世界リーダーパワー史(943)トランプ対習近平の『仁義なき戦い」★『米中貿易戦争から、いよいよ全面対決の「米中冷戦時代」へ突入か
2020/01/15
世界リーダーパワー史(943)
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米中貿易戦争から、いよいよ全面対決の「中冷戦時代」へ突入
さて、ここにきて米中貿易戦争はいよいよ経済戦争から全面対決への第2ステージに入った。
それがペンス副大統領は10月4日にワシントンで行った、これまでの歴代米国政府の対中国政策は間違っており、完全に見直すという40分に及んだ長いスピーチです。その概要は中国は「米国における影響力と利益を広げようと、全精力を挙げた取り組んでいる」ときびしく批判して、次のように指摘した。
⓵ 米国は中国の世界貿易機関(WTO)加盟を認め、経済的自由だけでなく、政治的自由、人権尊重が拡大することを期待したが、その期待は完全に裏切られた。中国共産党は関税措置や為替操作、「中国製造2025」計画にみられるように知的財産の盗用などで産業基盤を築き、米国の貿易赤字が拡大した。
② 中国は米軍の陸海空、宇宙での軍事的優位性を奪うことを目指し日本の施政下にある尖閣諸島周辺での巡回を定例化し、南シナ海の軍事拠点化の意思はないと言いながら、岩礁を埋め立て、対艦・対空ミサイルを配備した。南シナ海で航行の自由作戦を実施中の米駆逐艦に中国艦船が異常接近し嫌がらせをおこなった。米海軍は国際法で許された、国益上、必要ないかなる場所でも航行を行う。
③中国のこうした政治的、経済的、軍事的な手段やプロパガンダによる覇権主義に対して、米国は公正さや互恵主義、そして主権の尊重に基づく関係を追及する新たなアプローチを導入した。
―と述べて中国との全面的な対決姿勢を示した。
台湾問題、新疆ウイグル自治地区では最大100万人にのぼるウイグル族を超法規的な収容キャンプに拘束している人権問題でも制裁措置を課した。つまり、70年前に鉄のカーテンでソ連を封じ込めて「米ソ冷戦」に突入したように、今回は「米中新冷戦時代の突入である。
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国際刑事警察機構(ICPO)の孟宏偉総裁の行方不明事件
国際刑事警察機構(インターポール、ICPO)の孟宏偉総裁が9月25日に突然、失踪した前代未聞の事件は、いわば中国の昔からの常套手段なのである。妻からの連絡でフランス警察が動き出し、メディアが大きく報道した段階から2週間後になってやっと10月8日、中国公安省は孟氏を汚職事件で取り調べていることを公表し、孟氏は反腐敗闘争で摘発された周永康・元政治局常務委員=収賄罪などで無期懲役=につながった人物で、公安当局は「周一派を徹底して粛正しなければならない」と強調した。
周元公安相は江沢民元総書記の派閥で、2004年に孟氏を公安省次官に昇進させ、孟氏は外事警察を掌握してきた。12年秋の習近平政権発足後も孟氏は公安次官に留任していたが、周氏は習体制の汚職撲滅キャンペーンで失脚し、孟氏も習近平対江沢民派の権力闘争に敗れたものとみられる。
一昨年に孟氏がICPO総裁に就任した際、ニューヨークタイムズは「ICPOは、反体制派や批判者を迫害する一党独裁国家で権威主義の中国にトップを任せるようでは、人権の保護を積極的に推進するというICPOの看板が泣く」と批判した。孟氏は、治安当局を束ねる公安省の高官を長年務めており「被疑者を失踪させる」人権無視捜査の陣頭指揮を担当してきた張本人だけに今度はその逆の立場に落とされたわけで、何とも皮肉な結果です、共産党独裁国家で延々と繰り返されている血みどろの腐敗汚職、暗殺、粛清事件の再現だ。
それにしても、BBC記者(北京)も書いていますが、中国政府関係者にとって何より大事なのは中国の法律と、一党独裁支配の中国共産党の権力保持のシステムです。世界の大多数の国の民主主義の基本ルールである「言論の自由」「個人の人権の保障」はいまだに達成されていない。古代中国から3000年以上、この国には人民の自由がない状態が続いている。
金儲けのうまい13億の中国人のことですから、世界の自由貿易体制の仲間入りになれば、現在のような経済的な発展は当然のことですが、アメリカ、西欧諸国が期待した肝心の基本的な人権、個人の自由の保障では未だに封建的、強権国家のままで近代国家に脱皮できていない。その点を150年前にクリアした日本とクリアできていない北朝鮮、中国の共産主義体制の対立がこれまでも延々と続いているのである。
