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梁山泊座談会『若者よ、田舎へ帰ろう!「3・11」1周年―日本はいかなる道を進むべきか①』雑誌『日本主義』2012年春号

   

《日比谷梁山泊座談会第1弾》
超元気雑誌『日本主義』2012年春号掲載(3月15日発売)
若者よ、田舎へ帰ろう!「3・11」1周年―
―日本はいかなる道を進むべきか①
 
問題点ははっきり分かっている。今の政治経済社会システムが機能不全に陥り、どうしようもないというのは、みんなはっきり分かっている。残されているのは行動である。若者は田舎に帰り、田畑を肥やし山河を守れ! 老人は都会に残り法匪(ほうひ)と戦え!
 
[出席者(五十音順)]
 
石飛仁(出雲古代史研究者)
岡敬三(航海史研究者)  
楠原 佑介(地名研究者)
小宮 義宏(プロデューサー)
西来路秀彦(近代アジア史研究者・法政大学講師)
長沼 節夫(ジャーナリスト)
前坂 俊之(ジャーナリスト・静岡県立大学名誉教授)   
本誌編集長・司会 (山岸修)
 
 
 
日本全体が「沖縄化」されかねないTPP
 
本誌 小誌では、これまで毎月1回、有志相集い、世を憂い、世直しの途を探る「梁山泊」という談話会を催してまいりました。その中では「目からウロコ」の非常にユニーク、あるいは面白い提起・提案がさまざまなされてきましたが、残念ながら一度も活字化されたことがありません。そこで、今回は小誌4周年を機に誌上公開座談会を試みることにいたしました。
 
 テーマとしては、「『3・11』1周年――日本は今後いかなる途を進むべきか?」ということで、政治・経済・外交・社会・文化の各分野で、皆さんにシャドー・キャビネットの一員となっていただいたつもりで、展望を語ってもらえたらと思います。
 
 現在、世界的な経済不況下で、日本は特に震災の問題があって、非常に世相が暗い状況にあるわけですけれども、何かそれを突破するような方法があるのか。現状認識も踏まえて、お話をお伺いしたい。岡さん、いかがですか。
 
岡―――戦後の社会のあり方まで左右しかねない今年一番の問題は、やはりTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)だと思います。これは経済自由化の問題と言われていますが、言葉とは裏腹な真意がその陰に隠されている可能性を危惧します。TPPの意味を捉えるには歴史的視点、つまりアメリカ文明史的流れの中でみる必要もあると思います。
 アメリカ合衆国は1776年の独立以来、覇権を求めて武力拡大を続けてきた国です。そして1945年に日本を屈服させ太平洋覇権を確立させました。ところが20世紀末からは守勢に立たされる時代に変わりました。
 
昨年(2011年)秋には米財政がデフォルト直前にまで追い込まれましたね。もうドル防衛のためには手段を選ばない、それがTPPである可能性が高いと思います。これは関税や農業など経済自由化が主課題ではなく、むしろブロック経済化によるアメリカ防衛の色彩が濃厚です。
 
 アメリカの主眼は日本の金融資産をどうやって自国へ移転させるか、にあるのではないですか。日本国債を支えてきた金融・保険、特に郵貯と簡保資金、そして社会保障制度の自由化(アメリカ化)が本当の狙いではないか。あまり報道されませんが、TPPの裁判権が実態としてアメリカの掌中に置かれそうなこと、これはとんでもないことです。沖縄は戦後70年近くたった現在でも在沖米軍に主要司法権を奪われたままであり、それが沖縄の苦難の原点になっています。TPPが米国主導の司法権下での紛争解決を義務づけたとき、日本全体が〝沖縄化〟を強いられることにならないか、そういう偽装された劇薬が処方されていると思います。
 
