『日本戦争外交史の研究』/『世界史の中の日露戦争』⑯『開戦4ゕ月前の「仏ル・タン」の報道』- 『極東の紛争』『露仏同盟のフランスはシベリア鉄道によると特権をもつロシアの満州占領を擁護』『アレクセイ提督の極東総督府を創設した段階で,それを放棄する意向があると見なすのは的外れというものだろう』
『日本戦争外交史の研究』/『世界史の中の日露戦争』⑯
1903(明治36)年9月11日 「仏ル・タン」『極東の紛争』
『露仏同盟のフランスはシベリア鉄道によると特権をもつロシアの満州占領を擁護』
『アレクセイ提督の極東総督府を創設した段階で,それを放棄する意向が
あると見なすのは的外れというものだろう』
ヨーロッパはマケドニアとトルコ帝国全土にわたってレバント問題(東部地中海沿岸地方の歴史的な名称。厳密な定義はないが、広義にはトルコ、シリア、レバノン、イスラエル、エジプトを含む地域のこと)を抱えており,それを解決する力も余裕もないので,極東における恐るべき紛争が避けられるのであれば-もしくは単なる延期でもかまわないが-何でも大歓迎すべきだ。
国際的な利害が複雑にからんでいるおかげで,また影響力の大きい新たな同盟体制が発足したおかげで.中国や朝鮮の方の地平線が陰りを帯びたり,日が当たったりするたびに,外交はいたるところで-特に地中海東部においては-不都合であれ,好都合であれ,必ずなんらかの反響に見舞われている。
それ故.満州の諸港からの撤退およびこの地域における列強各国の権利の相互的な境界画定に関する長期にわたって懸案となっていた難しい交渉が幸福な決着を見たことは,心から満足して受け入れるべきだろう。
この問題がはらんでいる幾多の困難は,永続的かっ幻想を抱くとすれば子供じみている状況と1899年の暴動と義和団の乱によって生じた特殊で一時的な事態とに同時にかかわっている。
ロシアが,この地方に持っている大きな利益と,その巨大な大陸横断鉄道建設によって与えられた特権の名において,公共の秩序と平安を確保するために,満州の最も重要な戦略上および商業上の拠点を占拠することは当然かっ正当なことのように思われた。
ロシアは直ちにこれらの行動に添えて,その意図に関するきわめて詳細かっ明確な宣言を出した。その見解もしくはロシアの外交官の言回しによると,これはあくまでも一時的な措置に過ぎず,比較的速やかな撤退によってこの措置に終止符が打たれるはずだった。
当然のことながら,ロシアの進出の勢いを嫉妬の目で追っている列強,とりわけイギリス,合衆国および日本は,この約束を言質に取り,できるだけ速やかに撤退が行われるよう追求する権利があるものと見なした。
すでに1895年9月の時点で,ワシントンの内閣は-明らかにその不干渉政策の段階を過ぎて,極東における積極的な国際政策とアメリカにおけるモンロー主義をどう並立させるかに苦慮しつつ
-チョート大使からソールズベリ侯爵にあてた公文書の中で,いわゆる門戸開放政策の原則を打ち出したが,もちろんこれは満州問題に直接かかわるものだった。
それ以来,コンガー氏とサー・アーネスト・サトウは北京において執拗に撤兵の必要性を訴えてきた。
もちろんこの撤兵は誠実なものでなければならず,形式上は約束を守るふりをしておきながら,実際は臆面もなく破ってしまう,巧みな外交による皮肉な辞令の1つであってはならないと説いた。
ロシアが撒回したわけではないが,その約束を守るのにぐずぐずと時間をかけ
たように見えたとすれば,このように重大な行動をとるには慎重な配慮が必要であることを認めなければならず,そもそもイギリス内閣こそは.世界で最も信用されていかにもかかわらず,正々堂々とした撤退のを約束の履行を妨げ,ときに際限なく遅らせるような状況を起こし得ることを否定する資格のないかに見えた。
(中略)
結局,すべてはロシア次第であり,すべてはロシアが自分の義務と利益をどのように解釈するかにかかわっている。レッサー氏が,9月6日日曜日に外務部にあてて送った覚書は,最後の懸念を取り除き,ロシア政府が満州の港を以前の状態に戻すために必要と考える条件を明確に定めたものだ。
(中略)
実のところ,ニコライ2世の政府が,極東における兵士や外交官および技術者の数世代にわたる巧妙かつ忍耐強い政策によって与えられた有利さをすべて放棄してしまうとはだれも思わなかった。
