前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

「Z世代のための日中外交敗戦10年史の研究(上)」★「2010年9月の尖閣諸島周辺での中国漁船衝突をめぐる日中対立問題で、中国側が繰り出すジャブに日本側はノックアウトされた。」★「 明治のリーダー養成法とは ーリーダーは優秀な若手を抜擢し、10年、20年かけて長期的に育てよ」

   

日本リーダーパワー史(96)名将・川上操六⑭日露戦争勝利の忘れられた最大の功労者

  2010/10/06  記事再録・日本リーダーパワー史(96)近代陸軍創設の五天王は山県、大山、川上、桂、児玉>

『リーダーなき日本の迷走と没落、いまこそ明治のリーダシップに学べ』

2010年10月6日書く>

この半年間、鳩山、菅の民主党丸の迷走と、リーダーシップのない小沢一郎らによる日本政治のドタバタ、お粗末ぶりを毎日毎日、いやになるほどメディアで見ながら、国家が没落、衰退していくのは、まさしくこういうことなのだと痛切に感じた。

昭和十年代の戦時下の政治の混乱、日中戦争、大東亜戦争に突入した段階での日中戦争の泥沼と混乱の世相、その後の対米戦争での敗戦に次ぐ敗戦、玉砕、全滅の悲報の暗いニュースが連日報道されていた70年ほど前の世相とダブって見えてくる。

そこへ9月の尖閣諸島周辺海域で中国漁船衝突をめぐる日中対立問題が突発して、中国側が繰り出すジャブの連打に日本側はあっさりノックアウトされてしまった。

日本側に外交インテリジェンス,歴史インテリジェンスのないことを再びさらしてしまい、世界に大恥をさらしたのじゃな。

仙谷や枝野が『中国は法治国家でない、われわれの認識不足だった』などという無知なコメントをしているのも聞いているほうが全くは恥ずかしい。

中国外務省の報道官の言語明瞭、意味明確な大声、流ちょうなコメントに対して、日本側の仙谷官房長官の言語不明、意味不明な、「戦略互恵関係」をバカの1つ覚えで繰り返し「冷静」「粛々」(一体どういうこと、意味不明じゃないのかね)と対応する、といいながら慌てふためいて、中国側の怒りを鎮めるために船長は処分保留で急きょ釈放する、それでもレアアースの輸出禁止がとけないので、こんどは菅首相がヨーロッパまで温首相を追っかけて行って何とかあってもらって廊下で雑談をする(これは首脳会談なんていうものじゃない、廊下の座り話)、これで強硬な措置を勘弁してほしいとお願いしているのじゃな。

これが残念ながらこれまでの日本の外交のやり方だんたんですね。これまでブラックボックスだった外交をメディア、インターネットによってか可視下したので、この無様な様子をさらしただけの話。

ようは日本側の言語障害的な口モグモグ、あいまいスローモ、何を言ってるのかよくわからない会見を180度変える。ホワイトハウス的な専門の報道官によって世界に明白なメ―セージを出して、国際コミュニケーションに勝つ戦略を考えねばならない。

それと日中コミュニケーションのギャップ、日本人と中国人の表現の違い、価値観、行動形式、プレゼンテーションのギャップ、日中間歴史のギャップ、日中のケンカの仕方の違い、日中カルチャー・コミュニケーションギャップを徹底して研究し、まず政治家、官僚、メディア、国民ががしっかりそれを勉強していく以外にない。

それと、今回の事件を通じて日本と中国との政治、経済、軍事のパワーバランスでは日本がすでに大きく負けてしまったことを残念ながら日本は認識する必要がある。すでにアジアでは中国がナンバーワンで、日本は2位以下で、大きく差が開きつつあるという事実こそ冷静に認識すべきなのだ。

こんな腹のたつニュースをみながら、日本の明治維新からの発展、国家興隆をになった最大のリーダーは一体だれなのか、これまでいろいろ考えてきた人物についてもう一度、歴史書を読みなおして考えてみた。そして、今は忘れられてしまっているが、川上操六などはまさしくそれに該当する人物であることを再確認したのじゃな。

明治初期のの弱肉強食、植民地主義の世界の中で、デビューしたばかりの最弱小国・日本は亡国にならない道をどう歩むか、100年の国家戦略について世界中の戦争、紛争、侵略したヨーロッパの列強、侵略されたアジアの弱小国(日本も同じく其の運命にあった)国々をインテリジェンスして、日清、日露戦争の勝利の方程式を考え出した最大の戦略家は、島貫重節『福島安正と単騎シベリア横断(上)』を勉強して、これまで連載してきた川上であることを再確認したのじゃ。川上はけた外れにすごい、今日、こんなに豊かになったわれわれ日本人が足など向けて寝られない大恩人である。明治のリーダーはだれも立派で、先をよく考えていた、今の政治家とは大違い、見習えじゃ。以下でその理由を上げる。

① リーダーは優秀な若手を抜擢し、10年、20年かけて長期的に育てよ。

明治十年の西南戦争で西郷隆盛を葬り去ってしまった明治陸軍は、まことに哀れな存在であった。明治維新の戦功第一といわれ、陸軍大将第一号の西郷隆盛を、理由は何であれ殺してしまった陸軍の運命は果して立ち直ることができるであろうか。


実際は薩摩、長州の藩閥抗争などがこの不運の原因の大きなものの一つであったといわれていた。、明治十年以降の陸軍主脳部にあっては、つとめて旧藩の派閥解消に努力はしたが、なかなか旧来の悪い習慣を除去することは容易にできなかった。

