「ノーベル賞とジャーナリズム」★『社会を根本的に変えるのは科学技術の進歩とイノベーション』★『最も必要な教育とは科学教育であり、論理的な思考力である』

日本リーダーパワー史(941) ノーベル賞とジャーナリズム 今年のノーベル生理学 …

片野勧の衝撃レポート(83) 原発と国家―封印された核の真実⑭三谷太一郎 (政治学者、文化勲章受章者)の証言②『主権国家中心の現在の「国際社会」ではなく、 主権国家以外のさまざまな社会集団も加えた 多元的な「国際社会」を再構築することが必要だ」。

 片野勧の衝撃レポート(83) 原発と国家― 封印された核の真実⑭(1997~2 …

no image
戦うジャーナリスト列伝・菊竹六鼓(淳)『日本ジャーナリズムの光、リベラリストであり、ヒューマニストであった稀有の記者』★『明治末期から一貫した公娼廃止論、試験全廃論など、今から見ても非常に進歩的、先駆的な言論の数々』

  日本ジャーナリズムの光、リベラリストであり、ヒューマニストであった …

『Z世代のための昭和戦後宰相論』★『中曽根康弘首相の長寿逆転突破力』★『戦後総決算」を唱え、歴代内閣が実現できなかった行財政改革を敢然実行した』★『「ロン・ヤス」の日米関係蜜月、韓国を電撃訪問し、日韓関係を一挙に改革、胡耀邦氏と肝胆合い照らし日中関係も改善。口先だけではない即決断実行型の首相だった』

『Z世代のための昭和戦後宰相論』★『中曽根康弘首相の長寿逆転突破力』★『戦後総決 …

『10年前の鎌倉海は豊穣の海、海水温上昇で、今は『死の海へ』★『オンライン10年前動画/鎌倉カヤックつりバカ日記』★『『すごいアタリ!、何度も突っ込み、大カワハギ27センチでした』★『ついにやったぜ、巨大ホウボウ50㎝をゲット』★『鎌倉カヤック釣りバカ日記(6/11)ーカワハギが釣れて、釣れて困るの巻よ③』

倉カヤックつりバカ日記ーついにやったぜ、巨大ホウボウ50㎝をゲット   …

no image
『リーダーシップの日本近現代史』(41)記事再録/『日本議会政治の父・尾崎咢堂のリーダーシップとは何か③>』★『世界に例のない無責任政治、命がけで職務に当たらず 辞任しても平気で再び顔をだす3代目政治家』③』

2012年2月25日/日本リーダーパワー史(238)     …