★「日本の歴史をかえた『同盟』の研究」/「日英同盟の影響」⑬1902(明治35)年10月22日『英タイムズ』『満州におけるロシア人ー占領の結果』●『日露戦争開戦3ゕ月前には三国干渉で日本から奪った満州は5年間でロシアの1州になっていた』
2016/12/01
★「日本の歴史をかえた『同盟』の研究」-
「日英同盟の影響」⑬
1902(明治35)年10月22日『英タイムズ』
日露戦争開戦3ゕ月前『満州におけるロシア人ー占領の結果』
<三国干渉で日本から奪った満州は5年間でロシアの1州になっていた>
➀ 満州を5年間で中国の領土から事実上のロシアの1州に変えてしまった。
② ハルビンはロシア人の都会で,満州の真ん中の沃野にそびえ立ち,何千もの頑丈な建物が, 中国人労働者の大軍によって,沿線にくまなく建設中だった。
➂ハルビンから南下すると.すべての主要都市沿いのロシア租借地にロシア人の居留地が建設中だ。奉天では鉄道はかつて15マイル離れていたが.今や西の城壁を通過している。
④鉄道敷設は実に巧妙に行われたから,今満州にはロシアが支配しない重要路線は1本もない。
⑤満州は完全にロシアの支配下にある。当局者はすべてロシアの権力下に置かれ,その承認なくしては何人も任命できず
『満州におけるロシア人-占領の結果』 本社特派員記事 北京10月20日
過去2か月間,私はロシア当局の許可と承認を得て満州を旅行し,ロシアの鉄道を視察するとともに,義和団事件にもかかわらず,満州を5年間で中国の領土から事実上のロシアの1州に変えてしまった。
驚くべき勢いをまのあたりにしてきた。5年前には私は中国式の馬車で,苦労して満州横断をしたものだ。今度は設備も整い、造りも堅固な快適な鉄道で旅をし.いたるところで歓待を受けた。3省の首都を3つとも回った。
ハルビンはロシア人の都会で,満州の真ん中の沃野にそびえ立ち,何千もの頑丈な建物が,ロシア人を恒久的に入居させるため,中国人労働者の大軍によって,沿線にくまなく建設中だった。
すばらしい変貌ぶりだ。鉄道が人口の希薄な黒龍江省を通るあたりでは,中国領内にいることを忘れてしまう。
中国人が侵入者のように見える。
シベリアがこの鉄道まで南下してきたかのようだ。ハイラルには5年前,貧しい中国人居住区のそばに,わずかのモンゴル人のテントがあるだけだったが.今やロシア人の店,ホテル,病院を備えたロシア人の町だ。数えたら駅に機関車が22両待機していた。今やロシア人の都市のハルビンには,5年前は中国人の泥の小屋が半ダースほどあっただけだ。
同市にはロシアの民間人が9000人いて増えつつあり,活動の鼓動が絶えることがない。
汽船でにぎわう松花江はアメリカの川のようだし,建設中の新しい町にやぐらが林立し.機械工場はアジアのどこにも劣らないし,機関車42両を格納する親閲庫もある。
ハルビン東の森林地帯の桟道河子などの場所は5年前には泥棒小屋があるだけだったが,今や大きなロシア人居留地となって,婦女子のいる家庭も多い。東部国境のポグラニチナヤには何もなかったが,今はロシア人町があり,きれいなれんがの建物が建ち,電灯も水道も引かれ,公園,読書室各が備わり,機関車21両を入れる機関庫もある。
ハルビンから南下すると.すべての主要都市沿いのロシア租借地にロシア人の居留地が建設中だ。奉天では鉄道はかつて15マイル離れていたが.今や西の城壁を通過している。
鉄道駅周辺のロシア租界は10平方マイルにわたり,そこでは大きな兵舎と,鉄道職員や常駐守備隊の将校用の恒久的な施設が建てられている。
鉄道守備隊はもうなく,今や国境守備隊という名に改められたのは意義深い。その数は3万あるいはロシアが適当と考えるそれ以上の数に上るだろう。
