前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

『F国際ビジネスマンのワールド・ニュース・ウオッチ(144)』エマニュエル•トッド著「ドイツ帝国」が世界を破滅させる 日本人への警告 (文春新書) 新書 を読んで

   

『F国際ビジネスマンのワールド・ニュース・ウオッチ(144)』

エマニュエル•トッド著「ドイツ帝国」が世界を破滅させる

日本人への警告 (文春新書) 新書 (2015/5/)を読んで

<F氏のコメント>

エマニュエル•トッド著「ドイツ帝国」が世界を破滅させる 日本人への警告 を読んでの感想です、 第2章 で「 ロシアを見くびってはいけない」と書き、その論拠として
p-81 (乳児死亡率が低下し、出生率が上昇しているプーチンのロシア)で、プーチン支配下のロシアでは、かつてとは逆に、乳児死亡率が目覚ましく低下している。

2009年以来、ロシアの人口は増加に転じている。これはロシア社会が再生の真っ最中である事を示し、西欧の多くの国々と比べてもより良好な状況である。

p-86 (「プーチン嫌い」が真実を見えなくさせている)では「プーチン ロシア大統領には社会民主主義的なところも、自由主義的なところも皆無である。
ロシアがいつかアングロサクソン風のデモクラシーになる などと想像しないほうが良い。
ロシアの家族構造、国家の構造が、歴史に刻み込まれている暴力と相まって、そういう推移を妨げている。ソ連の崩壊から、モダンでダイナミックな一つの偉大な社会が生まれている事実がある」と分析しています。

現在のロシア社会は「権威主義的民主主義」と分析

  • ソ連時代から継承された高い教育水準が保たれていて、男子より女子の方が多く大学に進学する。人口の流出より流入が多い。
  • ロシアでは、「権威主義的デモクラシー」、強力で粗暴でさえあるが、それでも大多数の国民から暗黙の支持を受ける体制 がある。
  • p-88 (KGBはロシアのエリート養成機関)ではKGBとその現代版のFSB(ロシア連邦保安庁)はロシアのエリート育成機関であり、この組織はフランスのENA(国立行政学院)に相当する。
  • p-91 (ロシア経済の二つの切り札)では
    ロシアは、主として地下資源の開発に依存する「不労所得経済」と農業によって生きている。そして従来から残っている産業を護る保護主義経済にとどまっている。

そして、結論として
「この国の切り札は二つ、潜在的な富に満ちた1700万平方キロメートルの広大な国土と大勢のハイレベルの科学者たちを擁する14400万人(2013年)の人口である。ロシアの人口学的要素の非常に力強い立ち直りは、注目に値する』と評価しています。

反プーチン、反ロシアの1色の米英の論調とは一線を画すエマニュエル•トッド一流の着眼点と鋭い分析が光っています。

『学者としての論拠の他に、ヨーロッパの生活者としての視点に溢れていますので、読者を安心させます。東中西のヨーロッパを理解する上で、 この人は外せないな』というのが私の読後感です。

「ドイツ帝国」が世界を破滅させる 日本人への警告 (文春新書)

作者エマニュエル・トッド

http://www.amazon.co.jp/product-reviews/4166610244/ref=dp_db_cm_cr_acr_txt/375-0589047-5681341?ie=UTF8&showViewpoints=1

 - 人物研究, 現代史研究

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
世界/日本同時メルトダウンへ(908)『コラム:英国離脱で何が起こるか、5つの疑問=吉田健一郎氏』●『「英国EU離脱」はどちらの結果でも株価上昇離脱は最悪シナリオだが不透明感は払拭へ』●『コラム:アベノミクスに国内「収縮論」の壁、打破困難なら長期停滞も』

 世界/日本同時メルトダウンへ(908) コラム:英国離脱で何が起こるか、5つの …

no image
日本リーダーパワー史(388)「最強のリーダーシップ・児玉源太郎伝(9)『全責任を自己一身に帰し、一身を国家に捧げる決意」

 日本リーダーパワー史(388)   「日本のナポレオン」・児玉源太郎伝(9) …

「75年たっても自衛権憲法を全く変えられない<極東のウクライナ日本>の決断思考力ゼロ」★「一方、ウクライナ戦争勃発3日後に<敗戦国ドイツ連邦議会>は特別緊急会議を開き、防衛費を2%に増額、エネルギーのロシア依存を変更した」★『よくわかるオンライン講座/日本国憲法制定真相史②』★『東西冷戦の産物として生れた現行憲法は・・わずか1週間でGHQが作った憲法草案 』

日本リーダーパワー史(356)●『東西冷戦の産物として生れた現行憲法」 『わずか …

no image
『リーダーシップの日本近現代史』(243)/★記事再録『2011年3月11日、福島原発事故から49日目)ー『日本のメディア、ジャーナリスト、学者の責任と良心を問う』

  2011/04/28  速報(38) …

長寿学入門(218)★人気リクエスト記事再録『2025年問題の解決に向けて「団塊世代は元気な百歳をめざそう』★『長生きの秘訣は若い医者や研究者よりも百寿者(センテナリアン)にこそ聴け』★『「おじいちゃん、おばあちゃんの口癖こそ長寿の秘訣の宝箱ですよ』

100歳現役学入門―団塊世代は元気な百歳をめざそう,<健康長寿の秘訣はこれじゃ> …

no image
 日本リーダーパワー史(830)(人気記事再録)『明治維新150年』★『日露戦争勝利の秘密、ルーズベルト米大統領をいかに説得したかー 金子堅太郎の最強のインテジェンス(intelligence )②』★『ル大統領は金子特使を大歓迎 ー米国到着、米国民はアンダー・ドッグを応援』

 日本リーダーパワー史(830)(人気記事再録)『明治維新150年』★ &nbs …

no image
『鎌倉桜絶景チャンネル』『鎌倉花の寺、桜だより毎日中継(2013年3/25)』段葛は満開、安養院,英勝寺,寿福寺の桜は

『鎌倉桜絶景チャンネル』      『鎌 …

『歴史の復習問題・オンラインZ世代のための日本戦争史講座①』★『日本興亡史3回目の転換点・戦後の安保体制を見直し自立防衛政策(GDP2%)を構築へ』★『明治・大正の軍国主義(強兵富国)から『昭和の平和ボケ経済GDP主義』へ『令和の平和国際経済(GHP)安保主義へ大転換へ』

2015/07/20  終戦70年・日本敗戦史(114) <世田谷市民 …

no image
日本リーダーパワー史(338)◎「此の一戦」の海軍大佐・水野広徳の『日本海海戦』の勝因論①」

日本リーダーパワー史(338)   ● 政治家、企業家、リー …

no image
『大正の言論弾圧事件』 日本初の政党内閣である大隈・板垣内閣『隈板内閣』で起きた尾崎行雄の共和演説事件

『大正の言論弾圧事件』 日本で初めての政党内閣である大隈・板垣内閣『隈板内閣』で …