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地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

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国際コミュニケーション論(6) 特別講義

   

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国際コミュニケーション論(6) 特別講義       2003.11.12    前坂 俊之          
本日は野口恒氏(経済評論家)の特別講義です。

IT 時代のニューフロンティア
『ユビキタス・ネットワークがビジネスやライフスタイルを変える』
野口 恒 (経済評論家)
(l)パソコン・ネット社会を超えるえるユビキタス・ネット社会
・主としてビジネス分野を中心に企業やオフィスに普及したパソコン・ネットの世界
・ ノンP C のあらゆる情報機器を利用して、家庭・学校・オフィス・病院など生活の
すべての場面に広がるユビキクス・ネット社会
・ ユビキタスとは.生活環境の中に溶け込み.いつでも.どこでも.あまねく存在す
る=遍在する」という意味
・ 「いたるところにある」コンピュータがネットワーク(有線・無線)を通じてつながるこ
との広がりと可能性
・ 『誰もが簡単に使える』というオープンでイージー・トウ・ユースの思想
・ コンピュータと人間.対立から融合へ
・ 人間はテクノロジーを使い こなし、変容していく存在
・ セキュリティとプライバシー、利便性と引き換えに失うもの
(2)ユビキタス・ネット社会を支える碁盤技術とIT 戦略
・ 日本から発信されたユビキタス・ネット社会のキーコンセプト
・ 日本が世界をリードするユビキタス・ネット社会の基盤技術
・ ポスト・インターネット時代の新しいネットワーク
①ユビキタス・コンピューティング
②ユビキタス・ネットワーク
③ユビキタス・コミュニケーション
④サイバーを介さずPeer to Peer でつながるグヌーテラ・ネットワーク
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・ユビキタス・ネット社会のカギをにぎるセキュリティ技術
・ユビキタス・ネット社会を支える日本的IT 戦略とモノ作り
①生産の利便性や快適性をとことん追求して発展してきた日本のモノ作り
②小さなものを作り上げる小型化技術、それを組み込んで応用する組込み技術
(3) ユビキタス環境でビジネスやライフスタイルが変わる
・ネットワークを通じてビジネスやライフスタイルが変わる
・ネットワークを介して顧客(消費者)と企業が直結する
・ユビキタス環境こおけるビジネスモデルの変化一垂直統合から水平協業へ
・ネットワークを通じた医療と介護
・ネットワークを通じた家族の絆の形成
・ユビキタス・ネット社会の4つのキーワード  ①安全 ②安心 ⑨便利 ④快適
・ ユビキクス・ネット環境の光と影
(4) ユビキタス・ネットワーク時代のコンテンツビジネス
・ブロードバンド・コンテンツからユビキタス・コンテンツへ
・生活空間のユビキタス化とコンテンツサービス(ユビキタスコンテツシ・オン・ディマン

・生活の知恵とアイディアを生かすユビキタス・コンテンツ
・ユビキタス・ネット時代には・生活関連のユビキタス・コンテンツが主流になる
・高齢者の安全・安心を支援するキラーコンテンツ
・キーワードは,生活者の視点からの「便利」「安心」「感動」
・ネットワークを通じたけ意見の共有と価値の創造
(5) 結び
ユビキクス・ネットワークが創造する新たな情報空間一携帯電話が変えた人間関係
の距離感
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・ 野口 恒先生の(のぐちひさし)略歴
一九四五年生まれ。和歌山大学経済学部卒業。法政大学大学院社会科学研究科(経済学
専攻)中退。出版社勤務を経て、現在フリージャーナリスト。「情報化自書」編集専門委貝など
を務める。
主として、モノづくりを中心に情報・技術・人間に関わるさまざまな問題をテーマとする。主な
