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地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

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マスコミ論B(5)

   

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マスコミ論B(5)             2003、10,29              前坂 俊之
地上デジタルテレビ放送開始・・<見えるテレビから使うテレビへ>
(1) 総務省2011 年までに1 億台の普及めざす
地上デジタルテレビ放送がいよいよこの2003 年12 月から、関東、近畿、中京の3 大広域圏
で開始される。「白黒テレビからカラーテレビへの変化に匹敵する」とされる地上波のデジタル
化は、テレビライフをどう変えるのか。今回はこのテーマで考えてみます。
デジタルテレビ放送のエリアは順次拡大され、2006 年末までには県庁所在地での放送開
始が予定されている。2011年には現在のアナログ放送と同じエリアをカバーし、デジタルテ
レビ放送への移行が完了する。
デジタル化の最大の特徴は、「見るテレビ」から「使うテレビ」へ変化すること。双方向で番組
に参加できるなど、これまでテレビ局からの一方的な受け身の視聴者から、双方向の能動的
に働きかける180 度視聴スタイルがかわる。
(2)なぜ、地上波デジタル放送を始める理由は?
地上波デジタル放送は、日本のIT化を促進する「e-Japan戦略」の重要な柱の1つ。今後、
家庭の中心的な端末のテレビ本体をデジタル化し、ネットなどの通信インフラやPC などのデ
ジタル製品との一体化、シームレス化を高めるのがネライ。
電波周波数を有効利用するのももう1 つの重要な目的。現在のアナログ放送ではVHF 帯と
UHF 帯を利用しているが、地上波デジタル放送ではUHF 帯のみにして、空いた帯域は移動
体通信などで使う予定だ。
一方、最終的には対応製品を買わなければならない視聴者には、その投資に見合うだけの
テレビライフの充実が必要となる。
(3)ではデジタルテレビで何ができるのか、デジタルテレビの魅力とは
① ハイビジョンやCD並みの高画質、高音質が楽しめることで、地上波デジタル放送の魅力
のひとつがハイビジョン(HD)だ。1 週間の放送時間中、50%以上の時間がHD 番組にな
る。携帯端末やカーナビでも、従来以上の高画質、高音質でテレビ番組が見られる。
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② 画面上の番組案内から、見たいジャンルの番組検索が簡単にできる(エレクトリック・プロ
グラム・ガイド=EPG)。お気に入りの番組をパソコンへダウンロードできる。
③ 地方公共団体からのお知らせや各種地域情報が見られる。地域密着情報などによるデ
ータ放送の充実や、クイズなど視聴者参加型の双方向番組もできる。
④ ひとつの放送局が同じ時間帯に複数の番組を流す多チャンネル放送、携帯電話やPDA
などへのモバイル放送など、天気予報をはじめとするデータ放送が楽しめる。
⑤ 聞きやすい速度への転換や点字受信機(開発中)などで、高齢者や障害者に優しいサー
ビスが充実する
――――などなど、従来のテレビライフを大きく変えるサービスが予定されている。
(2) ではどのようにすれば、見ることができるか
● 現在使用しているテレビで見る場合は
「UHF アンテナと地上デジタルテレビ放送用チューナーを使用する」
● BS、CS デジタルテレビで見る場合
「地上デジタルテレビ放送用チューナーを取り付けることで、D3 端子、D4 端子つきのBS、
CS デジタルテレビや、B S、CS デジタルチューナー内臓のプラズマテレビで、ハイビジョンの
高画質な映像が楽しめる」
● 共同受信設備、ケーブルテレビで見る場合
「各設備、各ケーブルテレビ事業者の伝送方法により異なるため、事前に問い合わせておく
必要がある。地上デジタルテレビ放送の電波をそのまま伝送する方式では、専用のチューナ
ー、またはチューナー内蔵のテレビが急に対応する必要はなる」
(4)今後の地上デジタルスケジュール
(1) 三大広域圏(関東、近畿、中京圏)では2003 年12 月より、その他の地域では2006 年
末までに地上デジタル放送を開始し、2011 年にはアナログ放送からデジタル放送への
移行を完了しアナログ放送を停止する。
(2) シナリオの最初の難関は「アナアナ」 (アナログ周波数変更対策)である。2002年8月、
