前坂俊之オフィシャルウェブサイト

地球の中の日本、世界史の中の日本人を考える

*

池田龍夫のマスコミ時評(122)「三原じゅん子議員の「八紘一宇」発言、議員辞職に値する」(3/30)◎「辺野古作業で岩礁破砕、政府・沖縄県知事が真っ向対立」(3/25)

   

   

       池田龍夫のマスコミ時評(122)

          池田龍夫(ジャーナリスト)

 

「三原じゅん子議員の「八紘一宇」発言、議員辞職に値する」(3月30日)

http://mainichi.jp/

自民党の三原じゅん子参院議員(自民党)は3月16日、参院予算委員会で「ご紹介したいのが、日本が建国以来、大切にしてきた価値観『八紘一宇』であります」としたうえで、同理念のもとに経済や税の運用をしていくべきだと質問した。同氏は企業がグローバル資本主義の中で課税回避をしている問題を取り上げた中で、「八紘一宇の理念のもと、世界が一つの家族のようにむつみあい、助け合えるような経済および税の仕組みを運用していくことを確認する崇高な政治的合意文書のようなものを、首相こそがイニシアチブを取って世界中に提案していくべきだと思う」と語った。

「侵略戦争」のスローガン

八紘一宇は戦前、日本の侵略を正当化するための標語として使われていたもので、侵略戦争のスローガンだった。女優・歌手から転進した三原議員はまだ50歳。右派の支持者の入れ知恵を鵜呑みにして、時代錯誤の用語を得々と語るとは噴飯ものだ。

「歴代内閣は八紘一宇に否定的な見解を示してきた。中曽根康弘首相は83年1月の参院本会議で『戦前は八紘一宇ということで、日本は日本独自の地位を占めようという独善性を持った、日本だけが例外の国に成り得ると思った。それが失敗のもとであった』と述べている。宮崎市平和公園の塔の正面「八紘一宇」と刻まれた石板は戦後の一時期、外されていた。連合軍総司令部が45年12月に「八紘一宇」を公文書で使用することを禁じた。県内の財界人が動いて「八紘一宇」の文字が復活したのは65年だった」と、毎日新聞3月27日付夕刊「ワイド特集」が、その背景を記していた。

唐突な三原議員発言に驚いた人は多かったに違いないが、報道姿勢も甘かったのではないか。この点を鋭く突いたのが天木直人氏(外交評論家)の3月19日付ブログだった。

昭和天皇も忌避していた言葉

「三原発言は、歴史を聞きかじった不正確な発言であるだけではなく、いま国際的に懸念されている日本の政治の右傾化に直結する言語道断の発言だ。三原議員はれっきとした自民党の国会議員なのに、何故国会で大問題にならないのか。 安倍晋三自公政権はこの発言を許すのか。なぜ日本の戦争責任を反省する護憲政党はこの発言を問題にしないのか。なぜメディアはこの問題の深刻さを国民に教えないのか。(一部の新聞は取り上げていたが・・)

「八紘一宇」の言源は古く8世紀の日本書紀の記述にあるが、「八紘一宇」という言葉そのものは田中智学(1861-1939年)という宗教家が1913年に使った造語であり、1930年代から満州国支配やアジア侵略を正当化する標語として軍部に使われた言葉だった。

戦後は一貫してこの言葉は否定され、昭和天皇も中曽根大勲位さえも忌避してきた言葉であるのである。三原じゅん子はこの一言だけで即刻、議員辞職ものだ。安倍首相がこの三原発言を放置するならその歴史認識は同類だということだ。それほど深刻で言語道断な発言であるのに、誰も騒がない。この国は、政治家から国民まで、歴史に無知、無関心な、未来の見えない国だ。それでいいのか」

 

◎「辺野古作業で岩礁破砕、政府・沖縄県知事が真っ向対立」(3・25

沖縄県の翁長雄志知事は3月23日、県庁で記者会見し、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設計画で、沖縄防衛局が海底に設置したコンクリートブロックがサンゴ礁を傷つけていると指摘。防衛局に対し、ボーリング調査などの海上作業を30日までに停止するよう指示したと発表した。しかし、政府はこれを全く無視、24日も調査を続行している。

翁長知事は県が岩礁破砕を許可した区域外でサンゴ損傷があった可能性が高いとして「県の調査が終了し、改めて指示するまでの間、当該工事による海底面の現状を変更する行為の全てを停止すること」を求めた。
さらに現場海域の潜水調査のため米軍に臨時制限区域内への立ち入りを求めていることを挙げ、政府側に米軍との再調整を重ねて要求。立ち入り調査が実現していないことに関し「調査さえできないことは不合理極まりない」と批判した。
翁長知事は、仲井真知事に代わって県民の支持によってと当選した知事。地方自治の精神にもとる暴挙と言わざるを得ない。米軍側も「計画通り作業を進める」(ワシントン時事電)と強気であり、県民の反発は強まるばかりだ。「話し合いすら持たない日米両政府の姿勢」はあまりにもひど過ぎる。グアム移設問題を含めて沖縄の基地負担軽減に全力を投入すべきなのに、県民の怒りは募る一方だ。何かのきっかけで、血をみるような騒動にエスカレートしないか心配でたまらない。本土国民ももっと積極的に取り組むべきだ。

