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『オンライン/新型コロナパンデミックの研究』ー「2020年4月,米欧から遅れること1ヵ月.日本は「平時から非常時へ」,「知られざる敵との第3次世界大戦に参戦した。第2次世界大戦(太平洋戦争)の愚かな戦争ではなく、「ITデジタルスマート戦争」にする必要がある』

   

 コロナパニックと緊急事態法発令へ  

       前坂俊之(ジャーナリスト)                 

米欧から遅れること1ヵ月、日本は「平時から非常時へ」、「知られざる敵との第3次世界大戦」に参戦した。第2次世界大戦(太平洋戦争)のような愚かな戦争ではなく、「ITスマート戦争」にする必要がある。4月6日、安倍首相は新型コロナウイルスの感染拡大を防止に向けての「緊急事態宣言」を7日に発令すると表明した。

対象地域は、東京都、埼玉、千葉、神奈川県、大阪府、兵庫、福岡県の7都府県で、8日から実施、期間は1カ月程度で、5月上旬の大型連休までを想定。

対象地域の都道府県知事は、住民に仕事や食料品の買い出しなどを除く外出の自粛要請や、学校、百貨店、映画館などの使用、イベント開催の制限・停止を要請・指示できる。ただし、大半は強制力がなく、国民の自主的な協力が前提となるスマートなものだ。

これまでの経過を振り返るとー『パンデミック(世界的流行)』で4月6日には感染者127万人を突破、死者も7万人に迫り、爆発的な感染(オーバーシュート)期に入った。日本でも医療崩壊寸前のギリギリの状態で、東京都、医療界、経済界などから国の「緊急事態法」の発令を要望する声が相次いだ。

4月6日時点の世界各国の感染者数は米国(約33万8千人)②スペイン(13万2千)、③イタリア(12万9千)、④ドイツ(10万)④フランス(9万4千)中国(8万2千)の順。死亡者はイタリア(約1万5千)②スペイン(1万3千)③米国(9千600)、④フランス(8千100)➄英国(5千900)⑥中国(約3千300)(米ジョンズ・ホプキンス大学調べ)

世界最悪の感染者を出した米疾病対策センター(CDC)は米市民が外出する際、マスクで顔を覆うよう推奨する新たなガイドラインを示し、トランプ大統領は5日「恐ろしいほどの死者数を覚悟しなければならないが、ニューヨーク州の死者数が前日を下回ったことで、感染者は近く減少する可能性がある」と述べた。イタリア、スペイン、フランスでも感染者の増加が鈍っており、「危機的な状況は脱しつつある」とみられている。

一方、6日午後8時現在の日本の感染者数は全国で3967人(死亡者は93人)=クルーズ船は除外。東京都内の感染者は1116人で、新しい感染者は2日連続で100人を超えた。このうち感染経路が特定できていないのが三分の二にのぼり、30代以下が半数近くを占めた。小池百合子知事は2月末から土日の不要不急の外出自粛を住民に呼びかけてきたが、増加カーブの上昇に歯止めがかからず危機感を一層強めていた。

また、東京、大阪の大都市の『パンデミック化』と同時に地方から東京に出張した人の感染者(佐賀、岡山など)が増えており、この拡散で地方の医療体制がパンクする危惧も出てきた。

日本集中治療医学会は4月1日に、医療体制の崩壊が非常に早く訪れると強く警告している。その理由は、NHK電子版(2020年4月5日)よると「イタリアの死亡率は11.7%、ドイツではその10分の1だが、これは主に集中治療体制の違い。日本は人口10万当たりの集中治療のベッド数はイタリアの半分以下。 さらに「人口心肺装置(エクモ)」(全国で1400台)の取り扱いができる医師や看護師(手術の場合には10人必要)が500人ほどしかおらず、地方では特に少ない。地方に感染が拡大すればアットいう間に医療崩壊する」という。

これまで、政府は「感染者数の増加カーブをゆるやかに抑えて、重篤者、死亡者を極力少なくする方針で、緊急事態宣言の発令には「全国的かつ急速なまん延には至っておらず、ぎりぎり持ちこたえている」と慎重姿勢を堅持、野党や、医学界、経済界からも対策の遅れを強く批判されていた。

現在、急テンポで進むコロナパニック戦争の各国での対応策、決定が、「よかったのか、悪かったのか」「対ウイルス戦争で勝利できるか、敗北するのか、持久戦となるのか」はある程度時間の経過とその結果を見てからでないとわからない。

これまでの先進国の対応を比較すると、リスクマネージメントの進んだ米欧は3月中旬で「国家非常事態宣言」『ロックダウン(都市封鎖)』(強制力、罰則付き)『大規模な経済政策』をスピード決断と即実行した。それでも感染者、死者は爆発的に増えた。一方、日本は「経済、社会への影響を十分考慮した上での緊急事態法の発令」、「小出しの経済対策の決定、実行のスローモーぶり」(漸進的対策)だったが、この結果が感染者、死者数の10分の1以下の抑え込みに現時点までは成功した。

 

この背景に小学校から手洗い、掃除、マスクの清潔第一主義の国民の衛生習慣と国民保険制度のある日本と国民皆保険制度のない米国、米欧にはマスク、手洗い、掃除の習慣はないし、おじき文化とキス、抱擁文化の違いも『パンデミック』のベースにあるのではないかと識者は指摘している。結局、両者の初期戦略が成功か、失敗か、まだまだ遂次戦略が必要かは、早ければ数か月後、夏前には見えてくるであろう。

キッシンジャー元米国務長官は「新型コロナのパンデミックは世界秩序を永遠に変えてしまうだろう」と米ウオールストリート・ジャーナルで書いているが、日本もこの危機をチャンスととらえて「旧弊なアナログ国家社会システム」を「スマート国家社会」にセットアップできなければ、21世紀にサバイバルできないのではないかと思う。

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