前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

池田龍夫のマスコミ時評(86)◎『老朽原発の廃炉や、核のゴミ処理政策を急げ (13・7・10)』+小出裕章非公式ブログ

   

  池田龍夫のマスコミ時評(86)

 

◎『老朽原発の廃炉や、核のゴミ処理政策を急げ

13710

 

ジャーナリスト 池田龍夫

 

 原子力規制委員会が作成していた「新しい原発基準」が78日、施行された。初日に再稼働申請したのは、
泊原発1~
3号機(北海道)、大飯34号機・高浜34号機(福井県)、伊方3号機(愛媛県)、川内12号機
(鹿児島県)の
5原発10基。新潟県知事の反発で暗礁に乗り上げた柏崎刈羽原発の再稼働申請は、後日に持ち越された。

 

 新基準には、福島第1原発のような過酷事故に対処する「緊急時対策所」設置を義務づけたほか、耐震性の確保、可燃性ケーブルの交換対策を求めている。また重要施設を活断層の真上に設置することを禁じた。

 

各電力会社の対応が中途半端なのに、〝申請第1号〟に走った背景には「国民の安全より、企業収益を優先する」姿勢が透けて見える。10原発の中では、安全対策をある程度整備し、敷地内に活断層のない伊方原発3号機が、再稼働の第1候補と見られている。

 

     原子力規制委の「再稼働認可」新基準の効果に期待できるか

 

 規制委は80人の検査官を3組に分けて調査を急ぐが、まことにお粗末な陣容での見切り発車だ。調査には最低6カ月要するといわれ、その後に住民の同意という壁が立ちはだかる。安倍晋三政権は成長戦略の一環に「原発再稼働」を盛り込んで、1日も早い再稼働を目指しているが、年内には1基もパスしないだろう。

 

 東京新聞79日付社説は「原発の新規制基準 廃炉時代の始まりだ」との見出しを掲げ、安倍首相の「日本の原発は世界一安全です」と、原発輸出を目指す〝時代錯誤〟を厳しく批判。「安全と安心の砦としての信頼を勝ち取るには、大飯原発のように電力需要に配慮して、新基準に適合しない恐れがある原発の再稼働を認めるような例外を重ねるべきではない。新しい基準の施行を、神話時代から廃炉時代への転換点にすべきである。

 

その先には、再生可能エネルギーの普及、そして進化という新しいゴールが待っている」――脱原発の世論が高まっている折、まことに適切な指摘である。

 

廃炉作業と核廃棄物処理の難題

  

 毎日新聞78日付朝刊も「安全神話決別の日に」と題する社説を掲げ、「政府は再稼働に前のめりになっているが、新規制基準にはリスクの高い原発をふるいにかける重要な役割があることも忘れてはならない。運転40年で廃炉にする原則に基づき、型が古く、老朽化した原発は積極的に廃炉していく必要がある」と主張していたが、規制委は廃炉が望ましい老朽施設を洗い直して公開、実施に移すべきだ。

ダラダラと再稼働にこだわる姿勢を大胆に転換すべきだろう。それと同時に、使用済み核燃料処分にもっと真剣に取り組んでほしい。廃炉→核燃料廃棄こそ最優先課題ではないか。先進諸国はこの難題にどう取り組んでいるか。新聞各紙の、踏み込んだ取材を望みたい。

 

(いけだ・たつお)1953年毎日新聞入社、中部本社編集局長・紙面審査委員長など。

 

 小出裕章非公式ブログから↓

●『77 騙されていたとしても無罪ではない。未来の子どもたち
から問われる!/小出裕章さん講演会「放射能で汚された世界で生きる」

 

http://hiroakikoide.wordpress.com/

http://www.ustream.tv/channel/koide77

 

 

●『76 ひとつの原子力発電所が1年間に放出する放射性物質を1日毎に放出してしまう工場が再処理工場です。/ラジオフォーラム「小出裕章ジャーナル」文字起こし

http://hiroakikoide.wordpress.com/

 

 

