日本リーダーパワー史(797)ー「日清、日露戦争に勝利』 した明治人のリーダーパワー、リスク管理 、インテリジェンス』⑭『 未曾有の国難来る。ロシアの韓国侵攻に対して第一回御前会議が開かれた』●『巻末に連載9回-13回までの掲載リンクあり』
2017/04/30
日本リーダーパワー史(797)ー
「日清、日露戦争に勝利』 した明治人のリーダーパワー、リスク管理 、
インテリジェンス』⑭
未曾有の国難来る。ロシアの韓国侵攻に対して第一回御前会議が開かれた。
ロシアは満州撤兵の約束を果たさないばかりか、事実上、永久占領の態勢を着々と固めていった。さらに韓国内に侵入して、その侵略的意図がより明確になり、その先のわが国の壱岐、対馬を睥睨する概を示した。
クロバトキンの退京後一週間を経た明治36年6月23日、対露交渉に関する第一回の御前会議が開かれた。
伊藤博文、山県有朋、大山厳、松方正義、井上馨の諸元老と桂太郎首相と小村寿太郎外相の他、寺内正樹陸相、山本権兵衛海相を交えた九名であった。小村は、自ら浄書した「対露交渉意見書」を提出して、審議した結果、次の4項目の方針を決定した。
➀、露国が約束に背き、満洲、遼東半島の兵力を撤兵しないので、この機を利用して数年来解決することの出来なかった韓国問題を解決すること。
②、この間題を決定するに先だち、如何なる事情があっても、その一部でも露国には譲与しないこと。
③ これに反して、満州においては露国はすでに優勢の位置にあるので、多少これに譲歩すること。
④、談判は東京で開くこと。
この第一回元老会議の約1ゕ月前には陸軍参謀本部の情報収集の結果、「対ロシア政策試案」が大山厳参謀総長に提出されていた。
これが、5月12日に天皇に上奏され、総理、陸相、海軍軍令部長にも通報された。
『「帝国軍備の充実整頓」に関する大山参謀総長の上聞の要旨』
「満洲におけるロシアの行動は漸く活気を呈するに反し、バルカンにおける(当時マセドニア問題を中心としてスラブ諸国が連合してトルコに開戦しようとしていた)態度は一変し、極力平和の維持を希望しつつある。
これは即ちロシアが全力を満州方面に傾注し、東三省(遼東半島)の占領を企てんとする理由で、今後におけるロシアの行動は、その常套手段である恐喝をもって、帝国を威喝し、その態度の硬軟を見て多少の利益を占めんとするか、もしくは飽くまでも兵力に訴え勝敗を決せんとするかどうかはわからない。
目下の戦略関係はわれに有利であるが、年月を経るに従がい、ロシアの情勢は変化して、韓国がロシアの勢力下に置かれてしまえば、帝国の国防は安全ではなくなる。宜しく速に帝国軍備の充実整備を図るべし』
との内容である。
この頃、緊迫するロシアの軍事行動に対して、陸海軍および外務の意思疎通の必要性がますます高まり、五月二十九日には、陸海軍、外務省の中老連(中堅・ベテラン)が東京・烏森の待合「湖月」で秘密裏に会合して対ロシア政策を研究し、満場一致で次の意見を可決した。
『帝国は、今の時を持って、一大決心をなし、戦争を賭してロシアの横暴を抑制するに非ざれは、帝国の前途は憂慮すべきものとなる。而して、今日の機会を失してしまえば、将来決して国運回復の機会はない。
但し、この決議は、ただ各自一身の覚悟を決するための研究に止まらしめて、政治運動をなすべきために非ず』
———————————————————————————
以下で前号までの連載記事の掲載です。
「日清、日露戦争に勝利』 した明治人のリーダーパワー、リスク管理 、インテリジェンス』⑬『日露開戦7ゕ月前、ロシアは韓国を強圧して竜岸浦の租借を要求した。
http://www.maesaka-toshiyuki.com/war/24420.html
「日清、日露戦争に勝利』 した明治人のリーダーパワー、リスク管理 、インテリジェンス』⑫『日露開戦7ゕ月前、ロシアは武断派が極東総督府を設置、新たに満州返還撤兵の五条件を要求した』★『日本が支援した清国はこの要求を拒否』
http://www.maesaka-toshiyuki.com/war/24408.html
「日清、日露戦争に勝利」した明治人のリーダーパワー、 リスク管理 、 インテリジェンス』⑪『ロシアのクロパトキン陸相が敵前視察に来日した影響』●『 恐露病とクロパトキン来日疑惑が日本側に疑心暗鬼を生んで露探事件が起きた』
http://www.maesaka-toshiyuki.com/person/24335.html
