前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

知的巨人たちの百歳学(140)『一億総活躍社会』『超高齢社会日本』のシンボルー松下幸之助(94)『病弱だったことが成功の最大の要因です。健康だったら、 仕事も自分でやろうとして、そこそこの成功で終わっていたかもしれない』

      2015/11/12

 知的巨人たちの百歳学(140)

『一億総活躍社会』』のシンボルー松下幸之助(94)

 『病弱だったことが成功の最大の要因です。

健康だったら、仕事も自分で

やろうとして、そこそこの成功で

終わっていたかもしれない』

94歳  松下電器創業者  松下幸之助 (1894年1月27日~1989年4月27日)

松下は近代以降日本の実業家の中で、五指に入る成功者といえるだろう。

裸一貫、丁稚奉公から出発して自分の努力と才覚で、一代で日本を代表する世界的企業を築き挙げた。

松下は新聞記者から「成功の要因は何ですか」と聞かれた時、

「病弱だったこと。それが成功の最大の要因です」と語っている。

松下は、兄弟姉妹八人のなか三男の末子として生まれた

。病弱の家系で、松下自身生まれつき病弱で、子供の頃、父親が米相場で失敗して財産を失い、貧乏のどん底にあった。

一年ほどの間に兄二人、長姉も相次いで死亡。しばらくして残った姉二人も亡くなった。

幸之助も血痰を出し、結核で寝たっきりで医者の手が離れることがなかった。

こうした状態で松下自身は30,40代まで生きられまいと覚悟した。

病弱の身体では安定して勤務できないため、18歳で電灯会社を辞めて独立して商売を始めた。

健康に不安があったので、四十歳代まで養生しながら働き、人に仕事を頼る、任せざるを得なかった。

「人間万事塞翁が馬」

それがまた松下の成功を導く大きな要因になった。仕事を遂行するために、彼は「人を使う、人を育てる、人を生かす」

ことにすべての神経を集中し、それを経営の根本においた。人に任せて、どんどん仕事をやって

もらう人使いの名人となり、松下自身は経営に徹したのである。、

「病弱だったことが、今日の松下をつくったと思います。

もし、私がもし健康だったら、仕事もすべて自分で

やろうとして、そこそこの成功で終わって

いたかもしれない」と語っている。

  • 『病弱と寿命は別。弱い人は弱いなりに、順応した生活態度

  • をとるならば、頑強な人とは違った形で十分な

  • 社会活動もできますし、寿命を保てます

「身体と病気を大事に扱い、病気とも上手に付き合っていく」という松下のやり方は五〇歳頃まで続くが、無我夢中で働くなかで、だんだん健康、元気になってきた。

60歳の頃、易者に手相を見てもらったところ、長命の相ありといわれ元気百倍、彫刻家・平櫛田中の

「今やらねばいつ出来る、おれがやらねば誰がやる」に感激して、長生きに挑戦しようと決意した。

松下の健康長寿観は

  • 人間の寿命は九〇%が天寿で、残り一〇%は人寿。平生からの努力が必要。
  • 病弱だったら病弱なりに、天からの試練、修錬の場を与えてくれたと感謝して最善の努力をする。病弱は健康な人では思いつかない仕事や考え方に気づかせてくれる。
  • 病気と仲よくつき合う。病気を恐れて遠ざけていれば、あとから追いかけくる。反対に病気と仲よくすれば病気の方からが逃げていく。
  • 病気になったら、死ねば死ねと腹を固めて、残された人生を精一杯生きる。