本誌――― 長沼さんはTPPについてどうお考えですか。
 
長沼――― 「戦争とは、もうひとつの形をとって行う政治である」というのはクラウゼヴィッツの『戦争論』の中のよく知られた言葉ですが、まさに至言だと思います。米国の最大のメッセージは歴史的に見れば戦争だったのです。アイゼンハワー大統領が退任演説で「米国の危うさは軍産複合体国家という点にある」と警告したがその構図が一貫しています。近年では「戦争中毒」と呼ぶ人もいる。イラク、アフガンと大規模な戦争を遂行しながら同時にもう1つの小規模な戦争もできた、つまり長く「2・5戦略」でした。しかしやがて「2・0」になり今年1月、今度は2・0からも撤退宣言をしました。つまり「1・5」です。アメリカは経済力が弱まって武力一辺倒では立ち行かない。経済戦争のほうに銃身が傾く。そこでもう一つの戦争がTPPだと思います。
 
 山田元農林大臣は、TPPを先取りしたものがメキシコ、アメリカのFTA(自由貿易協定)だと言っています。FTTをやってみた結果、なんとメキシコの農業は2~3年で壊滅した。メキシコの農民たちは失業して、国境を越えてアメリカへ流入している。今、アメリカの監獄は不法入国のメキシコ人で満杯になっているという。農産品自由化と農業の壊滅というのは、日本の来るべき姿かもしれないと思って、非常に心配しています。
 
 それと最近、「人口オーナス」という言葉が出始めています。『日経』が1月に人口動態の特集をしましたが、3日連載のうち2日まで学者たちのテーマが人口オーナスでした。つまり日本は90年代までは、人口ボーナスと言って、より多くの人間がより少ない人、つまり子供や老人の子どもの面倒を見みる、そういう社会が成り立ってきたのですが、今現在では、1・4人が1人の面倒を見ているということです。もう間もなく、それが逆転して、国連の推計の2050年には、日本は世界一の人口オーナス国になり少数派が多数派を養う国になるという、そういう予測をしている。
 
 さらに国債という名の国の借金1000兆円、地方債も合わせれば2000兆円という問題がある。これから来るべき子どもたちは、生まれた途端に何百万円という借金を背負わされる。このままで行くとわれわれが残した膨大な借金を払わなければならない。そういうツケを残してわれわれは息絶えていいのか、もっと考えようではないか。さあどうする。もちろん政治の責任は大きいけれども、国民的な一大議論を巻き起こして、未来の日本をどういうふうにするのか、真剣に考えるべき時が、今年だと思っています。
 

「資本の暴力」にどう対峙するか
 
本誌――― 楠原さん、いかがですか。
 
楠原ーー 岡さんと長沼さんが言われたことは、基本的に私も賛成ですけれども、では、脱出口はどうするのかといったら、よく言われる分権型社会。権力のあり方を根底から考え直すという論理だけではなくて、都市住民が今まで140年、あるいは江戸時代から言いますと、300年ぐらいにわたって田舎から都会へ流れ込んで来たというのが、日本の社会の底に流れる主潮流だったと思うのです。
だが、これからはそうではなくて、みんな田舎へ帰ろうではないか。今こそ田舎へ帰る時ではないか。都会に住んでいる人間が、場合によっては、3代前の出身地である故郷へ帰って、自給的農業をやろうということくらいしか、根本的な解決策はないのではないか。食糧自給率がカロリーベースで40%を切っていますけれども、実は日本の家庭の半分、2千数百万世帯が、いわゆる中山間地に帰って、自給的農業をやれば、これは、食料自給率はドンと跳ね上がります。
問題があるのは小麦ぐらいで、米の品種改良は延々江戸時代から続けてきたわけですけれども、日本では、麦というものの品種改良は、ほとんど手がつけられていない。ただ、日本の農地は、麦には全く適さないのかというと、そうではなくて、土地改良と品種改良を両方併せてやれば、日本の農地でも十分、食に耐え得る小麦を僕はつくれると思っています。畜産飼料としての作物も考えれば、食料自給率は解決可能だと僕は見ています。
 
 それから、先ほどのTPPについては、世界の警察国家としてのアメリカが、もうもたなくなった。あちこちへ出掛けて行って、戦争を……実態は戦争ですけれども、独裁者を倒すという形のお節介は、もうアメリカ単独ではできなくなった。これに対する対応策としては、私は前々から言ってきましたが、1991年にロシアが共産党の軛(くびき)から放たれた段階で、アメリカも日本もEUもロシアと手を結ぶことを考えなければならなかった。
すでに20年以上も経ちましたが。つまり、爆発する中国に対して、爆発というのは経済成長と同時に、中国人はどんどん世界中に出て行くわけです。
 