 - 現代史研究

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
 日本リーダーパワー史(761)-『日韓朝歴史ギャップの研究」●『金正男氏暗殺は正恩氏の指示 北朝鮮専門家ら分析』★『朝鮮暗殺史の復習問題ー福沢諭吉、犬養毅、玄洋社らが匿った親日派の朝鮮独立党・金玉均を上海に連れ出した暗殺事件が『日清戦争の原因』ともなった』

 日本リーダーパワー史(761) 北朝鮮の金正男暗殺事件がまた起きた。 『北朝鮮 …

「30年間カヤック釣りバカ老人の鎌倉海定点観測」-『海を汚染、魚を死滅させる有毒マイクロプラスチックが食物連鎖で最終的に魚食民族・日本の食卓を直撃する』★『プラスチックを規制し、1人年40 枚にレジ袋を減らす規制をしたEU対1人が年300枚のレジ袋を使う日本はいまだ規制なし』

「老人と海」-海を死滅させるマイクロプラスチックの脅威 30年間鎌倉カヤック釣り …

no image
日本リーダーパワー史(193)『真珠湾攻撃から70年ー『ルーズベルト米大統領は国家情報を是正の情報機関(CIA)を設置』(下)

日本リーダーパワー史(193) 『真珠湾攻撃から70年―日米インテリジェンスの落 …

no image
世界/日本リーダーパワー史(957)ー『狙われる東京五輪とサイバーセキュリティー』★『「五輪ハッキング計画―無知な大臣が率いる五輪を狙う中国」』

世界/日本リーダーパワー史(957) 『狙われる東京五輪とサイバーセキュリティー …

no image
速報(353)50年後に3・11を振り返った場合、小出裕章氏(MBS)たね蒔きジャーナルが最もよく伝えたことは間違いない。

  速報(353)『日本のメルトダウン』   50年、100 …

no image
『リーダーシップの日本近現代史』(113)/記事再録☆『軍縮・行政改革・公務員給与減俸』など10大改革の途中で暗殺されたライオン宰相・浜口雄幸の『男子の本懐』★『歴代宰相の中で、最も責任感の強い首相で、国難打開に決死の覚悟で臨み、右翼に暗殺された悲劇の宰相』★『死後、3週間後に満州事変を関東軍が起こした。』

2013/02/15  日本リーダーパワー史(362)記事再 …

no image
日本リーダーパワー史(849)-『安倍首相の「国難突破解散」は吉と出るか、凶と出るか、いずれにしても「備えあれば憂いなし」③ 』★『戦後の日本人は「最悪に備える」態度を全く失ってしまった。』★『「ガラパゴスジャパン」(鎖国的、伝統的、非科学的、非合理的な日本思考)から脱さなければ、未来(希望)の扉は開けない』★『明治維新、倒幕の原因の1つとなった宝暦治水事件』

日本リーダーパワー史(849)  安倍首相の「国難突破解散」の判断は吉と出るか、 …

no image
『リーダーシップの日本近現代史』(108)/ 記事再録☆『世界からは尊敬され、韓国からは逆恨みされ暗殺された伊藤博文(初代総理大臣)の悲劇』★『日韓コミュニケーションギャップ、反日韓国のパーセプションギャップ(誤解、逆恨み)ルーツがここにある』

日本リーダーパワー史(107) 伊藤博文④日本、韓国にとってもかけがえのない最大 …

no image
日本メルトダウン( 978)『トランプ米大統領の波紋!?』●『トランプ新大統領、中国には脅威と好機 ー経済的・地政学的には両面の影響がありそうだ(WSJ)』★『フランス極右政党の党首がトランプ勝利を大喜び 来春の大統領選への影響は?』●『不法移民、犯罪者をまず送還=壁はフェンスも利用-トランプ氏』★『首席補佐官にプリーバス氏=共和主流派との連携狙いか-米次期大統領』●『ついに馬脚現した習近平、歴史歪曲が白日の下に–南京虐殺の捏造がついに暴かれ始めた』

  日本メルトダウン( 978) —トランプ米大統領の波紋!? 【W …

no image
歴史は繰り返すのか!『現在の世界情勢は1937年8月の「アメリカ/ヨーロツパの情勢は複雑怪奇なり」とそっくり』★『この1週間後にドイツ・ソ連のポーランド侵攻により第2次世界大戦が勃発した★『日本は<バスに乗り遅れるな>とばかり日独伊三国同盟を結び、1941年12月、太平洋戦争に突入する』★『インテリジェンㇲの無知で亡んだ日本』

  「米欧情勢は複雑怪奇なり」   1939年(昭和14)8 …