彼らは鉄道に沿って配備されており,3マイルごとに彼らのための恒久的歩哨所が建ち,またすべての重要な軍事的中心地には大きな兵舎がある。
恒久的施設はまだ不完全だが.今や鉄道の全線が開通している。西部国境からハ介ビンまでの歴巨雛は605マイル,ハルビンから東部国境まで335マイル,ハルビンから旅順までは615マイルある。駅は約15マイルごとにあり,駅の間隔は最大で20マイルで,工場を備えた主要駅は75マイルごとにあり,主要駅には必ず本線から分岐した長い引込線が何本も走っている。
本線は距離を短絡するため奉天を真っすぐに通り,西部国境近くで全長3138ヤードの大越トンネルを,また東部国境近くで3つの山を貫くトアネ!レを通る。後者は今年中に,前者は9か月中に完工する。恒久的な橋はすべて,松棍江の
見事な鉄橋2つも,チチハル近くのノン河の橋も完成し開通している。これら3楠は合計2555ヤードに上り,245フィートの怪聞が合計19ある。バラス工事は全体の4分の3がすでに完了し.苦力の大群が作業を続けている。
現在,全行程を毎日片道3列車が運航しているが,やがて毎日片道10列車にする予定だ。駅も増設中で,将来は行違いの引込み線を最長たった7マイル間隔までに設ける予定で,引込線は最長の列車の2倍は長いから,2つの列車を同時に続けて移動させることができる。これは純粋に車両の問題だが,列車は平均25の車両から成る。
普通の車両には小銃武装の兵士48人分の寝台がある。ロシアの兵隊はきわめ
て軽武装で移動するから,以上の数字はこれまで見過ごされてきたかもしれない部隊移動の可能性を示唆するものだ。
以遠にウラジオストクの大軍事地帯がある東部国境からハルビンまでの兵員移動時間は34時間だ。西部国境以西のザバイカルからハルビンまでは,列車は輿安嶺山脈を越えジグザグに走るとはいえ,64時間で着くし,ハルビンから旅順まではたったの60時間だ。
ロシアの満州撤退の厳粛な約束は忠実に履行されるだろうし.特にそのよう.な撤退の後ロシアは,3省の最も重要かつ富裕な都市を通る鉄道沿いにその占領軍を集結させることにより.撤退前よりいっそう堅固に満州に居座ることになろう。ハルビンから鉄道は南下して,遼河流域の国道沿いの寛城子,開原,鉄嶺,奉天,遼陽,海域などの商業都市を通る。
この地方はアジア有数の穀倉地帯で,家事も食糧も無尽蔵に近い。どの町にも物資があふれており,また国道沿いには無数の中国式の隊商宿が奉って,冬でも行き交う旅商人を楽に収容できるが.隊商も東アジアの見ものの1つで,毎日どこを見ても,ラバ7頭立ての馬車2000台が,荷物を満載して通っている。
さて撤退とは何を意味するか,考えてみるがよい。
私は10月8日に遼河の西の地方からロシア軍が撤退するのに出会った。この撤退は,条約の文言に正確に従って,これらの部隊を東へ1回行軍させて奉天のロシアの鉄道租借地へ移すことで,きこで鉄道協約に従い,鉄道守備隊として恒久的に駐留させることができる。
牛荘撤退とは.部隊を1時間の行軍の上流にあるロシア租借地の恒久宿舎へ移すか.または列車で1時間東の大石橋のロシア居留地へ向かわせることであり,大石橋には頑丈な石とれんが建の恒久的な,十分な数の兵舎が,冬までドできあがる。大
都市の奉天からの撤退とは,部隊を城壁の内側から,行軍で1時間の城壁外のロシア租界に移すことで,そこでは6000人に上ると見られる守備隊用の恒久的宿舎が建設中だ。
遼東撤退とは,城壁内のロシア部隊を城壁外の鉄道租借地へと移動させることで,そこでは150軒の,2階建も少なくない,独立家屋がすでに完成しており,さらに横400フィート,奥行50フィートの兵舎,砲8門を備えた要塞も建設中で,また機関車21両を入れる機関庫,病院1もあって,3000人の常駐兵力を置く準備が進んでいる。
