陸羯南(くがかつなん)の日清戦争論⑥―日清戦争は約1800年前の神功皇后の三韓征伐、秀吉の朝鮮出兵以来の壮挙
2015/01/18
陸羯南(くがかつなん)の日清戦争論⑥
韓国問題が日清、日露戦争の原因―『我東洋問題の起因』⑥
―日清戦争は約1800年の神功皇后の三韓征伐、秀吉の朝鮮出兵
以来の壮挙で、その勝利は二者の十倍以上である。
陸羯南(くがかつなん)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%99%B8%E7%BE%AF%E5%8D%97
「東洋問題とは独り対清韓政策ではなく、対欧米策と同じ。欧米に対する軟弱外交は、独り清韓に対して強硬外交となることはない。情勢の変化を見て以て対立の起因を考える必要がある。日清戦争の勝利は約1800年に神功、豊臣以来の壮挙なであり、その結果は二者の十倍以上である。
『我東洋問題の起因』 【日本】明治27年11月14日号
この時に当り稲垣満次郎https://www.google.co.jp/#q=%E7%A8%B2%E5%9E%A3%E6%BA%80%E6%AC%A1%E9%83%8E
が新たに英国より帰り、かつてイギリスで公刊した『東方策』
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/785591
なるものを邦文にして東京で出版す。世人はこの著述を厚遇して争い読んだ所以のものは、独りその説の適切なるにあらず、人心方にこの問題に向いたる一証なり。西シベリア鉄道なるものまた彼れの著作に出ている。
ウラジオストックより二週間を出ずしてモスクワに通ずというのは、欧亜間(ヨーロッパ・アジア)の新道路として如何に世人を驚したるか。然りといえども政党人はいまだ内争の念を絶たざるにより、
24年の議院は国防費の点に付いて大衝突を起し第一回の解散を以て25年に入りたるぞ是非もなき。
○明治25年4月、政府は朝鮮より償出されるべき金二万円を朝鮮国に還付すとの案を呈出す。これは十七年の変(甲申事変)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%B2%E7%94%B3%E6%94%BF%E5%A4%89
に係る両国の敵対感情を一掃して親交を深めるためなり。
同五月、九州四国海岸の攻守術を講ぜんがために十日間、海軍大演習を行う。
六月、朝鮮亡民数万人が率いてロシア国境にくる。この時、大院君の邸に爆裂丸を投ずる者あり。
同九月、朝鮮使臣リゼンドル氏
http://f48.aaacafe.ne.jp/~adsawada/siryou/062/resi084.html
が済州島沿海漁業のため談判の任を帯びて来る。
同十月、陸軍大演習を東北の野に行う。 天皇は親臨してこれを観玉う。
同十一月、朝鮮京城におけるわが公使梶山氏がやめて、大石正巳氏
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E7%9F%B3%E6%AD%A3%E5%B7%B3
がこれに代る。これより先き,朝鮮政府が防穀令
http://sinojapanesewar1894.com/360ktradeswjapan.html
を出して我商民に損害を与える。
同十二月、我が新造の軍艦千島号
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%83%E5%B3%B6%E8%89%A6%E4%BA%8B%E4%BB%B6
を沈没させた英国商船ラヴエンナ号船長以下は、英領都庁において無罪の判決を受ける。
二十五年は議院解散及び選挙競争を以て上半期を経過したところで内閣交代あり。伊藤博文伯は新に起ちて内閣を組織し、いわゆる元勲内閣なる者出ず。此の時に当り世人はみな伊藤伯の抱懐尋常ならざるを喧伝し、
以為らく、伊藤伯必ずその常に人にいう所の東洋問題に着手し、大に人心の厭退を療するあらんと。図らざりき、伯の内閣は唯だ条約改正の業を最大時と為し、之を仕遂げん為めに諸般を犠牲にせんとするものゝ如く、而してまた他に対外策を行うの色なかりし。
現に海軍整理の如きは自らこれを為さずして反て議院の促迫を受け、ために聖上の親裁を仰ぐに至れるが如き時人之を憾む。
○明治26年4月、朝鮮に東学党の乱が起り、http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%B2%E5%8D%88%E8%BE%B2%E6%B0%91%E6%88%A6%E4%BA%89
将に暴挙に及ばんとするの報あり。
この時に当り我公使方に防穀事件の談判に従事す。世人の耳目は朝鮮に傾く。政府また軍艦八重山号を仁川に派遣する。
是より先き、海軍大尉・郡司成忠http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%83%A1%E5%8F%B8%E6%88%90%E5%BF%A0
が端艇に塔じて北辺千島に赴き移住の企を為す。
また陸軍中佐・福島安正
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A6%8F%E5%B3%B6%E5%AE%89%E6%AD%A3
が単騎でシベリアを過ぎ、将に帰朝せんとす。朝野共に此の二武人の壮挙を歓び盛に送迎を為す。また対外心の勃興といふべし。
二氏と相い前後して朝鮮公使大石正巳氏、防穀事件に付き大に韓廷と争い遂に賠償を出さしめて帰る。有志の士之を壮として歓迎す。
同年十月、雑居尚早論者が相結びて「大日本協会」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%8D%94%E4%BC%9A
を立て、大に対外軟の政治を攻撃す。後ち政府はその論の外国に憚りき多きを以て会を解散す。
十二月の議院に条約励行建議案出る。未だ議に上らざるに政府はその外国人の感情に障りあるを以て議院を解散せり。この歳の冬、志士相違が会して『親隣義塾』を起す。file:///C:/Users/maesaka/Downloads/hakase038.pdf
韓人朴泳孝の哀訴により、韓の子弟を教育するが為めなり。会する者の中に李逸植
http://www001.upp.so-net.ne.jp/nikkan-yuko/kimokkyunnews.html
洪鐘宇
http://nekonote.jp/korea/hito/hndng.html
あり。後ち二人は清人李経芳と謀り金玉均を上海に誘い、洪鐘宇が銃殺す。世はこれを国際事件に算す。
http://f48.aaacafe.ne.jp/~adsawada/siryou/060/resi056.html
明治26年の天地は対外硬軟の二派が相い争うの天地なり。いわゆる軟は世人之を政府に帰す。政府とはただ内閣という義にして陸海軍は之に入らず。
現に大石公使の韓廷に対する処置は内閣の好まざる所にして,大石氏はその職を退き、福島、郡司の二氏の壮挙は特に軍人及民間人士に賞賛せられて、内閣元と与らず。条約属励行論は議院を通過せんとするに内閣はこれを拒みぬ。
いわんや東洋問題は当時何処にか沈せん。超へて27年に入り新に選挙せられし議院はまた対外硬説を執りて内閣に迫る。内閣またこれを解散す。この時に当りて東学党再び朝鮮に起り帝国は兵を出して之を救う。帝国出師の拳はここに至りで已むを得ざるに至る。
既往を通覧して此に至らば、読者は我が対外思志の由る所と我が東洋問題の動く所とを知るに足らん。東洋問題とは独り清韓に対するに非ず、今日の世は清韓に対するはこれ欧米諸国に対するに同じ。欧米に対して軟なる者、独り清韓に対して硬なるを得べけんや。
況んや昨年において清韓に対してすら軟なるをや。時勢の変に見て以て事の起因を察する可なり。今日の事は実に神功豊臣以来の挙なり、結果は将に二者に十倍せんとす。而して責任は独り当局者に負はしむべからず。吾輩感ずる所ありて略叙す。(おわり)
(明治27年11月・14日 第1900号)
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