日本リーダーパワー史(791)ー 「日清、日露戦争に勝利」 した明治人のリーダーパワー、 リスク管理 、インテリジェンス➈』●『明治36年4月、日露戦争開戦9ヵ月前にロシア・クロパトキン陸相が日本を敵前視察に乗り込んできた』★『クロパトキンの「日本陸軍秘密研究書」による日本軍の欠点『西欧的機関を表面的しか理解していない、無能な老将校が存在し、部隊長の決断が遅く変化に対応できない』
2017/04/23
日本リーダーパワー史(790)ー
「国難日本史の歴史復習問題」
★「日清、日露戦争に勝利」 した明治人のリーダーパワー、
リスク管理 、インテリジェンス➈』
小村寿太郎外相とロシア陸相・クロバトキンの会見―
ロシアの陸軍大臣クロバトキン
が、ロシア皇帝の勅命によって極東視察の途についたのは、1903年(明治36)4月28日である。クロバトキンは日本では『黒鳩金』と命名され、新聞、雑誌ではこの名がついた。
『恐露病』の伊藤博文、山県有朋両元老を筆頭に、明治政府、陸海軍も震え上がった。クロパトキンは沿海州から大連、旅順を巡視し、ウラジオから軍艦で神戸に入り、6月12日、陸路で東京についた。
明治政府は国賓待遇で最大級の歓迎ぶりで、宿泊は『芝離宮』をあて、陸相・寺内正毅(その後首相)https://www.google.co.jp/#q=%E5%AF%BA%E5%86%85%E6%AD%A3%E6%AF%85&spf=385
が自ら接待主任となり、村田 惇中将、中義一大佐らが補佐して、最優遇に努めた。
折りからロシアに対して、民間の世論が「横暴ロシアを撃て」と急速に盛り上がっていたので、身辺警備に万全を期して臨んだ。
明治天皇に拝謁後、クロパトキン将軍は宮中で催された政府の歓迎宴に招待され、この饗宴には両陛下、皇族方を始め、閣員一同も出席した。クロパトキンの極東視察はロシア皇帝の勅命によるものであり、敵前視察の意図は明白であったが、寺内陸相はつとめて虚心に接待し、ご機嫌を損じないように務めた。
その希望に応じて軍施設。工廠まど希望するところを案内し、われに何ら対露戦争の準備がないことを示した。
ク将軍は近衛旅団の閲兵や、騎兵学校の競技会なども参観したが、騎兵士官が馬上で演じる妙技などに見入っていた。
http://electronic-journal.seesaa.net/article/9612597.html
ロシアの満州撤兵問題の弁明
クロバトキンは4日間、東京に滞在した。その間、小村寿太郎外相と会見したが、クロパトキンは、まず「自分は何ら公然の使命を帯びた者ではないので、全く個人的意見であるが、日本と完全な協調を遂げることが、自分の希望である」
と述べ、旅順、ウラジオストック港に達するシベリア鉄道が、ロシアにとっていかに重要なものかを述べて、同鉄道の安全確保の必要性や、敷設費、維持費の莫大なことなどを説明した。ロシア軍が満州撤兵が進んでいない原因の1つにシベリア鉄道の不備もあることなども弁明に努めた。
小村はこれに対して小村外相もまた一個の私見として話したいと前提して「鉄道の保護と撤兵とは全然別個の問題である、ロシアが永久に満州を占領しようとするに対しての異議の
第一は、それは韓国の安全に対し不断の侵略となることである。しかも韓国の保全は、日本が万難を排して擁護せねばならぬところである。
第二は、それはついに清国分割の端緒となる。清国において、最大緊急の利害関係を有する日露両国は、両国にとって均しく不利なこのような結果を惹き起こす行動は、一切避けたいものである」
と、両国間に横たわる懸案について明快に述べた。クロパトキンは「清国分割の不可であることは全く同感である」と答えた。
「しかしながら、満州におけるロシアの地位は、清国において特殊の利益を持っておると主張する他の列強、山東のドイツなどとは全く違ったものであることを理解してもらいたい、韓国に至っては、ロシアの隣邦ではあるけれども、満州に比べれば元より軽重の差がある」
と述べ、ロシアは韓国に野心のないことを説き、「日本と何らかの協調を遂げたい」と希望し、「両国が交譲の精神をもって、この間題を対処したい」と述べた。
