日中北朝鮮150年戦争史(2)『金玉均暗殺事件が日清戦争の発火点の1つ』清国、朝鮮共謀で金玉均を上海に誘い出して暗殺、金の遺体 を清国軍艦で送り届けて、遺体をバラバラにして晒した。これに憤激した日本政府と対立がエスカレートした②
日中北朝鮮150年戦争史(2)
『金玉均暗殺事件が日清戦争の発火点の1つ』
清国、朝鮮共謀で金玉均を上海に誘い出して暗殺、金の遺体
を清国軍艦で送り届けて、遺体をバラバラにして晒した。
これに憤激した日本政府と対立がエスカレートした②
事件発生と同時に上海工部局警察部は直ちに現場を臨検し、捜査を始めたが、呉総に逃走していた洪鐘宇は翌29日未明に逮捕された。
この事件は共同租界内の日本旅館で発生したものだが、加害者、被害者ともに上海に駐在領事のいない朝鮮人であったため、上海警察はその処置に困り、江蘇海関道に報告し指揮を仰いだ。
海関道では駐劉朝鮮総理交渉通商事官・袁世凱に事件概要を打電すると、折り返し袁世凱から『洪鐘宇に適当な保護を与えられるように要請する』との急電が届いた。
暗殺された金の遺体は随行していた日本人の書生・和田延次郎が棺に納めて日本に送還するよう手続きしている時に、清国官憲がきて、奪いとってしまった。
朝鮮国王は31日には天津駐在督理通商事務・徐相喬に電命して、上海に急行して洪鐘宇と金玉均の死体の引渡しを交渉させた。
同時に北洋大臣・李鴻章に援助を懇請したところ、李鴻章はこれに応じ江蘇海関道にその旨打電した。
この時、李鴻章が、朝鮮国王に対して、「金玉均の暗殺成功を祝す」との電報を打っていた。(森川前掲書)
徐相喬は4月6日上海に到着、海関道より洪鐘宇及と金玉均の死体を引渡され、滑国軍艦『威靖』により護送、『威靖』が故障したため、別の船で12日に仁川に到着した。
「このとき、朝鮮在住の日本人居留民は、金玉均の屍骸は上海で清国官吏に盗み去られ、清国兵船にて護送して来る上に、凌遅の刑に処せられるに違いないとの話を聞き込んで憤激の度を増し、
また、日本国内の各新聞にも種々の過激の事項を記載していることから、金玉均に同情し、若上陸の際には多少の妨害を加えようとの計画をする者があるとの情報が在仁川日本領事に入っていた。
このため、仁川領事は数日前から居留民に注意を加え、万一不穏の挙動をする日本人があれば直ちに逮捕するように命じていた。そのためか結局は何事も起こらずに済んだ。」以上は『日清戦争前夜の日本と朝鮮(20)』http://f48.aaacafe.ne.jp/~adsawada/siryou/060/resi056.html
日本国内では、金玉均に同情して、清国、朝鮮の態度への非難が大きいくなり、政府の態度を軟弱だとする声が高まった。金玉均の遺体の引取り連動が起きた。尾崎行雄は門下生を遺体受取り委員として上海に派遣した。大隈重信は在上海米国領事に協力方を要請する添え書きを同委員に持たせた。
岡本柳之助は、大越上海領事に面会して、「各国領事の決議を以て、金玉均の死体に対し、惨刑を加えぬよう希望する旨を、清国・朝鮮両政府に通告するようにしてもらいたい」と要請した。一方、東京では、大井憲太郎、石井信、三宅豹三らが代表となって、外務省に対して、「金玉均は日本の法権の保護下にあった者であるから、その遺体は日本に送還すべき国際法上のル―ルである」と申し入れた。(森川前掲書)
その後、陸奥外相は大越総領事により、金玉均の遺体が朝鮮本国へ送られた事実を確認すると、『朝鮮国王及び閔一族が旧慣習に従っ死体に残虐な刑罰を加えると、①国際間の信用をなくすこと②日本国内の感情を刺激するとして、大鳥朝鮮公使を通じて、朝鮮駐在の各国公使と協力して『金玉均の遺体に刑罰を加えることを中止する』よう朝鮮政府に勧告させた。
3月14日、大鳥公使は京城(ソウル)外交団の首席だったので、外交団会議を招集し、日本政府より朝鮮国王に対する勧告に参加するよう希望した。しかし、ロシア代表のウェーベルは『金玉均は朝鮮国の重大犯人であるから、その処刑は朝鮮国王の権限に属し、外交団の勧告は内政干渉となる恐れがる』として反対した。