「アナアナ」対策経費として総額を1800 億円、全額国費負担とした。これには民間テレ
ビに国費をなぜ投入するのか、との強い反対意見もある。多くの課題が残っており、本
格的な取り組みはむしろこれからである。
(3)地上デジタル放送の進め方
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アナログ周波数変更対策の進捗状況に応じた送信出力等の調整、工夫により、可能な範
囲のエリアから地上デジタル放送を開始する。その後のアナログ周波数変更対策の進捗と併
行して、順次、カバーエリアを拡大し、地上デジタル放送の普及を図る。
これから8 年にわたって進めるが、この8 年間は従来のアナログ放送との二本立てのサイ
マル放送期間。毎日、アナログとデジタル2 波の放送を出し続けなければならない放送事業
者にとっては大変。
アナログ放送が終了する11 年夏までは、デジタル番組をアナログでも放送するため、視聴者
は緊急に対応する必要はない。
しかし、すでに一部の地域で現行アナログテレビチャンネルの変更が行われているなど、地
上デジタルテレビ放送に向けた視聴者の段階的な協力が必要になる。
(5)総務省が目指す受信機の普及目標は次の通り。
・ 2006 年のワールドカップ・ドイツ大会の時点において、1200 万台の普及
・2008 年の北京オリンピックの時点において、3600 万台の普及
・ 地上アナログテレビ放送の停止の期限(2011 年7 月)までに、1 億台の普及
過去10 年間のテレビ受信機の総需要(約1 億台)に匹敵する台数をおよそ7 年半で普及さ
せる(年間総需要で約1・3 倍)という極めて高いハードルを越える必要がある。
この受信機普及を支えるものの一つがデジタル放送エリアの拡大。
すなわち中継局の建設で地上民放テレビ全部の設備額は8082 億円も必要である。
である。この資金はアナログ時代の蓄積に今後の8 年間での利益を当てて作るのだが、ロー
カル局にとっては非常に重い負担となる。
(6)ローカル局は軒並み大赤字へ、例えば山陰地区のテレビ局は総投資額50 億円
ローカル局にとっては大変な負担となる。例えば、山陰地区は2 県(鳥取・島根)に民放3 波があ
る。人口は2 県で人口137 万人・45 万世帯の地域にアナログ中継局数は83 局もある。これ
を順次デジタル化するために送信設備のみで1 社30 億円。その他マスター設備を合わせる
総投資額は50 億円と試算される。
一方の営業収入は1 社平均45 億円で、その5%をデジタル化投資にまわすとして、完了まで
に22 年を要する計算。地方の採算の低いローカル局にとって短期間に50 億円という投資は
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大打撃。
さらにデジタル放送網設置の技術的課題として、エリアが東西350 キロに及び、デジタル放
送ネットワークの構築が困難で、マイクロ波多段中継や光ケーブルが必要となり、その構築
費や運用経費負担が増加するーなど問題が山積。
年間の営業収入を越える投資を求められているローカル局にとってその投資に見合う収入構
造が不透明な現在、巨額の設備投資には躊躇せざるを得ないのが現状である。
(7)「地上デジタル放送計画凍結を求める民放労連の提言(2002 年4 月)
「発表では、アナアナ変更対策に関して、対策局所数は470 局所増えて888 局所、影響世帯
数も190 万世帯増えて436 万世帯になり、対策費用は明らかにされていないが、852 億円か
ら2000 億円以上に膨れ上がったといわれている。このことにより、地上デジタル放送計画は
抜本的な見直しを迫られることになった。
このままでは地上デジタル放送計画は、いったん決めた「国策」は変えられないとして、次々
と問題点が浮かび上がってきたにもかかわらず、巨額の国費を投入して突き進んだ「諫早湾
干拓事業」の二の舞ともなりかねない。
総務省は、これまで地上デジタル放送について、欧米のデジタル放送の事例を挙げて「デジ
タル化は世界の趨勢」として、高画質を基軸とする地上デジタル放送計画を推し進めてきた。
政府は昨年6 月8 日、アナアナ変更対策費用に電波利用料を充当し2011 年に現行のアナ
ログテレビ放送を打ち切るという電波法改正案を、国民・視聴者にほとんど周知しないまま成
立させた。
欧米の状況をみれば、アメリカでは1998 年11 月にハイビジョンによる地上デジタル放送を開
始したが、地上デジタルテレビ局のITVデジタルが経営破綻に陥るなど、次第にその深刻な
状況が明らかになりつつある。
地上デジタル放送について総務省の拙速な計画の見直しが強く求められているいま、国民