いわゆる満韓交換〃の線に沿って、両国の協調の可能性を期待するとの見解を発表した。
小村、クロバトキン会見は、両方ただ自説を述べたにとどまって、実質的な収穫はなかった。しかし、この会見での小村の主張は明快であり『日本はあくまでも東洋平和の維持を念願とするものであって、いたずらに事を好むものでない」ことを、ロシア、世界に示した会見であった。
クロパトキンは明治37年4月の奉天会戦後に、この時の視察、研究、奉天会戦での戦闘を経験した報告
レポート「日本陸軍秘密研究書」なるものを刊行している。
http://www.mytown-nagoya.com/booklist/shosai/oyama/kuropatokin.html
それによると、日本軍の実力、長所、欠点などを次のように分析している。
(1) 西欧的に改造して間もないのに、軍隊的精神において優れたものがあり、それが日清戦争で発揮された、
(2) 特に将軍に有能な人物として大山元帥、野津道貫将軍を挙げている。
(3) 日本、日本兵については「騎兵の動作は取るに足らない」「一度立てた目的は成し遂げるまでやめない」「電信、偵察に技能を有する」「陣地を迅速に築く」
また、短所については。
④西欧的機関が表面的にしか理解されていなくて、内面化するまでに至っていない。
⑤無能な老将校が存在する。
⑥物資の搬送は人力が中心であり、補給に著しい弱点がある。
⑦日本軍には忍耐力が欠けている。例えば野津将軍の部隊は4カ月間に戦死者900人、負傷者1500人を出し、患者は1万8000人にも達した。
⑧朝食を取らないと能力が発揮できない。
➈部隊長は一つの決定をするまでに熟考・熟慮するので、急激な変化に対応できない。
➉初戦に勝つと元気が出る傾向にある。
⑪、日本軍に対して最も効力があるのは夜襲である。夜襲を行うには成るべく少数づつ兵を動かし、陰に大部隊を集め強襲して敵の陣地を奪うのである。時期は即ち払暁に近く、朝霧を利用するのは最もよい、など・。
つづく
関連記事
-
-
『Z世代のための 百歳学入門』(2010/01/25 )★『<日本超高齢社会>の現実と過去と未来の考察①』★『私なりの解決/研究本「百寿者百話」前坂俊之著 海竜社(2008年)を出版』』
2010/01/25 百歳学入門⑨ …
-
-
漫画「美味しんぼ」の「福島での鼻血描写」ー「チェルノブイリでは避難民5人に1人が鼻血を訴えた」(広河隆一氏の調査)
ビッグコミックスピリッツの漫画「美味しんぼ」の「福島での特に鼻血の …
-
-
速報(58)『日本のメルトダウン』『放射能汚染水(殺人水)の海への流出を防げー梅雨と台風で困難な状況が続く』
速報(58)『日本のメルトダウン』 ●「放射能汚染水(殺人水)の海への流出を防げ …
-
-
日本リーダーパワー史(184)『アジア経済時代の先駆者・犬養木堂④』 一貫して『産業立国論』を唱えた民権政治家―
日本リーダーパワー史(184) <百年前にアジア諸民族の師父と尊敬 …
-
-
速報(316)◎『6月21日もんじゅ7月中に復旧へ、理論上破綻している小出裕章(MBS)』『「大飯原発再稼動は許されない」
◎『6月21日もんじゅ7月中に復旧へ理論上破綻してるのに存続する理 …
-
-
『F国際ビジネスマンのワールド・ニュース・ ウオッチ(226)』ー『宗務者や部族長 、首長がコーランの魔力や石油成金のバラマキを通じて、国家の体裁を保ちつつも、健全で強固な未来志向の政治経済の体制づくりに失敗している現状では、アラブ世界からは米欧と平和裡に協調、切磋琢磨できるリーダーは先ず出てこないのでは?とも感じます』
『F国際ビジネスマンのワールド・ニュース・ ウオッチ(226)』 コーランを拾い …
-
-
近現代史の復習問題/記事再録/日本リーダーパワー史(82)尾崎行雄の遺言「日本はなぜ敗れたかーその原因は封建思想の奴隷根性」
日本リーダーパワー史(82)尾崎行雄の遺言「日本はなぜ敗れたかーその原因は封建思 …
-
-
日本リーダーパワー史(522)『「明治の国家参謀・杉山茂丸に学ぶ」⑦「児玉源太郎、桂太郎と 「日露戦争開戦」の秘密結社を作る」
日本リーダーパワー史(522) 『「明治大発展の国家参謀・杉山茂丸の国 …