日本リーダーパワー史(482)「明治大発展の国家参謀・杉山茂丸の国難突破力に学ぶ」今こそ<21世紀新アジア主義者>出でよ
「夢野久作と杉山3代研究会」第2回研究大会 2014,3、8 前坂 俊之
「明治大発展の国家参謀・杉山茂丸の国難突破力に学ぶ」今こそ杉山の再来<21世紀新アジア主義者>が必要な時
① 「坂の上の雲」<日清戦争(明治27年1894)、日露戦争(明治37年1904年)勝利でアジアで唯一先進国の仲間入り>の真のヒーローはだれかー秋山真之、広瀬武夫、東郷平八郎、川上操六、児玉源太郎、伊藤博文,山県有朋、陸奥宗光、福沢諭吉、明治天皇、杉山茂丸、頭山満らの玄洋社か?
② 杉山の長男・夢野久作は「近世快人録」の中で、父をこう評した。
「彼は目的のためには手段を選ばなかった。子分らしい子分を一人も近づけないまま、万事ただ一人の知恵と才覚で成功してきた。いつも右のポケットに二、三人の百万長者を忍ばせ、左のポケットにはその時代時代の政界の大立者を四、五人も忍ばせて、『俺の道楽は政治だ』と言いながら彼一流の活躍を続けて来た」―「この杉山のポケットに入った巨頭が後藤象二郎、伊藤博文、山県有朋、松方正義、寺内正毅、桂太郎、児玉源太郎、明石元二郎、後藤新平らで、実業家では藤田伝三郎ら」
③ 「もぐら」「ほら丸」・杉山茂丸の「超人的な参謀力)はどこにあるのかー
「㋑雄弁・スピーチ力・プレゼン力」「㋺言行一致の行動力」「㋩戦略・構想・国際的な政治・経済の見識力・語学力」「㊁交渉力・コミュニケーション力・情報伝達力」「㋭「ジャーナリスト・メディア力」=を総合した「明治期最大の国家参謀」として、大活躍する。
世界の金融王モルガンの顧問弁護士のF・ジェ二ングは「彼は既成概念を超えた新しい発想の持主で、その発想を数字具体的に組立て、理論整然と説き、十二分に納得力のある話術の持ち主で、今までに彼ほどの日本人に会ったことがない。」
④ その「超人力(スーパーパワー)」はどこで生まれ、養われたのかー
黒田藩士族・杉山三郎平の長男で元治元年(1864)8月15日生。父・三郎平は修猷館助教。11代藩主・11代黒田 長溥(くろだ ながひろ)のお小姓に。「父から藩閥打倒の精神を受継ぐ」「無類の暴れん坊、ガキ大将」「吉田磯吉(最後の侠客、政治家)は4歳年下の子分」「上京し、山岡鉄舟の全生庵で剣術の修行」(19歳)「ジャコバン党を結成しテロリストに」(21歳)、
「伊藤を暗殺に行く説得された目を開く」(明治20年、24歳)「玄洋社・頭山満との出会い、平岡浩太郎と出会う」(同、24歳)。「来島恒喜の大隈重信暗殺未遂事件で逮捕収監される」(明治22年、26歳)「荒尾精を知り、大陸情報をつかみ香港に初渡航、日清貿易研究所に資金を提供」(同、26歳)、「松方内閣の海軍軍備拡張予算の解散総選挙での一大選挙干渉に関係」(明治25年、29歳)
⑤ 日清戦争(明治27年8月開戦、31歳)でリーダーシップを発揮
「対清国関係で、陸奥宗光外相、川上操六参謀次長の連絡役を務める、山県と初めて会い、信頼を勝ち取り、資金提供で6人の同志を韓国に派遣」(明治26年、30歳)「金子堅太郎と初会見」「東学党の乱(甲午農民戦争)では天佑侠を派遣」(明治27年、31歳)
陸奥宗光外相、川上操六参謀次長と3人トリオで、開戦を指導」
「東郷平八郎の高陞号事件(7/25)」、「日本陸軍と中国軍との違い」、「連戦連勝、決戦前に一斉に逃げ出す中国兵」、「下関条約締結のあと三国干渉」(明治28年4月)、「臥薪嘗胆へ」
⑥ 日露開戦(明治37)までの10年間
「第2回渡米でモーガン財閥訪問、外債1億3000万ドル導入に成功」「日露戦争開戦を目標に児玉源太郎と秘密結社を結ぶ」、(明治31年、35歳)「台湾銀行設立に関係」(明治32年、36歳)「日本興業銀行の設立に尽力,同総裁は断る」(明治33年、37歳)
