★「日本の歴史をかえた『同盟』の研究」- 「日英同盟はなぜ結ばれたのか」⑥1902(明治35)年2月19日『ノース.チヤイナ・ヘラルド」『日英同盟の内幕』●『西太后が信頼した外国は①米国②日本➂英国で『日本は血縁関係の帝国同士で、 中国に対する友情をもって決して外れたことはない』★『袁世凱とその同僚の総督たちは日本派で日英同盟を 結ぶようイギリスに働きかけた。』
2016/12/01
★「日本の歴史をかえた『同盟』の研究」-
「日英同盟はなぜ結ばれたのか」⑥
1902(明治35)年2月19日『ノース.チヤイナ・ヘラルド」
『英日協約』の内幕
➀西太后が最も信頼した外国は①米国②日本➂英国の順、
最も信頼できない国はロシア。
『日本は同じ大陸の血縁関係の帝国同士で、
中国に対する友情をもって決して外れたことはない。
②袁世凱総督とその同僚の揚子江流域の総督たちは信念をもっ
て日本派に強く加担しており,後者2人が,日英同盟を
結ぶよう大英帝国に働きかけていた。
批准されたばかりの大英帝国と日本との間の協約は,当事国の国民および合衆国とドイツの新聞から心からの賛同を得ているが,この協約は,大英帝国が中国におけるすべての国々の国民の利益を差別することなく保護し,中国帝国の儀土保全を守る意図で最近締結した公式協約としては2つ目のものだ。
だが,この2番目の協約はドイツとの協約がそうなってしまったように大失敗になることはないと確信してもいいだろう。
ここで英独協定の主な条項を思い出すのも意義あることだ。
「第1. 中国の河川および沿海の諸港をすべての国々の国民のために差別することなく,貿易および他のあらゆる合法的形態の経済活動に対して自由で開放されたものにしておくことは,国際的に共通の恒久的利益にかかわる問題である。それ乱両政府はその影響力を及ぼすことができる限り,中国全領土に上述の状態を保つことに合意する。
「第2. ドイツ帝国政府とイギリス女王陛下の政府は共に,現今の輻輳した事態を利
用して中国領土において領土的利益を獲得することはない。また中国帝国の債土が減少することなく維持されることをその政策の目的とする。
第3.他国がいかなる形であれ領土的利益を獲得するために中国の轄壊した事態を利用しようとした場合に,両締結国は中国における自国の利益を守るためにとられる最終的措置に関して事前の了解に至る権利を有する」
わが政府はこの協約の意味内容をこの3条項に含まれる通りで,これ以上でも以下
でもないつもりでいた。それ以上のものではないというのは,なぜならこの条件には
「中国全領土」と.どの国であろうと「いかなる形であれ」領土的利益を得ることを
禁じる,ということが含まれているからだ。
ところがドイツ政府は,これをイギリスに揚子江流域での特殊利益を主張させないための巧妙な処置としか見なしていなかった。
そしてドイツの新聞は,今朝本紙が掲載したオストアジアティツシェ・ロイド紙の電報中に見られるように.これに言及する際一貫して「揚子江流域に関する独英協約」と表現していた。
この条約が大失敗だったことは,イギリスがロシアの満州における侵略の問題を取り上げてドイツに訴えたところ,満州は中国ではないと,ドイツが平然と答えたときに明らかになった。
すでに述べたように,われわれはこの新しい協約が同じような失策になる可能性はない
と分かっている。
「同盟は相互に現実的潜在的利益となるものでなければ,
永続することも成功もすることもあり得ない限り」
日本が責任を十分に自覚しており,担った義務を立派に果たすべく最善を尽くすものと信頼してよい。ところで,今朝、本紙が掲載した電報によれば,「英独協約はいまだ有効である」ということを指摘するのは興味深いことだ。
ドイツの新聞は「この協約はロシアの侵略に対抗することを意図している」と主張している。これは単に,ドイツの新聞がロシアが極東における侵略国家であることを知っているのを意味するに過ぎないが,ドイツの新聞は極度に用心深く,そのことをそれだけの言葉を使って言わないのだ。
「満州は,中国の他のいかなる地域とも同様に,この協約の範囲から除外されない」という発言が,特にロシアに打撃を与えるとしても,それは両締約国の誤りではない。