「日清、日露戦争に勝利」 した明治人のリーダーパワー、 リスク管理 、 インテリジェンス』⑪『ロシアのクロパトキン陸相が敵前視察に来日』『ク大将は陸軍士官学校視察で障害物突破競争の優勝者に自分の時計を褒美であげた』●『パーティーでは黒鳩金大将と日本の将軍の視線がぶつかり火花が散り、日本の将軍はさらに恐ろしい目つきでにらみ返して一触速発に』
http://www.maesaka-toshiyuki.com/person/24302.html
「日清、日露戦争に勝利」 した明治人のリーダーパワー、 リスク管理 、 インテリジェンス』➉『朝鮮半島危機には児玉源太郎のインテリジェンスに学べ』★『クロパトキンの日本敵前視察には包み隠さず、一切合切すべてみせろ』と指示。http://www.maesaka-toshiyuki.com/person/24252.html
「日清、日露戦争に勝利」 した明治人のリーダーパワー、 リスク管理 、インテリジェンス➈』●『明治36年4月、日露戦争開戦9ヵ月前にロシア・クロパトキン陸相が日本を敵前視察に乗り込んできた』★『クロパトキンの「日本陸軍秘密研究書」による日本軍の欠点『西欧的機関を表面的しか理解していない、無能な老将校が存在し、部隊長の決断が遅く変化に対応できない』
関連記事
-
「日中韓150年戦争史」(69)ー「日清戦争の展開」新たな世界的強国(日本)の出現に深い危惧」(ロシア紙)
『「申報」『外紙」からみた「日中韓150年戦争史」 日中韓のパーセプションギャッ …
-
知的巨人の百歳学(103)-長崎原爆に被災地に「平和祈念塔」を創った彫刻家・北村西望(102歳)の『たゆまざる 歩み恐ろし カタツムリ』★『日々継続、毎日毎日積み重ねていくと、カタツムリのように1年、2年、10年、50年で巨大なものができる』
「わたしは天才ではないから、人より五倍も十倍もかかるのです」 「いい仕事をするに …
-
新刊発売『日露インテリジェンス戦争を制した天才参謀・明石元二郎大佐』(前坂俊之著、新人物往来社、1600円)
『日露インテリジェンス戦争を制した天才参謀・ 明石元二郎大佐』(前 …
-
『中国紙『申報』からみた『日中韓150年戦争史』⑦「中国側が属国視した琉球(沖縄)処分をめぐる対立がすべての発端」
『中国紙『申報』からみた『日中韓150年戦争史』 日中韓のパーセプ …
-
『オンライン講座/独学/独創力/創造力の研究②』★『『日本の知の極限値』と柳田国男が評したー地球環境問題、エコロジー研究の先駆者・「知の巨人」南方熊楠のノーベル賞をこえた天才脳はこうして生まれた(中)』
2009/10/02 日本リーダーパワー史 (23)記事再録 『ノ …
-
日本メルトダウン脱出法(861)『シャープはなぜアジア企業に屈したか? 「仕事後進国」日本の敗因』●『日本が「テロの標的」になる日が迫っている ブリュッセル連続テロから学ぶべきこと』●『恐怖心からアメリカ人がトランプを選ぶ悪夢 あと1回、テロが起こったら何が起きるか』●『“安価な中国製”が席巻する日本の太陽光発電の明日』●『イギリスは「テロとの百年戦争」の最中にある ロンドンは、ずっと過激派の標的だった』
日本メルトダウン脱出法(861) シャープはなぜアジア企業に屈したか? …
-
『リーダーシップの日本近現代史]』(29)-記事再録/関東大震災での山本権兵衛首相、渋沢栄一の決断と行動力 <大震災、福島原発危機を乗り越える先人のリーダーシップに学ぶ>
2011/04/06 / 日本リ …
-
速報(343)『アメリカ政治―「おバカで結構」米共和党綱領の呆れた中身』◎『欧州に蔓延する自殺という疫病』
速報(343)『日本のメルトダウン』 ◎『アメリカ政 …
-
『ガラパゴス国家・日本終戦史➃ 」再録ー(リーダーシップの欠如で2度あることは3度ある。日本人の 精神的な構造欠陥!」
1年間連載開始―『ガラパゴス国家・日本終戦史の 歴史類似性の研 …
-
「Z世代への遺言」「日本を救った奇跡の男ー鈴木貫太郎首相②』★『ルーズヴエルト米大統領(68)死去に丁重なる追悼文をささげた』★『鈴木首相とグルー米国務省次官のパイプが復活』★『ポツダム宣言の受諾をめぐる攻防』★『鈴木首相の肚は聖断で一挙にまとめる「玄黙」戦略を実行 』
ルーズヴエルト米大統領(68)死去に丁重なる追悼文をささげた。 鈴木首相の就任1 …