『ジョーク日本史・禅語の笑いはお腹のジョギング』★ 『一休さんは頓知の名人で不老長寿『一笑一若・一怒一老』
ジョーク日本史・禅語の笑いはお腹のジョギング
一休さんは頓知の名人で不老長寿『一笑一若・一怒一老』
前坂俊之(ジャーナリスト)
一休和尚は幼名を千菊丸といい、応永元年(1395年)の元日、朝日とともに生まれ出たといわれるが、六歳の時から京都紫野の大徳寺に入れられ、養叟(ようそう)禅師の教えを受けた。
利発な子供で、お経でも手習いでも、記憶力のよいことといったら、他の弟子達が十ぺん習っても覚えられないのを、ただ一度でのみ込んでしまう。年長者の知らないことまで気がついて、師匠の禅師も末たのもしく可愛がっていた。
ある日に蜷川新左衛門というサムライが、獣(けもの)の皮でこしらえた袴(はかま)をはいて大徳寺に訪ねてきた。一休は急いで、
① この寺の内へ革(かわ)の類は一切禁制なり。もし革の物人らば必ず罰(ばち)が当るべし。
と白紙に書いて玄関に張り出した。新左衛門はこれを見て「お前は革のものは禁制だというが、このお寺にだって太鼓(たいこ)という皮で張ったものがあるではないか。あれは一体どうしたのだ」というと、
一休は少しも驚かず「ご覧なさい。この通り撥(ばち)が当るじゃありませんか」といいながら太鼓をドントたたいて「どうです。あなたにもばちを当てましょうか」とやったので、新左衛門も頭をかいて一言もなかった。
またある日、師匠の留守番をしていると、檀家(だんか)から大きなまんじゆうマンジュウをもらった。
やがて師匠が帰ってきたようなので、そのマンジュウを二つに割って半分を自分のフトコロに隠し、半分を師匠に出すと、師匠はそれを手に取りながら「はてな、月の破片はどこにあるぞ」といったので、
一休は即座に「雲に隠れておりました」と答え、フトコロから出して見せた。まだ十歳の子供としては、まことに気のきいた返答なので、師匠も感心して、そのマンジュウをみんなほうびにやったという。
一休の評判を伝え聞いた時の将軍足利義満(1358-1408)の耳に入り、金閣寺へ伺候(しこうーやってこい)することになった。それは諸大名の列座の前であった。義満はニッコリ笑って「大徳寺の利口な小僧というのはお前か」というと、
一休は「別に利口でもございませんが、世間には馬鹿が多いと見えまして、私のような者が目立つのでございましょう」
「うむおもしろい。では今日は難題を出すぞ。その方の後ろのツイタテに虎(とら)が一匹いるが、あれを目の前でしばって見せよ」というので振り向 くと、なるほど大きな虎が描いてある。
もちろん縛るわけにはいくはずもない。義満はじめ一座の大名達は何と答えるかと一休の顔を見ていると、別に困った様子もなく、「では縄を頂戴しとうございます」と注文して、縄をうけとると、衝立(ついたて)の横に立って縄を結んで「ではトラを、どなたかそちらから追い出していただきましょう」と、大名達を見回した。
どぎまぎする大名連をしり目に「早く早くトラを追い出せ・・」とせき立てると、義満もポンと膝を打って、大声で「おお一休、さすがじゃ」と感じ入ったという。
関連記事
-
-
新刊です。『伝記叢書』の「浅野総一郎』『阿部房次郎』『幽翁(伊庭貞剛)』『藤田伝三郎』ら6冊(大空社)
新刊『伝記叢書』「浅野総一郎』『阿部房次郎』『幽翁(伊庭貞剛)』『藤田伝三郎』『 …
-
-
百歳学入門(215)-「ジャパンサッカー『新旧交代の大変身』★『パスは未来(前)へ出せ、過去(後)でも、現在(横)でもなく・』(ベンゲル監督)★『老兵死なず、ただ消え去るのみ、未来のために』(マッカーサー元帥)
