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速報(11)『日本のメルトダウン』(3・11)を食い止める!17日目ー福島原発東芝元設計部長のコメントほか、情報

   

速報(11)『日本のメルトダウン』(3・11)を食い止める!17日目
福島原発東芝元設計部長のコメントほか、情報
 
前坂 俊之(ジャーナリスト)

              3月27日午後11時までの状況― 
 

●(2011年3月27日19時16分  読売新聞)『「フクシマは警告する」ドイツで大規模デモ』

●NYT紙3月27日(ブルームバーグ)IAEA事務局長:福島原発危機、「終結には程遠い状況」-http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=aSnKV7wxDcwg

 ●『ニューズウイーク』(2011年03月25日(金)16時44分)
クライド・V・プレストウィッツ(米経済戦略研究所所長)『震災でわかった日米の競争力格差』


「福島原発」につき、元東芝原子炉設計部長が分かりやすいコメントを送信してくれましたので、転載します。

 
 
藤林徹(元東芝原子炉設計部長)のコメント

福島原発について多くの情報が飛び交っていますが、皆様からもご質問を戴いていますので、次のようにお返事いたします。
福島原発の地震と津波の被害による現象はニュースでご承知のとおりです。設計上の耐震強度の2倍の地震と設計で予想した高さ以上の津波に襲われて、冷却に使用する海水ポンプが流されたか損傷してしまったことは、ビルや町が津波に襲われている多くの映像をみるとよく理解できます。
現場は時々刻々変化し、また内閣府・保安院などからは、事態が日々悪化していると説明されています。今後どのように推移するか予断は許されない状態です。すなわち現状から悪化する方向か現状以上に悪化しない方向かで、危険性は大きく変わります。

一方で、東京在住の方々から、このまま東京に居続けてよいのか、雨が降ってきたら被曝するのかといった質問が寄せられています。これらの方々は、デマメールやインターネットからの多くの情報に混乱しているようです。今一番必要なのは、正しい危機感をもつことです。情報の発信元とその根拠を探って、正しい認識をもってください。

まず、権威のある情報であっても、二つの方向があることを承知してください。

一つは、現在と将来を悪い方向に評価した情報です。これは、何が起こっても対処できるように、安全サイドに評価した結果ですから、けっして悪いものではありませんが、安全サイドの度が過ぎる情報をそのまま信じて恐慌状態になります。

もう一つは、現在と将来を良い方向に評価した情報です。これは、人々が心の安堵を保てるように、現状以上に悪くならないことを前提とした評価結果ですから、それはそれなりに正しい情報ですが、それだけを信じると楽観的な態度に結びつく危険があります。

この二つの方向に基づく情報を、自分で正しく判断して、正しい危機感を持つことが重要です。正しい判断をするには、正しい技術的な根拠を理解しておくことが重要です。
何も起こらなければ、そのような難しい理論や因果関係を理解する必要はありませんが、福島原発の今の状況は、そのような理解が必要は段階です。わかり難くても、根拠を示すような新聞記事は是非注意して読んでください。
私見を次のとおり述べます

さて、前書きが長くなりましたが、このようなことをベースに私見を次のとおり述べます。
もしも、福島原発が冷却されて現状が維持または改善される方向であれば、放出される放射能は大きくは増えないでしょうから危険度は低いです。

しかしながら、冷却ができない方向であれば、危険度は大きく増えます。すなわち、原子炉にある燃料の、社会で言われている溶融(実際は燃料を包む被覆管の高温腐食)が進んで、燃料は崩れて炉心は崩壊するでしょう。
そうなると再臨界になって核分裂反応が始まるのではないかと心配する人もいます。しかしながら、それには核反応をおこす中性子を生み出す水が必要ですし、また中性子を吸収するホウ素が大量に炉心にあるため、再臨界の心配はないと思います。
このときでも待避した住民は十分に管理された状態にありますから、被曝の危険性は軽微でしょうが、待避できない人、例えば現場で戦っている東電の職員や作業員の方々には重傷者や犠牲者も出てくるでしょう。

 ○それでも東京都民は安泰です


それでも東京都民は安泰です。放射能は大気の流れに沿って拡散して広がり、広がった分だけ薄まりますから、距離が離れれば離れるほど危険度は低下します。例えば発電所の発生点で1時間あたり100ミリシーベルトであった放射性物質が東京方向の風に乗って流れたとすると、1キロ離れていれば1ミリシーベルト、10キロ離れれば0.01ミリシーベルト(10マイクロシーベルト)と低下します。
東京は福島から100キロ以上離れていますから、さらに0.0001ミリシーベルト(0.1マイクロシーベルト)以下となり、東京都民のリスクは、10キロ圏内にいる福島県民のそれよりもずっと低いものです。(この距離による低減効果は概念を示す安全サイドのもので、実際は、風向きや風速などの条件でこれよりかなり低くなります。)