ハルビンはロシア人の都市だから撤退するはずもないが,他の大都市でも事情は似たようなものだ。吉林省都の吉林は人口30万のすばらしい町で,ここを現在がっちり握っているロシアの大軍は4月8日に撤退することになっている。撤退とはこの部隊を西の寛城子の鉄道へと3日間行軍させることだが,その必要もなくなるだろう。
というのは.ロシア側は.中国をいやおうなく承諾させて,寛城子から吉林まで,平坦な土地に80マイルの鉄道支線を敷設する予定だからで,そうなれば書林撤退はロシア軍を列車で1時間のロシア租界の駅に移すだけとなる。
この支線が吉林という重要な中心地に延びることは確実で,鉄道延長はロシア側が適当と見なす兵力をいくらでも鉄道守備につける権利を伴うから,なおさらのことだ。鉄道敷設は実に巧妙に行われたから,今満州にはロシアが支配しない重要路線は1本もない。
鉄道を守る部隊がすべての省都をも守っている。
鉄道は黒龍江省都のチチハルから16マイルのところを通過するため,鉄道守備隊が同市をも支配している。ニングトの場合も鉄道が大体同じ距離のところを通っており,そこで鉄道守備隊がこの国境の重要戦略拠点も守る。
どの場合でも,撤退とは,ロシア軍部隊が近くの地点まで移動するが,そこからいつでも.抵抗なく.撤退した都市を攻撃できることを意味する。満州は完全にロシアの支配下にある。当局者はすべてロシアの権力下に置かれ,その承認なくしては何人も任命できず,撤退は,インドの土侯国におけるイギリスのように,急速に有効になりつつある支配を変えるものではない。
すべての水路もロシアが握っており,撤退後も同じだ。ロシア汽船がすべての航行可能なところを通っており,こうした水路はロシアの川へと続くから,通る汽船はロシアの船だけだ。
現在,3省の知事は,雇える兵隊の人数を制限されている。小銃は1挺残らずロシア人が焼印を押し.焼印のない小銃を押収すれば1挺残らず没収する。無煙火薬は禁止されており,小銃は主に旧式のモーゼル鏡だ。大砲はすべて没収され.そのほか満州のすべての兵器廠,武器庫,要塞にあったものも没収された。
密輸武器を買う匪賊は兵隊より装備がいいから,ロシア軍防衛線から離れたところでは無法状態が増大しているが,ロシア側は気にしていないようだ。撤退後は,中国の同意により各知事についているロシア人軍事監督官が軍事面を取り仕切り,中国側がむだと知らずに勢力回復を企てた場合,これを阻む態勢にある。
現在の監督官は,チチハルにポグダノフ,書林にソコフニン,奉天にクヴェビンスキー各大佐がいる。義和団事件の際,レネンカンプフ将軍がコサック兵300を率いてプラゴヴェシチェンスクから奉天まで,満州を席巻して向かうところ敵なしだったことを思えば,中国人ができる軍事的抵抗は知れたもので,しかも当時は満州には軍備があったのに,今は武装解除されているのだ。
ロシア人による中国人の扱いぶりは,ロシア軍の占領で長期間にわたり中国人に厳しい圧迫を加えたものの,今はロシア軍はよく統制がとれていて.住民の扱いも人道的だ。中国人当局者も,無給め兵隊がこそ泥を働く以外には,今は苦情はないと認めている。
私は2か月間の取材中,1度も虐待の例を聞いたことがないと断言できる。それどころかロシア人,特に将校は.かつてよそで見慣れたよりも配慮,友好,親近感をもって中国人を過しているようだった。
占領は住民に富の大いなる向上をもたらした。この地に何百万ルーブルもの金が落ち,中国人はかつて経験したこともない物質的繁栄を味わっている。だが遠隔地では匪賊がまだのさばっている。
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