この華僑という存在は、おそらく中世のヨーロッパ社会でユダヤ人が占めてきた立場と同じような経済的底力を持っている。ユダヤ人よりも中国人が始末が悪いのは、彼らは自国の文化を「世界の華」だと思っている民族である。その流儀を世界標準にしようとするのには、「少し待ってくれ」と言いたい。世界中の数千の民族には、それぞれ固有の文化、生活様式がある。それぞれの地域にはその特性と歴史的展開があって、中国人のやり方だけが世界に普遍的に通用するものではないと指摘しておきたい。

そう考えますと、先ほど言ったロシアと、アメリカ、カナダ、日本、あるいはその他の国家による、私は韓国と北朝鮮はちょっと別してもらいたいと思うのですが、いわば「北太平洋条約」という形で先進国の国際連帯を図って、中国および中国人の暴走を食い止めなければならないというふうに考えております。その他のことは、また改めて。

 
本誌―――楠原さんから、突出した発言がありましたが、これに関してはどうですか。
 
西来路—ソビエト連邦と社会主義共和国のグループが崩壊して世界的に資本主義になったということで20年経ちます。マルクスの言い回しを借りれば、世界が資本主義の市場で統一されたわけです。しかし、それはどういうことかというと、新規市場が物理的にもうできなくなったというのが大きなスケッチだと思います。
 
 先ほど長沼さんのご指摘にありましたけれども、新しい市場をどうするかという点で、アメリカがやったのは、ひとつは戦争を続けたのだけれども、これは市場の編成にはあまり役に立たなかった。
次に、今やっているのが、既存の市場をもう一度、世界収奪ができるアメリカ資本主義型に再構成できないか。そのプロセスのひとつが、金融という手段であったわけです。今までの市場を、もう一度新しく、儲けやすい、あるいは儲けることのできる市場としてつくり直していく。これが今、わずかに10数年にして壁に当たったということなので、今、次の新しい市場を既存の市場を作り変える形で、もう一度儲かる構造にしていかなければならない。というのが、アメリカというよりは、資本主義全体の、特に中核的な突進部隊の現在的課題になっています。
 
 それのひとつの表れがTPPではないかと、私は思っています。その極端な動きが、例の政府と企業間の訴訟という組み立てで、これも、日本を訴えることによって、日本の市場を今までの改善要求書以上にガツンと変えていく梃子(てこ)になるだろうというような捉え方です
 
 その中で、先ほど楠原さんも言われたように、アメリカの世界戦略の下で動いていた日本というのは、この20年間、全く何もできなかったわけですけれども、政権与党が変わることによって、若干の芽が出たのは、東北アジア、東アジアの共同体であったり、あるいは野田氏がもう一回引き直したアメリカのブロックの形で、世界政策の中にアジアブロックをつくるというような、今の形です。策の善悪は別として、今日本が試みている部分的な政策は、それぐらいしかないのだということを、逆に私たちは付き付けられていると思うのです。
従って、この梃子は何かというと、旧来の国民経済的な補強だけでは限界があるだろうというのが見えていますので、そこら辺でどういう国際性を築きながら、次の政策なり戦略を練っていくかというのが、日本としての生き残りの課題かなというふうに思っております。
 
小宮—- 今、西来路さんが、世界的に資本主義化したという話をされましたが、実際にそういう状況になって、世界経済はものすごく不安定化しました。そのことは冷戦体制が崩壊したときに、予測されていたのですね。通貨危機があり、金融危機がありという中で、実際それが現実になってきたわけです。そして、現在の世界経済の状況を見てみると、マクロな経済政策というのがもう効かなくなっている。つまり、日銀などが分かりやすい例ですけれども、EUとかアメリカとか、G20でもいいですが、それくらいの規模で政策をやったとしても、マーケット、資本の力のほうが強いわけです。コントロールが効かなくなっているということです。
 