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日の朝日の朝刊に、日本の平均年間被曝量は、自然からと医療などから3.75ミリシーベルトとありました。すなわち、一日あたり10マイクロシーベルト、1時間あたり0.5マイクロシーベルト以下になります。

すなわち、発電所で1時間あたり100ミリシーベルトであった放射性物質が毎日24時間、東京方向に向かって365日流れ続けたとしても、東京で受ける被曝量は、これまでの日本の平均被曝量の5分の1にしか相当しません。

したがって、東京から脱出するとか雨が降ったら外出しないなどの話は、まったくナンセンスです。でも、心配だったら、外出から戻ったら、花粉症と同じように、コートや帽子を払うとか、寝る前にシャワーで頭を洗う程度のことは実行すれば、さらに低い値になるのでよいでしょう。

むしろ、人的な影響、例えば危険をあおる報道やデマを伝えるネットやメールによる不安感の方が心配です。
これらは人から人へ伝染します。放射能の汚染より、こちらの伝染を心配してください。
福島原発の状況が現状からどちらの方向に向かうかは、今後1週間から1ヶ月しないとわかりません。それは物理的な現象の進展と、行政、東電、国民の努力によって決まります。
福島原発の状況は今後1週間から1ヶ月しないとわかりません

東京電力が自らの災害ではなく国民の災害であることを認識して、自衛隊や消防庁など行動できる行政部隊、他電力のエキスパート、国際的な知能の協力を仰ぐことができれば、国民が納得できる結果が得られます。
それで、将来の道筋ですが、それは政府が世論を見ながら決めることです。修復して再起させるのか、解体して更地にするか、あるいはチェルノブイリのように石棺に閉じ込めるのか、半年か1年後に決まるでしょう。

でも原子力事業は世論とともに進みますから、おそらく、更地にする道を選ぶと思います

更地にするには、まず喪失した原子炉の屋根を回復して、原子炉から燃料を取り出して安全な場所に移動させ、容器や部品を丁寧に除染しながら解体します。それには、5年から10年かかるでしょうから、3ないし4基の原子炉では数十年かかるでしょう。

この間にも放射能の問題が付きまといますから、地元の方は長期間の避難か移住が必要になります。その間の生活保障など莫大なお金がかかります。そのようなことから、不名誉な石棺を選ぶことになるかもしれません。

以上がとりあえずの説明です。

東京の人は放射の問題は心配無用です。将来の姿は世論が決めます。これが回答です。
地震と津波に遭遇した発電所(火力発電所を含め)のうち、使える発電所が復旧して計画停電が軽減されるまで、半年から1年はかかるでしょう。それまで、節電に協力しながら、今後の道を探ることも大切です。
どうか、厳しい現場で、命をかけて水を注入している技術者と労働者、それに関係機関の方々の無事を祈ってください。
このため、自宅を離れて不便な避難生活をおくられている方々に思いを馳せて、また心にゆとりができましたら、30年から40年の長期にわたって私たちに電気を送り続け、いままさに息絶えんとするプラントたちに、お疲れ様でしたとつぶやいてください。
 
『ウオール ストリート ジャーナル』(2011年 3月 27日  8:31 JST )
●●ジェフリー・ウッド『【オピニオン】円高は日本を救う』
http://jp.wsj.com/Finance-Markets/Foreign-Currency-Markets/node_210372

(2011年3月27日12時16分  読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110327-OYT1T00269.htm?from=top

●「2号機の水、放射性物質濃度は通常の1千万倍」

 
福島原子力発電所の事故に伴う放射線の人体影響に関する質問窓口 (Q&A)開設について

私達は、放射線の生物影響を研究する大学等の研究者の有志が集まった日本放射線影響学会会員の有志グループです。東北関東大地震を被災され、様々な苦難を強いられている皆様に心からお見舞い申し上げます。

私は、未曾有の大地震を映像で見て言葉を失ってしまいました。この大地震を切掛けに起きた東京電力福島第一原子力発電所で起きている原子炉事故に伴う放射線および放射性物質の放出によって地元の方々ばかりか日本国民の多くが見えないものに対するどうしようもない不安を感じておられると思います。

