前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

『オンライン/憲法改正講座』★『マッカーサーは 憲法は自由に変えてくださいといっている。 それを70年後の現在まで延々と「押し付け憲法」×「憲法改正反対」の壊れたレコードの『日本ゾンビ政治』★『1週間で戦後憲法を作った米国の超スピード主義』×『その憲法改正を70年間議論している『日本のバカの壁』★『憲法問題の核心解説動画【永久保存】 2013.02.12 衆議院予算委員会 石原慎太郎 日本維新の会』

   

   日本リーダーパワー史(685)記事再録

『1週間で戦後憲法を作った米国の超スピード主義』『その憲法改正を70年間議論している日本ゾンビ政治』

前坂俊之(静岡県立大学名誉教授)

新憲法が作られたいきさつは1945年(昭和20)10月、GHQは憲法改正を日本側に指示、幣原内閣の松本烝治(憲法改正国務大臣)が中心となって憲法草案(松本試案)を作成した。

しかし、その内容が明治憲法と同じ保守的にすぎるとして翌年2月3日マッカーサーの緊急指令で、GHQが極秘裏に1週間で改正草案がまとめ上げた。この英文草案は13日に吉田外相、松本国務相、白洲次郎終戦連絡事務局次長らが出席した外相官邸での憲法問題の協議会で、突然GHQ案が提示され、民生局(GS)局長のホイットニーは「マッカーサーは天皇を支持する者であって、この案は天皇personを守る唯一の方法である」と説明した。

英文案を見た日本側は「天皇の象徴化」「戦争放棄」など改革案の多くに驚愕し、特に松本国相は猛反対しGHOと激しくやり合った。その後、GHQの矢の催促を受けて幣原首相、吉田外相は天皇の意向を拝聴したが、昭和天皇は賛成を示したので、26日の閣議でGHQ草案を基に日本案を作り、松本国務相、佐藤達夫法制局第一部長、入江俊郎法制局次長らが案文を作成することになった。

当時、天皇の戦争責任追及の国際世論が強く、吉田はマッカーサーの言う如く天皇さえ助かれば、その他の項目はあまり重要でないと判断したのである。

吉田は「わが国の当面の急務は講和条約を締結し、独立・主権を回復すること。1日も早く、民主国家、平和国家の実を内外に表明し、信頼を獲得する必要があった。憲法改正は大事だが、立法技術的な面などにいつまでもこだわるのは得策ではない」と「回想10年」(中公文庫、2014年)と語っている。

第9条の戦争放棄については、吉田自身が戦争中に東條英機内閣に抵抗した反軍容疑で憲兵隊に逮捕、2か月も拘留された英米派の自由主義者であり、9条には反対ではなかった。

鈴木貫太郎前首相の『負けっぷりを良くせよ』「まな板の鯉となれ」を胸に、「戦争に負けても、外交でかつ」との決意で68歳で首相となった吉田は外交力とジョークを発揮して、マッカーサーと強い信頼関係を結び、一刻もはやい独立、国権回復を目指したリアリスティックな政治家だった。

GHQと吉田も協力して作ったこの憲法はどれだけ民主的な条文が盛り込まれるかに連合国は重大な関心をもった点で、国際条約的な性格があったが、一部の議員や国民はその点が理解できなかった。

このために「押し付け憲法」という批判が吉田内閣退陣後(昭和29年12月)後、鳩山内閣の下で憲法改正論議として高まってきた。

吉田は「押しっけ憲法論」について昭和32年(1957)12月に開かれた第八回憲法改正総会で書簡を送り反論した。

「この憲法については、それが占領軍の強権によって日本国民に押しっけられたものだとする批評が近頃、強くなっている。

しかし私はその制定当時の責任者としての経験から、押しっけられたという点に、必ずしも全幅的に同意しがたいものを覚えるのである。

なるほど、最初の原案作成の際に当っては、終戦直後の特殊な事情もあって、かなり、せきたててきたこと、内容に関する注文のあったことなどはあるが、さればといって、その後の交渉経過中、徹頭徹尾〃一方的″もしくは〃強制的〟というのではなかった。わが方の専門家・担当官の意見に十分耳を傾け、わが言い分、主張に聴従した場合も少くなかった。

われわれの議論がなかなか決しない際などには、先方としてよくいったことは『とにかく実施して成績を見ることにしてはどうか、日本側諸君は、旧憲法の頭で考えるから、とかく異存があるのかもしれぬが実施してみれば、案外うまくゆくということもある、やってみて、どうしても不都合だというならば、適当の時機に再検討し、必要ならば改めればよいではたいか』ということであった・そういう次第で、時の経過とともに彼我の応酬は次第に円熟して、協議相談的となってきたことは偽りなき事実である』と否定した。(回想10年)

この吉田の証言を裏付けるマッカーサーの手紙がある。

マッカーサーは1947年(昭和22)1月3日、吉田首相への手紙で次のような重要なことを書いているのだ。新憲法施行の2ヵ月前のことである。

「もし必要ならば、憲法改正する自由な機会を完全かつ継続的に日本国民に保証するため、憲法施行の第1年と第2年との間に新憲法はふたたび連合国と国会とによって公式に再検討せられるべきであると連合国は決定した。