外交団では決議に至らず、各国公使が個人の資格で、罪人の死屍に斬刑にする朝鮮古来の慣習は、朝鮮の国際信用を著しく害する事実を、非公式に朝鮮国政府に説明するということになった。(前掲日本外交史、3巻、146P)
会議が終了するや、大鳥公使は直ちに督弁交渉通商事務・趙秉稷に会見し、金玉均の死体に再び刑罰を加えることのないように勧告した。しかし超督弁は朝鮮古来の刑律があることを主張して、この勧告を拒絶した。そしてこの日、楊花津において刑が執行された。(前掲書147P)
金玉均の死体は、ばらばらに寸断され、首と四肢は、獄門台に梟(さらされ)た。その他の体は、寸断されたま漢江に投ぜられた。
朝鮮政府は梟首(きようしゅ)の場所に、「謀殺大逆不通 罪人玉均ハ当日揚在津頭不得時凌処斬」と記した高札を立てた。朝鮮では最高級の惨刑で、日本ではすでに明治以降に廃止になった梟首刑が存続していたのだ。
『日韓文化衝突、ギャップ』の対立が頂点に
ネットでは残虐の処刑方法の紹介は、慎まねばならないが、これは歴史的事実であり、日清戦争の原因となった『日韓文化衝突、ギャップ』の対立点なので、そのまま記録するとー。
『義禁府都事が立ち会う中、執行吏が屍体の首と手足とを切断し、両手両足はそれぞれ縄で縛り、3本の丸太を鼎足に立て、首と手足を吊り下げ、その傍に「謀反大逆不道罪人玉均当日楊花津頭不待時凌遅処斬」との処刑宣告を書いた木板が立ち、また「大逆不道玉均」と大書した旗も立てられた。
朝鮮国の習慣はこのような大罪人の処分については、何人をも口を出すことが許されず、もし寛減すべしなどの議を唱えれば、たちまち同罪の刑に処せられる恐れがあった。
16日の夜、官吏が出張して来て現場を片付け、胴体は河中に投じ、首は京畿道竹山に移して曝し、片手及び片足は慶尚道に廻し、他の手足は咸鏡道に送り、各道各府各郡で曝す筈であるという。
(以上も『日清戦争前夜の日本と朝鮮(20)』http://f48.aaacafe.ne.jp/~adsawada/siryou/060/resi056.html)
しかも、その大逆罪は妻子供、親族、友人、親族9等に及ぶという残虐、苛烈なものであった。
現在の北朝鮮がこの旧刑罰慣習をかたくなに守って、金正恩体制を維持するために粛清、残虐な処刑、大量虐殺を続けているのは、この中世から続けている『中国流の残虐非道な旧刑罰観』である。
http://matome.naver.jp/odai/2138691881871408601
このため、
杉村濬臨時代理公使は朝鮮外務督弁趙秉稷に面会して、その残虐刑の現状を尋ね、また忠告に及んだが、督弁は、金玉均の屍体加刑に付いて忠告した時と同じようなはんろんした .
督弁 「およそ人を刑するのに、その罪親族まで及ぶ、は現今開明諸国では行わないことであることは、本官もよく知っているところである。しかし我が国は五百年来、明律(中国明代の法律)を遵用して来ているので、大逆無道と名づけられた大罪人は、罪親族に及ぶことは法律上において動かすべからざるだけでなく、国民一般もこれを当然と信じ居ることである。故に法律に違えてこれを寛大に取り扱うことは到底なし得ないことである。」 と答えた。
杉村 「拙者の御忠告は、貴国の法律を曲げてもこれを寛大に処分されたいと希望するものではない。拙者がかつて取り調べたところでは、明律の謀反大逆の条に、妻女まで絞殺すべしということは見当たらない。よって法律の範囲内で寛大に処分せられんことを希望する訳である。」 と、重ねて申し入れたところ、
督弁 「本官は司法当局者ではないので、これに喙を容れることは出来ないが、我が司法官は決して法に逆らって人を殺すことはないだろうと確信する。」 と述べた。 (『日清戦争前夜の日本と朝鮮(20)』http://f48.aaacafe.ne.jp/~adsawada/siryou/060/resi056.html)
つづく
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