2018/10/31 日本リーダーパワー史(951)再録、改変 老生はもうとっく …
-
-
『湘南海山ぶらぶら日記/海外編(2022/6/22)』★『米国で『カブトガニ産卵地の海岸』を発見!』★『砂浜にカブトガニの殻があちこちに散乱していたというから驚く』
逗子なぎさ橋珈琲テラス通信(2025/10/08/am8) 202 …
-
-
『オンライン講座/最強のリーダーシップの研究 ⑪』★『児玉源太郎の電光石火の解決力⑦』★『日英同盟によって軍艦購入から日本へ運航まで、英国は日本を助けて、ロシアを妨害してくれたことが日露戦争勝利の要因の1つである』
2017/06/04 日本リーダーパワー史(820)記事再録『日清、日露戦争に勝 …
-
-
日本リーダーパワー史(948)-『日中関係150年史』★『 アジアが世界の中心となる今こそ,100年前に <アジア諸民族の師父と尊敬された大アジア主義者・犬養毅(木堂)』★『アジアの共存共栄を目ざした犬養毅を パールバックはガンジーらとともに高く評価した』
日本リーダーパワー史(948) 人気記事再録<21世紀の新アジア・グローバル主義 …
-
-
『オンライン講座/日本ベンチャービジネス巨人伝』★『 鈴木商店を日本一の商社にのし上げた<財界のナポレオン>金子直吉』★『「もし、金子が米国で生まれていたならば、カーネギー、ロックフェラーと並んで偉大な事業家として成功しただろう。金子は科学的な頭脳を持っており、無から有を作る事業家であったから』
2009/02/10 記事再録 日本の〝怪物″実業家・ …
-
-
「2023年正月には子供を連れて逗子マリーナへ遊びに行こう」★「逗子マリーナのヤシの木公園まるでハワイのリゾートを思わせる.湘南随一のリゾート』★『逗子マリーナから見た太陽とクルーザーと富士山とオーシャンビューは最高!(2022年12月26日』
逗子マリーナから見た富士山ビューティフル(2022年12月26日)
-
-
『リーダーシップの日本近現代史』(181)記事再録/★『高橋是清の国難突破力(インテリジェンス)①』『2014年現在の直面する5大国難は?!』ー 「福島原発の処理問題」「迫りくる大地震」「1000兆円突破 の国家債務」「急速に進む超高齢化・人口激減・少子化・ 認知症800万人」など、国難は複雑性を増している。 リーダーと同時に国民全体のインテリジェンス が求められる。』★『 「国、大なりといえども、戦いを好む時は必ず亡ぶ。国、平和といえども戦いを忘れた時は必ず危うし](史記)』
2014/09/18/日本リーダーパワー史(524)(高橋是清のケー …
-
-
聖将・東郷平八郎の真実・日本海海戦で完全勝利したが、太平洋戦争での『大鑑巨砲主義』(戦艦大和)の敗北を作った
日本海海戦で完全勝利したが、太平洋戦争での『大鑑巨砲主義』(戦艦大和) の敗北を …
- PREV
- 日本メルトダウン脱出法(864)『大阪自由大学の読書カフェ「人工知能は人間を超えるか(動画60分)」(3/2)』●『消費増税がやはり延期されるべき現実的な理由』●『安倍政権が真にやるべき政策を 米国の経済学者に聞く必要はない』●『アマゾン決済採用で成約率7割に改善の凄さ』●『 人工知能ブームの火付け役、 ディープラーニングとは何か』
- NEXT
- 日本メルトダウン脱出法(865)『ついにネオコンまで、共和党からヒラリー支持続々』●『独走トランプを一喝し、震え上がらせた元CIA長官』●『ドナルド・トランプの好戦性が意味すること(英FT紙)』●『中国の恐怖政治の復活』●『すでに地対艦ミサイルも配備されていた南シナ海』