特に心ない者の中には西南戦争の怨痕を一層拡大していた例も少なくなく、特に人事の昇任、補職等の機微な点がその後も永く糸をひいていた事実であった。
当時の陸軍最高の主脳は有栖川宮熾仁親王で明治維新の時の江戸征討軍の大総督であった人で、明治初年に入って兵部卿(陸軍大臣)を務められた陸軍最高の人である。

次が江戸征討軍参謀の西郷隆盛であったが、その亡き後は山県有朋中将が代って実質的には全陸軍を指導しており、そして長州の山県中将を補佐する人として薩摩の西郷従道と大山巌の両中将がいた。

明治十六年暮のことであるが、今後の陸軍を建設し、特に近代化を推進するための調査研究を目的とした欧米視察団派遣を計画中であった大山陸軍卿は、この視察団員の人選を決定するにあたり、次の方針を定めた。

① 陸軍の近代化を推進するため思い切って人事の若返りを断行する。これがため当時三十五歳の川上操六、桂太郎の両大佐を抜擢し、この両名に新陸軍建設の主任を命じ、川上大佐は作戦運用を主務とする参謀本部関係(軍令事項という)桂大佐は人事・予算・制度等を主務とする陸軍省関係(軍政事項)と、それぞれ分担責任を明確にさせる。

② そして薩摩出身の川上と長州出身の桂両大佐とが真に協力一致して、旧来の藩閥抗争の解消の模範たらしめる。
③欧米視察にあたっては両大佐を主席随員とし、その他の随員にそれぞれ任務を分担させて、最後はこの両主席が協力してまとめ上げるよう組織化する。

右の方針は山県、西郷、大山の三名の中将が有栖川宮邸に参上し、その承諾を得て決定し、これが実行は一切を大山中将に委任され、結局この視察団の総裁も大山陸軍卿自身でやることになった。

 

つづく

 

 

 

 

 - 人物研究, 戦争報道, 現代史研究

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

『オンライン講座/今、日本に必要なのは有能な外交官、タフネゴシエーター』★『日本最強の外交官・金子堅太郎のインテジェンス⑦』★『日本軍はなぜ強いのかー武士道に根源あり』★『正義の主張も腕力の裏付けなくしては貫徹できない』◎『日本海海戦勝利に狂喜した大統領は「万才!」と 漢字でかいた祝賀文を金子に送る』

   2017/06/28日本リーダーパワー史(835)(人 …

no image
速報(437)『日本のメルトダウン』●『甘利明・経済再生担当相が記者会見動画』(6/19)●「安倍政権は本当に日本を救えるのか』

   速報(437)『日本のメルトダウン』 &nb …

no image
日本リーダーパワー史(570)『憲法9条(戦争放棄)の最初の発案者は一体誰なのか④』 マッカーサーか、幣原喜重郎か?(再録)

日本リーダーパワー史(570) 一連の「安全保障法制案」が閣議決定され、本格的な …

『オンライン講座/日本興亡史の研究 ⑭ 』1904年(明治37)/2/4日、日露戦争を決定する御前会議が開催』★『明治天皇は苦悩のあまり、10日ほど前から食事の量が三分の一に減り、眠れぬ日が続いた』★『国難がいよいよ切迫してまいりました。万一わが軍に利あらざれば、畏れながら陛下におかれましても、重大なるご覚悟が必要のときです。このままロシアの侵圧を許せば、わが国の存立も重大な危機に陥る(伊藤博文奏上)』

2017/07/22  「日清、日露戦争に勝利」した明治人のリーダーパ …

no image
『リーダーシップの日本近現代史』(118)/記事再録☆『日本の歴代宰相で最強の総理大臣、外交家は一体誰でしょうか ?!』★『 (答え)英語の達人だった初代総理大臣・伊藤博文です』★『●明治4年12月、岩倉使節団が米国・サンフランシスコを訪問した際、レセプションで31歳の伊藤博文(同団副使)が英語でスピーチを行なった。これが日本人による公式の場での初英語スピーチ。「日の丸演説」と絶賛された』★『「数百年来の封建制度は、一個の弾丸も放たれず、一滴の血も流されず、一年で撤廃されました。このような大改革を、世界の歴史で、いずれの国が戦争なくして成し遂げたでしょうか。』

  前坂 俊之(ジャーナリスト) 伊藤博文 (天保十二年~明治四二年) …

no image
高杉晋吾レポート⑤ギネスブック世界一認証の釜石湾口防波堤、津波に壊滅ー巨大構築物建設の危険性!④

2011年3月25日 ギネスブック世界一認証の釜石湾口防波堤、津波に役立たず無残 …

no image
速報(287)●『製造業:第3の産業革命が始まった』●『日本は本当に“極東の小国”へ転落するのか?』

速報(287)『日本のメルトダウン』 ●『製造業:第3の産業革命が始まった』●『 …

no image
『日本を救え、世界を救うために、決断を!』ー<福島原発事故 最悪のシナリオから考える(2)>(池田知隆)

  『日本を救え、世界を救うために、決断を!』 福島原発―最悪のシナリ …

no image
『リーダーシップの日本近現代史』(13)記事再録/<本物のリーダー、偉人とは~、この人をみよ> 『 大津波を私財を投じた大堤防で防いだ濱口悟陵 』★『 梧陵66歳の生涯は社会、公共、コミュニティーのために多額の私財を投入じて貢献した稀有の人物です』。

2012-06-01 /日本リーダーパワー史(262) 前坂 俊之(ジャーナリス …

no image
オンライン講座/『終戦70年・日本敗戦史(142)』★『開戦1ヵ月前に山本五十六連合艦隊司令長官が勝算はないと断言した太平洋戦争に海軍はなぜ態度を一変し、突入したのかー「ガラパゴス総無責任国家、日本の悲劇は今も続く」

2015/08/17 /終戦70年・日本敗戦史(142) <世田谷市民大学201 …