知的巨人たちの百歳学(136)『一億総活躍社会』『超高齢社会日本』のシンボルー 日本画家・小倉遊亀(105)、片岡球子(103)に学ぶ
2019/06/21
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知的巨人たちの百歳学(136)
『一億総活躍社会』『超高齢社会日本』のシンボルー
日本画家・小倉遊亀(105)、片岡球子 (103)に学ぶ
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「老いて輝く。60代までは修行、70代でデビュー、百歳現役」
105歳 日本画家・小倉遊亀 (1895年3月~2000年7月)
日本美術院の画家安田靫彦の門を叩き、岡倉天心、横山大観らの名だたる先輩後輩と深い絆を結んだ。女性画家として最長寿である。70歳代で「径」「舞妓」「姉妹」などの代表作を発表、80代で「天武天皇」などの歴史肖像画の代表作を制作した。85歳のとき、上村松園に次いで女性画家としては二人目となる文化勲章を受章した。
若い頃の遊亀は絵画制作、母親の看病、美術教師と多忙な日々を送り、神経質で内面的な悩みが尽きなかった。だが、修養道場の小林作雲のもとを訪れるようになってから、煩悩から次第に開放され、自由な境地で絵画制作にも専念できるようになる。
それからの40代、50代はまさに画家としての基礎体力作り、精進に費やした日々であり、やがて冒頭のこ言葉へと結実していく。彼女自身、人生で最も充実したのは70歳代であると回想しているし、その勢いは80代になっても衰えることを知らなかった。情熱があれば年齢の壁など乗り越えられることを示している。
90歳半ばで遊亀は体調を崩し、それから絵筆を握ることはなかった。居間に座ってぼんやり庭を眺める日々。ある日、遊亀はハッと気づいた。「梅は何ひとつ怠けないで、一生懸命生きている。私も怠けていてはいけない」と、再び101歳で絵筆を握ったのである。
それからは身近にある花木や果物を好んで描くようになる。「物みな仏」であり、自分は生かされているという謙虚な気持ちを片時も忘れなかった。普通に生きることの難しさを知ってから、普通に生きる美しさや素晴らしさがしみじみと描けるようになったのである。
「何も持たぬと嘆く人でも、天地の恵みは頂戴しているではないか」。
そしてこんな句も残している。「のどかなり 願いなき身の 初詣」
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「勉強はちょっとやそっとじゃできない。積み重ね、発掘です。死ぬまで努力です」
103歳 日本画家 片岡球子 (1905年1月5日~2008年1月16日)
18歳で札幌から東京の美術学校に入学。親が勧める郷里での結婚を断り、横浜の小学校で教職に就きながら画家を志した。帝展に3度落選、第17回日本美術院展に「枇杷」で初入選するが、その後何回もの落選を経験、「落選の神様」と呼ばれた時期もあった。だが、第26回院展に「緑陰」が入選し院友に推挙され、以後は毎回入選する。
彼女の絵の特長は大胆な構図と色つかいにある。誰が見ても「片岡球子の絵だと」分かるほど独創的であった。しかし、優美な日本画のワクをぶち破ったこの個性的、男性的なタッチがきびしい批判を浴びた。院展に出品した絵を見た、日本画の大御所で大先輩の前田青邨に呼びつけられ「片岡君、これはなんだ。こんなバカみたいな絵を描いて。やり直せ」とドナった。ところが球子は頑として直そうとはしない。自分の絵は正しい、間違っていない、思うままに描けばいいのだとの信念があったからだが、球子の作品は「ゲテモノ」呼ばわりされ、不遇をかこった。
このため、作品が認められ、才能が開花したのは50歳を超えてからの遅咲きとなったが、それまで壮絶ともいえる修行に明け暮れた。一心不乱に絵に向かい、疲れるとそのまま横になって寝る。
布団を敷く時間も惜しんだ。歯が悪くなり、周囲の者が治療を勧めたものの、治療に通う時間がもったいないと、総入れ歯にしてしまっした。絵がうまく描けないと、泣きわめいた。まさに勉強一途、意地となって独自の道を切り開いた。文化勲章を84歳で受章。
「基礎が大事。基礎が面白いのよ。だから我慢して勉強すること」。「最初は下手でも結構。そのままでいい。でも絶対に止めないで続けること。やれば必ず芽が出ます」。
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