の利益を最優先にした将来の地上デジタル放送のグランドデザインを確立することこそが急
務である。このため、政府・総務省は現在の地上デジタル放送計画を凍結して根幹から改め
て検討をし直し、新たな計画について国民・視聴者の意見を求めながら、広く論議をすすめて
国民的合意を形成することが求められている。

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第一に、地上デジタル放送は、国民の側から出た要求ではない。地上デジタル放送について、
政府の基本方針が「高画質」である限り、国民・視聴者は高画質・高機能受信機を購入する
ために、新たに高額な負担を強いられることになる。しかし、現状の地上デジタル放送計画は
国民・視聴者にほとんど知らされないまま進められており、国民不在の計画となっている。
このような拙速なデジタル化の強行は、デジタル・デバイドの発生を不可避とし、放送受信の
機会均等、平等性の確保を妨げることとなる。
また総務省は、帯域免許(6MHz)によるデジタル放送で、HD、双方向、SD3 チャンネル、
移動受信、データ放送などが可能になるとしているが、これらのサービスモデルも今のところ
まったく確立していない。
第二に、アナログ周波数変更対策について、ケーブル対策、区域外受信対策を含めて解決
の見通しが立っていない。アナログ周波数変更対策の見直しの一つとして一部地域でのST
B(セットトップボックス)の配布が検討されているが、これでは他の地域の視聴者との公平を
あまりにも欠き、放送受信の平等を損なうことになる。
地上デジタル放送によるブースター障害など電波障害対策などについても未解決のままで
あり、拙速な計画の強行は、多大な電波障害を引き起こすことになる。地上デジタル開始当
初は当面、微弱電波による実験放送にとどめる計画にすべきである。
第三に、2011 年のアナログ放送打ち切りは、国民の生活に大きな混乱を招く。1 億台のア
ナログテレビ受信機を2011 年までにすべてデジタルに置き換えることなど、およそ不可能と
言わなければならない。
終了時期については、デジタル受信エリアが現在のアナログ放送受信エリアをカバーし、か
つデジタル放送受信機が全国にあまねく普及していることを必須条件として再検討を行うべ
きである。
第四に、ずさんな地上デジタル放送計画のもとで、このまま際限なく国費投入を行うことは
国民の理解を得られない。2000 億円以上とされる対策費について、その財源を国費(電波利
用料)に求めようとしているが、国費投入についての国民に対する説明責任がまったく果たさ
れていない。また最終的に投下すべき費用の総額も、現状ではあまりにも不透明である。
アナアナ変更対策計画を見直さなければならない時点で、すでに予算化している国費投入
を凍結することは当然であり、今後の国費投入にあたっては、計画をすべて国民に開示した
うえで決定されるべきである。
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第五に、現行の地上デジタル放送計画では、短期間に巨額の設備投資が必要とされるが、こ
のことは放送局やプロダクション経営の財務を悪化させ、放送番組制作体制と地域放送体制
の弱体化が進む。この結果、国民・視聴者に対しての放送サービスの質を低下させ、そのし
わ寄せは国民・視聴者に及ぶことになる。
以上に明らかにしたとおり、現行のまま地上デジタル放送計画を推し進めることは、放送の
将来に大きな禍根を残すことは疑いようがない。今こそ逡巡することなく、勇気をもって計画
の凍結を決断することを、ここに広く提言するものである。
(7)当初はHD 番細が中心、・・フルサービスを満喫できるのは数年先に
12 月から始まる地上波デジタル放送の中身は今の地上波アナログ放送とあまり変わらない。
少なくともあと2 年、東名阪全域にエリアが広がる2005 年末あたりまでは。
その理由は2 つ。
2011 年まで、地上波アナログとサイマルで放送であること。つまり原則、同じ内容の番組を放
送するためだ。総務省が、「1 日の3 分の2 以上は同じ番組を放送すること」との方針を出して
おり、放送方式が変わるだけで、基本的に同じ内容を流すため。
逆に3 分の1は、つまり1 日8 時間は地上波デジタル独自の番組を放送できるともいえるが、
「独自コンテンツはあまり考えていない。それを始めると息が続かない」
(日本テレビ)と、放送局側は熱心でない。デジタルで放送を始めたからといって広告収入が
増えるわけではなく、独自コンテンツを作っても収益面で見合わないというのが民放局の本音
だ。広告収入を気にしなくていいNHK は、大河ドラマの先行放送など、地上波デジタル独自
編成を表明しているが期待したほど数は多くない。
