『リーダーシップの日本近現代史』(160)記事再録/『世界史の中の日露戦争』㉝『開戦2週間前の「英タイムズ」の報道/★『ロシアが極東全体の侵略を狙っており、一方、日本はロシアの熊をアムール川の向こうの自分のすみかに送り返して,極東の平和と安全を,中国人、朝鮮人,日本人のために望んでいるだけだ』★『1904年1月8日付『ノース・チャイナ・ヘラルド』 『われわれは朝鮮をどうすべきか?日本人からの寄稿』』
『日本戦争外交史の研究』/『世界史の中の日露戦争カウントダウン』㉝2017/01/12 記事再録
『世界史の中の日露戦争カウントダウン』㉝
『開戦2週間前の「英ノース・チャイナ・ヘラルド』(1904年1月8日付)
『日露情勢』両国間に共通の基盤が存在しない理由は,ロシアが極東全体を独占したいと思っているのに対し,日本は,ロシアの熊をアムール川の向こうの自分のすみかに送り返して,極東における平和と安全を,中国における中国人のために,朝鮮における朝鮮人のために,そして日本における日本人のために望んでいるからだ。
ドイツの新聞のこの危機に対する見解は,もちろんペテルプルグの指示に従っているが,ロシアのゴリアテは日本のタヴィデにおもちゃの軍艦と小さな木剣を片づけて南朝鮮で遊び回っていなさい.そうすればだれにもじゃまされないだろう.と哀れみ深くさとしてきたというものだ。
これに加えて,ベルリンからの昨日付のドイツ電は,次のように言う。「日本が南朝鮮を最終的に占領することは,日本にとって大成功だと,当地では考えられている。そして,このことは,あらかじめ示されたように,ドイツの全新聞によって歓迎されるものだ」。
このようなばかげた電報は,もしそれが,ロシアが過去数か月間とり続けてきた.威嚇・挑発方針の一部でないとすれば,何を意味するだろう。
ロシアのこの方針は,われわれが以前に述べたように,ロシアは日本に挑戦されれば受けて立たざるを得ない一が,ロシア皇帝には宣戦する意志がないという理由によるのだ。
現在の難局の解決策として.ロシアが朝鮮の北半分を取り,日本が南半分を取るなどという提案は全くお話にならない。
ロシアは巨文島協定で朝鮮の領土を一切取れないことになっているし,日本もまた.いかなる場合も朝鮮の独立と領土保全を擁護するため最善を尽くす約束をわれわれと結んでいる。
こうしたヨーロッパ大陸から絶えず流れてくる平和的解決の保証はど無益なものはないだろう。今や露日両国とも完全に武装し艦船や石炭や軍需品の買占めに狂奔し,中立国政府はその提督たちに,戦争が勃発した際にとるべき方針を,大急ぎで訓令しているのだから。
本紙東京通信員は,昨日の電報で情勢を次のように要約している。日本とロシアが交渉を続行し得る共通の基盤は存在せず,したがって日本は,ロシアが準備を完成するためにこれまで常に引き延ばしてきた交渉期間も終りを迎えたという感触を持った。
両国間に共通の基盤が存在しない理由は,ロシアが極東全体を独占したいと思っているのに対し,日本は,ロシアの熊をアムール川の向こうの自分のすみかに送り返して,極東における平和と安全を,中国における中国人のために,朝鮮における朝鮮人のために,そして日本における日本人のために望んでいるからだ。
われわれは今や戦争が不可避だとあえて断言するつもりはない。
最後の瞬間に,ロシアが自分の立場の難しさに気がついて,満州に関するそのいくつかの約束を守るという保証を与えるかもしれないからだ。
ロシアにとって日本との戦争は,歴史の中の1つの挿話に過ぎないが,日本はその存続のために戦うことになるだろう。
そしてもしロシアが中日戦争以来とってきた侵略の姿勢をやめない限り.日本は戦わざるを得ない。もしヨーロッパ列強と合衆国に先見の明があったならば,最初から日本を後援して,彼らが反対を唱えることに甘んじている戦争を防止できただろう。
西太平洋がロシアの湖になってしまうのは,世界全体にとって,フランスとドイツにとってすら好ましいことだろうか?