晩年の松下は、松下病院の中に設けられた社宅から会社に通う、病院での下宿暮らしのような生活であった。

病院では規則正しい生活を送り、唯一の楽しみは晩酌。好きなお酒を毎晩小瓶に半分ほど飲んでいたが、

うれしい時は一本に増えた。

85歳のとき、インタビューに「特別の健康法はしていない。私は小さい頃から病弱な体質だったので、

健康には人一倍苦労しました。そこから得たことは、“病気を

恐れずに、病気を大事にしてきた”こと。

よわい身体を丈夫にしようとは考えずに、よわい身体のままに何とか健康を維持していこうと考えました。

一種の諦め、一病息災が、健康長寿、一病長寿につながったと思っています」と答えている。

 - 健康長寿 , , , , , , , , ,

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

⭐︎『湘南海山ぶらぶら日記・「地球環境異変はますます深刻化」⭐︎『豊穣の鎌倉海も海生物が激減』●『米離脱後のパリ会議の行方ははどうなる』

湘南海山ぶらぶら日記  「地球環境異変はますます深刻化」  ―米離脱後のパリ会議 …

no image
知的巨人の百歳学(116)ー『三浦雄一郎氏(85)のエベレスト登頂法②』★『老人への固定観念を自ら打ち破る』★『両足に10キロの重りを付け、これに25キロのリュックを常に背負うトレーニング開始』★『「可能性の遺伝子」のスイッチを決して切らない』●『運動をはじめるのに「遅すぎる年齢」はない』

  -『三浦雄一郎氏(85)のエベレスト登頂法』  &nbs …

no image
日本メルトダウン(966)『小池氏猛攻で石原兄弟“落選危機” 豊洲疑惑直撃 慎太郎氏、公開聴取ならブランドに傷』●『豊洲問題「盛り土せず」8人に責任 現職副知事ら関与、東京都が11月1日に公表』●『パリピも黙る!「池袋ハロウィン」の超絶進化―小池百合子知事も登場、今年のコスプレは?』●『ハロウィンの何が日本人を夢中にさせるのかー外国人も目を見張る衝撃的な熱狂ぶり』●『「130万円の壁」放置が若者を下流老人予備軍にする』

 日本メルトダウン(966) 小池氏猛攻で石原兄弟“落選危機” 豊洲疑惑直撃 慎 …

『Z世代への日本政治家論』★日本リーダーパワー史(291)原敬のリーダーシップ「富と名誉は諸君の取るに任せる。困難と面倒は自分に一任せよ」③

日本リーダーパワー史(291)原敬のリーダーシップ「富と名誉は諸君の取るに任せる …

no image
百歳学入門(110)世界が尊敬した日本人ー数百億円を投じ仏教を世界に布教した沼田恵範(97歳)

百歳学入門(110) 世界が尊敬した日本人 数百億円を投じ仏教を世界に布教した沼 …

no image
『国葬でおくられた人びと』・・元老たちの葬儀」★『伊藤博文、大山巌、山県有朋、東郷平八郎、山本五十六、吉田茂まで

  『国葬にされた人びと』・・元老たちの葬儀    …

no image
世界/ 日本メルトダウン(917)『英国、EU離脱で国家解体へ…経済的利益なし、「偉大なる大英帝国」復活という妄想』●『トランプ氏、TPP離脱を主張 米製造業に致命的な打撃』●『世界の原子力発電能力が急拡大、設備老朽化など課題も=IEA』●『イチローの大記録を支えているのは「驚異のルーティン」』

    世界/ 日本メルトダウン(917)   英国、EU離脱で国家解 …

no image
百歳学入門(32)『世界ベストの画家・葛飾北斎(90)の不老長寿物語』ー『創造人間は長寿になる』

百歳学入門(32) 『世界ベストの画家・葛飾北斎(90)の不老長寿物語』 &nb …

no image
長寿学入門(217)-『三浦雄一郎氏(85)のエベレスト登頂法②』★『老人への固定観念を自ら打ち破る』★『両足に10キロの重りを付け、これに25キロのリュックを常に背負うトレーニング開始』★『「可能性の遺伝子」のスイッチを決して切らない』●『運動をはじめるのに「遅すぎる年齢」はない』

長寿学入門(217)   老人への固定観念を自ら打ち破れ ➀ 60歳を …

『オープン講座/ウクライナ戦争と日露戦争⑧』★『リーダーシップの日本近現代史』(12)記事再録/『世界史の中の『日露戦争』ー<まとめ>日露戦争勝利の立役者―児玉源太郎伝(8回連載)★『児玉は日本のナポレオンか』  ★『電子書籍ライブラリー>『児玉大将伝』森山守次/ 倉辻明義著太平洋通信社1908(明治41)年刊』

2016年3月5日/日本リーダーパワー史(683) 日本国難史にみる『戦略思考の …