著書として『工場が変わる現場が変わる』、『日本企業の基礎研究』、『製造業に未来はある
か』、「バーチャルファクトリー』 (以上、日刊工業新聞社)、「トヨタ生産方式を創った男」(TBS
ブリタニカ)、『超生産革命BTO』(日本能率協会マネジメントセンター)、『オーダーメード戦略
のわかる本』 (PHP 研究所)、『IC カード』「F データベースマーケティング』(以上、日本経済
新聞社)、『ブロードバンドコンテンツビジネス』(PHP 研究所,2002 年)近著では『モノづくりニッ
ポンの再生』日刊工業新聞社2003 年刊―(シリーズ)モノづくりニッポンの再生・全5 巻①日
本発・最先端〝生産革命〟を見る②動き出す「逆モノづくり」③日本でのモノづくりにこだわる
④熟練技能をナレッジ化せよ⑤町工場・ベンチャー企業は負けない」などがある。
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<講義の内容>
(1) モノ作り日本の再生の切り札・ユビキタスコンテンツ
日本の20 分の1、地価レベルでいえば50 分の1 の中国は、圧倒的をコスト競争力を
武器にして「世界の工場」にのし上がり、日本の地位を脅かしている。
世界第2 位の経済大国にまでなった日本は、現在デフレ不況の長いトンネルの出口
も見つからないまま立ちすくんでいる。
デフレ不況を克服して、再び世界トップレベルの国際競争力を獲得するには、“日本
の根幹”といわれるモノ作りの思想や技術を支えにして、「今の日本にあって、米国や
中国にはないもの」を徹底的に強化・発展させるしかない。日本が長年蓄積してきた
モノづくりの技術力を生かして、世界をリードできるものを見つけ出し、次世代の戦略
産業に育てで発展させるしかない。
「ユビキタス・コンピューティング」「ユビキタス・ネットワーク」「ユビキタス・コミュニケ
ーション」といわれる“ユビギタス’が開く新しい情報社会は、そうした条件に合致する
数少ない有力分野である。
人間生活を取り巻くあらゆるものに超小型のコンピュータチップを埋め込み、ネットワ
ークを通じて通信し、情報をやりとりするユビキタス社会。1990 年代に米国が世界を
リードしてきたPC・インターネット・e コマースを中心としたコンピュータの世界とは、思
想・概念・方法においてまったく違う。
ユビキタス社会は、PC やインターネットの“次’’に来る次世代社会の潮流で、日本が
この分野で大きな役割を果たすことができるということだ。それが、現在のデフレ不況
を克服する重要なきっかけになる。
(2) 日本発のオリジナル・どこでもコンピュータ
コンピュータの世界はこれまで思想・コンセプト・技術のすべてにおいて米国主導で
進んできた。ユビキタス・コンピューティングやユビキタス・ネットワークは日本からの
発信だ。
今から18 年前に坂村健氏が「未来はあらゆるモノにコンピュータが入り、それらがネ
ットワークで結ばれる」と提唱したTRON プロジェクトの「どこでもコンピュータ」の概念
は、現在のユビキタス・コンピューティングの先駆けである。
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ドラえもんの『どこでもドア』は空間,時間を超えて自由自在にスキなところ,行きたい
ところに行けるマンガ上のコンセプトだったが、これこそユビキタスコンピューティング
であり、坂村氏の「どこでもコンピュータ」の概念そのものである。数少ない日本が世
界に先駆けたコンセプトである。
確かに、どこでも遍在するコンピュータの概念を1991 年に雑誌「サイエンティフィツ
ク・アメリカン」に発表し、それを「ユビキタス・コンピューティング」と命名したのは米国
のゼロックス社・バロアルト研究所のコンピュータ科学者マーク・ワイザーだ。
しかし、坂村氏がTRON プロジェクトで「どこでもコンピュータ」の概念を提唱したのは
それより早く、また「エビキタス・ネットワーク」という考えを提唱し、その言葉を最初に
使ったのは野村総合研究所副社長(現在)の村上輝康氏であった。
(3)日本が世界をリードするユビキタス社会の基盤技術
ユビキタスを支える基盤技術は日本が世界をリードしている技術分野でもある。パソ
コンに留まらず、携帯電話、PDA、ネット家電、AV(オーディオビジュアル)製品、住宅
