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3・11東北関東大震災・福島原発事故ー『日本のメルトダウン』ーを食い止められるか①

   

『日本のメルトダウン』ーを食い止められるか①
                 
  前坂 俊之(ジャーナリスト)

恐ろしい事態がついに起きた。日本の運命も世界への巨大な影響も、今後の数日にかかっている。原発のメルトダウンをこれ以上食い止められるかどうかに。

『最悪なら東日本つぶれる」=専門家自任、笹森氏に明かす-菅首相』 

時事通信(2011/03/16-22:12)によると、「最悪の事態になったときは東日本がつぶれることも想定しなければならない」。菅直人首相は16日夜、東京電力福島第1原発の事故をめぐり、首相官邸で会った笹森清内閣特別顧問にこう語った。放射性物質の飛散により、広大な地域でさまざまな影響が出かねないとの危機意識を示したとみられる」(2011/03/16-22:12)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&rel=j7&k=2011031601176

東日本どころか、日本全体がつぶれるかどうかの、瀬戸際なのである。

『福島第1原発重大局面 「最悪のメルトダウン」である』(J-CASTニュース 3月16日(水)14時22分配信)によると、この2号機は、原子炉格納器で燃料棒がすべて露出し、「空だき」になり、メルトダウン(炉心溶融)の可能性も出てきた,という。


今は、もう最悪のリスクを想定して物事には対処しなければならない。

『2号機の原子炉は15日朝の爆発で、原子炉本体である「圧力容器」を覆う「格納容器」が損傷した可能性もある。』(2011年3月16日22時19分 読売新聞)

「原子力資料情報室」(3月15日)の声明では、「今後も、炉水位の低下、格納容器の損傷で多量の放射性物質が放出される可能性がある」と指摘。J-CASTニュースでも、ニューヨーク・タイムズ紙のウェブサイトは「溶けた燃料が全ての骨組みを破壊し、膨大な量の放射性物質が放出される、可能性があると報道。

英ファイナンシャル・タイムズ紙のブログで原子力物理学者のシャン・ナイアー氏『状況はきわめて深刻で、最悪の場合広範囲に放射能汚染が起こる可能性がある。

 
今後は未知の領域だ。今まで、この種のシナリオは、コンピューター上でシミューレションしたに過ぎない」 
 
『米専門家、「未知の領域に入った」福島原発』http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/disaster/2790095/6947895

 16日付の有力紙「イズベスチヤ」は、国営原子力企業「ロスアトム」専門家の見方として、「事故直後、(東京電力は)放射性ガスを大気中に放出してでも、即座に原子炉を水で浸さねばならなかった。最悪の事態を避けられると期待し、対応が遅れた」と伝えた。(2011年3月16日18時17分 読売新聞)

『共同通信(2011.3.16 12:38)では「ロシア人原発事故専門家は15日、「経済的利益を安全より優先させたことを示す具体例」だと批判した。この専門家は、旧ソ連時代に政府機関の責任者を務め、原発事故の汚染除去を担ったアンドレエフ氏。

 4号機では、使用済み核燃料に関係する水素爆発の可能性がある火災が発生。ロイターによると、同氏はこの火災に関し、使用済み核燃料プールで日本のように高い密度で使用済み燃料を貯蔵した場合、プールから水がなくなれば、火災発生の可能性が高くなると主張した。(共同)

田中宇国際ニュースによると、「冷却水が不足して炉心(圧力容器)内の水位が下がり、燃料棒の上部がむき出しになって、部分的な炉心溶融が1、2、3号機のすべてで起きた。」
さらに、事態はより悪化の一途で。燃料棒の冷却プールが損傷しているのか、冷却水がたまらず高温となって水蒸気爆発、火災が発生した。

「燃料棒(専門家のコメントでは3年間は冷却水で冷やし続けなければならない。狭いプールにぎっしりの燃料棒を入れすぎていた)が溶融し、再臨界によって熱を放ち、溶融や爆発して放射性物質を巻き散らかしかねない」という危険な状態に陥ってている。

東電も政府も保安院も学者も製造メーカーの設計者、技術者も、もちろん世界の原子力研究者もすべてが体験したことのない<未知なる領域>が-

 
リアルタイムにネット、メディアで世界に同時中継されている『核閉じ込め戦争』(3・11) 

―人類が初めて経験する制御不可能な恐怖の状態に一歩一歩進んでいる。

日本はこのメルトダウンを国家の総力を挙げて食い止めなければならないが、その決死的な覚悟がまだ十分に感じられないし、スピードがない。

すべての問題は、冷却水はもうダウンしているらしいので、海水を注入し、炉内の温度が上がらないようにする、燃料棒の溶融をこれ以上広げないようにする、時間との戦いである。何よりもスピードと決断と覚悟が必要だ。一刻の猶予は被害をさらに拡大するのみである。

このため、東京電力、消防庁、機動隊、自衛隊のポンプ車などを動員して必死にあたっているものの、何分、高濃度の放射性の汚染に危険をさらしながらの作業なので作業は思うに任せない。

自衛隊のヘリからの空からの消火も「陸自ヘリからの3号機消火見送り 放射線が限界値超す」(周辺上空の放射線量を調査したが、限界値を超えたため長時間現場にとどまることが危険と判断し、消火活動を見送った。17日以降も放射線量を調査し(朝日2011年3月16日20時54分)といった具合で時間は刻一刻とカウントダウンしている。
太平洋戦争末期の空襲に対して、バケツリレーで消火に当たっているようなもどかしさだ。

菅総理も、防衛大臣も、各大臣、政府も、トップリーダー、官僚のすべてが原発の崩壊食い止めに時間を待っている余裕はない。

いまこそ、

勇士による決死的な行動の成功をただ祈る 

                       のみである。『日本を救え』「それが世界を救うことにもなる』
 
『米紙、原発作業員の献身伝える 「勇敢に立ち向かう50人」http://www.47news.jp/CN/201103/CN2011031601000614.html
 
『政府には勇気を、マスメディアには冷静さをー八代嘉美』http://synodos.livedoor.biz/archives/1709878.html
 
『東京電力福島第1/第2発電所の事故について』(放射線のレベルについて(公表されている放射線量はどのような意味を持つのか)社団法人日本原子力学会-
 
 

 - 現代史研究

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