日本リーダーパワー史(854)ー『2018年には米朝開戦か、北朝鮮を核保有国と認めて 「核シェアリング」で核抑止するかーギリギリの選択を迫られる 』(下)『北朝鮮は「核保有国」を宣言。核開発と経済発展の『並進路線』を推進 』
2017/11/11
- 北朝鮮は「核保有国」を宣言。核開発と経済発展の『並進路線』を推進
しかし、この措置で北朝鮮によるさらなる核実験やミサイル発射をやめるとは思いません。むしろ、両国間の対立がますます亀裂,深まる可能性もある。
北朝鮮は国連の制裁強化、石油の禁止をみこんで、すでに今年四月ごろから、原油や石油製品の年間輸入量の半分から三分の二に相当する石油百万トンを備蓄する目標を、金正恩が決定、指示したといわれる。
備蓄と石油の使用を減らすため、公用車も含めて自動車使用を制限したり、停電が増えているといいます。高英起(デイリーNKジャパン編集長)によると、北朝鮮の国民も『核戦争が起きるかもしれない』との恐怖に震え上がっているといいます。
『金正恩の戦略は失敗した』との北軍人の声もある」
(「エクスプレス通信によると、アメリカの戦略国際問題研究所の予測では、「北朝鮮は、米国のトランプ政権の発足後の7ヶ月間で、24回のミサイル実験のほか、1回の核実験を行った。
今後はトランプ政権に一層反発して100回以上のミサイル実験を行うと見られ、これは歴史的な最高記録となるだろう」と書いていますが、これもハッタリの情報なのでしょうかね」
「北朝鮮の態度は明確なのです。36年ぶりに昨年開催された第7回北朝鮮労働党大会で金正恩委員長は、金正日総書記時代の『先軍(軍事優先)政治』から、核開発と経済発展の両方を追う『並進路線」』を定めた。
この中で『核保有国』を宣言する一方で『非核化』にも言及。国際社会から経済支援を引き出そうとする戦略です。『並進路線』は、核カードを持つことで米国と軍事的に対等に交渉し、核ミサイル技術開発の輸出で経済発展もできるという一石二鳥の『先軍(軍事優先)国家建設』なのです。
だから北朝鮮は、まずは核保有国を国際社会に認めさせることが最優先課題で、この国家方針は絶対に変えられない。それに対し米国は、北朝鮮が核を放棄したら交渉に応じるという姿勢ですので、対話の糸口が食い違っている」
「結局、そうなると、いくら圧力を強化して、北は絶対に核ミサイル開発はやめないということですね、米国の見方でも来年にはアメリカ全土を射程に収めた核搭載ミサイルの開発に成功するとみられている。
そうなる前に、北をたたかねばならない。しかし、反撃によって日韓米に膨大な被害者が出る。ならば戦争はできないとなれば、北を核保有国としてみとめ、それを絶対使わせない「核管理」することによって核戦争勃発を防ぐしかない。論理的帰結ではこうなりますよね」
- 米国の一部に『日本核武装論』を認める発言が出てきた。
「『米国で『日本核保有論』が台頭』(月刊「選択」2017年10月号)によると、保守系有力紙の『ウォール・ストリート・ジャーナル』(8月30日付)社説『日本の頭越しに核ミサイル』と題し、『この中距離ミサイル実験は日本を独自の核抑止力を取得する方向に一押しした』と指摘。「日本の原子炉は一千発以上の核弾頭分のプルトニウムを有しており、数ヵ月間で核兵器を製造するノウハウがある」と警告。
また、8月3日に米保守系のFOXニューズ紙の司会者は、『かつて日本では考えられなかった意見が主流になり始めた。不安の度を増す地域で生き延びるために日本が核武装する必要があるとの考えである」と述べた、といわれる。』
「一方、韓国では独自の核武装をすべきだという国民は六〇%に上っている。韓国自衛核武装派が理論的根拠としているのは李春根博士(韓国経済研究院外交安保室長)の発言「大韓民国の核武装はほぼ自動的に日本の核武装をもたらす。
日本が核武装を決断する場合、ほぼ同時に数百発の核兵器を保有した英国、フランス水準の核強国になるはずでこれは世界の覇権国を目指す中国に致命的なことになる。」(2011年3月のシンポジュームでの発言)と述べているのです」(以上は月刊「選択」同)