だから一時的な止血のようなことはできるけれども、だけれども、もう人間の力を越えた資本の力のほうが強くなっている。そうなるとマルクスの予言のようになってしまうのですけれども、実質としてはそうだろうと。そこで、だから何ができるかということなのでが。
 
 例えばTPPに関して言えば、私は国際間で決めるべきことと、2国間とかで決めたほうがいいことというのがあって、僕はできることならなるべく2国間で、まず取り決めをしたほうがいいという立場なのです。具体的に私が関わっている仕事のところで言いますと、例えば著作権などというのは、著作権条約がある。
だけど2国間のルールもあるのです、個別の。だから、そういう形でお互いの国にとってメリットのあるような貿易のやり方をやっていったほうがいいだろうという考えを僕は持っているのです。
 
 ただし、実際に過去の黒船が来た時の話などもそうですけれども、黒船が来て、日本にとって果たしてマイナスばかりだったかというと、そういうわけではない。それによってやはり、日本の農業とか色々な政策のあり方とか、やはり物をつくっている人間の意識などを変えなければならない部分が、僕はあると思うのです。郵便事業を始める時もそうだったのですけれども、非常に複雑な問題であろうと思います。
 
 それから、どうしていったらいいかということに関しては、大前提として、資本主義経済は、コントロールできないほどモンスター化してしまったという認識が私にはあるのですが、私は官僚でもないし、政治家でもないので、マクロな政策に対する批判は他の人に任せて、自分でできること、実効性のあることをやりたい。やるしかない。そう考えたときに、僕のような映画の制作とか、配給、宣伝とか、展覧会のプロデュースとか、現場、あるいはそれに近い仕事を、リスクをとってやってきた人間が、真っ先に気になるのは、やはり、今の日本の官僚とか政治家は、とにかくお金の使い方が下手くそだということなんです。
 
同じ100万のお金をどこかに出すにしても、そこから色々なところへ波及していく、その効果というのを考えたときには、やはり、その使い方が分かった人が、そのお金を握って、そして出せるような形にしないと、なかなか日本経済の先行きは難しいのではないだろうかと。
 
 先ほど、日本の借金の話が出ましたけれども、これだけ借金がある状況で、何ができるかと考えると、やはり。もう限られた予算の中で、それをどう上手に使うかということを考える以外ないのではないか。これは、サービスを提供する側の問題ですが、サービスを受ける国民の側から考える必要もあるでしょう。昨年の大災害で、国民は節電をしました。
それなら、税金を使う行政のサービスを、できるだけ減らすことができるようなライフスタイルを作っていくこともできるのではないかと思います。サービスを受ける側が、本当にそのサービスが必要不可欠なのか、税金を使わなくていいような代替案はないか、国民の一人ひとりが考えることです。
 
 それと、先ほど、楠原さんがおっしゃっていましたけれども、僕は日本の国土全体を、もっと大いに活用していくべきだと思います。地方を活性化するということが、やはり日本を少しでもいい方向へ行く唯一の手段ではないかというふうに思っています。僕の周辺で地方に移住して行った人たちがいるのです。やはりそこで、もっと地方のものを活用するためには、いろんな意味で、地方でもっと文化的な力を育てていく必要がある。
 
今まで地方にないから、若い人たちは、みんな東京に出てきた。だけど、地方に能力のある人材を受け入れる力がつけば、もっと人が動く。それから、経済的なことで言うと、地方へ行けば、まず衣食住の中で、特に住の部分というのはお金が掛からない。それから、食の部分に関しても、畑や田んぼを活用すれば、食費は、自分たちでつくれば、コストが下がるわけです。

そうすると、そこでやはり東京にいるときと違って、お金の余裕が少しでも出てくる。その余裕ができたお金の半分くらいでも、預金するんじゃなくて、使うようになれば、少しは変わっていくのではないかという気がします。まあ、現実にできることを一歩一歩積み重ねていく以外には、マクロなことを言っても、実際にやっても、ちょっと