モスクワから大連まで豪華列車で旅行できる便利さが,西洋の商人や生産業者たちにとって,極東の門戸が次々に閉ざされていく埋合せになるのだろうか。
中国は何をなすべきか?中国も日本と同じくらい脅威を受けている。実際に中国は.満州を取り戻すために口出しすれば、蒙古と新彊を失うことになると警告されてきたのだ。
中国は軍隊の再編成に全力を尽くしており,かつて何人かの自国の政治家の裏切り行為によって失ったものを取り返すのに懸命になっている。現時点で,中国の強さは,じっとしていること,そしていかなる国に対しても全力で自分の権利を守ることにあるようだ。
その場合,少なくとも英語を話す諸国民は中国の独立と保全を確保するためにできる限りの援助を与えてくれる友人だと理解していい。また,もし要請されたときには,満州領を回復するために,日本を援助することだ。もし中国が,不安定ではあるがこれまで通りの帝国を維持したいと願うなら,今や率直で公明正大な外交政策をとらなければならない。秘密協定や,ある外国を別の国と戦わせることを好む性癖を.できれば改めなければならない。弱さの故にこうしたことに逃げ込むのだが,結局は失敗するのだ。
1904年1月8日付『ノース・チャイナ・ヘラルド』
『われわれは朝鮮をどうすべきか?日本人からの寄稿』
天はわれわれに深刻な問題を突きつけ,解決を迫っている。すなわち,「朝鮮をどうすべきか?」ということだ。
これまでわれわれの合言葉は「朝鮮の独立を援助しよう」だった。これは大変すぐれたモットーだが,過去10年間の経緯が,これを無意味なものにしてしまった。今われわれの問題は,朝鮮の独立をいかに援助するかではなく,朝鮮をどうすべきかなのだ。この問題に対する回答は2つしかない。
朝鮮を放棄するか,または併合するかだ。われわれはこの2つのうちどちらかを選ばなければならない。
この問題を解決するにあたって,われわれがまず第1に考慮しなければならない
のは,朝鮮の貴族や役人の利害ではなく,全人類の平和と幸福である。
孟子は言った,「民は最も尊く,王はこれに次ぐ」と。もしわれわれが朝鮮を放棄することで,朝鮮国民にも全人類にも利益をもたらすことができないならば.朝鮮を併合しようではないか。ハワイの独立も,フィリピンや琉球の独立も達成されなかった。とすれば,なぜわれわれは,朝鮮の独立が不可能なことをすでに発見しながら,朝鮮においてのみ独立を達成する援助をしなければならないのか?
われわれは,無思慮にわが国の領土的栄光を喜ぶ連中を嫌悪するが,今こそ人々の利益と文明の進歩のために,最終的な1歩を踏み出さねばならない。しかもこれは流血を伴わずに達成できるので,なおさらのことだ。
関連記事
-
-
「オンライン講座・日本興亡史」の研究」⑯』★『憲政の神様/日本議会政治の父・尾崎咢堂が<安倍自民党世襲政治と全国会議員>を叱るー『売り家と唐模様で書く三代目』②『総理大臣8割、各大臣は4割が世襲、自民党は3,4代目議員だらけの日本封建政治が国をつぶす』②
2018/06/22   …
-
-
『リーダーシップの日本近現代史(16)記事再録/「英タイムズ」「ニューヨーク・タイムズ」など 外国紙は「日韓併合への道』をどう報道したか③<朝鮮は日本の評判を傷っけるようにプロパガンダ工作し、朝鮮人を日本の暴虐の犠牲者として印象づけている
2015/09/0 …
-
-
『オンライン/新型コロナパンデミックの研究』ー『トランプ大統領は「チャイナコロナ」と明言し本気で中国を抑え込む新冷戦「中国包囲網」づくりに突入した』★『ファーウェイ禁止、「台湾外交支援法」(3/27),「ウイグル人権法案」(5/17)を成立させ人権外交で全面対決中』(5月22日)
米中の新冷戦― 「対中包囲網」の再編成 前坂 俊之(ジャーナリスト) 「チャイナ …
-
-
終戦70年・日本敗戦史(72)「新聞界一致で「米英撃滅国民大会」開催」「米英撃滅・屠れ米英、我等の敵・進め一億火の玉だ」
終戦70年・日本敗戦史(72) 大東亜戦争開戦の「朝日, …
-
-
『F国際ビジネスマンのワールド・ウオッチ(68)』「日本代表の国際競争力」の冷徹な判断基準を持っことが重要
『F国際ビジネスマンのワールド・ニュース・ウオッチ(68 …
-
-
『池田知隆の原発事故ウオッチ⑮』ー『最悪のシナリオから考えるー福島でのがん発症予測』
『池田知隆の原発事故ウオッチ⑮』 『最悪のシナリオから考えるー福島 …
-
-
『オンライン講座/日本国憲法制定史①』★『吉田茂と憲法誕生秘話ー『東西冷戦の産物 として生まれた現行憲法』★『GHQ(連合軍総司令部)がわずか1週間で憲法草案をつくった』★『なぜ、マッカーサーは憲法制定を急いだか』★『スターリンは北海道を真っ二つにして、ソ連に北半分を分割統治を米国に強く迫まり、トルーマン米大統領は拒否した』★『憲法問題の核心解説動画【永久保存】 2013.02.12 衆議院予算委員会 石原慎太郎 日本維新の会』(100分動画)①
2016/02/27 日本リーダーパワー史(675)『日本国憲法公 …
-
-
片野勧の衝撃レポート(59) 戦後70年-原発と国家<1945 ~52> 封印された核の真実④-隠されたヒロシマ・ナガサキ②
片野勧の衝撃レポート(59) 戦後70年-原発と国家<1945 ~52> 封印 …
-
-
★『世界日本史/歴史メモ➀』-『西郷隆盛(南洲)のおもしろエピソード』★『お妾さんを囲うのではなく、猟犬2頭を飼っていた西郷どん』★『元勲となっても長屋に住む』
藤田東湖と橋本左内を高くい評価した西郷隆盛 西郷隆盛 …
-
-
速報(341)『日本のメルトダウン』『日本と中国の歴史問題の遺産』『“日本再生戦略”が示す政府の深刻な問題点』
速報(341)『日本のメルトダウン』 ●『日本と中国の歴史問題の遺 …