もし連合国がその際必要と考えるならば、この憲法に関する日本人の意見を直接たしかめるため、国民投票か、他の適当な手続きを要求するかも知れない。

憲法をたえず再検討することは、いうまでもなく国民に固有の権利であるが、貴下が事態を十分に承知しておられるよう、連合国の立場を特に御報らせする次第である。 敬具」

つまり、結論はでている。

マッカーサーは憲法は自由に変えてくださいといっている。それを70年たった現在まで延々と先延ばしで、小田原評定を続けて「米国が新憲法を押しっけた」「いや日本が押しっけられた」と非難、論争している。永田町政治は決定能力のない政党、政治家、口舌の徒、政党という名の烏合の衆団の「永田町田舎芝居、バカ政治」といわれても仕方あるまい。

 - 人物研究, 戦争報道, 現代史研究

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
百歳学入門(174 )-『生死一如』★『百歳天女からの心に響くメッセージ』―60,70/洟垂れ娘への応援歌」②『105歳小倉遊亀(おぐらゆうき)女流日本画家)『老いて輝く。60代までは修業、70代でデビュー、100歳現役』』●『105歳、最後の長岡瞽女(ごぜ)の②)『すべて神様、仏様のお導き、すべてを受け入れ許すことで自分も救われる』

 百歳学入門(174 )-『生死一如』★ 『百歳天女からの心に響くメッセージ』― …

no image
『F国際ビジネスマンのワールド・ウオッチ㉘』レッドソックスの神業マネージメント!昨年の大不祥の後遺症を猛スピードで解決した

 『F国際ビジネスマンのワールド・ウオッチ㉘』 <レッドソックスの神業 …

『Z世代のための歴史クイズ?『世界的歴史学者アーノルド・トインビーが「織田信長、豊臣秀吉、徳川家康をしのぐ」と評価した日本史最大の偉人とは一体誰でしょうか①??」

『「電力の鬼」松永安左エ門(95歳)は70歳から再出発、昭和敗戦(1945年)の …

no image
★5「世界の最先端技術『見える化』チャンネル」-「イノベーション・ジャパン2017(8/31-9/1) (株)「人機一体」は世界初の高さ4mの巨大・ガンダム型の人 型重機ロボット」をデモ

世界の最先端技術『見える化』チャンネル 「イノベーション・ジャパン2017(8/ …

no image
日本リーダーパワー史(619) 日本国難史にみる『戦略思考の欠落』 ⑬福島安正のインテリジェンス②明治6年、外務卿副島種臣が支那始まって以来、直接、清国皇帝の拝謁を実現した外交インテリジェンスの秘密

日本リーダーパワー史(619)  日本国難史にみる『戦略思考の欠落』 ⑬ 『福島 …

no image
知的巨人たちの百歳学(111)-明治の大学者/物集高見、高量(106歳)の大百科事典『群書索引』『広文庫』の奇跡の長寿物語➂→「(人間に必要なのは)健康とおかねと学問・修養の三つでしょうね。若い時は学問が一番、次がおかね。健康のことなんかあまり考えないの。中年になると一番はなんといってもおかね。二番が健康、学問なんかどうでもいいとなる。そして年取ると・・・」

物集は膨大な日記を書いている。 それは「百歳は折り返し点」の自伝の「年表の総まく …

no image
『 地球の未来/2018年、世界の明日はどうなる』ー「2018年はAIが最重要になる」(MITメディアラボの伊藤穣所長)★『人工知能やロボットには奪われない「8つの職業」』★『AIが人類を超える意味—カーツワイルの予言』★『 レイ・カーツワイル 「加速するテクノロジーの力」(動画)』★『 レイ・カーツワイル:今後現れるシンギュラリティ(動画)』

 『 地球の未来/世界の明日はどうなる』 2018年の世界経済、社会はどうなるか …

no image
日本メルトダウン(950)『福島原発のアンダーコントロールは「うそ」-小泉元首相が特派員協会で原発批判』(動画)●『東日本大震災 福島第1原発 凍土壁2カ所、溶けた状態に』●『財政再建へ独立機関設置を、IMF、日本に提言』●『小池知事、報酬半減案を提出へ9月議会に』●『日本人アスリート初! 本田圭佑、マサチューセッツ工科大の特別研究員に就任』

   日本メルトダウン(950)   アンダーコントロールは「うそ」- …

no image
日本リーダーパワー史(350)◎国難最強のリーダーシップ・勝海舟に学ぶ(11) すべて金が土台じゃ、借金するな』

日本リーダーパワー史(350) (総選挙公示―徳川幕府の末期症状と国難現在を比較 …

no image
片野勧の衝撃レポート(44)太平洋戦争とフクシマ⑰「悲劇はなぜ繰り返されるのかービキニ水爆と原発被災<下➁>

   片野勧の衝撃レポート(44) 太平洋戦争とフクシマ⑰ …