前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

日本リーダーパワー史(757 )―『トランプの政策顧問で対中強硬派のピーター・ナヴァロ氏「米中もし戦わば」(戦争の地政学、文芸春秋社刊)を読む」●「米中対話は不可能である」の結論は「日中韓朝対話も不可能であった」に通じる。」★「明治以降の日中韓朝150年戦争史は『エスノセントイズム」「パーセプション」「コミュニケーション」『歴史認識」のギャップから生まれ、『話せばわかるが、話してもわからないことが わかった!」、ならばどうするのか、難問を解かねばならない。

      2020/07/28

  日本リーダーパワー史(757 )

トランプの政策顧問で対中強硬派のピーター・ナヴァロ氏の「米中もし戦わば」(副題「戦争の地政学」文芸春秋社刊)を読んでいる。この本のポイントは「第39章 中国との対話は可能か?」にあり、、交渉当事者の発言、中国側の行動パターンをケーススタディーしながら、両国の交渉スタイルのギャップから「米中対話は不可能である」と結論づけている。

これは「日中対話は可能か」という問題にすり替えても考えても、同じ不可能という結論になる。

筆者は明治以降の日中朝鮮対話の歴史をこのブログでの延々と連載しているので、関心のある人は、関連キーワードで検索していただきたい。

結局、明治以降の日中朝鮮の歴史は「話せばわかる」と延々と話し合った結果、「対話は不可能、成立せず」そして、「話してもわからない相手は問答無用で、力による解決(こん棒外交から戦争へ)にふみきった歴史で、日清戦争、日中戦争、今回の第3次日中戦争勃発化の危機に至った」のである。

中国の長年の属国であった朝鮮、韓国も全く同じパターンで、対話、外交交渉は延々として成立せず、壬申事変、甲申事変、閔妃暗殺、日清戦争、日露戦争へと発展していったのも、同じ『小中華・朝鮮の事大主義』との対話は不可能となった結果によるものだ。

明治の初代英国の駐清国、日本公使のパークスは日本人とは違って「中国人との対話はザルに水をくむようなもので、対話はただ流れ落ちるだけで、一向にたまらない(交渉不可能)」との趣旨の嘆きを『アーネストサトウは「日記』で書いている。

さて、本書にもどる、ピーター・ナヴァロ氏はこの章のなかで、

➀「中国は潜在的敵国に対して自国の能力を隠し、不透明性によって抑止力を実現しようとする」と指摘している。

 ポーカーゲームにたとえると、アメリカは、自分が持っているカードをすべて見せる。エース四枚がすべて揃っていることを示せばみんなが負けを認めるだろう、という合理的な戦略で。完全ガラス張りのアメリカ軍はこのようにして平和を維持する。

これに対して、中国は潜在的敵国に対して自国の能力を隠し、相手に不安感を起こさせる不透明性によって抑止力を実現しようとする戦略なのだ。この結果、あらゆる核戦力、軍備増強などの情報を秘密にしている。

②中国が多国間協議を嫌って二国間協議にこだわり、拘束力を持つ国際仲裁機関の利用を頑なに拒む。その理由はフイリピンやベトナムなどの比較的小さな国と個別に交渉し、力で自分の主張を押しつける。(南シナ海問題はすべてこのパターン)

➂ 中国がASEANという交渉の枠組みを操作するやり方は、法による秩序と平和の実現に尽力している主要な国際機関を悪用するときのパターン。国連安全保障理事会の常任理事国として、中国は国連決議に常に、拒否権を発動する。

④中国には、公然と条約を破る傾向がある。(英国との返還条約で定めた香港の1国2制度も一方的に破る)

最終的なまとめの結論は・・

西側の人間は、国際関係のあり方について、誰もが他人の主権を尊重し、互いに対等に交渉する。相互理解を深める最良の方法は対話である、と。こうして、われわれは対話依存の罠にはまる。中国流の手口は「延々と自説を繰り広げて、おしゃべりをするだけ」