「日本より相当進んだ認識ですね。日本は今回の選挙をみても、北朝鮮問題の認識はまだまだ、対岸の火事という認識でピンときていない。
先日、石破茂元防衛相が、テレビ番組で死文化した「非核三原則「核兵器をもたず、つくらず」にふれて「米国の核の傘で守ってもらうといいながら、日本国内で非核三原則をそのままにしているのは正しいのか」との発言が飛び出した。
政府は否定に躍起になった。強い核アレルギーがある日本では、憲法見直しも70年以上かかっており、核保有などは天地がひっくり返るような大問題なので、「非核三原則」これのフタを開けると収拾がつかなくなるでしょう。
『幼稚園児のけんか』ではなく、冷静に現実を直視して大人の論議をする必要があるのだが」
「ダイヤモンドオンライン『元海将が大胆予測、米朝チキンゲームの先にある「二つのシナリオ」(9月20日)での海上自衛隊元海将・伊藤俊幸氏(金沢工業大学院教授)の発言が大変参考になる。
米国は北朝鮮を『核保有国』と認め、それを前提に、北の核攻撃を封じる核抑止体制を作る方向に動いているのでないか,という。インドやパキスタンも6回核実験をして、核保有国として認められたので、北朝鮮もそう要求している。
米国も「北を核保有国」と認めた場合、北の核を徹底管理して、発射させない『抑止体制』(相互確証破壊)の縛るのではないか、というのです。それが『核シェアリングによる核抑止』の方法論です』
- 『核シェアリング』とは一体何か
『これも伊藤俊幸氏の解説ですが、韓国が独自に核を開発する、日本も原子炉は一千発以上の核弾頭分のプルトニウムを有しているので、すぐにでも核を作れるにしても、国際社会、国際原子力機関(IAEA),国内世論が核分散を認めない。
そこで核シェアリングによる核抑止」を行う。これは、米国の開発した核爆弾を韓国国内に置いて、管理は米国が行うものの、使う際には韓国の空軍機に載せて使わせるという手法です。日本の場合も同じ手法です。これは、旧ソ連を封じ込めるためにNATOで行われた方法です。」
「確かに、日本でも対外強硬派の1部に核武装論がクローズアップされてきている。今回の選挙の結果がどうなったにしても、安倍首相の退陣、それ以外の首相がなったにしても、来年には朝鮮有事のリスクは一層高まることはまちがいない。
米国が急転して『北を核保有国』とみとめて、米朝の平和条約の締結した場合は『北の核を凍結管理』が最大の焦点となる。日本はこのあたりの問題を全くシュミレーションしていないし、野党も国民も、安保問題、憲法問題は70年前に『思考停止』し『永久不毛論議』を続けている。東アジアの急激なバランスパワーの変化に、1、2周以上遅れている『死に体の国家』です。
日本は「超少子高齢化人口減少衰退国家」として、現在沈没中ですが、選挙の関心はこの「国内問題」に焦点が当たっている、いずれにしても、朝鮮有事が日本を一層の『破滅国家』に導くことでしょう」
「かつての1971年のニクソンショックのように、米中が日本の頭越しに平和条約を締結したが、来年には米朝平和条約が安倍首相の頭越しに、トランプは結ぶかもしれない。そうした万一の事態も想定して万全の準備することがインテリジェンスの最低条件です」
「被爆地・長崎で5歳まで育った日系英国人作家のカズオ・イシグロ氏(62歳)にノーベル文学賞が授与された。またノーベル平和賞を「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)が受賞した。
ノーベル賞委員会は「北朝鮮にみられるように多くの国が核開発に取り組む現実の脅威がある」と理由説明し、北朝鮮の核問題に対する懸念が国際社会に広がっていることを示した。この強い平和への希求メッセージと核廃絶の行動を日本も見習うべきですね。
経済的な繁栄ばかりに目を向けて、一国平和主義に眠って、日本が存在するアジア地域、世界全体の平和推進の努力が不足している。経済大国を誇る以上に、平和構築の積極的な行動こそ求められていますね」
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