「杉山、児玉との密約遂行の第一段階として一大政党作りに暗躍」「杉山が政党工作資金を作り10万円を伊藤に渡し、立憲政友会設立」(明治33年9月)、「第四次伊藤内閣の警視総監就任を委嘱され、これを断る」(同7月)「桂、児玉、杉山で日英同盟の締結に動く」「桂の指示で外債募集に第4回渡米」((明治34年、38歳)「日英同盟成立」(明治35年1月)
⑦ 日露戦争開戦と杉山の大活躍、勝利の影のプロデューサーへ
明治36年-「無隣庵会談で、児玉と杉山が待機」(36年4月)「七博士建議書」(同6月)
桂内閣の留任に児玉と尽力」「ロシア極東総督府を設置」(8月)、「田村怡与造陸軍参謀本部次長の死去と児玉次長就任を杉山が工作」(明治36年10月)
明治37年(1904)-日露開戦(2月10日)、児玉の活躍。金子堅太郎のルーズベルト工作、明石元二郎のロシア革命工作、高橋是清のロンドン、ニューヨークでの戦費外債募集の成功(9億円)に側面協力。
38年3月-「奉天会戦後、杉山がニューヨークタイムズ記者から、戦局に関する重大情報入手、直ちに児玉、山県、桂に連絡、停戦、講和に向けて協議」。「山県の極秘裏の満洲行に同行、奉天では児玉参謀長の部屋に同宿、満州占領計画、満鉄の創設案を作成」(7,8,9月)。「ポーツマス講和条約締結」(9月)「伊藤博文が初代韓国統監に就任」(38年12月)
39年―「内田良平を伊藤統監側近に推挙」(39年2月)、児玉源太郎急逝(明治39年7月)「杉山が主張してきた鉄道国有化法なる」(3月)「後藤新平を満鉄総裁に推す」(同6月)
<年表>●英国・ロシアで侵略寸前となった弱小国「日・中・韓」の運命は?
―リスク管理の差(インテリジェンス・リーダーパワー)が興亡を分けた。
●1853年(嘉永6)7月、米国の黒船来航。8月ロシア艦隊も。10月クリミヤ戦争―
オスマン帝国がイギリスとフランスの支援を得てロシアに宣戦布告。
ン帝国がイギリスとフランスの支援を得てロシアに宣戦布告。
1854年、日米和親条約で開国、以後、列強と次々に不平等条約を結び、鎖国は崩壊
1856年(安政3年)アロー戦争(英仏軍対清国)で清は半植民地状態になる。
1863年 薩英戦争(イギリス艦隊鹿児島湾を砲撃)、下関戦争(英仏蘭米と長州の戦い)
1864年(文久3)、李氏朝鮮で大院君が仏人宣教師、8千人のカトリックを処刑。鎖国・排外主義を続け、その後の明治政府との修好条約も拒否、日本と対立する。(杉山誕生)
●1868年(明治元)明治維新、朝鮮との初外交交渉を朝鮮は拒絶。 (杉山 4歳)
1871年(明治3、4)、日清修交条規(平等条約)、普仏戦争、パリコミューン
1873年(同6)朝鮮の排日で西郷隆盛の征韓論敗れ、板垣退助・江藤新平ら参議を辞職
1874(明治7)「民選議員設立建白書」提出、日本の台湾出兵、佐賀の乱
1875年(同8) ロシアと樺太・千島交換条約調印、朝鮮と江華島事件おこす。
1976年(明治9)に日本は朝鮮と日朝修好条規を結ぶ、熊本神風連、秋月の乱
1877年(明治10)西南戦争勃発、西郷隆盛自死、木戸孝允没、
1978年(明治11) 大久保利通暗殺により「維新の三傑」は<歴史の舞台>をさる。
1881年(同14)玄洋社設立(初代社長は平岡浩太郎)、明治14年の政変(大隈重信下野)
●1982年(明治15) 福沢諭吉「時事新報」創刊(多事争論)、 (杉山19歳)
壬午事変(じんごじへん)―朝鮮で親日派の閔妃派らが日本から軍事顧問を招いて改革を行う。これに反対する大院君派(親清派)がクーデターを起し日本人軍事顧問を殺害、日本公使館焼き討ち、数十人が死傷。清の出兵により鎮圧。以後、親日派であった閔氏は清へと傾き、事大主義になる。済物浦条約。
●1984年(明治17) 清仏戦争(ベトナムの領有権をめぐる戦争)甲申事変(こうしんじへん)クーデター。明治維新をモデルに開化派(朝鮮独立党)の金玉均・朴泳孝らが,朝鮮の独立と政治改革をめざし,日本の援助で王宮を占領したが,二日後に清の武力干渉によって失敗。金らは日本へ亡命した。福沢、玄洋社が金を支援・援助。
