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地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

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★『60,70歳から先人に学ぶ百歳実践学講座(2018年3月23日)』★『私の調査による百歳長寿者の実像とは何か・・』★『「生死一如」-生き急ぎ、死に急ぎ、PPK(ピンピンコロリ)をめざす』

   

 

 

日本ジャーナリスト懇話会  20183月23日、講演レジメ再録

テーマ<2017年高齢者白書による現在と未来>

➀日本の総人口は、2016年10月1日現在、1億2,693万人。65歳以上の高齢者人口は、3,459万人で、高齢化率は27.3%である。前期高齢者(65~74歳)は1,768万人で13.9%、後期高齢者(75歳以上~)は1,691万で13.3%。

②百歳以上の高齢者は6万7824人(2017年)→50年には53万人へ

1963年は153人。98年に1万人、2003年に2万人、12年に5万人、15年に6万人、25年には13万3千人、35年は25万6千人、50年には53万2千人に。

日本は世界で最も高い高齢化率であるー日本 (26.6) イタリア (22.4) ドイツ (21.2) フランス (19.1) 英国 (17.8) アメリカ合衆国(14.8)アジアも10年後には急速に老齢化が進む。

2025年問題とは何か

団塊の世代が2025年までに後期高齢者になるので、日本は5人に1人が75歳以上、3人に1人が65歳以上の『超高齢社会』に突入する。2025年には認知症患者数が700万人を突破。年金なども含めた介護・医療費などの社会保障費は、2015年度は118兆円だったのが,2025年度は148兆円と1.3倍になる。

⑤大切なのは「平均寿命」より「健康寿命」を伸ばすこと

日本の平均寿命は男性80.98歳で、「健康寿命」との差は約10歳、女性は87.14歳でその差は13歳ほど。健康で自立して生活できる健康年齢を引き延ばすことが長寿になるポイントである。

⑥現役世代の高齢者を支える形は「肩車型」(1.3人で1人の高齢者を担ぐ)社会の到来(2050年)

1950年には1人の高齢者に対して12人の現役世代がいたが、2015年には現役世代は2.3人で担ぐ「騎馬戦型」、2065年には、1人の高齢者に対し1.3人の現役世代が支える「肩車型」となる、世界史上、初めての『超々高齢国家』として社会機能はマヒする。

少子化が止まらない。

2017年度の「合計特殊出生率」は1.44となり、出生数が97万6千で初めて100万人を割った。将来推計人口でみる50年後(2065年)には9,000万人を割り込む。

⑩生産年齢人口は出生数の低下、年少人口の減少で2065年には現在の半分ほどの4,529万人になり 少子【子供のいない・重高齢・人口減少社会】 となる。

⑪2035年には生涯未婚率男性30%、女性20%で日本の人口の半分は独身者となる

『ソロモン(結婚しない)時代』となり、少子化を加速させる。

⑫高齢者のいる世帯は全世帯の約半分、「単 独世帯」・「夫婦のみ世帯」が全体の過半数。一人暮らし高齢者の高齢者人口に占める割合は男性13.3%、 女性21.1%。

⑬世界一の「寝たきり大国」日本と欧米との死生観の違い

(イ)日本人が医師の診察を受ける回数は年間13回で先進国の倍

(ロ)薬剤消費量で米国の約2倍もあり<薬漬け大国>

(ハ)寝たきり老人の比率も世界一に高く、現在約200万人、2025年には300万人に達する。

寝たきりの割合はスウェーデンが4%、日本が約34%で8倍以上。この差は日本の延命治療(胃ろう)の問題点と死生観の違いにある。

西欧各国、スウェーデンでは、高齢者が自分で物を食べることができなくなった場合、点滴や胃ろうなどの処置は行わない。人工的な処置によって高齢者を生かし続けることは、生命への冒涜と考える。

人間は自力で生きることができなくなれば、自然に死んでいくべきだという死生観がある。百寿者の8割は寝たきりで、自立して日常を送っている人は2割、運動が出来る人はごくわずかである。

