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地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

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『時代は、時代に後れる者を罰する』(ゴルバチョフ)ー今、冷戦崩壊に次ぐ、2020年の「withコロナ」時代、「地球温暖化・第3次デジタル世界大戦」に突入した。この時代の大変革に乗り遅れた国家、企業、個人は,明日の世界で生き残れないだろう。

   

  『オンライン/新型コロナパンデミックの研究』記事再録

  

『時代は、時代に後れる者を罰する』ー

         前坂 俊之(ジャーナリスト)

                          

 米中対決のエスカレーションを見ながら、世界史での「大国の興亡」の歴史サイクルが気になった。
大国の興亡には「コントラチェフの波」(景気循環の一種で、約50年周期(40年~70年のサイクル)の景気サイクルのこと)との関係が認められる。確かに、1930年代の世界大恐慌が経済のブロック化を生み、第2次世界大戦が勃発し「ナチス・ドイツ」はわずか12年間で消滅した。「米ソ冷戦」によるソビエト連邦崩壊は70年、明治維新から太平洋戦争の敗戦までの「大日本帝国の興亡」も72年間で幕を閉じた。
 「ローマ帝国、モンゴル帝国、中華帝国、大英帝国、「東洋における寛容と非寛容」アメリカなどの興亡を比較検討した結果、「多様性(移民)と寛容性のある国が最終的に覇権を握る」と結論したエイミー・チュア著「最強国の条件」(20011年、講談社刊)は示唆に富み豊富な歴史的造詣に満ちている。
また、「歴史社会学と領土拡張、政治、経済、人口統計、軍事、技術力などのデータを駆使して、数学的なアプローチで国家興亡の謎に迫ったピーター・ターチンの大著「国家興亡の方程式」(2015年、ディスカヴァー・トゥエンティワン社)の難解な書も散見して愚考してみた。
グーグルWikipediaによると、大国の興亡史のサイクルは古代ローマ帝国(2200年)「モンゴル帝国」(430年)、「元朝」(147年)「大清帝国」(268年)、「江戸時代」(250)、「大英帝国」(338)、「オランダ海上帝国」(350)「ソビエト連邦」(70)「ナチス・ドイツ」(12)「大日本帝国(72)などで、人類の歴史は戦争に次ぐ戦争の栄枯盛衰の歴史だったことがわかる。
 
さて、今回の香港の民主化を強圧的な暴力でつぶした中国の香港国家安全維持法の制定に対して米英豪カナダ、日本などは「一国2制度」(国際法)を一方的に破ったと猛反発した。
仏モンテーニュ研究所特別顧問・ドミニク・モイジ特別顧問(国際政治学者)は旧ソ連(ロシア)の強圧的軍事行動と瓜二つ(うりふたつ)だという。
「中国はハンデミックに世界が没頭するのをよそに香港の特別な地位を制圧した。西側が中東危機に忙殺された1956(昭和31)年、ハンガリー暴動(旧ソ連が民主化運動を戦車で鎮圧した事件)と重なる。香港の問題は2014年にロシアが国際法を堂々と違反してクリミアを併合した事態とそっくりで、既存秩序の暴力的な破壊だ」(日経6月25日付)

 

この中国の戦狼外交に対して7月14日、トランプ米大統領は中国を制裁する「香港自治法」に署名し、ついに「伝家の宝刀」を抜いた。米国からの中国融投資の禁止、外貨取引、貿易決済の禁止、米国内の資産凍結など中国との貿易関係を打ち切り、中国大手銀行をドル経済圏から排除、経済封鎖する内容。
5月末の中国の外貨準備高は3兆1016億ドル(約340兆円)だが、、この中国経済の心臓部のドル決済の血管を切断するショック療法だ。国際決済に占めるドルの割合は40%、人民元はわずか2%で、石油など主要な資源取引でもドルが牛耳っている。
中国側も負けてはいない。この「ドルのくびき」を脱するために、中国人民銀行(中国の中央銀行)が世界で最初のデジタル通貨「デジタル人民元」を発行する構想を推進中で、リアルな「一帯一路経済貿易圏」のアフリカ、EU,中近東、東南アジアの諸国との貿易決済はデジタル人民元でおこない、「ドル圏」に対抗する戦略。そのためには5Gフアーウエイが不可欠というわけだ。
世界覇権国(米国)と第2の経済軍事の膨張国(中国)の対立は歴史的には75%の確率で戦争に突入するというトゥキディデスの罠」があるが、すでにその前哨戦として中国、ロシアの諜報機関、ハッカー部隊による米国の通信ネットワーク機器を狙ったし烈なサイバー攻撃が展開されており、今後の中国の出方から目が離せない。
中国の現在進行形の行動形式をみると「非多様性(移民)と非寛容性(多民族共生)、信頼性(情報統制、言論の自由への弾圧、隠蔽体質)、古来からの中華思想(華夷序列)が色濃く残っており、「最強国の条件」を満たしているとはとても思えない。
 
さて、冒頭の言葉は1989年10月7日、ソ連共産党書記長ミハイル・ゴルバチョフがドイツ民主共和国(東ドイツ)建国四十周年を記念する式典に参加した時のスピーチ原稿の一節だ。
一九八五年で、ゴルバチョフが共産党書記長になり、ソ連を大規模な改革によって崩壊から救うためグラスノスチ(情報公開)とペレストロイカ(再構築、改革)に取り組んだ。その平和的な改革でハンガリーや、ポーランドではいち早く非共産主義政権が誕生したが、一番遅れたのがかたくなに強権共産主義を守るホーネッカー議長率いる東ドイツだった。
ゴルバチョフはホーネッカーとの会談で「改革か、引退か」を強く迫ったが、ホーネッカーは時代錯誤の自国発展説をまくしたてて拒否した。ベルリンの壁が崩壊したのはそれから約1ヵ月後の11月10日だった。
今、冷戦崩壊に次ぐ、2020年の「withコロナ」時代、「第3次地球温暖化・デジタル世界大戦」に突入した。この時代の大変革に乗り遅れた国家、企業、個人は,明日の世界で衰退するか、生き残れないであろう。
ダ―ウインの「強い者、大きいもの、マンモスが生きのこるのではない。時代、状況の変化に即応したものだけが生きのこる適者生存」なのである。

 - 人物研究, 戦争報道, 現代史研究

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