★『アジア近現代史復習問題』・福沢諭吉の「日清戦争開戦論」を読む』(4)ー「北朝鮮による金正男暗殺事件をみていると、約120年前の日清戦争の原因がよくわかる」●『(朝鮮政略) 一定の方針なし』(「時事新報」明治27年5月3日付〕』★『朝鮮は亡国寸前だが、李鴻章は属国として自由に意のままに支配しており、他国の侵攻の危機あるが、緊急の場合の日本側の対応策、政略は定まていない』★『北朝鮮リスクとまるで同じ』
★『アジア近現代史復習問題』
・福沢諭吉の「日清戦争開戦論」を読む(4)
「北朝鮮による金正男暗殺事件をみていると、約120年前の
日清戦争の原因がよくわかる」
『(朝鮮政略) 一定の方針なし』(「時事新報」明治27年5月3日付〕
今回、朝鮮人の暗殺事件については、彼政府に談判して、事の結末を告ぐるの必要は勿論にして、我当局者の手段も必ず立に出づることならんと信ずれども、元来、我国の朝鮮に対する政略を見るに、明治十七年以来は一定の方針として認む可きものなく、
これがため、国の利益上に又、名誉上に不利を蒙りたること幾何なるや知る可らず。爾来、幸にして東洋の天地には格別の大事変もなく、小康偏安の間に今日まで経過したるが故に、一般の社会には著しき感覚も興へざりしことなれども、十七年の前後を比較して、朝鮮に於ける我勢力の消長如何を察するときは、
いやしくも日本人にして多少の感慨なきを得ざる可し。即ち我輩が常に朝鮮政略を一定するの必要を説く所以にして、その政略とは決して征韓云々の如き過激の事を演ぜんとするの意味に非ず。
只日本の国利を保護するの一点よりして、務め彼に対するの方針を定め、一旦有事の日に臨んでは申す迄もなく、平常無事の時と経も、着々その方針に従て事を虞分するの必要を認むるのみ。
目下朝鮮の形勢を見れば、内政の始末と云ひ、外交の有様と云ひ、危機旦夕
に迫りて、早晩何等かの事変を見ざるを得ず。
識者を待たずして知る所にして、既に事を生ずるときは外国との関係を免れざるは是亦必然の勢なるが故に、其場合に至りて仮令ひ彼国の一部分にても有力なる他国の手に帰するが如きこともあらば、我国のためには由々しき大事、立国上の不利この上ある可らず。
即ち朝鮮の任地たる、我立国の利害と密接に関係するがためにして、務め之に対する方針を一定することの必要なる所以なり。
或は彼天津條約は日清の両国が朝鮮の治安を担保し、東洋の平和を維持するの意味より成りたるものにして、朝鮮に対するの方針は其條約の精神を実にするに在り。條約既に存す、あに亦方針の必要あらんやとの説を為すものもなきに非ず。
然らば対朝鮮の方針は即ち天津条約の精神に存するものとして見るの外なけれども、我輩の所見を以てすれば、彼条約は日清の両国が共に朝鮮の事に干渉せずして自から治安を維持せしむるの意味を明にしたる者に過ぎず。
彼国にして果して自からその治安を維持し、外に対して独立するの実カあるに於ては、我輩の如きも之に対する方針を説く必要もなきことなれども、如何せん、実際の事実は全く反対にして、その内情を穿て極端に形容すれば、或は亡国の有様なりと云ふも不可なきが如き次第なれば、一旦の媛急、如何なる情態を呈するやも知る可らず。
甚だ危険の至りにして、我国の位地として決して之を傍観するを得ず。条約の空文に安んじて対朝鮮の実手段を等閑に付するが如きは、国利を保護する所以に非ざる可し。
支那の朝鮮に対する有様を見れば、非常の熱心にして之を視ること自国の内地に異ならず、殊にその政略は李鴻章の一手に出でて百事意の如くならざるはなし、而して李は有力の政治家にして、一方面に当るの権力あるのみならず、その背後には隠然、他の強国の声援を負ふの事案を認むるときは、朝鮮の如き、仮令ひ如何なる危急に際するも、決して他人の手中に帰するの掛念ある可らず、
即ち日本の朝鮮政略はひたすら天津条約を遵守して、支那と事を共にするこそ得策なれとの説もありと云ふ。
仮りに其説に随ひ、朝鮮に於ける支那の勢力、今日の如く盛なるときは、他の強国が彼地に力を伸ぶるの機会なきが故に、此点に於ては日本もまた安心なりとするも、李氏の如き年既に老して、其勢力の永積は望む可らざるのみか、第一に支那帝国の運命さへも今後如何なる成行を呈す可きや、識者の大に疑ふ所にして、決して永久に頼む可きものに非ず。