機器、カーナビ、ETC(有料道路の自動料金収受システム)、POS(販売時点情報管
理)、宅配便・決済代行サービス、非接触IC カードによる乗車券・定期券、キオスク端
末などあらゆる分野に広がっている。それこそ、“どこでもコンピュータ、どこでもネッて
おり、しかもそれらは日本のもっとも得意とする技術分野である。
たとえば、ユビキタス・コンピューティングに不可欠な、小さなコンピュータを作るモノ作
りの小型化技術や微細加工技術、超小型のコンピュータチップを自動車、家電、携帯
電話、家具、衣服など人間環境のあらゆるものに組み込む組込技術、さらにユビキタ
ス社会で非常に重要になるモバイルコンピューティングやモバイルネットワーク、無線
LAN や近距離無線通信のブルートゥースなど。これらは日本がトワーク、どこでもコミ
ュニケーション”の世界である。
日本のモノ作り技術の大きな特色は、現場のベテラン技能者による実に濃密で奥
の深い熟練技能に支えられた「匠の技」と、IT を活用した最先端の精密技術がモノ作
り技術として融合している点にある。
この「熟練技能と先端技術の融合」は、ユビキタス社会の基盤技術の核心ともいうべ
き、より小さなコンピュータをとことんまで追究する「小型化技術」と、あらゆるものにコ
ンピュータチップを組み込む「組込技術」に見事に生かされている。すでに2~3 ミリの
マイクロチップが開発されており、小型化は日本の製造業がもっとも得意とする技術
である。
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しかも、単にものを小さくするだけでない。小型化あるいは超小型化したコンピュー
タチップをあらゆるものに組み込んで、じつに多様な分野に応用していく。この感覚と
思想が日本人のモノ作りの大きな特色だ。たとえば、ユビキタス社会を構成する要素
技術の一としID タグと呼ばれる微小なIC チップ(メモリ)がある。
これは、将来、あらゆるものに組み込まれて応用されていく。RFID は、機器で読み取
るタイプと自ら電波を発信するタイプの2 種類がある。すでに数ミリ角の製品も実用化
されており、粉末タイプのIC チップまで開発されている。このRFID タグをものにつけ
れば、そのものが源となる。
たとえばスーパーで買い物をしてバーをくぐれば、何をいくら買ったか、商品につけら
れたIC チップの情報が機器(読取装置)でリアルタイムに読み取られる。
いずれRFID が現在のバーコードにとって代わり、あらゆるものにつけられるようにな
れば、ものの製造履歴から輸送経路までリアルタイムで把握でき、在庫管理や物流
管理に革命的な変革をもたらすことになろう。
(4)そのキーワードは「利便性と快適性、安心と安全」
もう一つ大きな特色は、ネット家電、携帯電話、カーナビ、宅配便、非接触IC カード
などに代表されるように、人間の生活環境に密着した、日常生活での利便性や快適
性をとことん追究したモノ作り技術がベースになっていることだ。ユビキタスは人間生
活を一変させる可能性を持っており、そのキーワードは「利便性と快適性、安心と安
全」にある。
人間生活の利便性や快適性を高め、安心して生活できる安全な社会をどう作っていく
か。こうした人間生活に密着したモノ作りの感覚(センス)や思想は、長年受け継がれ
てきた日本人独特の美意識や生活感覚に根ざした「モノ作りのDNA」としてある。
たとえば、日本のメーカーは、誰もが使える「イージー・トウ・ユース」や「ユーザビリテ
イ」をとことん追究する。このモノ作りの感覚や思想はユビキタス社会を支える基盤技
術でももっとも重要な要件である。この点で、日本のモノ作り技術は他国の追従を許
さず、世界トップレベルにあるといっても過言ではない。
生活の利便性や快適性では、たとえばNTT 東日本が「M フレッツ」と呼ぶ無線LAN
サービスの試験提供を開始しており、無線LAN サービスはレストラン、喫茶店、ホテ
ル、百貨店、駅、コンビニショップなど日常生活のあらゆる場所に広がり始めた。
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ただ、屋外やオフィス内などでの低速のネット常時接続サービスはPHS 事業者がす