では、盛んに宣伝された「デジタルならではの新しいコンテンツ」はどうなのか。
HD 番組や、1 局が同じ時間帯に3 番組まで放送できる多チャンネル放送、違うカットを流すマ
ルチアンクル放送、双方向蓄積、データ放送・高音質の5.1ch 放送など、アナログと番組内
容は同じでもデジタル放送だけの新しい楽しみ方ができるなら魅力的だが、これも検討段階
だ。
(7)番組はハイビジョン放送(HD)が主流になる
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総務省が「1 日の放送のうち50%以上をHD 化する」と決めており、放送局にもアナログハイ
ビジョン放送やBS デジタル放送のために作ってきたHD 番組の蓄積があるので実現しやす
い。
ちなみに地上波デジタルでは、標準画質で収録した映像にデータを補完し、HD 並みにアップ
コンバートしたものもHD番組として放送できる。さらにこうしたHD放送に加え、地域密着情報
などの詳細なデータ放送にも当初から各局が力を入れる。
しかし、HD 放送と並んで目玉となるはずの多チャンネル放送や双方向番組については声
が聞こえてこない。今のところ主なものは、NHK教育がマルチチャンネルを予定しているのと、
日本テレビが東京ドームの巨人戦でマルチアンクルの実験を準備している程度。これらはと
もに来年4 月以降の放送予定だ。
ほかには災害時などに臨時番組が通常番絹と並行して流れるぐらい。双方向番組について
は実現がもっと厳しく、「BS デジタルで放送してみて、初期投資額と電話の回線料負担が大き
すぎることが分かった。それを100 万人規模の地上波でやったら大変な赤字になる。時期尚
早」(TBS)という。
すなわち、地上波デジタル放送のコンテンツについては、まだビジネスモデルができていない
のが理由。大きく変わるのは受像機と、リモコンのボタンだけということになりかねない。
三大都市圏のほとんどが放送エリアとなる2005 年頃までには、コンテンツの充実も図られそ
うだ。
(8) デジタル受像機の新需要20 兆円以上、家電メーカはビッグチャンス到来
家電メーカ各社は地上デジタルハイビジョンテレビの新製品機種を次々に発表。
トレンドはもちろん薄型大画面のプラズマや液晶。
各社とも地上波デジタルチューナーを搭載、地上波デジタル対応テレビは、薄型大画面が売
りのプラズマと液晶、コストパフォーマンスのいいビラウン菅と、魅力的な製品が勢揃。
DVD とハイビジョンの普及も手伝って大型画面、高画質化が当然のようになっている。
①高画質が産むNEW システム(ピークス)=従来の高画質システムをさらに高めて搭載。
②高画質を生むディスプレイ=プラズマ型バネルの発光効率を従来品の1・5 倍程度に高
めた。明るさの向上、色の表現にも液晶タイプ。
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③NEW テレビ番組ガイド折地上アナログ/デジタル・BS・110 度CS デジタル放送に対応
する番組ガイド(EPG)はリモコン検索で手軽に番組る。また、番組表画面からビデオデッキ
やDVD に直接録画予約が可能。
④新うす型デザイン=高画質・多機能の全体をまとめるデザインは、シルバーと異により、
シンプルになっている。
薄型テレビでは従来の「40 インチ以上がプラズマ、30 インチ以下は液晶」というすみ分けが
進んでいる。特に30-40 型の中間サイズでは液晶とプラズマが競合。画質や視野角、消責
電力、重量といった両者の遠いが、選ぶポイント。
地上波デジタル対応の関連機能として、電子番絹表(EPG)が見やすく使いやすいかどうか
も重要。そのインタフェイス画面(GUl)の作り込みはメーカーごとの差がつきやすい部分だ。
(9)まとめ
現在、テレビは日本のほぼ全世帯に普及している(普及率99・4%)。
日本人の週平均視聴時間は23・6 時間と、インターネットをはじめとするパソコンの平均利用
時間(7・1時間)の3倍以上になる。とくに高齢者のテレビ視聴時間は長く、テレビ放送は国民
生活に最も密着したものである。
この地上波テレビが視聴者の利便性を十二分に考慮されることなく、総務省とテレビ局の利
害だけで税金投入までして強引にすすめられている。地上デジタルテレビ放送で、だれもが
簡単にIT 技術による高度な情報サービスを利用できる方向での再検討が求められる。
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シャープアクオス37型液晶タイプ

 - IT・マスコミ論

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