池田龍夫のマスコミ時評⑮ 「非核三原則」守り抜く覚悟―「核の傘」偏重の冷戦構造を見直せ
「非核三原則」守り抜く覚悟―「核の傘」偏重の冷戦構造を見直せ
近隣国家が核開発を進めるたびに『日本の核保有』を疑う声が出るが、それは、我々の強い意志を知らないがゆえの話だ。日本が非核三原則を堅持することを改めて誓う」――鳩山由紀夫首相は国連安全保障理事会(2009・9・24)で力強く表明した。「日本は核廃絶の先頭に立たねばならない」と全世界に向けて宣言した姿勢を高く評価するが、従来の核政策を見直し、具体策を実行する覚悟が求められている。
日米安保条約に規定された「極東条項」(第六条=基地の供与)や事前協議(交換公文)から逸脱しているだけでなく、憲法に違反する暴挙だった。二〇〇六年五月、日米安全保障委員会で決まった「在日米軍再編最終報告」は、米国のトランスフォーメーション(米軍再編)に基づく新戦略に〝同盟国〟日本を引き込み、共通の戦略目標の下に日米軍事協力を推進しようとの意図が明らかだ。
核保有国が主導する核軍縮交渉には必ず限界がある。自分が減らしたくないのに、相手に減らせとは言えないから。互いに減らし合っていくためには、非核保有国が軍縮交渉で発言権を強めることが必要だ。被爆体験を持つ国として主張することに対し、他国が、『きれいごとを言いやがって』とは簡単に文句が言えないはずだ」と、藤原帰一・東大教授の指摘(『毎日』09・7・29朝刊)は、「外交観念変える好機」と捉えた、示唆に富む論稿と言えよう。政権交代を予見したような問題提起を真剣に受け止め、新外交戦略に臨むべきで、その要諦は「非核三原則」堅持に他ならない。
「一九六九年十一月二十一日発表のニクソン米大統領と日本の佐藤首相による共同声明に関する議事録」と題した最高機密文書の実物が〝発掘〟されたのだ。有事の際沖縄への核再持ち込みを裏付ける文書であり、岡田克也外相の下で「密約」検証作業に当たっている有識者委員会(座長・北岡伸一東大教授)はもちろん、「密約」の事実が国民に大きな波紋を巻き起こしている。
日本が完全な核の傘の下にいないことを前提に安全保障政策を考えねばならない」――外務省国際情報局長などを歴任した評論家、孫崎享氏の著書「日米同盟の正体」(講談社現代新書)が指摘した『核の傘論』のほんの一部を引用したが、これこそ国益を賭してせめぎ合う外交の実態であろう。それだけに、「非核三原則」を国是とする日本の〝立ち位置〟は極めて難しい現状だが、日本の国益のために軌道修正することに躊躇してはならない。
従来の軍縮派と抑止派による議論だけではなくて、第三の派として、世界の核兵器及び核関連物質の管理をどうするかという新しい柱が、明確に立ち上がろうとしている。核テロ、ずさんな核管理や核流出といった問題だ。それがより意識されるのが、三月(2010年)の核安全保障サミットだと思う」という神保謙・慶大准教授の指摘(『朝日』(09・7・17)は、現在の核状況を的確に捉えた分析である。
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