⑭介護施設の深刻な人手不足

2025年度には介護職員が約253万人必要になるが、供給の見込みは約215万人。約38万人の介護職員が不足。従業員が不足している施設は全体の56.5%で需要と供給のアンバランスから介護難民が続出、自宅介護による老々介護で共倒れが危惧される。

⑮認知症、アルツハイマー病の患者増加と予防問題

65歳以上の認知症の患者数はOECDでは2009年で6.1%、2026年には10%に上昇すると推定。

2010年の、日本での認知症患者数は約462万人、65歳以上人口の15%にのぼる。2014年では、日本の認知症患者数は約500万人、社会的費用は14.5兆円と、国民医療費全体の3分の1を占め、2025年の認知症患者数が700万人、2035年にはその介護・医療費は22.9兆円に膨らむとみられる。

⑯長寿の秘密を解く「長寿遺伝子」「老化防止遺伝子」とは何か。

サーチュイン遺伝子(Sirtuin gene)のことで長寿遺伝子とも呼ばれ、老化のスピードをコントロールする遺伝子”で、その活性化により寿命が延び、縮みするということが実験によって確認された。

⑰その長寿遺伝子を活性化するカギとは何か

(A)『カロリー制限』が寿命を延ばすー冬眠中の動物の寿命は、活動期の20倍から30倍の長寿モードになる。人間も同じで飢餓、絶食、食事制限、ダイエットで長寿遺伝子のスイッチが入る。

(B)カロリー制限でスイッチオン。人間はカロリー摂取量を普段の七割まで下げると「飢餓感」を持つので「腹七分目」がよい。日野原先生は1日1300キロカロリーに制限していた。絶食期間を長くするほうがより効果が高い。

(C)運動、スクワットで筋肉を収縮させれば長寿遺伝子を活性化する。激しいジョギングよりもやや弱い運動強度の『インターバル速歩』の「ゆっくり歩く」と「速く歩く」を3分ずつ交互に繰り返す。有酸素運動でよい。

(D)レスベラトールを飲む ー赤ワインに多く含まれるポリフェノールの一種のレスベラトールによって長寿遺伝子の活性化する。レスベラトロールはカロリー制限と同じような効果を発揮する。

赤ワインを毎日グラス3、4杯飲む人はまったく飲まない人に比べて、アルツハイマー病の発症率が4分の1と少なく、死亡率も低いという結果が出た。

レスベラトロールは、ブドウの茎や皮などから抽出されるエキスの中に微量に含まれる成分で、ブドウの他にも、ピーナツの渋皮や、イタドリ、インドネシアの植物メリンジョなどにも含まれており、発がん抑制効果もある。

私の調査による百歳長寿者の実像とは・・

  • 丈夫に生まれて、病気にかからなかった元気者は長寿者には意外に少ない。逆に、病弱だったが、病気を克服して天寿をまっとうした人が多い。
  • 食事は粗食、腹7分、少食のほうが、長生きし、創造的な活動を続けられる。
  • ライフワークに熱中する人、創造的な仕事に夢中になると年も忘れる。
  • 画家、彫刻家、芸術家や学者など、創造的な仕事をした人は長生きしている。これは長生きしたので大きな仕事ができたともいえる。
  • 物事を悲観的に考える人よりも、楽観的で前向きな人、明るく陽気な人、クヨクヨ考えない人が長生きする。肝心なのは気力、精神力である。
  • 日本の伝統的な食事、和食は長寿食である。
  • 百歳近くまで生きた人の最期は自然死、大往生する例が多い。

最後に

◎人生は寿命の長さよりも、世のため、人のために何をやったか

(寿量)が大切である(福沢諭吉)、だが、長寿で『寿量』を達成

すれば、それこそ「達人」『名人』であろう。

  • 「生死一如」-生き急ぎ、死に急ぐ。PPK(ピンピンコロリ)をめざす。

●今からでも遅くない。今やらねばいつできる。

●継続は力なり、日々修練『たゆまざる 歩み恐ろし カタツムリ』

●生涯現役、臨終定年、を目ざそう

 - 人物研究, 健康長寿

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