池田龍夫のマスコミ時評(43)『原発事故収束の険しさ訴えた「世界会議」の意義』『原発事故被害、なお続く「家族離散」』
池田龍夫のマスコミ時評(43)
『原発事故被害、なお続く「家族離散」』
池田龍夫(ジャーナリスト)
この点については飯島一孝氏が指摘していたが、原発被害に苦しむ首長が語り合った「特別セッション」を特に取り上げて、新聞各紙がほとんど報じなかった論議を福島民友新聞やネットメディアから拾い上げて、問題点を指摘したい。
「地域発・原発に頼らない社会のつくりかた」と題されたこの会議には、福島第一原発を抱える福島県から双葉町の井戸川克隆町長、南相馬市の桜井勝延市長が出席。「私は乳搾りから始まった人間。
百姓が百姓をできなくなった現実を国会議員はどう感じているのか。政府は、当たり前のことができなくなった現場を本当に見ようとしない」と桜井市長が語り始めると、会場は静まり返った。同市長は「多くの市民が、家族も捜せないまま避難を余儀なくされ、何も変わっていない」と現状を紹介したあと、「岩手県から茨城県までの震災、原発事故の収束が国家的事業のはず」と、一向に進まない国の復興施策を痛烈に批判した。井戸川町長も政府の事故収束宣言について「まだまだ危険で、大変な憤りを感じる」と語った
。また湖西市の三上元市長は「今回の事故は日本の技術に信頼が置けないことを証明した」と語り、日本の原子力政策の在り方に疑問を呈した。
住民投票で原発誘致計画を退けた新潟県巻町の笹口孝明・元町長は「国策であっても住民に大きな影響があるならば発言する権利がある。原発が国策ならばもっと国民的な話し合いが行われていたはずで、もっと大きく議論し、この国から原発をなくすべきだ」と、相次ぎ熱弁を揮った。
調査は昨年9~10月、原発周辺の双葉地域8町村(浪江町・双葉町・大熊町・富岡町・楢葉町・広野町・葛尾村・川内村)の計2万8184世帯に、調査票を郵送する形式で実施。1万3576世帯から回答を得た。回答率は48・2%。調査を担当した丹波史紀・福島大准教授は「5割近い回答率は住民意識の高さの証拠」と分析しており、激甚被災地の具体的調査が注目される。ところが、詳しく報じたメディアが見当たらないので、産経新聞1月8日配信のネットニュースと福島大学ホームページをもとに問題項目を整理して、参考に供したい。
子供を持つ若い世代とは違うだろうが、高齢者は双葉を恋しく思っている。老い先短い私も帰る望みは捨てられない」と語る。
一方、埼玉県加須市の廃校で避難生活を送る双葉町の元会社経営、渡部晃さん(65歳)は「帰れることになっても、若い人は戻ってこず、町が成り立たない。その上に中間貯蔵施設が双葉町内に作られる可能性が高いという現実を見ると、帰ることは考えられない。私と同じ考えの避難者が徐々に増えていると感じるし、避難が長引けばそうした人はさらに増えるだろう」と、調査員話に話していた。
橋本摂子・福島大准教授は「避難区域の確定、定住できる住居、健康調査が喫緊の課題だ」と強調していたが、まさにその通り。弱者対策最優先の施策へのリーダーシップを政府に求める声は強い。関連記事
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