でに提供しているので、有線ブロードバンド並みの高速のネツト常時接続サービスを
提供していくことが期待される。また、ネット家電では冷蔵庫、電子レンジ、エアコン、
テレビなどに通信機能をもったIC チップをっけてさまざまな情報を提供したり、携帯電
話などで屋外からコントロールできるような、生活の利便性や快適性を高める製品が
次々と発売されている。
冷蔵庫の中の食品を組み合わせた料理のレシピ(調理法)を提供したり、室内のエア
コンを帰宅時にコントロールするなどいろいろな便安心や安全性では、たとえば本人
を確認する個人認証のIC チップが利用れる。
たとえば、日用品のノート、本、腕時計、メガネ、財布、カバン、携帯電話、パソコンな
ど、自分自身が常時携帯する持ち物にはすべて個人を特定する個人認証のIC チップ
がつけられれば、なりすましや盗用などのを未然に防ぐことができる。
将来的には、指紋、目の虹彩、DNA などその人しか持たない個人固有の情報を利用
したさまざまな個人認証方法を入れたIC チップがいろいろなものに組み込まれ、生活
の安心や安全を確保するツールとして利用されることになる。
(5)いつでも、どこでも“自分の情報空間,を作ることができる
ユビキタス社会はいったい何を目指すのか。共通して言えるのは「技術を活用する
ことにより、人間の生活から‘‘時間と空間の制約’’をなくし、“便利で快適、安心して
安全な’’社会を作る」ことにある。時間と空間の制約をなくすことは、すでにパソコン
やインターネットでかなり実現したではないかという人もいる。
しかし、パソコンやインターネットはまだ小さな子供からお年寄りまで、健常者から障
害者まで誰もが利用できるわけではない。それに、デシタルデバイドの問題ではない
が、パソコンやインターネットを利用できる経済的な余裕のある人は世界的にはまだ
まだ限られているのだ。現在の社会では、誰もが生活の時間や空間の制約をなくして、
便利で快適な生活を享受できるところまで行っていない。
それに安心や安全性にしても十分でない。IPv6 のインターネット社会は、ネットワー
クそのものにセキュリティや監視機能がついており、また何か故障や事故が起きたら
その原因を究明してすぐに修復できる修復機能も備えている。
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その点では、IPv6 は従来のIPv4 に比べ、安全性ははるかに高い。しかし、IPv6 は日
常生活に不可欠なリアルタイム性、すなわちリアルタイムで生活の安心や安全を確保
するリアルタイムセキュリティ機能は持っていない。ユビキタス社会では、IPv6 やリア
ルタイムネットワークなど多様なネットワークがそれぞれの強みを活かし、相互補完し
ながらネットワーク社会を構成していくことになる。
ユビキタス社会でもう一つ重要な特色は、ネットワークを介して、いつでも、どこでも、
‘‘自分の情報空間’を自由に作ることができる点にある。たとえば、ユビキタス環境を
構成する重要な要素技術に「PAN」(パーソナル・エリア・ネットワーク)の技術がある。
これは、広帯域のワイヤレスネットワークを利用して、IPv6 対応の無線機器を使い、
個人周りの携帯端末を無線でつないで個人が‘‘自分の情報空間”、すなわちパーソ
ナルエリアネットワークを自由に作ろうとするものだ。各々の「個人エリアネットワーク」
のシーン間をシームレスに(途切れなく)つなぎ、家庭・アウトドア・オフィス間のネット
ワークシーンを自由に移動することもできる。
このPAN を可能にする無線データ通信技術が、無線LAN とルートゥースである。無
線LAN は2000 年から米国でフィーバーし、日本でも広がりを見せ、ホットスポットなど
多くの通信事業者が無線LAN サービスを提供し始めた。また、プルートゥースは10 メ
ートル以内であれば、障害物があっても情報を高速通信(最大転送速度1Mbps)でき
る技術である。
1998 年からエリクソン、IBM、インテル、ノキア、東芝の5 社によって標準化が開始さ
れ、1999 年には最初の仕様が決まった。PAN を構成する製品としては、モバイルゲ
ートウェイ、チャットペン、インフォメーションウォッチ、ヘッドセットe-ブック、ウェブカメ
ラなどさまざまな製品が発表されている。
