前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

『F国際ビジネスマンのワールドニュース・ウオッチ⑦』強い円が日本では世代間に溝を作っている』<ニューヨーク・タイムズ7/31>

   

『F国際ビジネスマンのワールドニュース・ウオッチ⑦』
 
★『“Strong Yen Is Dividing Generations
in Japan”

強い円が、日本では世代間に溝を作っている

<ニューヨーク・タイムズ7/31by MARTIN FACKLER>

 
 (F氏コメント)
 
1.失われた20年という日本のデフレは、1986年12月から1991年2月迄の不動産バブル、そしてその崩壊に端を発している。
筆者は鹿島、大成、清水等大手ゼネコンの幹部や、自動車、鉄鋼業界の大手企業幹部から、当時異口同音にこのバブル崩壊の修復、つまりデフレスパイラルを脱してインフレ基調に戻るのに20年はかかると云われ、意気消沈した記憶がある。
20年以上経過した現在、いまだデフレ脱出の徴候は見られない。
 
2.米国住宅バブル(サブプライムローンバブル)は2002年から2008年9月のリーマンブラザーズ破綻迄の約6年間続いた。
この間の日本の経済は米国の熱狂につられて、供給余力は少なく需給関係はタイトで、漸く長いデフレのトンネルも終息すると期待されていた。
リーマン破綻の結果は、直下型地震と云われ、2009年3月頃は各企業の稼働率が一気に50%と半減する様な未曾有の悲惨な結果となった事は記憶に新しい。
これら二つの超弩級バブル崩壊の結果、日本の需給関係は依然として構造改善がなされていない。デフレは宿痾の様に続いている。
 
3.日本の名目成長額は、不動産バブルの崩壊以後、1992年から2012年の今日迄の20年間、全く延びていない、弱含み横這いであり、この間の円ドルのレイトは約130円から76円へと超円高まっしぐらである。
この名目成長の絶対額をマイナス方向で圧縮して来たのが、この間の40%もの円高である。
 
3.NYTのこの記事は、日本の長期デフレと平行する超円高が、日本の名目経済の成長と雇用の拡大をストップさせ、企業の海外逃避を加速させて国家の経済力、活力を急速に奪っていると云う。
 
大量の輸入品の価格下落、諸物価の下落を通じて、高齢化社会をひた走る日本のシニア層の生活を安定させているという効果は大であるが、現役世代の職、所得を奪い、生産活動の空洞化を加速させるこの異常な円高は速やかに是正しなければならない、という。
 
消費活動主体のシニア層は、現役世代の生産活動を支援するため、所得の減少を覚悟して、円安への転換に協力すべき、と云う。
                      以上
   2012/7/31     NYT by MARTIN FACKLER
   “Strong Yen Is Dividing Generations in Japan”
     “強い円が、日本では世代間に溝を作っている“
 
 
 
静岡、日本 ― 且つて、この国を経済大国に押し上げた産業が支配力を失い、これに続く産業に乗り遅れているが、これには問われるべき多くの責任がある。エネルギーコストを押し上げる原子力大災害。起業家精神の欠如。中国の相対的に安価な労働力。
 
然し乍ら、ビジネスリーダー達は問題が、少なくとも一部は益々政府の権限の範囲内にあると指摘している。高い円、これが日本製品を、TVからメモリーチップに至る迄、外国市場で極端な高値にしてしまうと。
1980年代、米国で猛威を振るった論争の遣り取りの中で、アメリカ政府は円安を抑制する策をほとんど何もしないと云う批判の拡大に直面していた、記録的なドル高は国家の重要な輸出システムに一時に大打撃を与えると云う警告があったにも拘らず。
 
アナリストや政治家が云うには、一つの大きな理由は簡単である、概して言われていない事だが、「高い円は、例えそれが国の他の分野を害するとしても、日本の急速な高齢化人口にとっては利益になる」
からである。
 

 - 現代史研究 , , , , , , ,

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
明治150年歴史の再検証『世界史を変えた北清事変①』-『ドイツ、ロシア、フランス、イギリスらの中国侵略に民衆が立ち上がった義和団事件が勃発』★『連合軍の要請で出兵した日本軍が大活躍、北清事変勝利の原動力となった』

明治150年歴史の再検証 『世界史を変えた北清事変①』  義和団事件の発生 18 …

no image
世界史の中の『日露戦争』⑦『開戦必至の情勢』(32日前)日英同盟から英国は日本が抹殺されるのを座視しない』『タイムズ』

  『日本世界史』シリーズ   世界史の中の『日露戦争』⑦-英国『タイムズ』 米 …

no image
オンライン/新型コロナパンデミックの研究』-『米大統領選挙とサイバー戦争』★『強いものが生き残るのではなく、状況に適応したものが生き残る。『適者生存の原則』(ダーウイーンの法則)を見るまでもなく、米国のオープンソース・オープンシステムには復元力、状況適応力、自由多様性の組み込みソフトが内蔵されているが、3千年の歴史を自尊する中国の旧弊な秘密主義システム(中華思想)にはそれがない』(6月15日)

      米大統領選挙と「サイバー戦争」  前坂 俊之(ジャーナリスト)    …

no image
日本メルトダウンの脱出法(553)【オピニオン】日本の防衛政策のシフトは限定的『世界で高まる地政学リスク、米軍には「疲れの色」

 日本メルトダウンの脱出法(553)    ●【オ …

no image
『F国際ビジネスマンのワールド・ニュース・ウオッチ(172)』『都知事 M氏のこと、雑感ですー久し振りにセコイ大陸系金権政治家の亡霊が現れた感じです。政治資金規制法の抜け道を狡猾に利用している様ですが・・』

 『F国際ビジネスマンのワールド・ニュース・ウオッチ(172)』 『都知事 M氏 …

no image
片野勧の衝撃レポート⑰『太平洋戦争<戦災>と<3・11>ー震災特別攻撃隊(特攻)とフクシマ(下)』

 片野勧の衝撃レポート   太平洋戦争<戦災>と<3・11> …

no image
日本メルトダウン・カウントダウンへ(902)『安倍首相の退陣すべきを論じる】③『米WSJ紙「役に立たない一時的救済」』●『増税延期の安倍総理に必要なのは 二枚舌でなく「謝ること」』●『日本の財政は主要リスク、信認喪失なら世界経済に波及=OECD』 

   日本メルトダウン・カウントダウンへ(902) 『安倍首相の退陣す …

no image
『オンライン/真珠湾攻撃(1941)から80年目講座④』★『日米リーダーシップ/インテリジェンスの絶望的落差』★『東京五輪開催で日本は2度目の新型コロナ/ワクチン/経済敗戦につながるか』

  2015年5月19日/日本リーダーパワー不在史(568)再録 &n …

『日本リーダーパワー史』(1234)ー『2023年―戦後安保の歴史的な転換点』★『昭和戦後一貫して否定してきた敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有、防衛関連予算を2027年度に国内総生産(GDP)比2%へ倍増も明記』

2023年―戦後安保の歴史的な転換点 政府は2022年12月16日、外交・防衛政 …

no image
速報(59)『日本のメルトダウン』 ー『携帯電話は原発より危険だ』『『放射能汚染水、20日にも満杯 冷却水減らす判断も』 

速報(59)『日本のメルトダウン』   『携帯電話は原発より危険だ』『 …