この協約は,いかなる国による中国の侵略も阻止することを意図しており,侵略する意思のない国がこれによって打撃を受けることはないし,これに不満を述べることもあり得ない。
この協約がもたらす利益については、多々取りざたされている。その主要なものは,両締約国の得る利益で,次はこの協約が公表される前にその内容を知らされていたと言われる合衆国の利益,そして広く一般に中国と通商関係のある国々の利益だ。
しかし,中国そのものが得る利益についてはほとんど話題にされなかった。おそらく
あまりに明白だからだろう。中国の朝廷は2派に分かれていて,皇太后はその間を揺れ動いている。
その一派は李鴻章に代表される保守派を含むロシア派で,他の一派は皇帝を長とし真の改革を導入してこの帝国を救おうとする人々すべてを含む日本派だ。
李湾章の死以来,後者が優勢になってきており,さらに英日協約によってその力は限りなく強大になるだろう。そして開明的な中国人ならだれでも,多言を費やして自らを改革派と呼ぼうが呼ぶまいが、このことを知っており歓迎している。
昨日,本紙が引用した次の新聞報の記事の内容はきわめて意味深いものだ。
北部鉄道の経営陣の一員であ胡ユーフェン閣下は最近,どの外国が中国にとって最も信頼できると思うかと,皇太后に質問され,合衆国と答えた。
「合衆国は国の上から下まで他国民の土地を欲しがりませんでした。これがあの国が独立を獲得したときからの原則なのです」。
日本については,あの国はこれに次ぐ。日本は1894年に中国と戦争に及んだが両国間に和平が成立して以来,日本は同じ大陸の血縁関係の奉る帝国同士という理由に基づき中国に対する友情をなんとか証明したいという切望から決して外れたことはない。
大英帝国はと言えば,その唯一の望みは平和に貿易することで,わが国とであれ他のいかなる国とであれ軽々しく戦争に突入したりしないよう配慮している。したがって上記の3国は信頼することができる。
しかし,ロシアに関しては,その言葉は親切だが,その唯一の野望はこれまで常に領土拡大であり他国の領土の侵略だった。したがって,ロシアに対しては常に守りを固めるべきだ。皇太后は閣下の話に賛同した様子だった。
周知のように,袁世凱総督とその同僚の揚子江流域の総督たちは信念をもって日本
派に強く加担しており,後者2人が,4日前に公表された協約と同様の協約を日本と結ぶよう,しばらく前から大英帝国に働きかけていたことは,秘密でもなんでもない。
彼らは徹頭徹尾.満州協定に反対して奮闘してきた。したがって.彼らにとってこの協約は最も歓迎すべ暑ものであることは確かだ。実際のところ,この間題は議論するまでもない。
この協約の目的は,東洋の平和を守り中国の独立と保全を維持することにある。中国人自身以上に,この目的が貴重な国民などいるだろうか。
この前の記事の中で,この間題の感情的な面について簡単に触れたが,依然として,日本が,東洋の国という言葉によってわれわれが一般的に理解する存在では全くなくなっていることを認めるのを嫌悪する人々がいるようだ。
しかし.ランズダウン卿がもちろん認識していたに違いない,非常に実際的な一面が存在するのだ。
数か月前,日本は次のことを明白にほのめかした。
日本は正しいと分かっている政策を単独では維持することが不可能であり,合衆国やわが国が常に惜しみなく与えてきた好意の漠然とした約束以上のものに、わが国が踏み出す覚悟がないのなら,まことに不本意ながらロシアと明確な取決めをせざるを得なくなるだろうと。これにより幸いにもランズダウン卿は,われわれが久しくわが政府に望んできた決断を下すに至った。
また彼は時代遅れの人種的・宗教的偏見を無視し,わが国の慣習的な孤立を捨て去ることができたのだ。だが、もし感情論者が勝利を得て.日本が諸般の事情からやむを得ずロシアの腕の中に飛び込んでいたら,どうなっていたかを考えてみよう。
ロシアが支配的影響力を持ちそうなロシア.中国,日本の三国同盟に対して.世界の他の国々の中国における利益にどのような成算があっただろうか。
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