現在の勢力を目的にして之と事を共にし、以て東洋の平和を期するが如きは迂闊の談にして、我輩の感服せざる所なり。
政府の当局者は目下の形勢に裁て如何なる所見あるか、務め一定の方針あらんには、今回の始末の如き、歯牙に掛くるに足らず、立談の間に弁ず可きなれども、我輩は年来の事実に徹して甚だ不安心に堪えざるものなり。
〔五月三日〕
関連記事
-
-
『Z世代のための太平洋戦争講座』★『山本五十六、井上成美「反戦海軍大将コンビ」のインテリジェンスの欠落ー「米軍がレーダーを開発し、海軍の暗号を解読していたことを知らなかった」
太平洋海戦敗戦秘史ー山本五十六、井上成美「反戦大将コンビ」のインテリジェンスー「 …
-
-
★『明治裏面史』/ 『日清、日露戦争に勝利した明治人のリーダーパワー, リスク管理 ,インテリジェンス(53)『宇都宮太郎の大アジア主義思想④』★『朝鮮軍司令官時代に、三・一独立運動での強硬弾圧を拒否、大衆運動に対する実弾の発砲を禁止した』
★『明治裏面史』/ 『日清、日露戦争に勝利した 明治人のリーダーパワー, リ …
-
-
片野勧の衝撃レポート⑰『太平洋戦争<戦災>と<3・11>ー震災特別攻撃隊(特攻)とフクシマ(下)』
片野勧の衝撃レポート 太平洋戦争<戦災>と<3・11> …
-
-
日本リーダーパワー史(453)「明治の国父・伊藤博文の国難突破のグローバル リーダーシップに安倍首相は学べ」⑤
日本リーダーパワー史(453) …
-
-
日本のメルトダウン(528)TPP交渉不調で再び国際孤立へ向かうのか?25日に結論、ロンドン軍縮会議の失敗のテツを踏むな
日本のメルトダウン(528) …
-
-
日本メルトダウン脱出法(856)「トランプ圧勝は確実、しかし本選はヒラリーの理由党内の結束力に大きな差、経済の安定も強い追い風に』●『中国の「欺瞞」外交にオバマもいよいよ我慢の限界ー口では協調を求め、裏では米国に大胆に挑戦(古森義久)』●『人工知能が囲碁トップ棋士に勝つ時代に考える「知的職業」の未来』
日本メルトダウン脱出法(856) トランプ圧勝は確実、しかし本選はヒラリーの理由 …
-
-
『Z世代のための百歳学入門』★『ブリヂストン創業者 ・石橋正二郎(87歳)の『「よい美術品を集める」「庭を作る」「建築設計をやる」この3つの楽しみを楽しむことが私の健康法』★『 石橋の経営名言20選『遠きを謀る者は富み、近きを謀る者は貧なり』
2015/08/19 知的巨人たちの百歳学(115)記事再 …
-
-
日本リーダーパワー史(286) 地球環境破壊、公害と戦った父・田中正造②『谷中村滅亡史』1907年)の最後の日まで
日本リーダーパワー史(286) <地球環境破壊、企業公害と戦った父 …
-
-
日本リーダーパワー史(229)<リーダー不在の日本の悲劇②>●『グローバルリーダー論・昭和前期のだめリーダーたち』
日本リーダーパワー史(229) <リーダー不在の人材倒産 …
-
-
日本経営巨人伝⑭●『明治財界の曽呂利新左衛門に識見と禅味と侠骨を加味したよう朝吹英二 』
日本経営巨人伝⑭朝吹英二 ●『明治財界の …
- PREV
- ★『アジア近現代史復習問題』・福沢諭吉の「日清戦争開戦論」を読む(3)ー「北朝鮮による金正男暗殺事件をみていると、約120年前の日清戦争の原因がよくわかる」★『脱亜論によりアジア差別主義者の汚名をきた福沢の時事新報での「清国・朝鮮論」の社説を読み直す』★『韓人の治安妨害』(「時事新報」明治27年4月19日〕』★『 朝鮮国王の指令で次々に4人の刺客を日本に送り込み、 日本の主権を侵し金玉均、朴泳孝の暗殺を実行した』★『朝鮮政府に対し不法なテロ事件の真相を究明し、国際談判を開き、黒白を明にして国家の治安を擁護すべし』
- NEXT
- ★『アジア近現代史復習問題』・福沢諭吉の「日清戦争開戦論」を読む] (5)「北朝鮮による金正男暗殺事件をみていると、約120年前の日清戦争の原因がよくわかる」●『他を頼みにして自らから安心す可らず 』 (「時事新報」明治27年5月3日付)★『支那帝国の中心は既に腐敗した朽木に異ならず、地方も各省もバラバラの施政で、日本の封建時代の末路と同様に亡国の状態だ』