日本リーダーパワー史 ⑦ 最高のリーダーは西郷従道,その機智とユーモア②
我輩が七ヶ月かかつて漸く書き上げた調査書があったので『これを御覧下されば大体判ります』とその調査書を提供した。すると二週間位経って再び呼ばれたから行って見ると、その書類を『モー済んだから』と云って返されたヨ。
我輩もイクラ従道侯でもそんな短時日で分るものかと思って『お判りなりましたか』と尋ねたら『判った』との返事だ、そこで我輩は開き直って大声一番……『閣下それは何事ですか!閣下は海軍においては新参者ではござらぬか、
然るに山本は海軍に生れ海軍に育ったのですから海軍においては私が古参です。その古参が七ケ月の日々を費ひやして調べた事を、一週間や二週間で判ったとはあまりにも無責任ないい分と思ひます』……ときめつけると、西郷サンは『ソンなら・今一度貸してもらおう。さらに拝見しょう』と素直に出られたヨ、
それからまた二週間もすると呼ばれたから行って見るとー前と同様この書類を返された。今度は『お読みになりましたか』と尋ねると『読みません』と云う返事じゃないか、之には我輩も驚いたね……そこで『それじゃ閣下はいくら読んでも判らぬから、一切お前に任かすと云ふ意味ですか、
それなら話が分ります』と聞き返したところが、頭をかかれながら『その通り、その通り』と来たね、西郷サンはこうしたふうの底の知れぬ
図太いところのある人だったヨ、そうなると信頼された者も中々責任が重くなるものだ。」それを知らぬ後藤大臣が議論終って座らんとして、見事スッテンコロリと倒れた。そのところを西郷海相はすかさす手を叩いてアー後藤サンが倒れたーーハハハハ
「これは仕舞った内閣が倒れた」 - と大声で笑ひ出した。するとどの計略を知らぬ閣僚は初めあっけに取られていたが、間もなく西郷海相の奇智と判って、一同ドット吹き出した。そのために今にも鉄拳が飛ぶかと思った後藤伯までも苦笑ひして、今までの緊迫した場面も一掃されたという逸話がある。
この人と西郷さんとの間に面白い話がある。従道侯はあれでなかなかハイカラだったので、早くから西洋式のベッドを用いるており、それをだれ彼れにもしきりに勧めて居られたものだ。ある時、中江翁が
ところが従道侯は中江翁に勧めたことなどすっかり忘れており、「変だな」と無論金は支払った。後にな
って「中江にしてやられた」と思いだしたという。昔の政治家はこうしたいたずらも平気だった。
続く
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A5%BF%E9%83%B7%E5%BE%93%E9%81%93
関連記事
-
日本リーダーパワー史(340) 「此の一戦」の海軍大佐・水野広徳の『日本海海戦』勝因論③東郷の参謀長・島村速雄、加藤友三郎
日本リーダーパワー史(340) ● 政治家、企業家、リーダ …
-
『新型コロナウイルスのパンデミックの影響で2020年慶応大学入学式(当初は4月1日,3日に予定)は9月入学式(学部・大学院)に、4月入学者も参加する形で開催することを検討している』★『2017年度慶應大入学式ー清家篤塾長の式辞(動画)』★『2019年度慶応大入学式-長谷山彰塾長の式辞(動画)』★『福沢諭吉先生』の旧居、福沢記念館(大分県中津市留守居町)(動画)』★『日本近代化の父・福沢諭吉に関する論考、雑文一覧 』
前坂俊之(ジャーナリスト) 新型コロナウイルスのパンデミックの影響で2020年 …
-
日本最強の参謀は誰か-「杉山茂丸」の研究③伊藤博文の政友会創設にポンと大金をだし、金融王・モルガンを煙に巻く
日本リーダーパワー史(477) …
-
『リーダーシップの日本近現代興亡史』(225)/★『明治大発展の国家参謀・杉山茂丸の国難突破の交渉力」➃『『軍事、外交は、嘘(ウソ)と法螺(ほら)との吐きくらべで、吐き負けた方が大損をする。国家の命脈は1にかかって嘘と法螺にある。『 今こそ杉山の再来の<21世紀新アジア主義者 が必要な時」』
2014/08/09 /日本リーダーパワー史(520)記事再録 &n …
-
『Z世代への遺言・日本ベストリーダーパワー史(1)/お笑い・そして悲劇のライオン宰相・浜口雄幸物語①』★『徳川幕府3代に仕えた黒衣の宰相・南海坊天海(107歳)の長寿法!』★『昭和恐慌を切り抜けるための「金解禁」・軍縮・行政改革・公務員給与減俸』など10大公約実行中に東京駅で右翼に暗殺されたライオン宰相・浜口雄幸首相の『男子の本懐」①
2020/07/18/ 昭和爆笑屁学入門/百歳学入門(150)記事再録 …
-
『オンライン講座/『世界を魅了した最初の日本女性はプリマドンナ・三浦環です』★『バイデン米大統領就任式でのガガの国歌の熱唱を見ながら、1918年11月、第一次世界大戦休戦条約の祝賀凱旋式がニューヨークのマディソン広場で開かれ、ウィルソン大統領の演説直後に三浦環が歌い、大喝采を浴びたことを思い出したのです』
日本リーダーパワー史(192) 『三浦環は15年間の米国滞在中、ウィルソン、ハー …
-
日本リーダーパワー史(347)勝海舟の国難突破力ー中国・韓国との付き合い方、経済上の戦争では中国に及ばぬ
日本リーダーパワー史(347) 勝海舟の国難突破力に学ぶ ●『勝海舟の中国・韓国 …
-
★人気リクエスト記事再録『百歳学入門(200)』<知的巨人たちの往生術から学ぶ②>『森鴎外、中江兆民、一休、熊谷守一の<死に方の美学>』★『よく生きることは、よく死ぬこと、生者必滅、生死一体の実践』●『「立って半畳、寝て1畳、天下をとっても2合半』
百歳学入門②ー知的巨人たちの往生術から学ぶ② 2010/01/21 前 …
-
日本リーダーパワー史(667) 日本国難史にみる『戦略思考の欠落』(49) 「日本の『インテリジェンスの父』川上操六参謀次長が密命して、シベリアに送り込んだ『日本の007、満州馬賊隊長の花田仲之助」
日本リーダーパワー史(667) 日本国難史にみる『戦略思考の欠落』(49) …