ユビキタス社会では個人の情報空間、個人間のコミュニケーション、個人のセキュリ
ティがますます重要になってくる。利用者にとって、いかに便利で快適な、安心・安全
な個人の情報環境を作ることができるかがユビキタス社会の重要な課題になる。そ
のため、どのような通信環境を構築し、いかに使い易い情報機器を開発し、利用者に
安く提供していくかがメーカーの最大の仕事になる。
日本のモノ作り技術は、日常生活で少しでも便利で快適なものを提供する技能や技
術を深く掘り下げ、発展させてきた。その意味で、日本のモノ作りは今日まで一貫して
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生活文明に根ざしたモノ作りの思想と技術、すなわち民生技術や民需製品をベース
にして発展してきたといってよい。
これは、日本的モノ作りの大きな特色だ。それに対して、欧米のモノづくりは軍事技術
や軍需製品から生まれたものが多い。たとえば、コンピュータやインターネットがそう
だ。確かにそれらは非常に優れた技術であり、それによって多くの人たちが多大な恩
恵を享受できたことは間違いない。
ただし、それらはあくまでも軍事・軍需から生まれ、発展したものの決定的な限界を持
っている。それは、誰もが利用できるようイージー・トウ・ユースやユザビリティを徹底
的に追究する思想や技術に欠けていることだ。
ユビキタス社会において日本のIT 戦略やモノ作りが大きな役割を果たすことができ
るのは、それらが民生技術や民需製品を中心に発展したことにある。ユーザーのイー
ジー・トウ・ユースやセキュリティをとことん追究した日本的モノづくりの思想と技術は、
コンピュータやネットワークなどIT の恩恵を、誰もが、いつでも、どこでもあまねく、簡
単に享受できるような次世代社会を目指したユビキタス社会の理想に合致する。
(6)Japanese Cool(日本はカッコいい)こそユビキタスコンテンツ
最近、Japanese Cool(日本はカッコいい)という世界からの日本文化の見なおし、特
に日本制のアニメ,マンガ、映画、自動車、ハイテク製品、ケイタイ、テレビ映画、スシ
ブーム、デザイン、ファッションなどへの評価の高まりが世界的に巻き起こっている。
アニメやデジタルコンテンツの制作には①世界観(思想)②絵の技術③シナリオ(スト
ーリー)の三つが欠かせない。ディズニーの関係者が嘆いていたが、アメリカ人が①
の大きくまとめる世界観は得意だが、これを具体的に細かく作画していく職人的な技
術、手先のこまやかさはない。③のシナリオにも欠けており、この三拍子そろったのは
日本人のクリエータだけだ、という。
日本人のもつ感性、美意識、繊細さ、丁寧さ、小型化する技術がユビキタスコンテン
ツそのものであり,日本人は気づいていないが、世界から評価されているのである。
以上の3つはこれからのユビキタスコンテンツに必要な能力であるし、日本人に一番
恵まれたものである。Japanese Cool(日本はカッコいい)の本格化はこれからで、アニ
メやマンガブームなどは第1 段階に過ぎない。日本の生活文化そのものが、巨大な
Japanese Cool(日本はカッコいい)こそ21 世紀に世界が求めるユビキタスコンテンツ
になる。
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(6) まとめ・ビッグチャンス到来
特に、日本は急速度に超高齢化社会を迎えるが、これはユビキタスコンテンツに一番
適した技術が応用できる分野である。
中国も日本遅れて10,20年後の日本と同じような超高齢化社会が到来するが、そ
の時に日本のユビキタスコンテンツ、老人が快適で幸せな生活,老後を送っていける
ような生活スタイル、サービス、技術などのコンテンツは世界各国に輸出されるものと
なるであろう。
いわば、日本での超高齢化社会でのコンテンツづくりの実験が今始まっているのであ
り、オリジナルな,独創的な(これまでのアニメやマンガと同じ)コンテンツが作られつ
つある超高齢化社会の到来、ユビキタス社会の到来は日本にとって決して暗い話で
はなく、ビッグチャンスなのである。

 - IT・マスコミ論

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