1885年(明治18)金玉均らの朝鮮の改革を実力行使で行おうという自由党・大井憲太郎の大阪事件発生。福沢諭吉が「時事新報」に「脱亜論」発表(3/16)「清国、朝鮮が明治維新のように変革できなければ、数年後には亡国となるであろう」と
1986年(明治19) 清国は海軍力を増強、日本にデモンストレーションし、長崎清国水兵事件が発生(8月)。双方で数十人の死傷者、日本側が多額の賠償金を支払う。
1989年(明治22)大日本帝国憲法発布。 山県有朋首相が「シベリア鉄道が完成した時にロシアの侵略が始まる」と想定し「朝鮮半島に利益線の確保のために軍事予算の拡大が必要」と議会演説する。 (杉山26歳)
1993年(明治26)「日本のモルトケ」川上操六陸軍参謀次長が満州、シベリアを偵察旅行、福島安正中佐が単騎シベリア横断の快挙を達成。
●1894年(明治27) 3月、金玉均が上海に連れ出されて、朝鮮王宮・閔妃の刺客と清の李鴻章の策謀によって暗殺され、遺体はソウルに運ばれバラバラにされる。福沢、玄洋社、日本の世論は沸騰し、これが日清戦争の導火線となる。 (杉山31歳)
東学党の乱が勃発(3月)、玄洋社が天祐侠を派遣。日本出兵(6/5), 高陞号事件(7/25),日清戦争開戦(8/1),威海衛占領、清北洋艦隊全滅(95/2/12)
1995年(明治28) 日清講和条約(下関条約)締結(4/17),日本は3億6千万円の賠償金を獲得。杉山は伊藤に遼東半島の領有に反対の意見具申。ロシア・フランス・ドイツによる三国干渉招く(4/23)、閔妃暗殺事件(三浦梧楼駐韓公使らを裁判にかけるが証拠不十分で無罪釈放)
1896年(明治29)朝鮮国王、露国公使館に匿われる。三国干渉で日本が放棄した遼東半島を列強は租借地、鉄道施設権を獲得、6月に露清密約(日本が清、朝鮮に・侵攻した場合、露清は共同して戦う。李鴻章は50万ルーブルの賄賂を受け取っていた)
1997年(明治30) 米国はハワイを合併。ドイツは膠州湾占領、朝鮮は「大韓帝国」になる。
1898年(明治31)日本は威海衛を撤兵し英国が租借、ロシアが旅順、大連を租借。児玉陸軍次官が台湾総督に。義和団事件勃発。川上操六逝去(99/5)
1900年(明治33)義和団事件に派兵を決定。ロシア満州を占領(8月)、伊藤博文の政友会組織を後援(杉山)、杉山は伊藤からの警視総監は固辞するが、日本公債引受交渉のための内閣嘱託を依頼される。 (杉山37歳)
1901年(明治34)桂内閣成立、杉山、児玉が援助。黒龍会創設。東亜同文書院、上海設立。
1902年(明治35)シベリア鉄道開通(1月),日英同盟締結(2月)、露仏同盟締結(3月)
1903年(明治36)、戸水寛人ら7博士対ロシア開戦決議書提出。ロシア第2次満州撤兵不履行(4月)、無隣庵会議(4/21,杉山、児玉同席)、日露談判開始(6月)、ロシア・クロパトキン陸相来日(6/12)、東郷平八郎を連合艦隊司令長官に抜擢。対露同志会(頭山満、内田良平、平岡)は対ロ宣戦布告を求める(10/5) (杉山40歳)
●1904年(明治37)御前会議(2/4),日露交渉打ち切り(2/6),宣戦布告(2/10)、金子堅太郎を渡米、ルーズベルト工作(2/24)山県有朋が参謀総長、児玉は満州軍総参謀長に。
1905年(明治38) 明石元二郎による「血の日曜日」ロシア革命の発端)起きる(1/22),
奉天会戦(3/10),杉山の献策で児玉参謀長が密かに帰京、山県と打ち合わせて停戦、講和に向かう。日本海海戦(5/28)、ポーツマス講和会議締結(9/5),
日比谷焼打事件(9/5)韓国は日本の保護国に。玄洋社により日本に亡命していた孫文が東京で「中国革命同期会」結成、近代中国誕生の辛亥革命は1911年(明治44)に成功
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