今の状況では何も変わらないというか、悪い方向に行く可能性のほうが大きいと思います。大戦争でも起これば、話は別ですけど。TPPがなくても日本農業は死んでいる
 
本誌 石飛さん、いかがですか。
 
石飛 これまでの議論から外れるようですけれども、まず、私の関心、あるいは活動暦について少しだけでもご説明しておかないと、ここでのハイレベルな話に入れないものですから、紹介させていただきます。二つほどずっとやってきました。一つは、戦争責任の問題で、戦時中に秋田の花岡鉱山で起こった「花岡事件」というのを追跡してきました。戦後の杜撰な処理を巡って、ずっと調べてきました。30年ほど掛かったのですが、全部分かりました。どうしてそういうことが起こったのか、起こった後の対処の仕方の不当性など問題点が今は全部見えます。
 
 その調査をやりながら私は、現代において、そうしたことが起こったことの意味合いというのはどういうことかと考えてきたのですが、日本人とは一体何者であるのだろうかと考えざるを得ない道にだんだん入っていきました。たった一つの戦時下の事件なのですが、そのことを掘っていくと、私の出身地の出雲古代史、忘れられてきた日本の始まりの話にたどりついたのです。現代の「花岡事件」を研究していた人間が、どうして古代史にいくのかということの説明は容易ではないのですけれども、今、3・11の大
きなことが起こったことを契機にして、私が今日本古代史へ向かう考え方、研究の仕方というのは、間違いではなかったと、すごく思っています。
 
 これまで古代出雲の話は、全部幻の話、あるいは神話となって、実際にはありえないこととして退けられてきたのですが、どうも日本の一番大事な歴史の根っこのところに、消された出雲古代史の存在があり、神話の中にこそ歴史の実相というものがあるということがだんだん分かってきたのです。

それで、近代の政治体制は、常に肝心なことを、肝心な日本の先祖の新の姿を伏せてそれに触れないようにすることをもって成り立ってきたように思えてきたのです。出雲古代史は、律令政治確立後の日本史の中でずっと避けられてきたことの意味はただならぬことだと思うようになったのです。

 
TPPがなくても日本農業は死んでいる
 
 
「花岡事件」と格闘し、消された出雲古代史を手繰っていくと、本当の人間の営為といいますか、生活の仕方のようなものと真摯に向き合うという力を、誰かに預けるのではなくて、自分の体内にいかに取り戻すかということをもってしか、何事も語り得ないのではないかというように思うようになったのです。
 
 短く話を切りますけれども、私の中では「花岡事件」の研究を出発点として、出雲古代史に行き着き、さらにその古代史の中から抜け出す道が、実は現代と直結している出雲を縄文として見ることにつながったのです。つまり、1万年間戦争をしなかった日本の先祖の生き方に学ぶという視点が出てきたのです。反戦平和をテーマにしてきた私には、出雲古代を通して縄文の人々が一万年も戦争せずに圧倒的に生きてきたその生き方のものすごさに感動せずにはおれなかったのです。
 
 今日の座談会で時間がありましたら、僕としては日本国憲法ないしは戦争、自衛隊の問題について話したいと思っておりますが、それもこれも「花岡事件」という一つの事件を徹底的にやったからこそ言えるようになったのだ、ということを言っておきたいと思います。
 
本誌 前坂さん、関連していかがでしょう。
 
前坂―――私も、花岡事件には興味があって調べたことがあります。それから、日本古代史の読み直しも、天皇制の問題を考える意味で欠かせません。
 それは、改めて座談会のテーマにしていただきたいのですが、私が今、一番思うのは、現在日本が直面している問題は、論議する段階はとっくに過ぎている、行動あるのみということです。日本丸は少子超高齢化、人口急減、巨額財政赤字に原発事故放射能長期汚染の3重苦、4重苦で沈没必至の状況です。日本丸はどんどん浸水してきており、下級船室は水につかって失業者、生活保護の激増、国民の困窮です。
 
 ちょうど100年前(1912年)に、世界一の豪華客船のタイタニック号が沈没しましたよね。今回、イタリアで豪華客船が転覆しましたが、このケースと同じ。絶対沈まない不沈客船が存在しないように、科学技術を過信してはいけません。原発の安全神話だって、タイタニックの不沈神話と同じものです。

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