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『リーダーシップの日本近現代史』(11)記事再録/副島種臣外務卿(初代外相)の証言④ 『甲申事変後の対清政策意見』1885年(明治18) ★『➀日本で公法(万国法、国際法)をはじめて読んだのは自分 ②世界は『争奪の世界(植民地主義』で、兵力なければ独立は維持できない。 ③書生の空論(戦争をするな)を排する。 ④政治家、経済人の任務は国益を追求すること。空理空論とは全く別なり。 ⑤水掛論となりて始めて戦となる、戦となりて始めて日本の国基(国益)立つ。』

      2019/08/30

 日中,朝鮮,ロシア150年戦争史(52) 

副島種臣・外務卿の『甲申事変後の対清政策意見』

➀日本で公法(万国法、国際法)をはじめて読んだのは自分である

②世界は『争奪の世界』で、兵力なければ独立は維持できない。

③書生の空論(戦争をするな)を排する。

④政治家、経済人の任務は国益を追求すること。空理空論とは全く別なり。

⑤水掛論となりて始めて戦となる、戦となりて始めて日本の国基(国益)立つ。

副島種臣・外務卿の『甲申事変後の対対清政策意見』(福

 

Wiki甲申事変とは

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%B2%E7%94%B3%E6%94%BF%E5%A4%89

1885年(明治18)二月二十四日、武田誠及び関常吉、新宮勇、松浦健太郎(ともに久留米出身の書生)と浦敬一

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%A6%E6%95%AC%E4%B8%80

が同道にて副島種臣侍講に謁す。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%89%AF%E5%B3%B6%E7%A8%AE%E8%87%A3

http://www.saga-otakara.jp/search/detail.php?id=2436

副島は明治4年、外務卿に就任した。翌年、ペルーの商船マリヤ・ルーズ号がマカオから清国人奴隷200人を乗せて

横浜に入港した事件で、船内に抑留されていた奴隷を解放して、その勇気ある人道的な行為で有名になった。

大使として清国に派遣されると、李鴻章と巧みな交渉を駆使、、琉球問題、台湾問題で外交力を発揮し、日本外交の礎を築いた。

明治6年征韓論で分裂した時は、西郷隆盛、板垣退助、江藤新平らとともに民選議院の設立に名を連ねたが、

自由民権運動には参加せず3年間中国を漫遊し、李鴻章と旧交を温めた。

明治11年、明治天皇の信認によって宮内庁御用掛兼明治天皇の一等侍講に任じられ、天皇に内外の情勢

などについて講義し厚い信任をうけた。

副島の主張

➀日本で公法(万国法、国際法)をはじめて読んだのは自分である

②世界は『争奪の世界』で、兵力なければ独立は維持できない。

③書生の空論(戦争をするな)を排する。

④政治家、経済人の任務は国益を追求すること。空理空論とは全く別なり。

⑤水掛論となりて始めて戦となる、戦となりて始めて日本の国基(国益)立つ。

副島種臣・外務卿の『甲申事変後の対対清政策意見』(福島種臣全集第3巻より)

副島侍講の話

此度の事に就ては、予も実に諸君と意見を同うす。故に之を説けり。今漸やく使節を渡するに決したれば大に安心を為すべし。此使節の出づることになる迄は如何にも苦心の極なりき。

種々の微衷をも申立て、亦今夕も往き言ふべし。されど自分は表面より議論を為すを得ざる隠居の身なれば如何にも役に立たず、亦朝廷の事は知りたりとて書生などに話すべきに非ず。

然れ共、諸君の肚意実に嘉すべければ、今且らく学術の談をなすべし。

 我国にて公法(万国法、国際法)を始めて読みたるは予なり。

予が読みしが一番先にてありし。其よりは日本開国の初めに富り、常に外邦のために頭を抑へられたる故に、

予は如何にして外国のために抑へられず、機変の運用をなす事に注意し、爾来、今に至りても外人との交りをなし、二十年間の経験を以て事実上の攻究をなしたれば、書生の空論とは違ふなり。