最近、中国の著名人の失踪が何度もニュースになった。ハリウッドでも活躍した中国ナンバーワンの女優、范氷氷氏も6月に突然行方不明となり3ヵ月後の9月下旬に脱税容疑で中国当局に拘束されていたことがわかった。当局から范氏は計8億8400万元(約145億円)の追徴課税と罰金を科され、やっと保釈された。こんもほか人権活動家、犯罪容疑者、その他の著名人、反権力的なブロガーを書いただけで、突然、拉致、拘束される事件が頻発している。
習近平政権が2012年11月にスタートさせた「反腐敗運動によって約200万人以上の汚職幹部を処分された」(大紀元2017年10月11日 付)によると、逮捕された共産党高級幹部280人、庁局級幹部8600人と県処級幹部6万6000人らを合計して各レベルの党幹部206万5800人余が逮捕、有罪となったいる。
中国の経済学者周有光氏(故人)は生前、「深刻な腐敗の原因は汚職官幹部にあるのではなく、共産党の専制政治にある。民主制度では、政府官僚が汚職すれば国民から選ばれなくなる。しかし専制政治では、このようなことは起こらない」との批判は今もその通りなのである。
共産党一党独裁体制の中国では、容疑者を拘束してから証拠を探すのが一般的で、家族や弁護士との面会を一切認めず、孤立無援の状態に追い込んでから拷問して自白をさせる手法をとる。近代的な刑事訴訟手続きはない。当局が提示した“犯罪事実”を認めなければ、拘束期間は2年も3年も続く。そして、起訴されれば、裁判でほぼ百パーセント有罪になる、という「人権低国、冤罪地獄」の現状なのだ。
もう1つ面白いのは孟宏偉総裁の行方不明事件が騒がれている中で、
習近平一族の蓄財ニュースを香港の新聞がすっぱ抜いた。
「習主席一族 不動産90億円 香港で90年代からがら投資」(読売10月11日朝刊)の見出しで、これは香港のリンゴ新聞からですが、習近平の姉である斉橋橋氏と、その娘の張燕南氏は1990年代から香港で不動産投資をしており、特に2009年に購入した住宅の価値は、購入時の2倍の3億香港㌦(約42億円)以上になっている。習近平国家席の一族が香港に所有する不動産資産の合計は6億4000香港ドル、約89億6000万円)に上る。
習政権は「反腐敗」(汚職摘発)を政権1期目の成果としているが、習氏の身内が多額の資産を保有しているとする報道は今後、波紋を呼ぶ可能性もある」という内容。
ニューヨークの不動産王のトランプ一族の資産も数百億円にのぼっており、汚職撲滅で人気を得ている習近平一族の蓄財ぶりはまったく頭かくして尻隠さずそのもの。
「権力は腐敗する、絶対的権力は絶対に腐敗する」との有名な格言があるが、安倍首相の「モリカケ疑惑」と比べると、天文学的な差を感じる。
今年は明治維新から150年目。日中友好条約締結40周年の記念式典も11,12月に行われる。
この間の日本、中国、韓国、北朝鮮の対立、戦争の150年の歴史を振り返ると、今回の孟氏の失踪、拉致、殺害に至るケースと同じ事件が連続して起きていおり、この3ヵ国関係の歴史的トゲとなっていることがよくがわかる。
この根底には古代からある「中国が世界の中心の大国、文化であり、中国から遠いほど野蛮な民族、文化であるというエスノセントリズム( 自民族中心主義)の中華思想がいまだに根強くのこり、西欧的な国際秩序(国際法」との衝突を繰り返している。メディアはそこをしっかり見ておく必要がある。
歴史的にいうと
⓵ 日本に亡命していた朝鮮独立党党首の金玉均の殺害事件(1894年)。清国の李鴻章と朝鮮国王が共謀して金を日本から上海に連れ出して殺害しこれが明治27年の日清戦争の原因の1つとなった。国際法によって認められた政治犯不引渡 原則違反である。
② 中国革命の父・孫文を清国がロンドンで不法に監禁、拉致して、清国大使館に幽囚して殺害しようとした事件(1896、明治29年)。以後、孫文は言論の自由のある日本に亡命し十数年間過ごし、東京で中国革命党を結成し、辛亥革命に成功した。
③日本滞在中の金大中誘拐拉致事件(1973昭和48年)
④北朝鮮の拉致問題や2017年2月の北朝鮮の金正男毒殺事件など山ほどある。
中国、韓国、北朝鮮との今後の外交を考える場合にも、この歴史的な原点をしっかりおさえて、相互の歴史認識のねじれをとぎほぐすことが必要だ。
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