 - IT・マスコミ論 , , , , , , , ,

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
日本メルトダウン(908)『イギリス「EU離脱」もし実現すれば世界経済はどうなる?』●『もし第3次世界大戦が起こったら』●『伊勢志摩サミットの「配偶者プログラム」はとにかく最悪』●『そもそもトランプはなぜ大統領を目指すのか? 背筋がゾッとする、並外れた攻撃性を持つナルシスト』

 日本メルトダウン(908) イギリス「EU離脱」もし実現すれば世界経済はどうな …

no image
 日本リーダーパワー史(753)–『日本戦争外交史の研究』/『世界史の中の日露戦争を英国『タイムズ』米国「ニューヨーク・タイムズ」は どう報道したか」を検証する①(20回連載)」★『6ヵ月間のロシアの異常な脅迫、挑発に、世界も驚く模範的な礼儀と忍耐で我慢し続けてきた 日本がついに起った。英米両国は日本を支持する」』

 日本リーダーパワー史(753)– 『日本戦争外交史の研究』 世界史の中の『日露 …

『Z世代のための日韓国交正常化60年(2025)前史の研究講座①』★『福沢諭吉の義侠心からの「韓国独立支援」はなぜ逆恨みされたか「井上角五郎伝」から読み解く①』

    2014/12/13  &nbs …

『リーダーシップの日本近現代史』(158)再録/『幽翁』伊庭貞剛・住友精神を作った経営哲学<三菱財閥・岩崎弥太郎を超えた明治のナンバーワン経営者>『部下を信頼して「目をつぶって判を押さない書類は作るな」』

前坂 俊之(ジャーナリスト) 住友家総理事・伊庭貞剛(1847.弘化4.2.19 …

<F国際ビジネスマンのワールド・カメラ・ウオッチ(209)> 『7年ぶりに、懐かしのアメリカを再訪,ニューヨーク めぐり(5月GW)⑥『2階建バスツアーでマンハッタンを一周』ブルックリンブリッジを通過、 イーストリバーを右手に、国連ビルを見上げ、 トランプタワーを見て、セントラルパークに向かう②

<F国際ビジネスマンのワールド・カメラ・ウオッチ(209)> 『7年ぶりに、懐か …

no image
『明治裏面史』 ★ 『日清、日露戦争に勝利した明治人のリーダーパワー,リスク管理 ,インテリジェンス㊸★『日露戦争開戦の『御前会議」の夜、伊藤博文は 腹心の金子堅太郎(農商相)を呼び、すぐ渡米し、 ルーズベルト大統領を味方につける工作を命じた。』★『ルーズベルト米大統領をいかに説得したかー 金子堅太郎の世界最強のインテジェンス(intelligence )』

日露戦争開戦の『御前会議」の夜、伊藤博文は 腹心の金子堅太郎(農商相)を呼び、す …

『AI,人工知能の最前線が最もよくわかる授業➀』-第2回AI・人工知能EXPO(4/4、東京ビッグサイト)でのピカイチのプレゼンー『SIGNATEは「国内唯一・最大のAI開発コンペティションサイト」★『モノゴコロのバーチャルアーティスト・IAのステージはスゴイよ!』

第2回AI・人工知能EXPO(4/4)でのピカイチのプレゼンー『SIGNATEは …

<日本の世界最先端技術「見える化」チャンネル>日本を救う知能ロボットがよくわかるMUJINの解説動画/国際物流総合展2018(9/12)-mujinによる「知能ロボットを要とした完全自動物流センター」

日本の世界最先端技術「見える化」チャンネル 日本を救う知能ロボットがよくわかるM …

no image
「エコプロダクツ2013」(12/12-12/14)「地球・世界を救う最先端技術を紹介」①小水力発電、浮体式海上風力発電など

    ★「エコプロダクツ2013」(12/12-12/14 …

『葛飾北斎の「富嶽三十六景」を追跡ー『外国人観光客のための新幹線からの富士山撮影法ー東京行きの上り東海道新幹線では「左側の座席」に座れば、窓越しに富士市の富士川鉄橋前から富士山のパノラマ全景が見える(動画)」★

12月23日(~27日まで)に故郷の岡山に新幹線で帰省した。この日は青空がクリー …