ピョートル大帝以来,ロシア帝国を抗しがたい力で地中海の方へ,ベルシア湾の方へも中国の不凍海へと押しやってきた数世紀にわたる努力のうちでも,あえて言うならば,満州の地へ1歩ずっ忍耐強く進出してきた努力こそ宿命的なものはなく,ここに総督府を設立し,その初代の総督であるアレクセーエフ海軍中将の手にほとんど絶対的な権力
を集中することによって,その野心を明らかにし,そのための適切な機関を創設した時点で,それを放棄する意向があると見なすのは的外れというものだろう。
関連記事
-
『リモートワーク/外国人観光客への京都古寺動画ガイド』(2016 /04/01)★『日本最大の禅寺』妙心寺は見どころ満載,北門から参拝』★『退蔵院の枯山水の禅庭園を観賞、ワンダフル!』
★5外国人観光客への京都古寺ガイドー『日本最大の禅寺』妙心寺は見どころ満載,北門 …
-
「東京モーターショー2013」(11/23→12/1)が 開催,テーマは「世界にまだない未来を競え」③YAMAHA、ベンツ、三菱FUSO、BOSCH
★「東京モーターショー2013」(11/23&rarr …
-
速報(323)『日本のメルトダウン』『南相馬市で1kg当たり200万~600万ベクレルものセシウム東京の葛飾区水元公園も120万~30万』
速報(323)『日本のメルトダウン』 ●『南相馬市で採取された黒い …
-
『Z世代のための<憲政の神様・尾崎咢堂の語る「対中国・韓国論③」の講義⑪『日中韓150年対立・戦争史をしっかり踏まえて対中韓外交はどう展開すべきか➂ー尾崎行雄の「支那(中国)滅亡論」を読む(中)(1901年(明治34)11月「中央公論」掲載)『中国に国家なし、戦闘力なし』
前坂 俊之(ジャーナリスト) この『清国滅亡論』の全 …
-
日本リーダーパワー史(610)日本国難史にみる『戦略思考の欠落』⑤『1888年(明治21)、優勝劣敗の世界に立って、日本は独立を 遂げることが出来るか」末広鉄腸の『インテリジェンス』①
日本リーダーパワー史(610) 日本国難史にみる『戦略思考の欠落』⑤ 『1888 …
-
記事再録/知的巨人たちの百歳学(119) 江崎グリコ創業者・江崎利一(97歳) 「健康第一の法」「噛めば噛むほど、うまくなる」 『健康法に奇策はない』
知的巨人たちの百歳学(119) 江崎グリコ創業者・江崎利一(97歳) …
-
速報(95)『日本のメルトダウン』●(小出裕章動画情報4本)『南相馬の牛肉から6倍の放射性セシウム検出について』など
速報(95)『日本のメルトダウン』 ●(小出裕章動画情報4本)『7 …
-
速報(392)『日本のメルトダウン』 動画座談会『アベノミクス①日本の製造業は復活か、日中軍事衝突は起きるのか』
速報(392)『日本のメルトダウン』 &n …
-
速報「日本のメルトダウン」(493)日本の電気IT産業の復活は可能か「アイリスオーヤマ社長・大山健太郎氏の動画会見」
速報「日本のメルトダウン」(493) <日本の電気IT産業の復活は可 …
-
★日本の最先端「見える化』チャンネル(1/30)『省エネ大賞を受賞した三菱電機の家庭用エアコン『霧ケ峰FZシリーズ」の高い技術力がよくわかるプレゼン動画(15分間)』
「ENEX2019 第 43回地球環境とエネルギーの調和展」(1/ …
- PREV
- 『日本戦争外交史の研究』/『世界史の中の日露戦争』⑮』『開戦4ヵ月前の「英ノース・チャイナ・ヘラルド」の報道』ー『 朝鮮の危機ー日本民衆の感情ーもし朝鮮政府がロシアに対して,竜岩浦の利権を与えるようなことがあれば,日本の民衆感情は激化し,日本政府は戦争以外に選択がない』●『ロシアに朝鮮を取らせるようなことがあれば,日本の隆盛にある歩みは不面目な結末を迎えるだろう。世界史上最も驚嘆すべき進歩を遂げ,絶対の自信を持って偉大な未来を夢見ている日本国民は.このように認議している』
- NEXT
- 『日本戦争外交史の研究』/『世界史の中の日露戦争』⑰『開戦4ゕ月前の『米ニューヨーク・タイムズ』報道ー『ロシアがもし撤退を遅らせるなら,世界の前で破廉恥な背信を断罪される』●『ロシアの日本に対する待遇は協調的とは逆のもので,現実に欲しいものはなんでも取り,外交的にも,絶大な強国のみがとってはばからぬ態度で自らの侵略行為を正当化している』★『ロシアの倣慢な態度は,人類に知られた事実に照らし,正当化されない』