空論とは何か。

今第一の空論とは世人、皆、朝鮮を文明ならしめんがためその独立を証明せしめんと云ふ事是なり。

此れ程、愚なることなし。此の世の中は如何なる世の中とは思うぞ。強国は弱国を併合して、日日其国土を開くを以て務となす。

之を『争奪世界』と云ふ。世の中は争奪世界なればそれに対するには、我国も相応の兵力を用ゐざるべからず。兵力なければ争奪世界には立たれぬ者なり。

如何程、朝鮮が文明になればとて、虎狼の如き大慾を抱ける列強は、何にしても辞退をなさうぞ。

能く治まれば此の上もなき御馳走で御座る。

加之開墾までして下さるとはかたじけのう御座る。戴きましょうとて、折角、良き程に産物など興りたる時を見計ひ、併呑すべきは必然の勢と云ふものなり。

日本にても同理なり。日本の国たる四面海に接す。一瞬千里の軍艦の戦争には、攻めるに便にして、守るに不便至極なる国なり。

然れば日本を万世独立せしむるには、是非、大陸に領土を有せざるべからず。

大陸にて日本から取るべき者は清韓の二国あるのみ。

世の中の書生は正理に背きたる無名の師(出兵)=正義のない戦争、侵略=はなすべからずと空論をすれども、

書生の此上もなしと思う、西洋諸国の文明を誇る者が直ちにそれなり。

西洋にても戦争を止めよ、戦闘争奪をせまじと言ふは、学者即ち空論者に限る。

政事家貿務家(政治家、経済人)といふ者は左様なる者にては決してなし。戦争をして自国の利益を忘れ、他国のために仁恵を計るは、我国に背いて他国に忠なる者ではなき乎。

英国公使パークスが帰国する時、外務卿より大に我国の開明のためになりしと謝辞を述べしに、

私は英国の忠臣にて御座る、日本のために益を計ることは少しもなし。我英国のために計りしが日本の

何のためになりたるかと言って笑へり。

故に国に任ずる者は自国の利を謀る外は他事あるべからず。之を政務家の意気地とす。空論とは全く別なり。

予、外務卿たりし時、ロシアの外務省より秘書を盗み出して見たりしに、日本を攻むるには第一に下関を取れ、日本の力は九州にあり、此に依りて東西を絶てば日本は撃げ易しと書いてありき。

国を有つものは此の如きものなり。何の国にても、これ程の事を探り置きて、不時の用とする者なり。之をなさゞる国はなしといふべきなり。

これを万国公使にては均勢の義となす。

均勢とはロシアが支那の半分を取らば、我も亦その半分を取りて露西亜に負けぬ様にする事なり。『国の独立は、隣国強く自国弱くしては保全できない』故、自国の独立を保全するに不利なる事を認むる事あらば、充分に之を防ぐの権利を有す。

然りロシアに全く取らるべき支那を日本より半分を取ると云ふは、均勢の上にて少しも不条理とはせざるなり。

此の如き理なれば、今、支那より朝鮮を属国とせられては、日本の独立を保全するに不利なるに依り、

之を妨害するは自国の独立を保全するの正当なる権利なり。

今彼の空論家の如く、朝鮮を文明ならしめんと云ふは、是こそ公法に許さゞる所なり。

公法には他国に干渉すると云ふ事を非常の禁物となせり。

朝鮮の文明なるも野蛮なるも、我国は他国なれば其れに干渉すべきの道理なし。これを入らぬ世話という。

唯我自国の独立を保全するに足るべき権利を伸張すべし。公法(国際法)の許す所なり。之を公法上の上手と云ふ。

今、談判のため公使が派遣さるゝ事となりたるは、兎にも角にも朝鮮は貴国の属地で御座る、勝手になされと云ふ訳には行くまい。軽くなり、重くなり、要求する所はあるべし。

要求あれば支那は必らず応ずる筈なり。予、かつて李鴻章と面話したるに、李鴻章心を傾けて云ふ。

支那の根拠は北京にあらず満洲なり。さて朝鮮は満洲には至極大事なる藩屏なり、朝鮮は捨てまじと云へり。之は眞の話なるぞ。支那政府は満洲こそ本国なれば之を藩屏と思うべきなり。

今、日本の意にまかせては支那の不利なるべし。左すれば水掛論となる、

水掛論となりて始めて戦となる、

戦となりて始めて日本の国基立つ。世の書生の空論には、水掛論となりては無名の軍は興

されぬと云ふ。愚の骨頂なり。

水掛論に非ざれば軍は興されぬ。人の喧嘩をするにも理否曲直の判然すれば、一方より謝罪こそすれ、喧嘩にはならぬ。各これを争ふてはじめて闘とはなる。

予は水掛論となりて一刻も早く戦争となるを望むなり。

     つづく

 - 人物研究, 戦争報道, 現代史研究

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