私達は、事故の素早い収束を願っています。しかし、TV報道などを通じ、一般の皆様が日頃なじみのない放射線の健康影響について計り知れない多くの不安を抱えておられることを目の当たりにして、放射線の生物影響の専門家である私達が、自分達の持つ知識とこれまでの実験的事実に基づいて現状を解析し、皆様の疑問に答え、少しでも皆様の不安を和らげて頂きたいと思い、このQ&Aを設けました。

皆様が感じておられる不安を解く情報をこのQ&Aの解説から見つけて頂き、少しでも各自が納得いく行動を選べるように期待しています。また、このQ&Aを読まれて疑問が生じたとき、まったく新たな疑問をお持ちの時は、どうぞご遠慮なく、

e-mail: gimon@rri.kyoto-u.ac.jp(渡邉)までお寄せください。

メンバーが適切な解説を作り、その一部はHPに掲示するとともに皆様に回答させて頂きます。

なお状況は時々刻々変化します。そのためHPの内容は、状況を判断しながら更新してゆきますのでご理解ください。

ささやかな支援ですが、少しでも皆様のお役に立つことを願いっています。

平成23年3月18日
日本放射線影響学会
福島原発事故に伴うQ&Aグループ
代表:渡邉正己(京都大学原子炉実験所放射線生命科学研究部門・教授)

このページをPDFでダウンロードする ここをクリック!


Q&A一覧
Q29 福島原発事故に伴う人への放射線リスクはどのくらいと推測されるのですか?
Q28 放射線量や放射性物質での汚染情報でいろいろな単位が使われて混乱しています。シーベルトとベクレルはどう違うのですか?
Q27 野菜などの汚染が報告されその危険度の目安として暫定基準値が使われていますがこれはなにですか?
Q26 放射線体表汚染と放射線被ばくはどうちがうのですか?
Q25 放射線の安全規制値はどのようにして決められているのですか?
Q24 線量と線量率のちがいは?
Q23 広島・長崎で起きた原爆と福島原発で起きている事故は同じなのですか?
Q22 洗濯物を外に干していいですか?
Q21 原乳から基準を数倍上回る放射能が検出されたようですが飲んでも大丈夫ですか?
Q20 今回の事故によって受けた放射線や放射能が蓄積した地域に1年も住み続けると被ばく線量が安全な量を超えてしまうことが心配ですが大丈夫でしょうか?
Q19 野菜から基準を数倍上回る放射性物質が検出されたようですが食べても大丈夫ですか?
Q18 首都圏に住んでいますが、事故から数日後に雨に濡れました。健康に影響はないでしょうか?
Q17 赤ちゃんに母乳を与えても大丈夫ですか?
Q16 水道水から放射性物質が検出されたと聞きましたが飲んでも大丈夫ですか?また、その水を食器洗いや風呂用に使っても大丈夫ですか?
Q15 福島原発から50km離れたところに住んでいますが、家で窓を開けたり、エアコンを使ったりしても大丈夫ですか?
Q14 仮に事故が拡大して放射線の影響がチェルノブイリ級まで広がった場合、大阪や東京での生活に影響はありますか?
Q13 放射線による発がんリスクはどの程度ですか?
Q12 被ばくによる身体的影響の特徴はなにですか?
Q11 被ばくすると人に影響を及ぼす放射線量はどのくらいですか?
Q10 放射性物質は、除染すればすべて問題ないのですか?
Q9 避難地域からの移動する場合、どの段階からスクリーニングや制限が必要になるのですか?
Q8 どの程度の線量から影響がでるのですか?
Q7 今後、東北・北関東地域の農産物や海産物は食べても、健康への影響はありますか?
Q6 外出後の衣服のビニール袋管理やシャワー励行などが指導されていますが、外部での放射性物質の付着や内部被曝にどこまで気をつけるべきですか?
Q5 チェルノブイリ事故の時はヨウ素131の甲状腺吸収阻害のために子供や妊婦への安定ヨウ素剤の服用が求めらたようですが、今回は、服用の必要性はありますか?
Q4 ごく微量でも長期間体内に留まることが不安です。時間が経てば、放射性物質はすべて体外に排出されるのでしょうか?
Q3 体内に取り込まれた放射性物質によって人体に影響が出る線量はどのくらいですか?
Q2 今回の福島原発事故の影響で東京より西の地域で人体に影響が出るのでしょうか?
Q1 各地の放射線量が文科省のホームページ(http://www.mext.go.jp/)で公表されていますがこれらは危険な値ではないでしょうか?

 

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