「とにかく話し合いましょう。次の会合の議題は?次は何をしましょうか」と単に話し合うだけが目標になっているのだ。

結局、最後には力に訴るしかないのか。

 - 人物研究, 戦争報道, 現代史研究

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
知的巨人の百歳学(154)/記事再録★日本リーダーパワー史(98)『幽翁』伊庭貞剛(79歳)『大住友精神を作った禅による経営哲学(リーダーシップ)ー『 リーダーは『熟慮・祈念・放下・断行』せよ』★『 有害なのは青年の過失ではなく、老人の跋扈(ばっこ)である』★『〝晩成〟はやすく〝晩晴″は難し』

 2010/10/19日本リーダーパワー史(98) 『幽翁』伊庭貞剛・ …

no image
★10「日中韓外交の必読教科書―英国タイムズの「日清戦争の真実」➂ <安倍外交>はこの『日清戦争』(伊藤外交)に学べ

     日中韓外交の必読教科書―英国タイムズの「 …

no image
『F国際ビジネスマンのワールド・ニュース・ウオッチ(67)』「ザック退陣後、早くも後任選びに奔走するサーカー協会の無責任」

       『F国際ビジネス …

no image
◎<リバイバル釣り動画記事再録>「鎌倉カヤック釣りバカ日記」(2017/11/10)ーイナダ(35㎝)、シイラ(30-40㎝、30匹)、カワハギ5匹、ソーダカツオ3匹と爆釣

    2017/11/15、記事再録  <201 …

no image
『オンライン/75年目の終戦記念日/講座④』歴代宰相で最強のリーダーシップは1945年終戦を決断実行した鈴木貫太郎(77)ー山本勝之進の講話『 兵を興すは易く、兵を引くのは至難である』★『プロジェクトも興すのは易く、成功させるのは難い』●『アベクロミクスも7年間も先延ばしを続けていれば、 最後はハードランニング、国家破産しかない』

   2016/10/31   …

『Z世代のための米大統領選挙連続講座⑫』★『ミネソタ州・ウォルズ知事が副大統領候補の指名受諾演説を行った。』★『心にしみる「名演説」で選挙のテーマは「自由」,「リーダーとは何か」「あなたが求める人生を自由に送るために闘う」』

米民主党の全国党大会は8月21日、3日目を迎え、ミネソタ州のティム・ウォルズ州知 …

no image
『オンライン講座/近藤康男(106)の100歳突破実践法を学ぶ』★「七十歳は一生の節目」「活到老 学到老」(年をとっても活発に生きよ 老齢になるまで学べ)』★『簡単な健康法を続ける。大切な点は継続することだ』

   2018/07/21百歳学入門(237)ー『簡単で効果 …

no image
『リーダーシップの日本近現代史』(182)記事再録/★『高橋是清の国難突破力(インテリジェンス)②』★『「明治のリーダー・高橋是清(蔵相5回、首相)は「小さな 政治の知恵はないが、国家の大局を考え、絶対にものを恐れない人」 ★『政治家はすべて私心を捨てよ』(賀屋興宣の評)

    2019/09/25 &nbsp …

『オンライン講座/独学/独創力/創造力の研究②』★『『日本の知の極限値』と柳田国男が評したー地球環境問題、エコロジー研究の先駆者・「知の巨人」南方熊楠のノーベル賞をこえた天才脳はこうして生まれた(中)』

2009/10/02 日本リーダーパワー史 (23)記事再録   『ノ …

no image
日中北朝鮮150年戦争史(11) 日清戦争の発端ー陸奥宗光の『蹇々録』で読む。日本最強の陸奥外交力④『陸奥が徹底したこだわった宗属関係の謎とはー』李朝は、宗主国「清朝」の代表的属国。 朝鮮国王は、清国皇帝の奴隷のまた奴隷である。

日中北朝鮮150年戦争史(11)  日清戦争の発端ー陸奥宗光の『蹇々録』で読む。 …